かける 公演情報 かける」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    何れもドラマの成立する構成
     三作品、いずれも、それぞれの味を持った作品群である。自分は、3話目が、最も気に入ったが。(追記2013.9.17)

    ネタバレBOX

     風俗店に出掛けた斉藤はできちゃった婚で式間近である。結婚前に遊び納めと出掛けたが、入店し待合室で見た者は、母と別れて以来、ずっと顔を合わせていない父だった。互いにそれと気付くがバツが悪い。息子は当初帰ろうとするが。父は新聞を大きく広げて顔を隠している。そこで一番離れた位置に座りプレイヤーで音楽を聞き始めると、店員が「斉藤さま」と呼びに来る。思わず腰を浮かす2人。バツが悪いので、息子が「何故、本名使っているんだよ」と問い掛けたことから父子の対話が始まる。互いの性癖を変態だと言い合う2人だが、DNAの共通部分も考えて変に認め合う。そうこうするうち、父が判を押して母に渡した離婚届を母は役所に提出していない、という話が出、息子は、父に戻ってくることを勧めるが。父は、矢張り面目が無い、ということで行きそうにはない。一方、其々の指名した女の子が空いたので店員が呼びに来るのだが、二人とももうその気は無くなって互いに帰ろうとするが、事情を立ち聞きしていた店員が「相撲を取って負けた方が、帰る」という提案をする。二人は受け入れるが、父が勝った。結果、父は残って遊んで行き、息子は帰る手はずになっていたが、相撲には勝ったものの、父は腰が痛い、と言って帰ることになった。息子に遊んで行く権利が委譲された訳だが、息子も醒めてしまい帰ることになる。

     競馬場の観覧席。結婚を祝って友人がこの席の入場券を買ってくれたのだが、新夫が、信じているように彼はギャンブルの才能があるわけでは無かった。彼にも、彼の父にも、ツキを読む才能があったのである。新夫も友人もスポーツ紙の競馬欄を持参しているが、友人は、新夫と同じ目ばかりマークしている。流石に怪訝に思った新夫だが、真相には気付かない。そこへ間近に座る男がある。新夫は友人に知り合いか、と訊ねるが友人は知らないと応える。新夫が勝ち馬券を換金しに行くと件の男と友人が話し始める。二人は親子で共通の才能を持ち掛かるが故に、ギャンブルで金儲けをしてきたのである。さて、新夫が戻って来て、次のレースの予想をし出した。友人は同じ目を狙い、新夫と同じ目で買うことでコンセンサスを得て馬券を買いに走るが、息子と言い争って席を起っていた父が戻ると、残して置いた競馬新聞からICレコーダを取り出し、録音内容を投票用紙に書くと、ニヤり、馬券を買いに走る。

     ゲームクリエイターらが作成中のゲーム場面を役者が演じるシーンで始まる。ゲームは、悪漢に攫われた姫が、奥まった部屋に囚われているのだが、プレイヤーが、雑魚キャラを倒して力をつけ、ボスキャラを倒して、姫を救う、という単純な物。途中にマグマがあったりするので、道悪などの障害はあるが、それらの困難を克服して最終的に姫を救い出す達成感が大切だと考えられている。然し、姫の役割は、最初に攫われた後は、奥まった部屋で只待つだけ、助けを只管待つだけで、30年間やってきた。流石に、姫は、うんざりし尽くし、最近では、ゲームコンセプトその物に反感を持っている音を隠そうともしない。最近、若い人材が入ってきたので、姫は、この若者を利用して、自分独自のコンセプトのゲームを作ろうと画策。終には、若者と共同で新たなコンセプトのゲームをプレゼンテーションする所迄行きつく。今迄の作品では、外部からのアクセスが減っている所から、もぷ外部で達成感を味わうという流れでは、プレイヤー増加を望めないと判断、今迄、ターゲットと考えて来られなかった女性をターゲットにする。コンセプトは、優しさ、闘いも障害も無く、目的地への進路は真っ平ら、敵は存在せず皆仲良しである。但し、女性が喜ぶよいうなアイテムは様々に用意されている。重い荷物を持ち運ばなくても良いアイテムの準備や妊産婦に優しいコウノトリ搬送機、1mおきの女性用トイレ等々。またプレイは論理的にではなく、イメジャリーに組み立てられていて、基本的に論理は無視。イメージが逸れらしければ良い、という作品である。以上のような作品概要を説明し終えた、若いプレゼンテイターは、女性無価値論を展開、更に子供を産むことで未来を孕んで行くことの意味も否定する。何故なら、恐らく、外は、核戦争終了後の世界で、最早、生命体はDNAを傷つけられ、正常な繁殖はできなくなっている。外部アクセスの減少は、ゲームが飽きられて云々の話ではなく、個体の絶対数の減少を意味している。そして、健常な状態で残っているのは、自分達が居るこの部屋を含めたごく僅かなエリアであり、個体数の圧倒的な少なさから、これも遺伝子異常を起こして滅びる他無いのである。どんな方法も総て無意味。そんな風に取れる痛烈なブラックユーモアを秘めた作品。3作の中で、この作品は評価5である。他の2つが4なので平均を取って全体評価は4とした。

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