職員室の午後 公演情報 職員室の午後」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 思わせぶりな(?)群像劇
    全体として、誰か一人の主人公ガいるのではなく、職員室を切り抜いたような舞台でした。
    別の方もコメントされたタバコや空気感はリアルに再現されていて、昔の職員室そのものを運んできてくれた気がしました。
    私はタバコの演出は凄く良かったと思います。画面越しでないお芝居だからこそ、当時の全然スタイリッシュじゃないタバコの香りが、実際に漂ってくれると、もっと嬉しいと思ってしまいます。

    各先生方のキャラ立ちは、ラノベぐらいに鮮明な一方、ストーリーの"結論"的なものは少なく、"思わせぶりな"な展開・演出が多かった感想です。
    (金井さんと担任の先生の間でのやり取りこそが、主人公と"結論"だったのかも? ……となると、あの先生が主人公なのかな? )
    明確な起承転結でないと、アレルギーが発症する人は、モヤモヤするかもしれません。



    会話の中にしか登場しない、別の職員室の先生のエピソードも気になります。
    もし短編小説集だったなら、別の話の登場人物が、チラリチラリと見え隠れするみたいな、そんな感覚を覚えました。
    とりわけ、"探偵みたいな先生"のストーリーも見てみたいです。

  • 満足度★★★★

    芝居としては5 イデオロギー的には4
     普段は青森で活躍している作家の作品だ。青森と言っても青森市ではなく弘前である。現在の青森県には旧、津軽藩と南部藩が含まれ、余り仲は良くない。気候帯も青森辺りから亜寒帯に入ると記憶する。昆虫の分布などにも明らかな差が出る。
     弘前は自分も好きな町だが、弘前城址で眺める桜はまた格別であろう。残念乍ら、桜の時期に弘前を訪れていないのだ。城址から眺める岩木山、標高は大して高く無く1625mだが、富士山型の山容から津軽富士とも言われ、本丸天主閣など主要な城郭を喪失した弘前城址から眺める景色は当に絶景。
     ところで、貧しい地域の暮らしは厳しい。村八分にされたら、乞食同然の暮らしを余儀なくされるのは必定。原発廃棄物の受け入れを肯んじたのは、無論、この貧しさを背景にしている。娘の身売りはもとより、飢饉の折には子を喰らうような歴史もあったであろうし、水争いで死人が出る話など、農村の古歴史を当たれば必ず出てくる。その為に、溜め池を作り、人柱を立てた話もいくらでも転がっていよう。1603年に江戸幕府が成立してから1868年に幕府が崩壊するまでの間に、日本の総人口は、余り増えていない。そのような背景にあった歴史的事実が子捨て、子殺しの系譜である。中でもかつて征夷大将軍が征伐すべき地として規定されていた東北地方一帯の窮状は、酸鼻を極めた。東北の人々とホントに仲良くなって本音を確かめてみるが良い。中央に征服されたという意識が見えるハズである。このような状況に置かれていたからこそ、会津藩のように幕末に幕府側について徹底抗戦した勢力が出たのである。つまり、冒険はできない体質なのである。そのような哀しさが、大人しさとして滲みでるような舞台であった。自分の目指す世界とは正反対なので、イデオロギー的に、自分は、この作品を評価できない。然し、演劇的には、上記に上げた様々な要素を考えさせる舞台であったし、知的で、上手に歌舞いた舞台であった。

    ネタバレBOX

      東北の県立高校、短い秋の一日。第3職員室では、教師たちが、三年の 
     金井 里子の起こした万引き事件で揺れている。問題行動は、これで4度目。本人も万引きを認めているが、事ここに至っては退学も已む無し、という流れだ。然し、教育者として、それは、負けを意味しよう。教師の誰一人としてしっくりはこないのも事実である。
     ところで、現在、この職員室には2人の教育実習生が来ている。一人は分田上 良平、蟻の研究をしていた。もう一人は平出 敦子、哲学科を出ている。構造主義の研究をしていた。分田上は、平出に好意を持っているが、ひつこ過ぎて嫌われている。
    他に教務主任格、数学の岡枝 竜也、体育の西 一、物理の村松 四朗は子だくさんで、こづかいが一月3000円とずっと上がらないのが、なんちゃって気味に皆の前でバラス愚痴である。以上の3人は、同級生で腐れ縁だ。西はインター杯でバタフライの記録を持っていた。
    科学の遠藤 崇は、トレッキングをしていて4000m程の山の頂きで丁度反対側のルートから登ってきたフランス人女性と劇的な出会いをして3年前に結婚した。休みには、妻と共に世界中の山々のトレッキングをしているので、いつも金欠で、事務の金子 公子には借金の申し込みをしている関係で頭が上がらない。
     英語の神成 誠二は、暫くイギリスに留学していたが今日帰って来た。それで直ぐに、顔を合わせて暫くは猛烈な悪口雑言を相手にぶつける、という奇妙な癖を持つ。イギリスでもこの悪癖の為に、当初散々殴られた。
    国語の藤田 涼子は、頗るつきにプライドが高い為、ぎこちない態度が目立つ。最近、恋をしていると言う。
     東京から着任した北山 宗介は、物理の教師だが、動物の生態や行動に詳しく、そのジャンルでは村松や分田上と合う。因みに村松と北山はバスケットボールが上手く、ちょっと体育館で練習して見た感触では、去年のリベンジを目指している2職に、今年も楽勝の予想が立った。
    他の先生達も其々に、キチンと落とし所があるが、それは観てのお楽しみ、ということにしておいて終盤に移る。
     教師間の噂話や雑談が一回りした所に、電話が入る。警察からだ。金井らしき若い女性の遺体が上がったというのだ。川の橋脚に引っ掛かっていたというのである。いくら問題児とはいえ、教師達は、殆ど青ざめんばかりである。早急に、正確な情報を集め、対応する為の準備に走る。然し、学校近くの金子の家を訪ねた教師は、本人を確認、警察が、金子らしいと判断した材料になったものは、彼女が友人に貸し、それを友人の姉が又借りしていたことが判明。本人は至って元気で拍子抜けするというより、こんなに生徒を心配している自分達を発見して、退学お流れは完全に失せたような先生達の雰囲気を盛り上げて幕。
  • 満足度★★★★

    金井さん
    説明にある金井さんの処分だけでなく、職員室ではさまざまな出来事(一部は問題)が起き、しかも、いろいろクセのある先生だらけで見ていて飽きません。ある意味、先生全員が主人公。中には心あたたまるエピソードを持つ先生がいたりして。

    学校敷地内の殆どが禁煙になった現代では考えられませんが、先生方がタバコを吸って半端なく空気の悪い、絶対に入りたくないあの頃の職員室を忠実に再現。臭いから察するに、このステージでは害の少ないタバコを使用しときゃいいやレベルの無に等しい気遣いはあったと思いますが、特にこの時期は、煙が漂ってくると鼻の粘膜が刺激されて辛いのよ。ニコチンの有無なんかどうでもいいの。煙が辛いの。現にくしゃみ3回出たし。

    ここまで煙が多い演出にこだわりたいのであれば(私には止める権利はこれっぽっちもありません)、チラシやサイト等に注意書きをお願いします(既に書いてあったら見落としていた私がいけないんです。ごめんなさい)。

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