森と夜と世界の果てへの旅 公演情報 森と夜と世界の果てへの旅」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.5
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★

    2011.7.20@六行会ホールにて
    (この日の公演が掲載されていないので、同じ演目の場所に書きました)

    「チルドレンズフェスティバル」の一環として上演された。
    「デフ・パペットシアター・ひとみ」は、ろう者と健聴者が一緒になって人形劇を行う劇団であり、ろう者の方も楽しめるような工夫がしてある。
    人形劇と言っても舞台全面を使う。打楽器による生演奏で、手話と字幕で内容を伝える。

    ネタバレBOX

    物語は、原作があり、寓話的でブリミティヴな中に不気味さが漂う。
    子どもの頃から、ヤシ酒呑みの魔術師が、ヤシ酒造りの名人が死んでしまったため、世界の果てに探しに行き、魔術や妻を手に入れ、魔物を退治するというストーリー。

    生演奏の打楽器だけでなく、人形の造形を含めプリミティヴなイメージがとても豊かだった。

    ただし、ストーリー的にはどうかなと思うところが多々あった。
    例えば、親指から生まれた息子が欲望(ヨクボー)の塊だったので、両親が焼き殺すとか、もともとは人間に非があった相手(赤い鳥と赤い魚)を、逆恨みして(主人公は魔術師なのに!)拳銃で殺して解決するなど。確かに人身御供を取って、町を赤く染めていたけど。
    そして、ラストの気味の悪さはなんとも言えない。すべてが消え、煙の中に1人佇む主人公の虚無感。
    子どもたちに、どう伝わったのか気になるところだ。

    今回、チルドレンズフェスティバルと称して、地域の児童に本物の演劇等を見せるという企画の中で行われていたのだが、先に書いたストーリーもあるが、字幕が「放蕩息子」とか「残虐な王」とか、とても子どもたちが読めるとは思えないもの(小さな文字でふりがなはあったが意味がわからないと思う)だったのはなんとかすべきだったのではないだろうか。

    ろうの方たちも観劇していたのだが、終演後、彼らが最後に拍手するのは、手を叩くののではなく、両手を挙げてキラキラ星の振りのように、手をひらひらさせることを初めて知って。ちょっとぐっときた。
  • 満足度★★

    不思議な世界観
    ナイジェリアの作家、エイモス・チュツオーラの小説『やし酒飲み』を舞台化した作品で、呪術的なところもありながら、おおらかさも感じられる世界観をエキゾチックなビジュアルと音楽で描いてました。
    この劇団を観るのは今回が初めてだったので毎回そうなのかはわかりませんが、パペットシアターといってもいわゆる人形劇ではなく、人間と人形が舞台上で対等に扱われ、ダンス的表現や演奏もある、複合的なパフォーマンスでした。

    物語はやし酒飲みの主人公が、亡くなったやし酒作りの名人の霊に会いに行く冒険譚で、幽霊や異形の生物が登場するアニミズム的雰囲気の中に人間の欲望が描かれていました。

    白い床と布の壁に囲まれた空間に、スリットから物の出し入れが出来るようになっているキャスター付きの柱状のオブジェが数本配置されているだけの舞台を、アフリカ原始美術のような色彩豊かな人形や仮面、原色の照明が鮮やかに彩取り、賑やかな印象でした。
    音楽もジャンベのリズムが中心となっていて、アフリカ的な感じでしたが、影絵人形劇やガムランの楽器も使われ、インドネシア的な感じもありました。

    無理のない動きの中にもオリジナリティが感じられる斉藤美音子さんの振付が楽しかったです。映像で文字が流れる箇所がいくつもあったのですが、タイポグラフィーとしてかなり稚拙な感じだったのが残念でした。ひとつひとつのシーンに無駄に時間を掛けていて、スピード感がなく弛緩しているように感じました。もっとテキパキと展開すると面白くなると思います。

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