ロマンサー-夜明峠編- 公演情報 ロマンサー-夜明峠編-」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-15件 / 15件中
  • 満足度★★★★

    決まりによって
    熊狩りの話なのですが、人が決まりによって共存するのだが、それにより本来の目的という現実を失ってしまいそこに安定を求めてしまうある種の人間の心理を上手く表していると思います。そしてそこに急に現実が襲ってくることにより崩壊する様が皮肉でした。

    ネタバレBOX

    熊によって仲間が殺され、そこから人間同士の醜い争い、そして関係の崩壊が前半には考えられなかったような早さで起こる、しかもその一つ一つが現代に当てはまるような部分があるのでその恐怖は一層増すのだ。最後は希望なのかはたまた幻想なのかというような終わり。面白かったです。
    三部作なので次の作品も期待しています。
    勉強になりました。ありがとうございます。
  • 満足度★★★★★

    意外な題材!人を喰らう大熊を退治せんとするマタギの一行と、虐げられてきた家族、の物語。
    チラシの都会的?な印象とは正反対、マタギの話、
    という時点でまず驚きました。

    里を襲い村人を何人も食った巨大な熊を追い、
    マタギと犠牲者の夫たちは、熊狩りの宿にするため、
    山奥の家を訪ねると、そこには、
    里を追われて暮らす母と3人の子が居り、
    彼らは納屋を借りて暮らし始めたが…。

    人間たちの(特に日本人)の持つ偏見、差別、対立を描きつつ、
    話の進行にしたがって、徐々に分かり合ってくる道も示しながらも、
    終盤では急展開。
    熊が人間を襲うことなど、個々の人間にとっては極めて大きな出来事も、
    おきていることはすべて自然の一部に過ぎない…。

    客演の石田えりさんには、女性の包容力(女としても母としても)
    というイメージが強いのですが、本作品ではそれをベースに、
    さらに女の情念とのようなものも感じます。

    全編を通じて感じる緊張感、ラストの演出は、さすが。
    やっぱり芝居はいいなと思わせる、演劇でしか味わえない感動でした。

  • 満足度★★★★

    次回も観たい
    蓬莱竜太さんの作品は観たことはありますが、モダンスイマーズ自体の公演は今回が初めて。人間の心理の描写がとても上手い・・・心がぎゅっと掴まれてなんとも言えない気分になります。3部作の1作目とのこと。次回も絶対に観に行きたいです。

  • 満足度★★★★★

    力強い作品でした。
    1945年に北海道で起きた三毛別(さんげべつ)羆事件がベースになっているそうです。壮絶な事件だったのですね・・。フライヤーの雰囲気と違い、まさかの時代物だったけれど(夜明峠編とありましたが、石田えりさんドレス姿だったので 笑)、ピュアな子供のままのコロク(古山賢太郎)の台詞が何度も胸に刺さりました。

      「誰もが信じたい嘘を信じている」

    席についたとき、山深さを水墨画で表した美術に圧倒され緊張しました。照明によって表情を変える山、山間を流れる水の音など、とても美しかったです。そして雪・・里の人間が山を下りる時を知らせる雪。

    そして4人の女性がとても哀しく美しかったです。

  • 満足度★★★★

    初モダン
    ラストシーンの鮮やかな色。本能にうったえかけるような芝居。
    直前に取ったチケットでしたが、良い芝居を選べてよかったです。

    ネタバレBOX

    蓬莱さんが書かれていたごあいさつ(芝居は辿りつくものではなく、永遠に掘っていくもの)(人の研究は続いている)を読んで、この人の描く演劇は見続けないといけないと思いました。
  • 満足度★★★★★

    圧巻の世界観
    同じシアタートラムで観た、てがみ座のが繊細かつ奥行きある人物像の表現なら、今回のモダンスイマーズのは綿密にじっくりとした、現代社会へのアンチテーゼのように思われました。

    熊は、いろいろと見方はあるでしょうけど、自然の力、どうしようもない事象を表現しているかのようです。つまりは、地震や津波に見えて仕方ありませんでした。それに対する立場の異なる人たち、これは都会と地方、官僚と民間、自立している人と依存している人の対比に見えてしまいました。

