天の秤 公演情報 天の秤」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.8
1-13件 / 13件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/03/30 (土)

    面白い。
    この一言に尽きます。

    劇場楽園の2面客席と入口の3方向と柱を使った臨場感ある舞台の使い方。
    凝らされた音響。
    観客が芝居の場にいるかのような演出に、次第に観客としてではなく、まさに目の前で起きている状況のように、その時代でその意味を考えている自分に気付く。

    日本で初めて起きたハイジャック。
    それぞれの人物が、それぞれの正義と何かを秤にかけ、次々に決断をし実行してゆく。
    その1個人の秤だったものが、個人の価値観を変えさせてしまうだけではなく、国と国の関係性を変えてしまうとてつもなく大きな秤となってしまう。
    その秤の均衡を保つ為に乗せるもの、役者が怖れながら震えながら腹を決めて置くような芝居。
    人生は選択の連続と言いますが、選択の前に秤がある。
    重いのが良いのか、軽いのが良いのか、均衡を保つのが良いのか…。何も置く事が出来ないのか…。

    堪能させて頂きました。
    とてもとても面白かったです!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    前回公演中止前に幸いにも観れてまして大筋の流れは分かっていたので
    台詞と演技を噛み締めて味わいつくしました。
    ニヤニヤポイントが多いで有名な運輸大臣橋本登美三郎ですが、
    前回の霧島ロックさんがヤンチャしたポイントをどうするのか、さいけさんに注目して作品を楽しませていただきました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    史実に基づく舞台 演劇作品で
    ハイジャック事件の流れを
    忠実に再現しながら 人間ドラマが
    見事に描かれ
    それぞれの立場だけでなく
    素性や内面も 会話や振る舞いで
    描かれていたので
    それぞれの気持ちに寄り添ったり
    後ろから頭をバシッとしたくなるような
    苛立ちを感じたり
    地上から奮戦する空港関係者に
    エールを送って、と
    再観劇でストーリーはわかっているけど
    その場面場面に集中して
    共に闘う気持ちで
    最前列で観た時は 役者さんと
    擦り合うくらいの距離感で
    でも ふれあう事のない
    こちらは当然ながら安全な場所いる事が
    自分が飛行機本体で
    機内や地上で起きている事を
    見守っている そんな思いも感じました


    観劇 ではなく
    搭乗 という言葉で
    機内アナウンスのような前説も
    気持ちを高めてくれて
    飛行機が飛び立つ爆音で 本当に
    Gがかかったような感覚がありゾクゾクしました!
    事件の実話ですし 
    乗り越えたから幸せになる
    という話ではないですが
    すごく面白くて 観れて良かったです!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    テレビの再現で取り上げているので分かっているが、映像では伝えられない生の緊迫感を観ることができました。そして、正面のない楽園の使い方が見事でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    様々な点で考え抜かれ作り込まれた舞台だと感じた。
    開演前のBGM、劇中での言葉遣いや会話の内容、客室乗務員の制服は「時代」を感じさせる。コックピットを模した舞台装置、冒頭の機内アナウンス、音響や照明、そして「楽園」という劇場が持つ濃密感そのものが飛行機内という「場」を感じさせる。
    必定、観客は「よど号」の乗客と化している。臨場感や緊迫感が半端ない訳だ。

    物語は歴史的事実を正確に追いながら、登場人物の心の機微にも触れていく。速いテンポのセリフの応酬はますます緊迫感を高める。演者さんたち、見事だったな。犯人役の杉浦さんは口角泡を飛ばしていたし、客室乗務員役の吉水さんは終始、目が潤んでいるように見えた。運輸大臣役の斎藤さんの狡猾さも見ものだったし、指導教官役の下平さんのらしさも光っていた。

    そして何より吉水さんの脚本がなければこの作品はこの世に生まれてこなかった訳です。脚本の力を改めて感じました。

    観終わった時には何時間も経過していたように感じた(大げさでなく)のだが、劇場を出て時計を見たら2時間経っていなかった。これぞ舞台のマジックだ。映像では決して味わうことのできない感覚。これは演劇初心者の人に観てもらいたい作品だなあ。



  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    久々の風雷紡観劇。再演だったとの事。好評ゆえとすれば納得である。冒頭でよど号ハイジャック事件が題材と分かる。透明プラスティックの椅子二台を動かすだけの転換で、場面を淡々と構成。「楽園」の狭い舞台で感情が爆発するとダイレクトに波動を受ける。ハイジャック犯一人の他は、機長、副操縦士、CAのキャップと部下二名、行政官(大臣と政務次官)、キャップの先輩も行政サイドに居る、という人物構成で、事件解決に向かう人物たちの群像だ。乗客がゼロ、ハイジャック犯が一人(ここはやや気になったが)でも、この歴史的事件をうまく現代に浮かび上がらせ、観客に強い関心を持って事件を見据える事を促している。各場面が事態の進行と共に人間模様の簡潔な描写を兼ねて面白い。後半の展開のテンポも良い(程よく間を省いている)。

