ナマリの銅像 公演情報 ナマリの銅像」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/03/30 (土) 13:00

     実は、今回観た劇の『ナマリの銅像』は、2022年にも観ているのですが、前回観たさいは確か観客側ではマスク着用とか体温を測ったりなどの色々な制約が多い中での、更にかなり小さな会場での公演だったと思う。
     なので今年の公演では、会場も大きくなったうえ、マスク着用がどちらでも良くなったり、だいぶコロナ前の状況にようやっとなってきて、前回の公演よりも観る側もだいぶ自由になってきたので、前よりもより没入感が強くなるかと思い、更に前回の天草四郎の物語よりも今回のあらすじの解説を読んだ感じだと進化するか、物語が拡がっているものとすごい期待しておりましたが、良くも悪くも前回と変わらない内容、没入感もいい意味で前回と同様だった。

     ただし、前回劇公演の料金が投げ銭制だったのが、今年の公演では普通の小劇場公演で取る料金設定になっていたところが、変わっているとしたら、そういう所だと思う。
     前回よりパチンコ店のマイクパフォーマンス場面での益田四郎(天草四郎)役の初鹿野海雄さんによるマイクパフォーマンスを通した人旋回術というか、そのマイクパフォーマンスの言霊が、最終的に第二次大戦以前や第二次大戦時における天皇の御言葉など、天皇を現人神へと昇華させていった。戦後も天皇という存在自体は日本において存在し、ほとんどの国民が疑問を持っていないこの危機的状況をも内包させているふうに感じ、前回以上の迫力と怖ろしさが滲み出ていて良かった。

     前回より広い会場ということもあってから、所々現実に引き戻されたり、何よりも集中力が続かなかったので、やはりかなり小さい会場やまたは工場跡とかのほうが絶対に合うと感じた。あと、前回観たときと違って、劇の後半で裏切る武将の山田役がいかにも怪しい感じがでているイケオジな男性が演じていましたが、見た目からは何を考えてるか分からない感じで、しかし見るからに怪しいというか、どうせ裏切るといった感じが出ていなかったので、やはり山田役は前回のように女性が演じたほうが良いと感じた。

  • 実演鑑賞

    「イメージの飛躍が際立つ歴史劇」

     2022年初演の劇団代表作の再演である。私は最終日のAキャストを鑑賞した。

    ネタバレBOX

     圧政に苦しむ島原の少年益田四郎(初鹿野海雄)は内気で人付き合いがうまくない。友人のハチ(小林かのん)とともにほかの少年たちのからかいの対象となっている。彼らがバイトしているパチンコ店では年貢を納められない百姓たちや、パチンコ玉を拾い陰で銅像を造って売っているナマリ(山﨑紗羅)らがたむろしているのだった。ある日声が出なくなった店長(越智愛)にけしかけられて四郎が客寄せのマイクパフォーマンスをすると皆は一気に惹きつけられる。

     四郎の隠れた才能に目をつけた山田(四家祐志)は一揆軍に加わらないかと誘う。手品の仕掛けに四郎の見事なアジテーションも相まって、山田は四郎を神の子として皆に認めさせることに成功する。こうして一揆軍は原城に籠もり叛乱を続けるのだが……

     私が面白いと感じたのは天草四郎が創られた神であったという取材をもとにさまざまなイメージを作中に展開させた点である。一攫千金を狙う農民たちがパチンコ店に詰めかけ、それをまた搾取する店長という構造を圧政に苦しむ農民に重ねたり、ナマリが銅像を造って売るという行為に四郎の崇拝化を重ねるなど、穏当な歴史劇にしなかった点が面白い。

     しかしこのイメージの豊富さとは裏腹に作劇自体はもう一捻り必要と感じた。一杯飾りのシンプルな舞台にもかかわらず場所の設定がたびたび変わり、一部の俳優が何役か兼ねるため、いま一体何を観ているのかわからなくなっていく事態が頻発した。山田が代官と通じているというのも平板であったし、そのため窮地に追い詰められた四郎の絶望や、神を失いかけた一揆軍の疲弊がまざまざと伝わってこなかったのが残念である。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    いい意味で小劇場演劇の王道をいく作品だった。静かな演劇をベースとする今の若い劇団の中では異質な団体かもしれない。とにかく熱量がすごく圧倒された。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    思い切りのよい構成とスタッフワークで、一揆を思春期の人間ドラマという手に取れる形に描ききり、それぞれの人物の思惑を演じきったのが再演の見事な点だ。若さに対してストレートな芝居ができる珍しい団体であり、より大きな劇場での活躍が期待できそう

