ムッちゃんの詩 公演情報 ムッちゃんの詩」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-3件 / 3件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    今月ふたつ目の語り継ぐべき話の舞台
    両方とも観客の年齢層高めだったが、もっと「語り継がれる」若い人達に観てほしい
    映画化もされた、終戦直前大分県の防空壕で実際に起こった、6歳の少女と結核を患う12歳の少女の純粋でそれ故あまりに悲しい話
    声優中心の朗読劇なので、子どもの声色が見事で、またその方言が一層切なくなる
    舞台は正面スクリーンに物語に沿った水彩画が投影されるだけだが、照明が絶妙な効果をもたらしていた
    ふたりとも京都と横浜から戦火を逃れて来ながらまたここで悲劇に会う理不尽
    やっぱりね、戦争はこういう子どもたちを犠牲にしていくのだよ
    自分は子どもの頃さんざん親や祖母から空襲の体験を聞かされたけど、そうした伝承のない世代の意識がどうなっていくのか心配になる
    白いご飯も食べられなかった子どもにたむけられたあかまんま(イヌタデ)の花言葉は「あなたのために役に立ちたい」

  • 実演鑑賞

    好きな舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     今作、導入部も自然で上手い。無論、この物語が世に知られるようになった経緯についても同時に良く分かるようになっているのだ。
     文句なしの5つ☆、ベシミル。楽が結構空いている模様、今作チケットの半券提示で大幅割引があるとか。(追記1回目8.21:02:40)

    ネタバレBOX

     敗戦直前、大分県で実際に起こった六つと結核を患う十二歳の少女の余りに純粋で、掛かるが故に尚魂を揺さぶる作品。交流する二人の少女の殊に年少のマコちゃん(六歳)役の演技が正鵠を射ている為、ムッちゃん(十二歳)の深く救いの無い寂しさが極めて鮮烈な痛みを観客に感じさせる。殊に大分への空襲が日を跨いで続き喉の乾いたマコこちゃんが水が飲みたいと泣き喚き駄々をこねた際、ムッちゃんは唯でさえ不足気味の飲料水をマコちゃんに提供する。水の入った竹筒を受け取り一口口に含んだだけでマコちゃんは、竹筒を返してしまう。朗読劇でありながらこの一瞬の不自然な対応を見事に表現した演技は見事なものであった。
     舞台美術はシンプルである。ホリゾントにスクリーンを掛け、物語の内容に沿ったイラストが映し出されるが何れも淡い色使いの繊細さを表現するのに向く水彩画が原画と思われる。画家は岡田 潤さん。板上はフラットであるが、朗読している者以外は腰掛け朗読者の邪魔にならぬように上手、下手に丸椅子が置かれている。
     さて、二人の少女が大分へやって来た経緯であるが、マコちゃんの場合は敗戦前夜、住んでいた京都も爆撃される可能性が高いと判断した大人たちの指示に従いより安全と判断され、親眷の住む大分へ母娘で疎開した。ムッちゃんは横浜が空襲された際、一緒に居た弟が目の前で亡くなり「水が飲みたい」と訴えた弟に何もしてやれなかったことが大きな傷となっている。先に大分に来ていたムッちゃんは、横浜空襲で焼け出され弟を失い、母と生き別れた果てに何かあったらここを訪ねなさいと札に記されていた親戚の住所を頼りに親戚の家にたった独り辿り着いたもののじき労咳に罹ってしまった。その為、暗く、じめじめした防空壕の一番奥の窪みに幽閉されてしまっていた。大人たちは、「あの娘に近づいてはいけない、病気が移る」と子供たちを牽制したが、当時労咳の特効薬は日本になく一旦罹患してしまえば不治の病とされていたから止むを得ない側面があったことも事実だが排除の憂き目をみるのが戦災孤児と考えられる僅か十二歳の少女・純粋なムッちゃんであるとは、何と酷い現実であることか! 今作は、こんなムッちゃんに心を開き、おねえちゃんとして慕ったマコちゃんとの友情を描いた実話を元に組み立てられた作品である。

このページのQRコードです。

拡大