    一時はうまくいきつつも、少しのことで歯車が狂い、崩壊の一途をたどる・・・

    この混沌からいかに立ち上がり、自立へと向かうのか。
    これがこの3部作の根幹になるのかなぁ、などと思いつつ次回期待です。

  • 満足度★★★★★

    二回目の観劇
    初日は最前列で。今日は一番後ろから。
    全体が見渡せて気付かなかった事も多く、中央から後方が観やすいと思います。
    トラムシートや立ち見も出るほど大盛況。

    初日に比べて俄然テンポ良くなっていました。

    ネタバレBOX

    コロク(古山さん)の雄たけびからラストまでの10分間、自分でもなぜ泣いているのか分からないほど色々な感情が入り混じり号泣。

    観ている間、力が入り、心もマエノメリ。

    撮影が入っていました。放映はもちろん、DVDになったらいいな。

    次回作の内容はまったく決まっていないそうで。
    期待以上のモノを作り上げてくれるに違いない。
  • 満足度★★★★

    別世界広がる2時間
    席に座って顔を上げると、舞台は山水画の世界。シアタートラムって天井が高いのね。
    山の世界の広がりに一気に吸い込まれていった。
    山の奥深さ、静けさ、無彩色の冷たい空気・・・

    物語・・・見開きのパンフレットの散文詩のような文章が、じつは「あらすじ」でもある。
    (前略)
    いつの間にか人の闘い。
    嗚呼、世を知らぬ息子よ。
    何を信じる。
    誰に従う。
    というより、お前は誰だ。
    お前の心はどこにある。
    お前のロマンはどこにある。
    夜明峠の小さな戦争。

    しっかり2時間、別の時空へ観客を連れて行ってくれた。

    どの役者さんも鍛えられた方々で、しっかりと定められた世界を提示してくれました。
    ヒサノを演じた石田エリさんの抑えられた凄まじさと、コロク演じた古山憲太郎さんの透明感と、オド役の千葉哲也さんの作り物っぽい男くささと軽さ、が対照的でした。

    ところで、ロマンスには「恋愛」と並んで「伝奇物語」の意味もあるそうな。若い健全な恋愛(ロマンス)より、若干倒錯した老練なロマンスのほうが、ヤミクイに対抗するには相応しいだろう。
    見えない大きなクマをめぐる物語はこの後も三部作として続いていくのだろうか。

    パンフレットに書いてあった散文詩のような文章を、観終わってから改めて読むと「あらすじ」以上に示唆的であることに、気づく。

    作者の「企み」って、すごい。

  • 満足度★★★★

    くろちゃん
    初モダンスイマーズ。引き込まれた。

    役者は、オド役の千葉哲也、清治役の粟野史浩、ヒサノ役の石田えりが良い。

    ネタバレBOX

    舞台は一家4人が暮らす峠の家。麓の里に熊が出て何人も殺されたので、ここをねじろに退治をすると、マタギ3人と里の人間2人がやってくる。そこで織りなす人の愛憎と業の話。
    峠の人間と里の人間(山側と海側とあるけど)の関係をバックに、ヒサノ・コロク・シンタ・タケ・オド・イヌイ・サンザらの過去が物語に深みを与え、生死とか自然という大きなもので人間を包み込む構成。クロちゃんと呼ばれる熊が直接描かれることはないけど、見えない大きな「脅威」に人間が右往左往し悲しみ怯え、あっけなく生命を奪われる。ラスト、降りしきる雪の中、何も見えないと悲痛な声をあげるコロク(古山憲太郎)に海の里の彼女・ツグミ(佐藤めぐみ)がこっちだ、と叫び、それに応えるコロク。熊の咆哮が鳴り響き、舞台が赤く染まっていく一種絶望なところに、ヒトの希望はヒトなのかと思わせる。

    ヒサノ(石田えり)とオド(千葉哲也)の過去の事件とコロクの人格形成と、ツグミとの交際とか、人間を絡める上手さがある。私の生きがいなの、とコロクを縛るヒサノやヒサノの金を奪うオド、オドを殺すコロク、峠の人間を虐げる里の者、その仕返しに威圧的になるシンタ(宮崎敏行)、妻を突き飛ばした三座(西條義将)など、人間の暗部が舞台のカラーを薄暗くさせる。その中で、オドの浮気症を受け入れるスズ(松永玲子)の度量が気持ち良いし、峠から出たがっているタケ(斉藤ナツ子)と三座の惹かれあう姿がちょっと眩しい。

