旅立つ家族 公演情報 旅立つ家族」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-2件 / 2件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    初演を観た印象と随分変わっているが、動くパネルや台を駆使した金守珍演出の躍動は健在。グレードアップしている。
    主人公李仲燮(イ・ジュンソプ)の妻山本方子(現代=佐々木愛)の静かな語りから始まり、美術館の壁に掛った絵(パネル1枚に一作ずつ、プロジェクターで投影)を一枚、一枚と見て歩きながら語るのだが、視線をかけた絵が眼球のズーム機能のように拡大しやがて霧散、次の絵に目が移るとまた拡大し始め、霧散・・最後の横長の絵は左側にぐーっと伸び、他のパネルが一面の壁を作って大きく映し出す・・といった目が釘付けになる演出。そこから音楽が高まり、パネルが散ったかと思うと、荒々しい筆で書かれた牛が二頭、両手で持つ板切れを7、8名(×2組)で繋ぎ合わせたのが、角を突き合わせる鬼気迫るムーブを見せ、砕け散った後、起き上って歌われる歌は梁山泊そのものである。大貫誉の短調を基調にした音楽が、悲運の画家の物語の通奏低音となり、導く。休む間もなく働くテント芝居のアンサンブルのように文化座の俳優が黒ずくめですっくと立ち、力の限り歌う声に序盤から圧倒される。近くにいた観客は(まだ物語の端緒も語られていないのに)涙を拭っていた。
    明転すれば照明一転、のどかな朝鮮の田園の中で、絵を教える林(イム)先生と生徒に混じったイ・ジュンソプ(彼を呼ぶ時はジュンソ、と言う)。日本の植民地時代、大戦が起きる前。反植民地闘争のため満州に行く、という選択もこの時代の若者にはあったらしく、ジュンソもその夢を語るが、先生は「こういう時代だからこそ、お前は絵を描くべきだ」とジュンソプに言う。
    やがて日本へ絵を学びに渡る時がやって来る。そして芸術学院での学び。慣れない東京生活の中で、一人の女性と出会う。愛の物語でもあるこの作品の、この出会いの場面は印象的。そしてその中心には「絵」がある。
    戦争末期、ついにジュンソプが方子を朝鮮に呼び寄せる。皮肉にもこの時が最も良き時代である。その後、波乱に富む家族とジュンソプの軌跡は中々見ていてつらいが、うまく描かれている。

    ネタバレBOX

    一点だけ惜しいと感じた部分。激動の時代を生きた一画家の人生に丁寧に伴走する音楽だが、終幕の音楽は低音の効いた「透き間のない」壮大なものだった。テント芝居なら、テント一枚を隔てて現実世界が広がる緊張関係から、ことさら壮大にやる、というのが成立するのだが、劇場ではもう少し、抑えたエンディングで良かった、というのが自分の感覚。これから現実に戻って行く、という観客に、エールを送るといったベクトルの方がそぐわしく思えたのである。あるいは、壮大な感じの音楽でも良いが、低音をグーっと押し出さなくて良かった。ダメ押し、という感じ。観客は十分受け取った。少なくとも自分はね。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/06/28 (水) 14:00

    座席1階

    文化座と新宿梁山泊・金守珍のタッグに過度の期待をして劇場へ。結論から言うと、梁山泊の迫力ある舞台を彷彿とさせるような盛り上がりと、文化座の緻密な舞台が融合していい演劇に仕上がったと思う。今や文化座のエース・藤原章寛の熱演が今回も舞台を支えた。

    日本占領下の元山(現在の北朝鮮の主要都市)出身の画家・イジョンソプが日本に留学中に知り合った女性・山本方子との物語。時に第2次大戦終結間近。展覧会のため朝鮮半島へ渡ったジョンソプが戦況悪化のため戻れなくなり、半島で生きることを決意した方子は空襲の中を汽車に乗って東京から博多へ渡航する。日本占領下で伝統のチマチョゴリを着た結婚式のシーンはとても印象的だ。
    だが、朝鮮戦争勃発で幸せな結婚生活も引き裂かれる。「見ていないものは描けない」と芸術家の心をかたくなに守るジョンソプを、藤原が情熱的に演じる。大音響、歌と踊りが随所に挿入されるところなどは、梁山泊の舞台を思わせる。
    文化座の佐々木愛が演じる老境の方子の視点で舞台は進む。今作では激しい動きはないものの、やはり存在感は抜群だ。

