新明治仁侠伝 公演情報 新明治仁侠伝」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★

    生き方を問う内容
    大政奉還、明治維新、国と時代が大きく揺れ動き、その中で生きた人々の思いをうまく纏め上げていたと思いました。
    土佐弁や薩摩弁、東京弁の方言の言い回しは素晴らしかった。
    独特のイントネーションの言葉をとてもよく消化していて、観ていて違和感を感じませんでした。
    2時間ちょっとの壮大な物語でしたが、とても楽しませて頂きました

    ネタバレBOX

    西郷隆盛が西南戦争勃発に追い込まれ、落命するその時まで傍に仕えた晋之介の生き方と、その周りの人々を軸に物語は展開して行く。
    あまり日本史に詳しくない人でも知っているであろう歴史上の人々も数多く登場するのだが、大胆にデフォルメされていてそこも面白さの一つでした。
    それでも、伊藤博文はちょっと情けなさすぎるなとか、岩倉具視は確かに京公家だけどそこまでステレオタイプの話し方にしなくても、というちょっとしたやり過ぎ感はありましたが、それさえも解りやすい解釈なのかもしれないと思えてしまいました。

    物語の主軸にも絡む大久保利通の隠し子の義明と、徳川慶喜の落胤である狂四郎の対比も見どころでした。
    義明は子供染みて我儘で、大人になりきれない思いが情けなく描かれていて、その中に大人の打算が見え隠れする、哀れとは思ってに同情はできないタイプなのに対し、狂四郎はと言えば最終的には自分を捨てた父親も時代も、自分を利用しようとした人間も全てを許し、自ら死に場所を探そうとするちょっと人間らしさが感じられない役どころに感じました。

    役者陣はどなたも大変素晴らしく、引き込まれて観てしまいましたが坂本龍馬と岩倉具視の2役を演じた藤原習作さん、晋之介役の秋本一樹さんは特に引き込まれました。
    他の役がとても人間臭く、一生懸命時代を生き抜こう、自分の生き方を模索しようとあがいていた中で、一人飄々としていた狂四郎は、やはりあまりにも印象が薄かったです。

    殺陣は期待値が大きかった分、それ程重要には感じませんでした。
    舞台映えする殺陣ではなかったように思ってしまったので、必要最低限だけでよかったのではと思いました。
    故人となった人々が話すシーンでのエフェクトの掛け方や、照明演出は素晴らしく雰囲気の作り方で引き込まれました。
  • 満足度★★★★

    明治武士
    ちょうど「龍馬伝」が薩長同盟結ばれるや否かを放送していたので、なるほどこの先そんなんになってゆくのかと勉強になった。
    歴史に明るくないのでどこまで史実でどこから物語なのか判断つかなかったが、それでもなんとなくかなり史実に忠実に、隙間に物語を組み込んでいるんだろうなーと感じた。歴オタだったらもっと楽しめたのかしら。
    体感時間は長かった。というより、一つの場面が大河ドラマの一週のように、いちいち盛り上がり暗転するタームの積み重ねで、終わりかなと思ったら終わってないというのが何度か続いたので体内で終わりのタイミングを逃した感。
    個人的に、関ヶ原後のカブキ者みたいに生き延びてしまった虚しさを反骨パフォーマンスとして変換していくような、愛嬌のある思想の方が共感を持てるので、葉隠思想な侍魂は根本的に受け付けないんだなと気付かされた。

  • 満足度★★★★★

    お腹いっぱいですぅ〜
    日本史の勉強をたっぷりして、終わった時には、大河ドラマをまるまる見たような、満腹感でした。
    私は、日本史苦手だったから、へ〜とか、感心することばかり。私だったら、あの時代では、生きていけないわね・・。

    劇団め組は、今回初めてで、殺陣はとてもかっこよいし、立ち姿も、シャキとして、皆さんステキでした。

    ネタバレBOX

    岩倉具視って、あんな人だったの!?昔の500円札の顔を思い出しながら、唖然としました。
  • 満足度★★★★

    時代の流れを解りやすく解説
    明治維新の激動の時代を描いたものだったが、史実を随分脚色した物語だった。物語を理解して貰おうという視点は随分、努力されたように感じる。見ごたえのあった舞台だった。

