壁あまた、砂男 公演情報 壁あまた、砂男」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    無題989(14-028)
    14:00の回(快晴)。13:00受付(整理券あり)、13:30開場、粉塵防止のためマスクを手渡される、ベンチシート+椅子席で7列くらい、正方形、床から15センチほど浮かせた舞台、各辺に照明。13:45、男女1名ずつ登場、続いて…結局、全員出てきたのかな?グレーで統一された衣装、車座になって干し芋を食す、ペットボトルを転がし各人、喉を潤す、「あいつ」について語っているが、本編には関係なさそう。でも、トイレとか言ってる。

    14:05前説〜15:46終演。パフォーマンスは面白いと思いました。砂の壁は概念的なもので、越えてはならない境界線だったのでしょうか。幾つかの集団グループ、誰も見たことがない砂男という存在、目耳足の三姉妹は自ら確かめよ、と言いたいのか。無数の軍手が骸骨や墓標に見えてくる。

    「行こう 行こう 火の山へ」とはどこを目指し、何を求めて行こうとしていたのだろう。全然、スッキリしませんでしたが、強く印象に残るお芝居でした。

  • 満足度★★★★★

    異化
     原案本はブレヒトだと言う。単純に考えて異化効果路線といことで観た。随所にそれらしい表現の特徴が見て取れる。(追記後送)

  • 満足度★★★★★

    個性と没個性の交錯
    独特の雰囲気が素敵でした。

    ネタバレBOX

    全員が灰色の同じ服装で、四角形のステージに上がっているときは顔を出してそれぞれの役に徹し、隅に行きフードをかぶって下に降りれば皆同じ姿の砂の一粒一粒にでもなったかのように没個性となり、砂の国らしい独特の雰囲気が感じ取れました。素晴らしかったです。

    壁のこちら側の砂の国の話。平和を信じ過ぎると裏切られる等、この国の統治者の平和論十ヶ条を聞き続けると、人間の世界においては戦争は避けられないような気にさせられてしまいます。調子のいい口調で毎日毎日喧伝し、敵国からの緊張を強いるムードを作る為政者の策略の恐ろしさのようなものを感じました。

    没個性となった人たちが大量の軍手をステージ上に並べ始め、最後は全体を覆い尽くしました。軍手は軍ということか、きな臭さが充満してきたということでしょうか。団扇の骨が背景に並べられていた過去の舞台を思い出しました。

    不幸な三姉妹の一人、耳の聞こえない役の小島寿美子さんの笑顔が素敵でした。
  • 満足度★★★★

    スモークは焚かなかったな~今回は
    さて確かに埃っぽくなった作品ではありましたが、
    重厚な物語にユニークな魅せ方をしてくれまして。
    う~んいかようにもとれる幅のある話のつくりにも感心いたしました。

    (1時間50分)

  • 考えさせられる
    受付で、「ほこりが立つので」とマスクを渡される。
    その気遣いは嬉しい。が、冒頭スモーク焚き過ぎですから!

    現代、現在の状況と否が応でも重ねて見てしまう。
    盲信は怖い。考えることの放棄。それが招く社会の歪み。
    集団的自衛権とか、秘密保護法案とか、隣国との関係とか、今の、そして今後の日本が、隣国が、砂の国のようにならないことを祈る。

    手袋と靴カバーを使った、砂男支持派・反対派・どちらにも属さない者の表現が、視覚的にも分かり易い。

    役者がフードを被っていない→その場にいる
       フードを被る→その場にはいない
    というのも分かり易い。これで役者が常に袖に下がらず且つ黒子の役割も同時に果たしている。

    考えさせられる脚本の中に、所々笑いも入っている。
    火星に生物がいる確率の話は興味深い。
    役者は好演。
    それぞれが、きちんと役の役割を演じた印象。
    だから誰が一番良かったとか、あまりない。(誉め言葉です)

    ネタバレBOX

    作品中には三国がある。
    亡国である風の国、舞台である砂の国、壁で隔てられた隣国火の国。
    風の国の民は放浪生活を送り、砂の国の民からは「信用ならない」と見られている。
    砂の国は100年ほど戦をしていないが、平和は長く続かないものだ、火の国が壁(戦車で簡単に壊れそうな代物)を破って攻めてくると思い込んでいる。砂の国では「砂男」とその親衛隊が国を掌握している。砂男は作中一度も姿を見せない。
    砂の国の民の思想は、全てその砂男と親衛隊の洗脳?によるもの。平和の10箇条なるもの(私には「平和に甘んじるな、平和は悪だ」と言っているように感じた)を大音量で放送している。そんな砂の国の南部に生きる家族が物語の中心。

    母は砂男の熱烈な信者。父は母の従順なイヌだが、親衛隊には入りたくないと思っている。長女はこの社会に疑念を抱いて反対運動をしている。長男は初めこそ疑念を抱いていたが、合同訓練に参加して以来、親衛隊を善と見なし始める。次女は家族の崩壊を止めたいのみ、反対とも信者ともいえない。

    そこに風の国の民や地域住人、親衛隊(舞台には出てこない)が関わって物語は進む。
    自国を持たないが故、砂の国の思想に捕らわれず、自由に(自分本位に?)、自分の信念に従って生きる風の国の民。
    風の国の民は相手を「人」として捉え、砂の国の民は「風の国の民」として捉える。

    砂男への盲信によって、信者達は良い意味でも悪い意味でもまとまっている。
    しかし不穏分子に対しては行き過ぎた弾圧を行う。
    仲間を助ける為に新兵を殺してしまった姉。疑いから内部分裂をしてしまう反対派。
    自分達でさえ、西側の反対派からの「情報」のみを鵜呑みにしていることに気づく。砂男の信者が彼の言葉を鵜呑みにしているのと同じように。

    結局、次女は砂の国を捨てて、風の国の民と共に旅に出る。ここではないどこかへ。
    「行こう どこかにあるはずだ もっと良い国良い暮らし」と歌いながら。かつて砂の国に現れた「太鼓たたき」がしたように。

    あらすじ長い!ごめんなさいm(_ _)m
    いや本当、これ書きながらも、すごい考えさせられる。

    ラストに舞台が手袋で埋め尽くされ、さらに空中を舞うほどになったのは、砂の国の盲信が加速されて、反対派が居なくなるほどに国全体が熱狂した、ということで良いのかしら?

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