地下室 公演情報 地下室」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-9件 / 9件中
  • 満足度★★★★★

    「おしぼり」「お仕事」…
    ある閉鎖的コミュニティの異常性が明るみになってゆく過程を観察記録のごとく淡々と描いた密室劇。「おしぼり」「お仕事」…密室内で飛び交う隠語の意味に気づいた時の衝撃たるや! 何度でも再演されるべき傑作!!

  • 満足度★★★★

    面白い
    秀作ですね。

  • 満足度★★★★★

    7年経っても全く古びない傑作
    数年前の作品の再演だというのに、古びるどころか、
    ある部分では、現実が劇の世界にゆっくりと近づいていっている。
    そんな気配すら感じました。広いと思っていたはずの自分の周りの
    世界が、実は閉ざされ切っている、でも、それに気がつかない。
    滑稽なようでいて、誰にでも在り得るその恐ろしさに震えが走りました。

    ネタバレBOX

    サンプル立ち上げ前に、「青年団若手自主企画」として2006年に
    初演された作品、『地下室』の再演。サンプル大好きなので期待
    していました。

    劇団『サンプル』の大まかな特徴は、
    ①閉鎖された狭い空間の中での、不条理で飛躍する物語展開
    ②直接的、かつ極端な性的表現
    ③引きこもり、閉じた、コミュニケーション不全の病んだ登場人物達
    ④ごみ袋をひっくり返したかのように雑然とし、でも大胆な舞台美術

    があると思っていますが、本作は劇団最初期の作品なので、まだまだ
    平田オリザ直系の現代口語演劇、ちゃんとしたプロットのある物語に
    なっています。が、既に、作者である松井周氏の個性は確立されてますね。

    『地下室』は、特殊な製法の水で話題を集めつつある自然食品会社の
    閉鎖的な地下室を舞台に、そこで住み込み制で働く人々の、一種異様な
    集団原理を描いた作品です。

    閉ざされた空間では集団も閉ざされる。コミュニティの中では、「一人は
    集団のもの」という「共有(シェア)」の原理が確立され、守れない者には
    厳しい追及が待ち受けている。

    揚げ足を取られ、激しく消耗し、集団の言葉、規則は絶対であると、
    真っ白になってしまった頭に叩き込まれた後は、店長による、
    「イニシエーション」という名の「交わりの儀式」が行われる…。

    ここまで読んで、「これってカルト教団や過激派のコミュニティで
    起こっていてもおかしくないよね」と思うかもしれません。まさに
    そうで、集団の中でしか通用しない不条理なルール、外部からは
    コミュニケーション不全に見える組織構造、やたら性的に乱れて
    ぐちゃぐちゃになった人間関係など、

    ある種の、人間の集まりの赤裸々な姿をのぞき見たような気分に
    陥りました。

    個人的には、現在の日本社会で一部叫ばれる、「私欲から共有へ」、
    「お金より大切なものはある」という言葉が、本作では、歪み切った
    コミュニティをつなぎ止める一種のマジックワードになっているところが

    あぁ、今の時代の空気感を見事にすくい取っている傑作だな、全然
    古びていないな、と強く思わせる要因になり、非常に楽しめました。

    登場人物の一人が叫んだ、「今、目を開いたって、外の世界は汚い
    ものばかりじゃないか!」、「お前もいい加減目を閉じろ!」という
    台詞、あまりに秀逸過ぎてうまい感想が思い浮かばないほどでした。
  • 満足度★★★★★

    閉じた世界
    これは他人事ではなくて、誰しもに起こりうる悲しい風景だなと思いました。あまりにも自然に表現されているから、つい笑ってしまうシーンも多かったけれど本当は笑えないようなものすごい怖い風景が繰り広げられている。つながりたい、救われたいという切実な欲求から集まっているのに、どうしてより困窮しなければならないのか。暗鬱とした息苦しい世界が繰り広げられて、ゾッとしました。

    ネタバレBOX

    個人的に、ダークな役を演じる山内健司さんが見れて新鮮な感じがしました。下で他の方も触れられてますが、物語の終盤「いいかげん目を覚ませよ」投げかけられた言葉に「あんたこそ、目をつぶりなさいよ」と返答するシーンはガツンとやられました。
  • 満足度★★★★

