シフト 公演情報 シフト」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-7件 / 7件中
  • 19:00。
    サンプル特有の、観ていると自分がとんでもない場所に迷い込んでしまった感。けれどその場所は我々の近くにいつもあって、目を閉じようとしているだけ。観劇というより、再確認をさせてくれる。

  • 満足度★★★★

    「彼ら」の存在感
    帰ってきて感想を書こうとしてタイトルを打って、「あー、そうかー、そうだったそうだった、今日観た芝居のタイトル、『シフト』だったよなあー、うんうん」ってなんか改めて思っちゃったっていう。
    「ものがたり」がシフトしていく過程の領土戦争のはなしだったなあ、っていう。

    この作品のキモはあれだよなあ、劇場を静かに見つめるように客席に配置されてた「彼ら」、ああいうものの存在。
    「ものがたり対ものがたり」の領土戦争を何も言わず静かに見つめ続ける「彼ら」、って構図。
    そこら辺、観終わってからじわじわ効いてきて面白かった。
    あの「彼ら」の存在があるのとないのとじゃだいぶ芝居の印象変わってたんだろうなと思う。
    舞台上で広がる各々のものがたりがあの存在によって相対化される、その宇宙規模のスケール感。
    あんなに「気持ち悪い」物語なのに観終わって不思議と清々しかったのはそのためかも。

    ・・・にしてもあれなの?芸劇シアターイーストに自転車を吊るす、ってのはもうなにかトレンドだったりするの?
    今月頭に見たニッポンの河川に引き続き、でそれだったからちょっと笑っちゃったw

    ネタバレBOX

    観た人にとっては書くまでもないですけど、「彼ら」=人形とかぬいぐるみとか、ですね。

    そういえばわっしょいハウスの芝居でも大活躍ですね、彼ら。
  • 満足度★★★★

    反芻して味わえる
    会場に入った瞬間から何かに憑りつかれた!ぐるりと後方客席に陣取っていた方々にも圧倒された。自分が分身になってあらゆるところからこの舞台を観ていたような錯覚?にも…。なんか面白い。おおぅ…

  • 満足度★★★★

    サンプルの原点にして帰還点
    2007年に、「青年団リンク サンプル」として初演された作品の
    再演。当劇団にとっては事実上の処女作に当たります。近年の
    作品に比べると、物語の組み立てかたがしっかりしており、筋も
    見えやすい分、この劇団が一貫して追求しているものがはっきり
    分かりやすい内容になっています。正直、近作より面白かった。

    ネタバレBOX

    結婚してある旧家に住むことになった元教員の男。
    妻の家は、「オシラサマ」という神の白い子を誕生させた名家として
    かつては有名だったが、先祖伝来の土地にダムができ、立ち退きを
    余儀なくされて以来、零落。今では、周囲にも相手にされず、街から
    距離があることを幸い、隣家の男を中心に不気味なコミュニティを
    つくり上げて生活していた。「相撲」と称して乱交していたりします。

    窮余の一策として、妻の母親は、同じ旧家にあたる隣の家の男と
    関係を結び、「オシラサマ」を再び誕生させようとするが、過去からの
    近親結婚がたたり、不具の子どもしか生まれない。

    ということで、次に考えたのが妻の夫と母親がまず関係し、生まれた
    子どもと妻とが結ばれることで「オシラサマ」を誕生させようという計画。
    まぁ、完全に狂っていますね。

    当たり前なのですが、妻の夫は逆上。「自分は種馬なのか」と食って
    かかるのですが、妻の姉から返ってきた言葉が「種馬ですらありません。
    中和剤ですよ」。きついなぁ…。

    最後は、家の外にある大型商業施設「トピカ」に通いつめて、一家から
    浮いている姉が、そこの御曹司とくっつくという衝撃の展開を迎え、
    開発兼自分たちの住居をつくるために再度の立ち退きを迫るなかで、
    一家が現実逃避していく様を見せて終わり。そう遠くない日の破滅を
    予感させる物語でした。

