オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト(カタログ版) 公演情報 オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト(カタログ版)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/10/14 (土) 13:00

    90分。休憩なし。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/10/07 (土) 18:00

    三浦直之が生み出した50名以上の人物の、プロフィールそして短いエピソードをもとに俳優たちが立ち上げ演じ分けるオムニバス・ストーリー。長くて5分、短くて1分少しの“超短編”の連なりが織り成す群像劇は、笑えたりちょっと面食らわされたり。重なりかけて重ならない、彼らの生活を形つくっている網目を俯瞰して思う。世界には何と多くの人間たちが暮らし、ひとりひとりに物語が影のように伸びていることだろう。すべてのシーン、すべての人物に慈しみとユーモアを持って接するロロメンバー、出演者たちの愛のみずみずしさが清らかだった。置かれた無数の点を結んで、作る人々が線を引き、これからも星座のように次々物語が生まれる、新しいフォーマットがここに誕生した。見えないものを見せ、瞬間より長く永遠よりは少し短い時間を感じさせるロロ・マジックはどこまでも進化する。

    点の連なりから物語を立体化した俳優たちが素晴らしい。田中美希恵、端田新菜はとびきりの幸福感を漂わせる存在でありながら素っ頓狂な一面も見せ、ギャップで切なさまで振り切っていくし、大場みなみは強い推進力でオープニングからラストのエピソードまでぐいぐい客席を引っ張る。北尾亘は強い芯と軸があって、走ったり這ったりストレッチをするだけで、躍動感という言葉からはみ出すくらいの振動を舞台上に出現させていた。松本亮は他者を限りなく許容し受け入れる器があって、存在そのものが、人間同士関わって生きる群像劇の本質に一番近かった。福原冠は自分から切り込む芝居も、相手の勢いを受けて流れを作る芝居もどちらもきめ細やかで、振る舞いの太刀筋が美しい。

    YouTuberのクイズノックが昔、『架空の友達(虚友達)のプロフィールを100人記憶する』という企画をやっていて、動画を見ているだけでこっちもかなり虚友達に親しみがわいてエピソードを覚えたり気になったりしたものなんだけど、それを思い出した。超短編のスピード感、読後感はリディア・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』が私は大好きで憧れてもいるから、重ねて観ていた。三浦直之さんの本棚にもきっと絶対あると思うな。

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