投げられやすい石 公演情報 投げられやすい石」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
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  • 痛い…(++)
    佐藤君の変化、佐藤君を取り巻く人々の関係の変化が観ていてとても痛くて…。
    で、とまどっちゃったのが、客席空間とでも言うのでしょうか、痛いなぁ…とおもってみてるすぐそばで大笑いされる方もたくさんいらしたりして、いや、たしかに笑えるし笑っちゃうしかないのかもしれないけど、とても哀しいよね…、というほんと複雑な劇場体験でした。
    “生々しいけれど笑えるコメディ”と、HPにありました。岩井秀人さんの演技が、ずん、と刺さってきました。

  • 満足度★★★★

    やっぱり辛い。けど。
    岩井さんの描く痛くて辛くて、っていう世界がきれいに展開されていて、ちょっと全体的にきれいすぎる感じはあったけど、やっぱりよかった。見ていて辛くて辛くて、なんだけど、そのひりひりした感覚をもっともっと求めてしまう。

    ネタバレBOX

    初演の時のタイトル「投げられやす~い石」が「投げられやすい石」に変わってた。単にそれだけなのに、ちょっと緊張感が上がった。

    けど意外に見やすくなっている感じではありました。松井さんが案外気持ち悪くなかったから。
  • 満足度★★★★

    理不尽だらけ
    私も見ていて笑えない部分が多かった。身につまされるというか、自分ならどうするだろうと。結構誰にでも起こり得るシーンもあり、単なるネタと終わらせられない深さがあった。弱さなんて当たり前だが相対的なもので、理不尽な扱いを受けて弱者に見えていた者が、いきなり他人に理不尽な行動をしたりと、全体的に理不尽ながら、それが自然と受け入れられる不思議さがあった。
    ただ、見ていて辛くなったりムカムカしたりする部分が多いのがつらい。

  • 満足度★★★

    2つのベクトルに悩む
    ハイバイは2度目。
    前回観たときは前評判が凄くて、観てみたらちょっと期待外れだった。
    今回はそれほど期待せず劇場へ。

    結果、前回に比べると緊張感もあり、現代の若者の現実を見るようで悪くはなかった。
    しかし、「現実」と「一部の若者の生態」を映すばかりで「面白い」とは言えない。
    演劇的なシーンもラストにあるだけなので、劇中の主人公たちの全く進展しない会話には、どうしてもイライラとしてしまう。

    会話を成立させることが出来ないまま、作品を作り上げたこと等、意欲的な作品だとは思えるが、そこに留まる。

    全く評価のベクトルが違うが、面白ければもっと良かった。

  • 満足度★★★★

    四様のキャラクターの立ち上がりが凄い
    特に岩井の演技が素晴らしい。弱いものを演じる凄さは独特だ。

    以下はねたばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    画家を目指していた佐藤と山田、佐藤の恋人で佐藤の七光りにあやかって絵を描いていた美紀。三人のポジションはこの時点で上手く回っていたが、佐藤がある日突然、失踪してしまったことで山田と美紀は何となくくっついて、結婚した。尤も山田は美紀を以前から好きだったのだが・・。

    しかし数年後、山田は佐藤に呼び出されて再会する。このシーンで登場する佐藤のメイク、風情はまるで病める浮浪者だ。ここで苦い笑いが起こる。そしてコンビニ店員から濡れ衣を着せられても強く反論できない佐藤は人間の本来持ち合わせた性質の強弱を露呈させ、なぜか、コンビニ店員が正論を吐いてるように強引にねじ伏せてしまう。いつの世も強いものが勝ってしまう不条理さの表現が秀逸だ。

    更に、山田と美紀の現状をなかなか、佐藤に報告できない。それは美紀が佐藤の元カノで、山田の今妻という気まずさと佐藤を気遣う感情に起因する。

    しかし現在の二人の状況を隠したばかりに、事態はますます悪化してしまう。佐藤は山田の目を盗んで、元カノの美紀にセックスを求め、美紀の服を強引に脱がせようとし、これに同意したかのように、美紀も嫌がらない。

    人間の心理とは実に複雑だ。佐藤は自分の命の期限を知ってるかのように美紀に最後のセックスを求め、盛りのついた犬のように美紀のスカートをめくる。これに気付いた山田は美紀を佐藤から離そうとし、美紀は二人の男の間で「けんかはやめて~♪ふたりをとめて~♪わたしのためにぃ~争わないでぇ~♪状態になっちまうわけだ。

    山田の焦り、佐藤の焦り、美紀の焦りはそれぞれ違う種類だ。そして三人はそれぞれ勘違いしながら佐藤の最後を見てしまうのだが、佐藤を掴もうとするカラオケ店員が大きな鎌を持った死神のように見えたのはワタクシだけだろうか?

    美紀が誰かの人妻だと知った後にも執拗にセックスを迫る佐藤も哀れだが同時に美紀自身も哀れだ。どっちでもいい女。迷える3匹の獣達は心に空洞を抱えたまま、自分達のフィクションを作り上げる。美紀は死んだ佐藤を送るかのように高らかに歌い、山田は佐藤を抱える。

    自分というものを持たない三人はまさに投げられやすい石そのものだ。

  • 満足度★★★

    初ハイバイ
    いろんな意味で怖かった。
    結構笑っている人もいたけど、
    つまらないって意味ではなく、わたしはほとんど笑えなかったなぁ。
    目が離せないまま、あっという間の75分でした。