    ネタバレBOX

    改めてよく出来た作劇、テンポ感、照準の絞り方、広げ方がよく、蠱惑的な空気があったのだが、何故だろう?と考える。答えは見つからないが、やはりこの劇団の特徴である「左翼」の歴史に分け入ったドラマである点が一つ、考えられる。ハイジャック犯の役は一人で代表させている点では、ステロタイプを担わせ、グループメンバーそれぞれ背景の異なる個人の人生までは分け入ってない。が、理想を望む情熱と、打算の振れ幅を体現させ、観客目線では身近な存在として見る事を許している。
    もっとも、法を犯した者を絶対悪としがちな昨今の風潮では、予め悪人と見、韓国の金浦空港に騙して連れて来られた後に人質入れ替えにより平壌へ向かう算段が付いた時の犯人の浮かれた名調子、演説の軽薄さに「悪の烙印」を押させてもらって溜飲を下げた、といった感想があってもおかしくない。
    「悪」には両義性、多義性があり、ルールがそう決まってるから悪とされているに過ぎない悪もあれば、たとえ法に規定がなくとも倫理上はどう考えたって「悪」だろうという事もある。こういった題材はそれを考えさせる。
    旅客機の乗客の代わりに人質となった外務官僚のその後の顛末として、ある悲劇が冒頭とラストで僅かに紹介され、恐らく史実をなぞったものと思われるが、ドラマの中に意味的に取り込みづらい。単なる英雄譚で終わらせられなかった人生への大いなる謎。
    とは言え、よど号犯人たちのその後は決して「楽園」でのそれでは無かっただろう事と、波長として重なり合うものがある。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    事実を基にした上質な作品で最後まで飽きる事なく楽しめた。
    事件発生当時は物心つく前で記憶知識はほぼ無いので、フィクションとノンフィクションの境目が分からないが、敢えて言うなら登場人物の内面をもっと深く描いて欲しかったかな。
    ラストだけがどうにも消化しきれず。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    初演に引き続き2度目の観劇。何度観ても、緊張感が高くて、見事な舞台ですね。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    実際の事件を基にした再現劇です
    (たぶんこうだったんじゃなかろうか劇)
    コロナで中途上演が中止となり今回無事に再演という
    なんとも根性のある作品=二時間弱ですわ
    全席自由・・・やはり柱寄りが見易いかなぁとかは
    思った

    タイトルは正義の女神の持つ秤
    「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力」
    正義と力が法の両輪であることに掛けたものですわね

    そしてこの事件は日本初のハイジャックであり
    ハイジャック防止法が制定されることにもなる
    ターニングポイントな事件でもあります

    小劇場でもあり
    シンプルなセットな分
    いろいろと照明や音響にも拘りをみせた
    作品でありました

    で なぜか妙に妙齢の有閑マダムっぽい方々が
    客席に多かったのか珍しく感じました~満席でした~

    ネタバレBOX

    運輸政務次官山村新治郎氏を人質交換に用いる
    運輸大臣の台詞の間というかタイミングが絶妙で感動!
    豊臣秀吉が徳川家康を自分の母を人質に差し出して
    臣下に落とし込んだ手法も
    こうだったんだろうなぁーと思わせる
    天晴見事な芸でした

    劇団の不屈の根性に星数はオマケ付けて五つ星!

    そういやぁニュース映像で
    本物の犯人らの北朝鮮での生活見たことあるけど
    日本に帰りたがってたねぇ
    こんなことして まぁぬけぬけと 
    と感じたっす

    韓国に借りができて
    ソウルの地下鉄の技術(ホント)やら
    想像だが裏金(確認しようがない)も渡したりしたんだろうなぁ・・・
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    前回公演は 千穐楽に観劇予定であったが、止む無く中止になってガッカリしていた。今回再演を観ることが出来て本当に良かった。前評判 そして期待通り、いや それ以上の満足感を得ることが出来た。全回完売、開場前から劇場である楽園の前は 長蛇の列で驚いた。

    風雷紡は社会的事件の概要を描きながら、その中に人間ドラマを息衝かせる。今回も「よど号ハイジャック事件(昭和45年3月31日~)」を取り上げ、その事件の過程における人物の心情を丁寧に掬い上げ紡ぐ。当時は、いや今でも大事件である 日本初のハイジャック事件。劇場地下に降りる階段の壁に、当時の新聞や週刊誌の記事コピーが掲示されていた。

    シンプルな舞台美術であるが、この劇場の特徴(ほぼ中央にある柱)を巧く生かし、旅客機内(コックピットと客室)と地上を描き分ける。同時に肉声とマイクを通した音声の違い、さらに映像で時刻を表示し、刻々と迫る状況を表す。怒声に対し平静に対処する、その緩急とも言える表現が得も言われぬ緊張感を漂わす。