    ちなみに、ラストの雪のシーンは、雪を全面でなく一列で降らせる手法が、キレイだった。
  • 満足度★★★★

    ヒグマ
    実際にあった三毛別羆事件の概要が観劇中もずっと頭から離れませんでした。

    熊をめぐり対立する山と里の人間。
    熊を殺そうとするものと熊と共にあろうとするもの。

    交錯しながら進んでいく物語の結末と、劇中にあった台詞に相容れないものを感じてしまったのも確かです。

    三部作ということなので、どのような答えを出すのか最後まで見てみたいと思いました。

  • 満足度★★★★

    三部作の第一弾
    峠に暮らす人達の元へ、里から来た熊退治のマタギ一行。
    凍てつく集落で暮らしていくルールと欲と変化への一歩。
    オドとスズ夫婦の絶叫夫唱婦随ぷりが愛嬌あって良かった。
    千葉さんのマタギ姿が妙にカッコ良い。
    んーでも、松永さん贔屓派としてはちょっと出番少なくって物足りなさもあり。

    ネタバレBOX

    ヒグマは登場しないが、それを巡る里の人間、峠の人間、マタギ達の人間模様が静かに画策して金と人間のエゴと共に失われてしまう。
    水墨画のように見える荒涼とした舞台セットがまた寒さを助長させるような印象。
    犬井の静かで冷淡、それによって見ているこちらは容易に状況を想像することのできる語り部の口調がひたひたと迫って不気味に良い。

    雪原の中、手ぬぐい一本で道筋を表す方法に、コロクとツグミの二人の強力な間柄が見えて、思わず見ているこちらも力が入ってしまった。
    それだけで「完」って出てもいいような完成度なのに三部作の第一弾とは。
    このままこの世界に浸っていたいが、次回も楽しみ。
  • 満足度★★★★★

    美しくクリアで豊か、見応えたっぷり
    人の立場、
    想い、
    あからさまさ、狡さ、まっすぐさ・・・
    背負ったものが幾重にも重なりあって・・・。
    個々のキャラクターたちが抱くものや、感
    情、さらには過去にひろがり繋がる想い達が
    とてもクリアに、絶妙な質感とともにやってくる。

    観ている間も
    観終わってからも
    本当に美しい舞台だと思いました。
    舞台をみるというよりは、
    舞台に運ばれるように
    その顛末を追うことができました。

    ネタバレBOX

    物語の骨格はそれほど複雑なものではありません。

    人喰いの熊とそれを巡って訪れるまたぎや里の人間、
    さらには海辺からやってきた娘や
    山に暮らす家族が織りなす物語・・・。

    でも、物語の語られ方がとてもクリアで
    舞台に置かれるキャラクターの
    物語への刺さり方が一様でないことから
    シーンの一つずつに求心力とふくらみが生まれ
    あっという間に取り込まれてしまう。

    したたかな脚本で、
    さして意識することもなく、
    キャラクターたちの立ち位置や関係性、
    さらには事の成り行きが観る側に建てこまれていく。
    だから、漁るように舞台を見詰めるのではなく
    舞台の空気とともに、
    キャラクターたちの想いに染まりながら
    シーン流れやシーン間の推移を
    舞台の色で感じていくことができる。

    飢えさせて喰いつかせてくれるような感覚ではなく
    観る側をいたずらに前のめりにすることなく
    時間の歩みと、次第に広がってくる視野のなかで
    染め、動かしていく力がこの舞台にはあって、
    やわらかく深く魅了される。
    とてもしなやかで、
    でも鮮やかでクリアな場のテンションの変化とともに
    観る側を物語の成り行きへと誘ってくれるのです。

    役者たちも上手いのですよ。
    シーンや場にただニュアンスを作り台詞を編み込むだけではなく、
    場への刺さる深さや角度に全体の印象との絶妙なバランスがあって。
    しかも、そこに生まれる質感が、
    シーンが連なる中で、
    キャラクターを物語に映えさせ、
    しなやかに浮かび上がらせていく。
    観る側にとって、登場人物たちに捨て役がなくすべてが残る、
    そこには、作り手やそれぞれの
    舞台の大きさや場の密度にぶれない
    圧倒的な演ずる力があって。