    メリハリがあってとてもいい舞台なのだが、3時間近くの上演時間は少し、長かったか。梁山泊が花園神社でこの演目を上演したらどうなるだろうか、という私の勝手な妄想が膨らんでいく。(そのような機会があったら絶対に見逃さないようにしたい)

この公演に関するtwitter

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  1. 劇団文化座の舞台「旅立つ家族」が秋田市のミルハスで上演されます。苦難を抱えながらも懸命に生きた韓国の画家・李仲燮(イ・ジュンソプ)が主人公。劇団の佐々木代表は「若い人にも生の演劇の良さを知ってほしい」と語ります。 https://t.co/Pw3sPo78mH #秋田魁

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  2. 普遍の愛、生きる力感じて 文化座「旅立つ家族」主演の藤原章寛 https://t.co/MjvXWL8Uby

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  4. 6月の「ベスト・ファイヴ」 1. シス『ヴィクトリア』魂の問題 2. tsp『これだけはわかってる』 3. 世田パ『ある馬の物語』 4. T Factory『カミの森』 5. 文化座『旅立つ家族』 これに、新宿梁山泊『少女都市… https://t.co/odixiHO4MD

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  5. 劇団文化座公演『旅立つ家族』 先日観劇したこの作品が、今日、東京公演最終日らしいです…! 荒ぶる牛に魂震えました。 熱烈感想はせりちゃんに送り🔥 26人もの座員で演劇つくりあげているの凄い。本当に凄い!人の力。 良い千穐楽、そして… https://t.co/zF9g2ZFfEB

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  6. 文化座「旅立つ家族」観てきました。 「真砂女」に客演してくださった、青木和宣さんはなんと7役も。 主演の藤原さんよかった、最近何本か観てますが注目しています。 https://t.co/grXw9wnkTe

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  7. 劇団文化座「旅立つ家族」 また本当に良い演劇に出会えて、とても幸せ。 こんな心の揺さぶりのために、生きているよなあ。と思う 文化座アプリのチケット購入、入場体験、楽しかったです。 がんばるぞー。

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  8. 続き→ 話題の公演 4.5(2) 劇団文化座/旅立つ家族~7/2まで

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  9. 【市民劇場例会】 劇団文化座 『旅立つ家族』 ※会員制の演劇公演です。 ■7月四国巡演 原作:金義卿 翻訳:李惠貞 脚色:金守珍/佐々木愛 演出:金守珍 https://t.co/JnVZP5MNZP

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  10. 劇団文化座『旅立つ家族』観てきたよ。圧倒的な熱量!!でも表現は繊細で。 こういう作品観ると、俳優の仕事ってカッコいいなって改めて思う。 小谷さん、めちゃくちゃ素敵だった!! https://t.co/ZZjeGNmUcq

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  11. 話題の公演 4.8(4) 壱劇屋/ピカルーン~7/2まで 4.5(3) NODA・MAP/兎、波を走る~7/30まで 4.5(2) 劇団文化座/旅立つ家族~7/2まで 4.5(2) Bee×Piiぷろでゅーす/Hey ばあちゃん!テレビ点け…~7/2まで #東京観劇カレンダー

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  12. 昨日は文化座「旅立つ家族」を観劇。 少女都市のアングラ全開演出とはまた違う金さんの演出に感動。 戦中戦後、激動の時代に翻弄された日本と朝鮮に生きた人達の強いエネルギーをひしひしと感じました。 池袋あうるすぽっとで7/2まで! https://t.co/fwNfRl9afE

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  13. 音楽劇『ある馬の物語』。一昨日の劇団文化座『旅立つ家族』では俳優が牛を演じていたけど、こちらは馬を演じるお話(タイトルのまんまですが)。とにもかくにも馬になりきった成河さんの身体能力の高さ、一つ一つの動きの見事さに目を奪われること必至。演奏の1人がハラナツコさんなのも嬉しい。

