満足度★★★
2011.7.20@六行会ホールにて
(この日の公演が掲載されていないので、同じ演目の場所に書きました)
「チルドレンズフェスティバル」の一環として上演された。
「デフ・パペットシアター・ひとみ」は、ろう者と健聴者が一緒になって人形劇を行う劇団であり、ろう者の方も楽しめるような工夫がしてある。
人形劇と言っても舞台全面を使う。打楽器による生演奏で、手話と字幕で内容を伝える。
満足度★★
不思議な世界観
ナイジェリアの作家、エイモス・チュツオーラの小説『やし酒飲み』を舞台化した作品で、呪術的なところもありながら、おおらかさも感じられる世界観をエキゾチックなビジュアルと音楽で描いてました。
この劇団を観るのは今回が初めてだったので毎回そうなのかはわかりませんが、パペットシアターといってもいわゆる人形劇ではなく、人間と人形が舞台上で対等に扱われ、ダンス的表現や演奏もある、複合的なパフォーマンスでした。
物語はやし酒飲みの主人公が、亡くなったやし酒作りの名人の霊に会いに行く冒険譚で、幽霊や異形の生物が登場するアニミズム的雰囲気の中に人間の欲望が描かれていました。
白い床と布の壁に囲まれた空間に、スリットから物の出し入れが出来るようになっているキャスター付きの柱状のオブジェが数本配置されているだけの舞台を、アフリカ原始美術のような色彩豊かな人形や仮面、原色の照明が鮮やかに彩取り、賑やかな印象でした。
音楽もジャンベのリズムが中心となっていて、アフリカ的な感じでしたが、影絵人形劇やガムランの楽器も使われ、インドネシア的な感じもありました。
無理のない動きの中にもオリジナリティが感じられる斉藤美音子さんの振付が楽しかったです。映像で文字が流れる箇所がいくつもあったのですが、タイポグラフィーとしてかなり稚拙な感じだったのが残念でした。ひとつひとつのシーンに無駄に時間を掛けていて、スピード感がなく弛緩しているように感じました。もっとテキパキと展開すると面白くなると思います。