ハイツブリが飛ぶのを 公演情報 ハイツブリが飛ぶのを」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    夫(佐藤銀平)が失踪して一年、その空き巣に男(寺十吾)が入り込む。男女(野々村のん)が慣れたところで夫が現われる。さて、彼らはどう選択するか。何度も劇化された設定だが、この舞台は、シチュエーションを火山噴火の大災害後の避難住宅に設定し、「峠のわが家」と「浜辺の唄」という類似のメロディをもつ曲を絡ませて、小劇場エンタテイメントにまとめている。
    こういう芝居ではもうベテランの域の横山拓也の脚本はずいぶん無理矢理の物語を会話の妙で引っ張りながら面白く見せる。見せられてしまうから、うまいのである。
    こういう芝居では役者も重要なのだが、座組もユニークで作者は大阪(もう東京といっても良いが)の横山、俳優で出ている名古屋の小劇場作家(此も東京での活動が多くなった)佃典彦、それに演出も俳優も、の者寺十吾。主宰女優の野々村のんは青年座。演出の五十嵐明は青年座の役者(演出も時々)。バラバラで、結局それがこの異常事態以のドラマを生かしている。特に演技はメインではない寺十吾と佃典彦を脚本がうまく生かしている。佃は、ドラマに介入してくる第三者という無責任な役柄を快演して、この戯曲を支えている。最も今風な人間である。
    面白くは見られる小芝居で、劇場満席は喜ばしいことだが、特異な設定なのに、横山らしいコクがない。だからドーだっていうの、懐メロじゃだまされないよ、というところもある。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/10/04 (水) 15:00

    座席1階

    大規模災害の被災地にある避難所という高い緊張状態での物語だが、最後は何だかホッとできる展開。人間の心の動きを書かせたら秀逸な横山拓也らしいすてきな台本だった。期待通りの出来栄えだ。

    舞台は避難所の集会所のようなテント内。寺十吾演じる、噴火災害で亡くなったとみられる妹を探している男性に、野々村のんが駆け寄って抱きしめる場面から始まる。この女性は、男性が自分の夫だと思い込んでいるのだ。男性は戸惑いながらも「夫」を演じているが、災害地をめぐって思い出の人の似顔絵を描いている画家崩れの男(佃典彦)が正論と冗談を交えながら絡んでくることで、会話劇が動き出す。
    関西弁とかみあわない標準語。このあたりのせりふのやり取りも面白いのだが、「夫」を演じていていいのか、本当のことを言うべきではないのかと揺れ動く心に画家の男が鋭い突っ込みを入れてくるところが前半の見どころになろう。
    後段のカギを握るのは「歌」だ。この歌の取り扱いも絶妙のうまさ。なるほど、そうなんだなと納得しながら、ハラハラしながら見守っていける。笑いのツボもしっかり押さえている。こう自然に笑いを取れるところはやはりネイティブ関西人ならではのところか。
    ユニットを率いる野々村のんの演技も、後段に行くにつれてうまさがほとばしる。心の内を明かしそうで明かさない、明かさないようで少し垣間見える。こんな微妙な表現力が求められる難易度の高い台本を演じきったと言っていい。
    被災地という極限状況の舞台設定で、とてもユニークな人間関係。やっぱり横山の本はおもしろい。

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