田園に死す 公演情報 田園に死す」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-4件 / 4件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    天野天街脚色・演出での本作舞台版は、初演が2009年。その後2012年、2014年と再演し、以来10年振りの今回ぎ4回目。出演陣(20人超え)は初演より幾許かの入れ替わりがあるも下地は変わらず、その事に後で驚いた。
    自分は2014年版を同じスズナリのやや後方席で(映像記憶に依れば)観ており、今回はほぼかぶりつきなので(アングラ劇は前が良い)受け取る熱量が違うとは言え、配役に無理を感じないのみならずボルテージも前回より高かった(さとうこうじ、蒲公仁、伊藤弘子、小川厚雄、沖田乱、、)。演出にも恐らく細かな変化があり、「芸術監督」流山児祥のクレジットが加わった部分かと推測。芝居に茶々入れつつ介入する流山児氏の出番が多いのだが、つくづく「変わらないなー」と苦笑を誘う立ち姿には「出直して来い」と演技ダメ出しで成立させていた。
    昨年久々に観た天野天街演出舞台が「天街技」を封印したものだったので、今回は存分に堪能した格好である。
    変わらぬ夕沈ワールドのムーブ場面は二度出現。ラストの群舞の高まりの動力は、音楽にある。担当が万有引力J・A・シーザーとは思い至らず、諏訪創又は誰かと思っていたので後で名前を見て納得。慕情に彩られる場面、その一つの感情の色を一定の時間の間に徐々に昂らせていく力に、やられていた。

    再演を重ねて来たこの演目を再び拝む日が来るのかどうか。。あと十年後の自分がこうして芝居を観ているのかどうかも分からないが、このえも言われぬ時間を愛でる人たちがまだ居てくれるといいな。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    流山児さん、スズナリと以前からいつか見たいと思っていた舞台で寺山修司…
    ちょっと期待が大き過ぎだったかなという印象かも

    良かった点
    ・はじまりのマッチ擦るところ
    ・後半のぐるぐる回る踊り?
    ・畳の穴から人が一瞬で消える
    ・最後の階段を上るシーン!
    映画と違う舞台で、よくここまで次から次と進行させたなと感心しました。
    スズナリの施設も味があり、一瞬で昭和にタイムスリップした気分に

    良くなかったかも?
    ・セリフのリピートがちょっと多過ぎかも
    ・そのせいで時間がちょっと長過ぎ、2時間以内にした方が優秀です。
    ・流山児さんの登場が、個人的には不要かも?

    好みの問題でこの舞台を見れて良かったけれど
    再度見たいかというとそうではないってのが正直な感想

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ハイテンションで繰り広げられる同じ台詞パターンの繰り返しをよく噛まずに言えるものだし、ユニゾンでの同時発声もよくピタリと合うし、一瞬で行われる頻繁な場面転換でよく出番を間違わずに出てこられるものだし、とにかく俳優陣の頑張りが凄い。
    寺山監督映画の「田園に死す」を舞台化したというには雰囲気が違いすぎていて、これは別の作品世界。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    終盤の劇中、流山児祥氏が叫ぶ。「これのどこが『田園に死す』だ!?」、どっと笑う観客。『田園に死す』を叩き台に使った、天野天街大全みたいな舞台。ループ・ギャグ、駄洒落、時空間の割れ目、消失、入れ替え、デジャヴ、現実と虚構、無限問答、メタフィクション、昭和初期のギャグ、盆踊りのような群舞、飛ぶフィルム、言葉遊び···、天野天街ワールドを堪能するのだ。好きな奴には堪らなく好きな御馳走だろう。
    やはり振付は夕沈さん。

    中学生の寺山修司(木暮拓矢氏)と母(平野直美さん)、隣家の沖田乱氏と嫁入りした伊藤弘子さん。沖田乱氏は快楽亭ブラック&荒井注っぽい。
    寺山修司は母親の支配から逃れて、女と東京へ駆落ちする妄想を抱いている。
    村に来た怪しいサーカス団に潜入するのは少年探偵団。それを率いる小林芳雄を演じるのはさとうこうじ氏。せんだみつおのような、レツゴー三匹のじゅんのような、中川剛のような、躁病スタイル。
    サーカス団の空気女他は新部聖⼦(にいべみなこ)さん、印象に残るおかっぱ。
    竹本優希さんはやたら綺麗。目鼻立ちのハッキリしたJAC顔。簪代わりの五寸釘。
    寺山修司は分裂する。眞藤(しんどう)ヒロシ氏、五島三志郎氏。

    そして寺十吾氏はここでも当然のようにいた。遺影の父であり、怪人二十面相でもあり。だが彼は本当は実在しないのではないか?昔、押井守が『ルパン三世』の劇場版をやる事になった。その時の押井守のネタが、「ルパンは実在せず、次元五右ェ門不二子が代わる代わる演じ合っている共同幻想であった」というもの。それに怒り狂った上層部は押井守を引き摺り降ろし、突貫工事で『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』を全く別のスタッフに作らせることに。何か寺十吾氏も舞台上にだけ漂う如く存在する共同幻想なのかも知れない。

    天野天街作品で一番観客にドッカンドッカン笑いが起きていた。是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    現在の寺山修司(大内厚雄氏)は病院で死の床にある。12時5分にこの世を去る。全てはその刹那の夢。

    畳に穴が空いて人が落ちていく。凄い出来。

このページのQRコードです。

拡大