実演鑑賞
満足度★★★★
前作は「ムッちゃんの詩」という演目だったようだが、未見。本作は「しあわせ色の青い空」~東日本大震災とムッちゃんに捧ぐ~となっており、生きる希望が見いだせない被災者 優香がタイムスリップして 戦時中のムッちゃんの懸命に生きようとする姿を見て 再生・再起していくというヒューマンドラマ。
テーマは「生きる」。”当たり前”のように生きている、その大切さ重要さを語り継ぐような物語。多くの小学生が観劇していたが、集中して観るには1時間45分の上演時間は長かったようで、真意が伝わったかどうか。
戦争と大震災という悲しみを繋いで、それでも人は生きていくという<希望>を綴っているが、少し無理があるような。
人は慣れてしまう。どんなに悲しく惨い経験も 生きていくうちに感情がマヒしていく。そして記憶さえも薄れていく怖さ。戦後78年、戦争を知らない世代に 最悪の不条理を語り継ぐことの大切さ、その意味で このような公演を続ける意義がある。ただ、戦争と震災を同一視点で見ることは出来ない。
そして優香の前に現れた<海の精>によって被災者の心は救われるが、一方 「ムッちゃんの詩」はどのようなラストだったのだろうか。この公演は 描き切ったようで 観客に問い掛け 考えさせていない。勿論、当時 小学6年生のムッちゃんと小学1年生の町子ちゃんの悲しい出来事は分かる。しかし、戦争と災害という異質とも言える物語を繋ぐことによって「反戦」と「再生」という訴えが中途半端になったようで残念。
(上演時間1時間45分 途中休憩なし) 【B班】 9.28追記