    事件は報道等で(後日でも)概要を知ることが出来るが、その場にいた人々の心情は解らない。風雷紡公演の面白さは、舞台という虚構性の中に 人の心情を想像させ、さもそうであったかのような臨場感を味わわせてくれるところ。今回は、人それぞれの<正義>とは を問い、さらに人間的な成長譚をも描いている。見応え十分。
    (上演時間1時間50分 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術はシンプルで、柱を境に 前は操縦席、後ろを客室に見立てた飛行機(よど号)内。機長・副操縦士の透明椅子、そしてスチュワーデスが別椅子で並んで座る。事件発生と同時に、刻々と刻まれる時間表示が緊張感を漂わせる。時間稼ぎをして対策を練りたい政府と航空関係者、一方 早く国外に出たいハイジャック犯との攻防が見どころの一つ。

    「よど号ハイジャック事件」の概要をなぞりながら、観客には その場(機内)にいたであろう臨場感を味わわせる。どの事件もその場にいなければ第三者的な立場で俯瞰しているに過ぎない。この舞台では、観客をよど号の乗客であったかのようなリアル錯覚へ誘うよう。国内初のハイジャックという社会的な事件を扱いながら、一方でそこに居合わせた人々、そして政府関係者の立場や思惑を描く。もっとも乗客は1人も登場させず、状況の緊迫さは 女性・子供の様子や特別な事情がある客の話など、スチュワーデスの機長への報告・説明をもって表すところが巧い。

    登場人物は、航空(機内と地上)関係者、政府関係者そしてハイジャック犯。その人物たちの性格や立場そして思惑を絡めた人間模様がもう一つの見どころ。機内では機長と副操縦士の言動と行動の違いで緩急を表し、スチュワーデスによって 登場しない乗客の様子を逐一報告させることで緊迫感を漂わす。また政府関係者である運輸大臣と運輸政務次官が自ら人質になって という政治家としての揺らぎを皮肉る。逆に韓国政府との関係に苦慮し、金浦国際空港で人質解放時に韓国人に犠牲が出たら国交問題になると…。
    この登場人物たちを役者陣が特徴を捉え、実に上手く表現している。また石田機長とチーフスチュワーデスとの会話、山村運輸政務次官が母に娘(孫)についての電話は、この事件後の私的(艶聞や殺人事件)なことまで垣間見せているようだが…。

    公演では「『剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力』そして、これは『正義』の物語」と謳っているが、国 政府の面目か人質の命かといった秤を描いていることは明らか。同時にスチュワーデスになった動機、さらには先輩後輩もしくは上司部下といった関係性に絡め人の本音と建て前を描く。高額な収入の必要性、先を歩く者は、絶えず後ろから見定められているといったプレッシャーがある。そこをどう乗り越えていくかといった成長譚をも描く。その意味では衝撃的な事件の中に普遍的な人間性を垣間見せる上手さがある。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    芝居屋風雷紡『天の秤』
    開演前の「機内アナウンス」で、劇場は飛行機となり、観客は自分が搭乗していることを知る。上演中は、ハイジャックされた機内にいる臨場感を味わうことになる。ハラハラドキドキの120分。
    搭乗客でありながら、目の前の人物の背景、キャラクターが描かれる中で、登場人物に感情移入していく。客観から主観へ、主観から客観へ。登場人物それぞれの中に自分を観てはハッとする。それぞれの立場の「正義」がある。言い分、言い訳、大義、理由、信念、生きる意味、背景・・・。人は、それぞれが自分の持っているものを秤に懸けながら、選択、決定して生きている。上司は部下に比べて重い決断を数多く下さなくてはならないし、親も子供に比べて多くを判断する。そして、今回の舞台では、人命を秤に懸けながら、国家を背景に選択、決断しなくてはならない極限の状況が設定されている。中身のない人間ほどよく吠え、威嚇するのに対して、深く考え、自分の信念を持っているものほど、落ち着いたトーンで話す。舞台という空間だからこそ、客席にはその差が一層目立って見えてくる。120分、惹き込まれ、時を忘れると共に、様々なことを考えさせてくれる作品だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/03/30 (土) 14:00

    価格3,800円

    開演前のアナウンスから非常に凝った没入型観劇ができる作品だと思いました。
    それぞれの信念が熱く感じられる素晴らしい作品でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/03/29 (金) 19:00

    一昨年上演された作品の再演。見事、としか言いようがない舞台。(山手線遅延対応で5分押し)106分。
     1970年に起こった「よど号ハイジャック事件」を舞台化。現実の出来事に沿いつつ、フィクションとして創造する。ハイジャック犯は1人しか登場せず、2人の操縦士、3人の「スチュワーデス」(当時はCAという呼び方はなかった)、2人の地上職員、2人の政治家で構成される。私が16歳の時の事件で、記憶も一部あるが、こんな出来事が起こっていたのかも、と思うと興味深い。後にストックホルム症候群と呼ばれる現象があったかも、という場面は特にいい。役者陣全員が熱演だが、機長役の祥野とチーフパーサー役の秋月が印象に残る。
     2022年の8月に上演された作品だが、私がコロナに感染したこともあって観られなかった。評判が良い作品だったけど、今回観られたのが本当にヨカッタ。

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