    岩井さんは役者のイメージが無かったのですが
    すごい存在感。
    松井さんの普通っぽさがそれを際立たせていました。

    ネタバレBOX

    暴力は怖いし、一般的な常識や理屈が通じないのも恐ろしい。
    そして、なりふり構わず絵を描き続けようとする佐藤もまた・・・。
    何もかもを無難にやり過ごそうとする
    山田が自分に重なって、
    ヒリヒリとした感触が残りました。

    石がひとつ当たりました。
    これは吉兆なのでしょうか・・・?
  • 満足度★★★★

    私小説
    ホンがいいし、役者も上手。長さもちょうどいい。役者のうまさは、「なんでもできる」系のうまさではなく、「この芝居にはこの演技しかありえない」と思わせてしまううまさ。日本の私小説の伝統がこういうところに生き残っているような、そんな気が、なんとなく、した。

  • 満足度★★★★★

    「今あそこにいるのは自分だ」と思ってしまうと、笑えなくなるのではなく、笑うしかなくなる
    つい、と言うか、思わず笑ってしまうけど、ヒリヒリして笑えない、でも笑ってしまおうと思う、とても辛い(はずの)喜(悲)劇。
    4人の役者さんたちが本当に素晴らしい。
    「間」と「タイミング」と「愛想笑い」と。

    ネタバレBOX

    画家を目指していて、たぶんその才能らしきものがあった山田。そして、一種の時流に乗ったために脚光を浴び、天才と言われていた佐藤の2人の学生。さらに佐藤の恋人でそれほど才能はなかったが、絵を描いていた美紀。
    彼らは数年後再会する。山田も美紀もすでに絵を描いていない。佐藤はまだ描いている。

    山田や美紀の行動は、いかにもありがちだ。学生時分の無責任な状況では、自由に絵を描いていけたが、状況が変われば、あっさりとそれをやめてしまう。絵でも音楽でも何でも。それは非難されることではない。
    しかし、今も続けている佐藤が現れることで山田の気持ちはざわつくのだが、佐藤の有様を見てしまうと続けたほうがよかったのかどうか疑問に思えてくる。

    続けることは、(たぶん)みっともない。つまり、その世界で成功したのであればそんなことはないが、ただ続けているだけの姿は、みっともないと思っているのだろう。それは病魔に冒された佐藤が具体的に見せてくれる。
    たぶん、それは本当に作者自身の姿とダブるのかもしれない。
    まさにその役(続けている佐藤の役)を、作者自身が演じている。

    病魔に冒されて、見た目も精神もボロボロになっているし、描き上げた絵も不気味で何だかわからない(昼間っから布団に入ってテレビを見ているような絵)。本人にしかわからないレベルながら、日常の辛さが全面に溢れているような絵だ。しかしその絵は、本人にとっては「完成」してはいない。キャンバスの上から次々に絵を描いていくという佐藤。それでは完成するはずもない。それは、自分の精神状態の行き着く先が見えていないということであり、まだ自分の本来の力が発揮できていないということなのだ。「続けていくこと」への迷路にある佐藤。

    こういう言い方は失礼かもしれないのだが、今、インディーズでモノを創り上げようとしている人たち、例えば音楽をやっている人、例えば演劇をやっている人、そういう人々の多くは、本業は「音楽」「演劇」と言いながら、バイトで生活をしている。
    そういう状況には、いろいろ理由があるだろう。いろいろ理由があるにせよ、それは本来の自分ではない、という思いがしているのは当然だ。「完成」してないと。
    つまり、この舞台は、そうした人々への(作者自身へも)メッセージが込められているように感じた。
    それは「続けることは、みっともないことである」というメッセージだ。そして「それでも続ける」というメッセージも同時にあるのだ。

    と同時に、もちろん、モノを創ることを生業としている(としたい)人だけへのメッセージではないことは明らかだ。それは「夢」のようなものを持っていた(いる)人々にも同じメッセージを送っている。
    すなわち、「続けることは、みっともない」そして「それでも続ける」ということ。

    続けることをやめてしまった山田と美紀は、自分のことだ。そして「続けて、みっともない」のも自分のことだ。
    つまり、「今、舞台の上にいるのは、この自分」なのだ。そう思ってしまうと笑えなくなるのではなく、逆に笑うしかなくなる。思い切り笑えるか、力なく笑うかの差はあるにせよ。

    佐藤は、自分で編み出した変な石の投げ方を山田に伝授することで、なんかそういうことも伝えたかったというのは、深読みしすぎか。

    山田を演じた松井さんの「普通さ」がいい。そして佐藤を演じた岩井さんは、凄すぎる。さらに美紀を演じた内田さんの(佐藤の恋人だったことの)哀しさ、コンビニの店員を演じた平原さんの重圧がとてもいいコントラストを描いていた。
    彼らの作り上げる、なんとも言えぬ「間」と「(台詞などの)タイミング」の凄さを体感した。そして、知らず知らずのうちに、誰もがやってしまう「愛想笑い」と。
    友だちとか男女間の微妙さもナイス。

    シンプルな装置も効果的。

    本当に素晴らしい作品だ。
  • 満足度★★★★★

    ド直球の命の讃歌
    若い現代美術画家たちが登場する4人芝居。初演とキャストが2人変わってます。やはり涙なしには見られない。後半はまだ残席あるようです。終演後のロビーで『その族の名は「家族」』の先行販売あり。

    ネタバレBOX

    山田(松井周)のぬるっとした感じ、美紀(内田慈)のほんわかした感じ、井口(平原テツ)のボテっとした感じが、初演とはまた違う密度。佐藤(岩井秀人)はやはり切れ味鋭く、顔のしわが変化するだけでギリギリと胸が締め付けられる。
    上演時間は約1時間15分。

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