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  14. 日本人女性と結婚し、激動期を懸命に生きた韓国の国民的画家の人生を描く劇団文化座公演「旅立つ家族」=写真=が…... リンク:https://t.co/ND5jxmjQki タ グ: #人生

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  15. 話題の公演 4.7(3) 壱劇屋/ピカルーン~7/2まで 4.5(3) NODA・MAP/兎、波を走る~7/30まで 4.5(2) 劇団文化座/旅立つ家族~7/2まで #東京観劇カレンダー

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  17. アメブロを投稿しました。 『劇団文化座『旅立つ家族』』 https://t.co/hAHItsrTTj #アメブロ #劇団文化座 #佐々木愛 #金守珍 #イ・ジュンソプ

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  18. 文化座「旅立つ家族」とても面白かったです。オススメです! https://t.co/v38iQrPeXZ

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  19. 7月例会は 劇団文化座公演 「旅立つ家族」 韓国の国民的画家 李仲燮(イ・ジュンソプ) その鮮烈な生 時代と国境を超えた愛と 家族のものがたり 7/5(水)18:30 7/6(木)13:30 会場:オレンジホール 会員申し込… https://t.co/NDmbI8c7Z9

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  20. あうるすぽっとでは、9月に例会で迎える劇団文化座『旅立つ家族』の東京公演初日の幕が開けました! https://t.co/N2BHUK3alX

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  21. 今日の高知新聞 高知市で7月5日 6日 韓国画家 激動期の人生 舞台 「旅立つ家族」 https://t.co/g2nr5qDef5 #高知市民劇場

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  22. 文化座『旅立つ家族』金義卿、金守珍。画家イ・ジュンソプ(藤原章寛)の生涯を年老いた妻(佐々木愛)が回想。文化学院で画家と恋した方子(髙橋美沙)は1945年に追いかけ、元山にて結婚。朝鮮戦争で釜山、済州島に。52年妻子を東京に。孤独… https://t.co/mFghsijrea

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  23. 劇団文化座『旅立つ家族』。2014年、2017年に続いての再再演。韓国の国民的画家・李仲燮(イ・ジュンソプ)さんと日本人の妻・山本方子さんを描いていて、生前は不遇だったジュンソプの貧困、苦悩、孤独に引き込まれる。ミュージカルではな… https://t.co/bVDPtSacHq

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  24. あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)にて、7月号「寄り道シネマ」でもご紹介した劇団文化座公演「旅立つ家族」を観劇してきました!牛の連作や銀紙絵で知られる韓国の国民的画家、李仲燮(イ・ジュンソプ、1916−56)の生涯を、… https://t.co/oG3OviujFW

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  25. 本日はあうるすぽっとにてお初の劇団文化座『旅立つ家族』(原作:金義卿、翻訳:李惠貞、脚色:金守珍/佐々木愛、演出:金守珍)。 https://t.co/6aOMhIGckh #theatre2023

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  26. 今夜は、あうるすぽっとで文化座「旅立つ家族」。 https://t.co/fUZTQ8BSYe

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  27. 劇団文化座「旅立つ家族」 松山公演は7月4日(火)18:30開演、愛媛県県民文化会館サブホールです。 お問合せは松山市民劇場089-943-2460(10:00〜18:30、日•月休)まで。 ↓牛、すごいです! https://t.co/PqbSgMgu4S

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  28. ◆チラシ折り込み代行◆ 本日6月19日(月)締切の公演をご紹介します(1/5)。 ・劇団文化座 『旅立つ家族』 https://t.co/XFfMnnQoKX こちらの公演で、チラシによる宣伝をしていただけます! お申し込みを… https://t.co/JN6yOsIi8S

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    約1年前

  30. おはようございます🌞 やっと衣装が決まって嬉しい限り😌 今日は予定沢山観劇Day!! 観に行きたいお芝居がありすぎてる… 沢山パワーもらって私も頑張ろう🔥 6/27-7/2はぜひ文化座『旅立つ家族』 にご来場くださいませ🐃💨 https://t.co/MVS0AwGkMC

    約1年前

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