満足度★★★★
演奏家には音作りを楽しんで欲しい
アメリカで活躍していたヴァイオリニスト、西谷 国登のリサイタル。初めて拝聴したが、率の無い手堅い音作りながら、大胆、奔放、自由な解釈には弱さを感じた。秀才型の奏者である。自分が芸術に求める根本的な価値は“自由”なので、好みの問題は無論ある。また、ヴァイオリニストではなくピアニストであるが、自分の大好きな辻井 伸行氏のように、音楽が好きで好きでたまらない、演奏することが楽しくてたまらないという音楽との距離の近さもない。その意味では、ちょっと残念だった。ピアノ演奏は、これまたアメリカで活躍して来たEmy Todoroki-Schwartz。
演奏は、ベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調Op.30-3から開始された。この曲は、作曲家が難聴を患い、ハイリゲンシュタットの遺書を書いた年に作曲されたと言われるが、曲想は短調の瞑い調子では無い点に注目したい。まあ、捧げられた相手は、露西亜皇帝アレクサンドル1世であるから、余り瞑い調子には仕上げにくかったかも知れないが。
2曲目はE.グリーグのヴァイオリン・ソナタ第3番ハ短調 Op.45
グリーグが作曲した3つのヴァイオリンソナタの内、最も演奏回数の多い作品だ。彼の故郷、ノルウェーの民族的旋律やリズムが多用される情熱的な第一楽章。幻想的でロマネスクな旋律と和音で始まった後は軽快な旋律に移り、流麗な旋律で終わる第二楽章。第三楽章では複雑なシンコペーションを多用し、華やかさのうちに曲を終える。
ここで休憩が入り、宮城 道雄の孫弟子に当たる岡部 梢の筝との合奏を経て、G.フォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番イ短調 Op.13に移るが、筝との合奏でヴァイオリンが担うのは、本来尺八で演奏されるパートである。「春の海」でのヴァイオリン代替による演奏が最も有名だろう。
さて、フォーレである。この曲の後、フォーレは次作のヴァイオリン・ソナタを40年以上書かなかった。時代は、ロマン派から印象派への移行期であり、この作品が、その双方に跨る曲想を呈示してしまった以上、書く必要が無かったのかも知れないが、何れにせよ、極めてテクニカルに作られていながら、流麗で劇的な曲想は、ヴァイオリン・ソナタの傑作と評されるに相応しい。更に言えば、この構成の妙が、単にソナタというより交響曲的であると言われる所以であろう。
予定の全曲、演奏後、短い曲2曲でアンコールに応えてくれた。サービス精神満点のステージであった。
満足度★★★★★
連れてった友人=おばさん(^^)が一番愉しんでました
英語での説明や主催の曽祖父とかもいらしていたとか
いろいろと音が楽しめました♪
前述のおばさまは購入したCDにサインまでいただいて、
大満足な2時間越えの演奏会でありました(^^)