    相撲の土俵を模した輪で大きく囲まれた舞台の上から吊るされた
    ガラクタの数々が舞台美術で、今のサンプルと比べるとかなり
    質素。というか、床にゴミが散らばっていない分、整然とした佇まい
    すら感じさせられますね(笑 吊り下がったガラクタを時折下ろしたりして
    小道具に使ってたりと、「観せる」だけのものに終わっていないのもいい。

    この作品には、後のサンプルを貫く全要素の萌芽が見てとれました。
    即ち、「狭くて歪な、外界とのつながりを絶って成立したコミュニティ」
    「そのコミュニティの中で絶対君主のようにふるまうリーダーと、命令に
    したがう構成員」「主に性的な要素を通じてつながり合っている関係」
    です。そのモチーフはじょじょに「擬似家庭」「擬似コミュニティ」と、
    形を変えて発展していくことになり、『自慢の息子』あたりでピークを
    迎えることになります。

    よどんだ気配をたたえ、ゆがみきったコミュニティが崩壊していく、
    あるいは再生していく過程を、まるで外部から実験レポートの
    ように感情を交えず、語っていくサンプル。本作は、その始まりであり、
    ある意味、最初の到達点でもあるのでしょう。
  • 満足度★★★★

    デタラメな中にも説得力
    かなりデタラメな劇だったが、デタラメに説得力があり、時に身につまされた。

    ネタバレBOX

     それは、われわれの生きるこの世界が、劇世界と同程度にデタラメで不条理だからだろう。
     描かれているのが、われわれの生きる現実と地続きで、そこまでかけ離れていないがゆえに引き込まれた。
  • 満足度★★★

    禍々しく滑稽な人達
    チラシの晴れやかなビジュアルとは正反対の禍々しい雰囲気が濃厚な作品で、気持ち悪さのあまり逆に笑える内容でした。

    結婚して妻の出身地である村に移り住んだ男が、その土地ならではの奇妙な風習に巻き込まれていく物語で、伝統に固執する人達の滑稽さがシュールな性的表現を多く盛り込みながら描かれていました。

    様々な日用品や家電製品をビニールで包み天井から吊った美術が異界的雰囲気を生み出していて良かったです。対面式になっている客席の後方に横一列に並べられた人形の存在が、物語の中で語られる悲しい存在を象徴している様で不気味でかつ切なかったです。家の出入り口の表現も宗教的なものと性的なものを連想させて興味深かったです。

    どの役者も良い意味で気持ち悪いキャラクターを怪演していて楽しかったです。特に男性陣の変人っぷりが強烈で、本人がシリアスになる程に奇妙さが際立つのが可笑しかったです。

    演技や台詞が魅力的な場面が多かったのですが、全体に繋がっていく感覚が弱く、面白いディテールを並べている様に見えたのが勿体なく思いました。
    近年の断片的な作風に比べると一貫した筋があって分かり易い内容でしたが、その分こじんまりとしていて独特の拡がりが感じられませんでした。

  • 満足度★★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    サンプルの【シフト】を観劇。

    チェルフィッチュに次いでの苦手の劇団で、今作で3本目の観劇だが、今後も見続けるか否かで迷っている状態。

    ある村に婿に行った青年が、村の風習に無理やり取り込まれてしまう。
    そこはダムで沈んだ村民が生き残りをかけて、新しい住人の種を利用して、
    白子様という神を再生していこうとするのだが、そんな村民の意地も都会の波にさらされてしまう。

    かなり土着的な話で、伝統と慣習を守ろうとする人々と、新たなる文化を植え付けようとする人々との衝突を描いているのだが、今村昌平?寺山修司?などとは全く違うアプローチの仕方で描いている。
    作品を自分なりの解釈でひも解いていくのだが、作家の目指している物と観客が解釈していく事に大きなずれが生じてしまうのが苦手になっている要因だ。それは何時も終演後のトークショーで分かるのだが、観客と作家の演出意図が全く交わらない事で、もう観たくない?という事になってしまうようだ。

    さて、次回作は観劇するか?どうか?

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