紙風船文様5 公演情報 紙風船文様5」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 満足度★★★★★

    戯曲の世界そのもの
    舞台を見たときに、何が起こるか想像すら出来ませんでしたが、そこに現出したものは見事に昇華した岸田戯曲の世界でした

    ネタバレBOX

    最初は、「紙風船文様」に何ゆえに西洋便器が登場するのかと思ったのですが、そこから手が抜けないという妻の態度が、次第に戯曲に描かれた倦怠とゆるやかな閉塞感と諦観へと折りあがっていくことに驚愕。

    最初の態からの物語の解き方もじつにしたたかで、その構図を妻と夫が共通認識していることや、それでもその時間をすごしていく質感が鮮やかに伝わってくる。

    舞台を立て直す黒子の存在がおかしいのですが、それとて、夫婦がその関係から踏み出しえないことの暗喩にも思えて。

    そのシチュエーションを貫きつつ物語を編み上げた役者達の力量にも改めて目を瞠り、なにより演出の創意に圧倒されたことでした。
  • 20140518
    (^・ェ・^)鎌田さん風でした

  • 満足度★★★★

    鎌田さん回
    入場すると舞台には便器だけが。トイレの室内で「紙風船」をやるのだろうかとか、開演までの時間も期待がふくらみました。(以下ねたばれBOXへ)

    ネタバレBOX

    「便器に指輪を落としたから取ろうとしたら腕が抜けなくなった。抜くのを手伝ってほしい」と言う妻と、それを信じず、手伝いもしないが、完全に放置するわけではない夫との会話劇として進行します。

    途中「そうやって嘘のディテールを積み重ねるのはやめろ」とか、昨年暮れに同じあさくさ劇亭であった「ホテル・アムール」を思い出すような場面があり、そういえば「ホテル・アムール」自体が「紙風船」ぽいのかも?? などと思いながら見てました。そして同時に、ナカゴーの作品でよくある、いきなり怨霊が出てくるみたいな唐突な飛躍も、岸田戯曲の電車に乗って旅する場面みたいなものだったのか、とかそういう気づきも。

    いずれにせよ、ぱっと見ではかなり違うことをやっているようで、しっかりと「紙風船」なのだな、と思えるようにはできていておもしろかったです。

    さらに、演出の中でメタな要素がいくつかあり、それもいろいろ考えさせるような、考えさせること自体を粉砕するような感じでした。例えば、戯曲では最後の最後に決め手となる小道具である紙風船が、かなり序盤にものすごく唐突に出てきて、夫によってあっという間に叩き割られます。これだけなら、戯曲での紙風船を使った物語の落とし方を拒否したのだ、とかいろいろ言えそうですが、さらに時間が過ぎた後に、夫が「あれ、ここで紙風船割るんだっけ? 段取りまちがえたか?」みたいな独り言を唐突に言う場面もあり、「紙風船」をめぐる議論が「段取りまちがえた」でひっくり返されて、全く別の地平でやってるんだ、みたいなことにも思えて興奮しました。最後の着地点も異常にあっさりしていて「え?」みたいな。

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