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    Bチーム観劇。相変わらずガツンとくるヘビーな作品ですが、初演と比べて分かりやすくスッキリとした印象ですね。大いに楽しめました。

  • 実演鑑賞

    作品は再演ですが、僕は初見でした。この団体を観るのも初。団体名から「身体表現を活かした作風?」と想像しての観劇。15世紀に起きた、島原の乱、そして天草四郎をモチーフにした一作。時代物? と思ったけれど、パチンコ店などが登場し、時代をクロスオーバーさせた設定になっていました。パラレルワールド的と捉えられるかもしれないし、機械文明と魔法文明の融合のような、SF調の設定なのかも。

    ネタバレBOX

    箱馬(木箱)と木材を組み合わせたシンプルな舞台美術をブロックのように組み合わせてシーンを構成し、そこに俳優たちの身体表現を重ね合わせていく…という創作に、僕には見えました。ミュージカル調のシーンが挿入されていたり、「身体」を用いた表現への興味・関心が高い団体だと思います。ただし、ひとつひとつのシーンに粗さも見え、そこは今後の伸び代であり、課題かもしれません。今回は2時間ものでしたが、身体表現との相性という観点から、短編などもハマりそう。
  • 実演鑑賞

    満足度★★

    巧みな舞台セットの展開でした。

    ネタバレBOX

    芝居が始まってすぐ、隣の人がずーっと鼻を噛んで(ほんとうに芝居の終了間際までずっーとでした)、マスクもせずにくしゃみも数回していたので、集中して観ることができませんでした。熱演だったので、残念でした。天草四郎と周りの友人が一機を起こして奮闘する心の内が、死が迫っていることを覚悟しながらも、もがく姿が痛々しかったです。
  • 実演鑑賞

    良かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    タイトルにある「銅像」は虚像を表し、「立場が人を作る」といったことを思わせる。気弱で自分の意思をハッキリ伝えられないような青年が、いつの間にか神に祀り上げられ 島原の乱の指導者になってしまう。本人の戸惑い、困惑とその言動に振り回される人々の悲哀を史実に絡めて描く。

    舞台という虚構性の中に社会性と人間性の両面、さらに過去と現代を繋げる、そんな輻輳する作品。表層的には、江戸時代初期に起こった一揆という社会ドラマ、それに否応なく関わることになった人々の人間ドラマを交錯させた描き方だ。しかし、一揆の概要を観せるだけで、敢えて深堀しなかったようにも思える。むしろ島原の乱と太平洋戦争を絡めた不条理劇が立ち上がる。人の意思など時代の趨勢に飲み込まれ、否応なしに破滅の道へ…。

    公演の見所は、人間の弱さとエゴが 事態を悪化させ、取り返しのつかない状況へ追い込んでいく。その過程をテンポよく観せ、どのように物語を収斂させるのか といった興味を惹かせるところ。総じて若いキャストのキビキビとした動き、その躍動感あふれる演技が熱演のように思える。
    (上演時間2時間 途中休憩なし)【Bチーム】
    2024.4.2追記

    ネタバレBOX

    舞台美術は、数枚(個)の平板と箱馬を変形させ情景を作り出す。基本は和装、武器は棒を刀に見立てるなどシンプルなもの。
    特に島原の乱と太平洋戦争を思わせるシーンは迫力がある。乱の場面は、天草四郎=神格化された青年が箱馬の上から拡声器を使って煽るような言葉を浴びせる。戦争の場面は、暗闇の中でLEDライトを点滅させ、閃光と爆撃といった照明・音響で迫力・緊迫感を出す。