    関係の歪み
    舞台美術が凝った作りになっていて、
    それを見た複雑な印象以上に、
    人々の歪みが気味の悪い感じになっていた。

    ネタバレBOX

    店を舞台として、血のつながりは無くても
    集まったものたちで家族のような共同体を作っていて
    一見すると、誰もが穏やかな印象。

    ただ視点を変えると、
    この共同体の関係の歪みが徐々に分かってきて、
    良い意味で気持ち悪さや怖さを感じた。
    隔たりが大きいからこそ、笑いも度々起きたように思える。

    共同体の要である森男(奥田洋平)と彼の作る水が
    外部から入ってきた酒井エリ(富田真喜)という女性によって
    徐々に変化し、みんなの関係が壊れ、
    これまで穏やかに見えた人々の別の一面が表れてくる。

    店長の相川(古舘寛治)がいう、
    「毒を出す」という意味の懺悔のような仕組み、
    立派な家族の一員となるための店長と繋がる儀式。
    最初から少しずつ感じてはいたが
    まさにカルトなどの新興宗教に繋がる。
    個人的にビリビリと警戒感が走った(笑)
    執筆当初は、オウムなどのカルトが意識されていたという。

    ただここで普段から、
    どれだけ曖昧な言葉を多用しているかは身に染みた。

    あと巷で聞こえの良い、
    「リサイクル」「毒を出すこと(≒デトックス)」
    「自然食品」などを扱って別の解釈で表すこと自体が
    痛烈な皮肉であるように感じた。
  • 満足度★★★★

    「地下室」再演
    サンプル+青年団となって再演。既にそこにあるアブノーマル(?)な世界、が、たまんない面白さ!俳優も良かった!初演より遠慮なく笑えてしまった。

    ある高い完成度に達してる小劇場演劇だと思うので、演劇になじみのない方も挑戦してみてもいいのでは、と思います。

    ネタバレBOX

    さいごにママさんが「外に出たって汚いものしかない」「目をつぶってなさいよ」と言うが、初演より刺さった。(セリフは正確ではありません)
  • 満足度★★★★

    おかしな人々
    閉鎖的なコミュニティーの中で異常性が肥大していく気味の悪さを、笑いと緊迫感を交えて描いた、奇妙な雰囲気に引き込まれる作品でした。
    松井さんならではの変態性がありつつ、物語としては具体的で、取っ付き易かったです。

    共同生活をしながら特殊な水を製造して販売する人達や、そこに訪れる客や曰くありげな取引先とのやりとりを通じて、それぞれの人物の異常性が明らかになり、自ら作った決まりに縛られていく人々の病理がグロテスクに描かれていました。
    閉じた集団の中で、メンバーだけに通用するルールが設けられたり、性的に乱れている様子が、新興宗教や左翼運動の組織を思わせ、劇団というコミュニティーを自虐的に描いているようにも感じられました。

    内容的にはコメディーではなく、寧ろ気の重くなる話なのにも関わらず、笑える場面がとても多く、そのことによって登場人物達の異常性が引き立ち、それが特別なものではなく、誰もが内に備えているものだと思わせました。

    どの役もアクが強いながらもリアリティーを感じさせる演技で良かったです。中でも、古舘寛治さんのとぼけた味わいと狂気の紙一重感と、山内健司さんの高圧的で嫌味ったらしい感じが特に印象に残りました。

    派手な効果は用いず、ゆっくりと明るさを変化させることによって独特の雰囲気を生み出していた照明の演出が素晴らしかったです。

  • 満足度★★★★

    この気持ち悪さはクセになるなあ・・・
    この「ちゃんと嫌な気持ちになれる」感じがたまらなく面白かった。

    お話自体は小劇場じゃよくあるタイプの「気持ち悪さ」な話だったけど、それを引力やテクスチャーに富んだな台詞や役者でちゃんと新鮮な「気持ち悪さ」に塗り変えていたのが印象的。

    ただ個人的な好みとしては、そうした「物語」を食い破って語られる、もっとえげつなくてもっとスケールの大きな「物語」が観たくはあったけど。
    “「神様」を擁することで成立する集団”的な面にも、もう少し踏み込んでほしかったかも。

    しかしまあ、古舘さん、山内さんはじめ、役者さんたちの醸し出す圧倒的な得体の知れなさはホントにクセになるなあ・・・。

    照明が、何気にすごい緊張感を空間に持たせていて印象に残った。

  • 満足度★★★★★

    やはり、松井周さんが好き勝手に作った115分
    サンプル特有の緩やかな演劇に、青年団の現代口語演劇が融合し、かつ、松井周さんのやはり、好き勝手に作った、大かがりの舞台美術がストーリーを盛り上げる感動さが味わえた、115分でした。

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