    だからこそ、息を呑むほどに美しい舞台美術に
    演技を埋もれることがない。
    森の深さや凍える空気までもが
    透明感を持ってキャラクターたちの時間を染める。
    終盤の絵面に境地が広がり、
    その先への歩んでいく物語を受け止めることができて・・・。

    観終わって、物語を追っていたという感覚はほとんどなく
    舞台に満ちてきた成行きにそのまま運ばれた感じ。
    実はタフな物語、
    織り込まれたそれぞれのキャラクターが抱くものや、
    それぞれの想い、
    さらにはくろちゃん(熊)が具象するものにも想いを馳せ、
    終盤近くの男女の機微の描きっぷりに舌を巻く。
    行き場をなくした心情のその先にまで至る
    芝居の踏み込みは
    ラストの緋の色からしっかりと渡されて・・・。

    思い返してみれば、
    これほどまでにしなやかに、
    しかも、舞台丸ごとという感じで
    お芝居や役者に運ばれるj感覚って
    そんなには経験がないかも・・・。


    初日からぞくっとくるほどの完成度を持った秀作。
    あまりにもべたな言い方かもしれませんが、ほんと、
    「良いものをみた」と思います。
  • 満足度★★★★

    ロマンサー
    いつものモダンの舞台よりも説明が多いような気がしたのは私だけかしらん。
    客演の方たちも良かったのですが、久々に劇団員の古山さんの存在が光ったというか、スパークしましたね。

    ネタバレBOX

    大きな災害が起こった今、「地震=熊」と考えてみるとなんだかしっくりきますね。残念ながら誰も(神様さえも)自然には勝てないんだろうなぁーなんて思ったりして。
    「金は命、命は金」という台詞もなんか納得しましたね。
  • 満足度★★★★★

    MSの最高傑作!!
    大好きな劇団さんのひとつ、モダンスイマーズ!!

    「血縁」からのFAN でその後は ずっと観ているのですが、蓬莱くんの 劇団としては1年半ぶりの新作。

    モダンスイマーズとは縁の深い客演キャストさんも魅力的で 楽しみに行ってきました。。

    とにかく・・・ めっちゃ良かったーー!!!
    今後のMSのライフワークとすべく三部作の序章としての 「夜明け峠編」

    最近は ちょっと難しい表現や解釈が必要な作品があった感を持っていたけど、

    とにかく 完成度がめっちゃ高んったぁ~。。 クオリティの高さは 凄い!! の一言でした。

    全体には ドタバタ感は少なく、笑いの要素も必要最小限、 ゆったりとした口調が お芝居がすすむにつれて

    感情の起伏とともに 変化していく様子は どんどん舞台に集中していってしまいます。

    さすが伏線の蓬莱 っていう感じでした。
    山奥でひっそりと暮らす家族と 里の人間の確執。それは人間のエゴを表現しているようで 自分がどっちの側の人間なのか 問われているような気がしました。

    一度も登場はしない ヒグマ を中心に 各人がいろいろな思い・思惑が交錯して展開してゆくストーリーは ムダがなく 完璧でした。 

    上演時間は2時間ですが、ラスト近くは まさに 鳥ハダもの!!!
    時間の経過がまったく意識からなくなりました。。

    シアタートラムの広さと高さを旨く利用しての舞台美術・演出も 絶品です。
    また、キャストさんたちが これまた すーーっごく良くって 感動しっぱなしでした。

    誰がとかじゃなく 全キャスト素晴らしかったです★

    そして あのラストシーンは・・・・ これはやっぱり言えませんよねぇ

    まだ2月だけど 今年度の優秀作品になるように思います。 モダンスイマーズの公演としは 今後においても 代表作になるにはちがいないでしょうね。

    この後の2作品も めっちゃ期待です!!!

  • 満足度★★★★★

    恐ろしい
    三毛別羆事件がベースになっています。
    熊の話とは知っていたけどこの事件を持ってくるか。
    それとは別に盛りだくさんの交差が。

    初日だからか演技がこなれていない気がしました。
    モダンファンなので贔屓目もあるかもしれませんが、面白かったです。
    そして恐ろしかった。涙があふれ出た。

    最前列だったので役者さんが近くで見れて嬉しいことこの上ないが、高さと奥行きを使った舞台になっているため全体の動きを把握できず。

    来週もう一度観にいきます。

    蓬莱さん、素晴らしい。ありがとう。

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