    物語はパチンコバイト青年・益田は店内でマイクパフォーマンスで客に金を使わせる。その煽るような口調を買われて、島原の乱 の指導者へ。信念なき指導者の下、一揆を加速させる仲間たち。しかし、史実にある通り 劣勢になり鎮圧寸前の状況になっても、戦うことを止めない。虚像に踊らされた多くの犠牲者…農民もいればキリシタン信徒、その翻弄された人々の姿こそが怖い。

    一方、益田を神に祀り上げた人々は、信じたふりをする。誰も指導者=責任者になりたくはない。翻って自分で考えることをせず、誰かに責任を押し付ける。そんな人の弱さエゴが浮き彫りになる、と同時に為政者という立場の思惑を描く。いつの時代も変わらぬ<人間の姿>を描いた群像劇。

    音響・音楽は銃撃といった効果音、宗教音楽、そしてピアノを奏で優しい雰囲気を作り出す。先に記したLEDライトの点滅など効果的な工夫をするなど、演出にも工夫を凝らし好感が持てる。ただ過去と現在なのか、その立ち位置(時代感覚)、世界観の違いが曖昧に思える。それが妙と言われればそれまでだが、やはり物語の流れがしっくりこない といった印象だ。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白かったです。
    島原の乱と現代社会がミックスされていて、観応えがありました。
    カリスマ性、宗教、洗脳等について、考えさせられる内容でした。
    役者さん達の熱演も良く、特に主役の四郎を演じた初鹿野さんは、役に嵌っていて素晴らしかったと思いました。
    若いパワーを感じる良い舞台でした!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    何というか
    良くも悪くも小劇場的といった感じを受けた作品
    テーマが神の担ぎ方みたいな印象でした
    けっこう台詞に効果音とか
    セットの移動音とかが重なって
    聞き取り辛いトコが多くて
    いま一つ感があったなぁ と
    2時間の本作に約30分のアフタートークを付けて
    お得感はUP
    ただゲスト氏がMCやってたんで
    新鮮さが何とも面白かった
    劇団メンバーの出も多かったし(^-^)
    珍しく紙のアンケートにペン付きでした

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/03/28 (木) 19:00

    価格4,000円

    中心人物となる「天草四郎」をモチーフとして、一揆から島原の乱が起きる背景を綴った本作。
    身体ゲンゴロウの舞台公演を前作に続き、再び観劇させて頂きました(前作は過去コメントを辿って下さい)。今回は完全な歴史劇かと思いきや、農家がパチンコで持ち金を増やそうと奮闘したり、四郎がホーン型マイクで演説ばりのパフォーマンスを披露したりと現代的な視点を調和させながらも、またそれが嫌味ではない感覚で印象的な物語でした。
    四郎役の初鹿野さんが17歳の少年を演じる訳ですが、不思議とあどけなさを持った俳優(濱田岳のような)で、役どころにハマっていたのも良かったです。

    若きスターに視点を置きながらも、彼の周りを取り巻く仲間たちや時代背景がきちんと描かれている辺りが、観る側からすればグッと作品へ感情移入させやすいものにしている…と感じます。
    2回目のご招待ということで、初めて物販でポストカードを購入させて頂きました。4月の長崎公演も更なるご活躍をお祈り申し上げます。

    ネタバレBOX

    神格化されていく四郎を象徴するかのような、バッハ・カンタータの147番が使われるところ好きです。

    「身体」と名の付くように「身体表現に重きを置いて演じている」とアフタートークでありましたが、全体の動きの面では前作同様ワチャワチャ?した印象を受けました。
    限られた空間の中で役者が一斉に思い切りの良い演技をする為、観客の視線が追い付きにくいと思います(熱量は伝わるんだけども)。もっと大きな空間にするか…あるいは動きの流れ方に対し更に意識を向けると、舞台上での荒っぽくないダイナミックさがより際立つんじゃないかと考えます。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    すばらしかったです。神格化や教祖についていろいろ考えさせられました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     Wキャスト公演であるがAチーム初日を拝見。初演時より内容的にも輻輳化され内容的にも濃くなっている。ベースに島原の乱を色濃く漂わせつつ、現在の日本の基層にも通じていると感じられる点がグー。
    (追記後送)

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