  • 満足度★★★★

    時代と死す
    藤原習作の岩倉には参った!毎回の藤原の役柄から逸脱した飛びっぷり!笑)・・・しかも意外に似合うじゃん!笑)、でもって菅原貴志の牡丹っぷり!
    いあいあ、お見事!カマ風味の釜めしでも食したくなったほど。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    西郷隆盛の死によって、西南戦争の幕は閉じたものの、西郷を師と仰ぐ晋之助は西郷を裏切った大久保利通を殺すことを誓う。同じく明治維新によって禄を失った士族達を徳川への郷愁、明治への恨みを利用し、大久保義明(利通が産ませた妾の子)が明治政府転覆に向けて動き始める。義明は自分と同様の出生の秘密を持った徳川の子・狂四郎を操り、士族達に大久保利道暗殺を指令する。義明の目的はただただ、実父・利通への恨みを晴らすための企てだった。

    新しい日本、新しい時代の為に明治を作った男達の生きざまが巧みに演出されていた作品だったと思う。舞台上では師を失い生き残った士族らが自らの誇りをかけて死んでいくさまを演出し、その上段では死んだ坂本龍馬と西郷隆盛が天から今の世を見降ろして自分たちの夢が一つになって明治が生まれた経緯を話す。明治を作った男達は夜明けとともに消えた形になったが、終盤に龍馬が吐くセリフが素晴らしい。

    また、一方で「明治は徳川の腹から生まれて来た」という明言で観客の耳を魅了しながらも、この時代を勝海舟と伊藤博文が受け継ぐ形で終盤を迎える。「劇団め組 」の公演で忘れてはならないのが毎回、花を添える女性キャストらだ。着物を着用した際の身のこなし方から舞台を去っていく仕草までが実に美しい。

    今回の主役は晋之助と考えていいと思う。今回、ちょっと遊びを加味した舞台だったが、それはそれで楽しかったし座席が前の方だった為か、聞き辛いセリフもなく、すんなりと耳に入ってきたのも良かった。更に終盤での侍達の立ち位置が美しいシルエットとなって視覚も魅了された。「7人の侍」を彷彿とさせるそのシルエットは、照明と音楽で最高潮に達し、まるで一枚の絵画のようだった。

    ついでに言わせてもらえば、義明の髪形が似合わない・・。苦笑!
    更に言わせてもらえば、狂四朗が強そうではない。苦笑!
  • 満足度★★★★

    お初
    幕が開いたところからして重みのあるムードで始まる。なかなか出来のいい舞台だなと思って観ていると・・・・ん?高知弁やら鹿児島弁が耳に馴染んでいないからといい聞かせ、耳をダンボにするも何いってんのかわからない。そう、問題は方言ではなくカツゼツが悪いんだ。やたらガナリたてるからわけがわかんない。あと殺陣がちょっと下手だったり、アラが見えてしまうのが残念だった。全体としては合格点だが、なにやら一流料亭でファミレスの料理を食したような感じかなあ。そういえば最後のほうで勝海舟が3段の階段を踏み外しそうになったのは危なかった。あそこでコケたら肝心の場面が台無しになるところだった。観ているこっちが、本人以上に気になった(笑)。

  • 満足度★★★

    時代に殉じた男たちだけれど・・・
    「め組」初見です。「任侠伝」といっても博徒の話ではない。悲劇的な時代劇の場合、優れた脚本・演出だと俳優が好演すれば否応なく感情が高まって泣くまいと思っても泣けてくるものなのだが、残念ながら私はこの芝居ではワクワクもできなかったし、泣けなかった。歴史ものは俳優のルックスがカッコ良いだけでは感動できない。
    観終わってスッキリできなかった。これは自分の中ではかなりのマイナス点。

    ネタバレBOX

    「徳川への郷愁、明治への恨み」というのが平板に語られるだけで、士族側の描写が希薄。廓の主人になって大久保利通(酒井尊之)暗殺を企てる利通の庶子・義明(新宮乙矢)の人物像に魅力を感じないのが私にとっては最大の難点だった。利己的で私憤で動いているせいか見ていて同情できない。父の利通や使用人の左助が斬られて目が覚めたと思いきや、「もう利用価値がない」と言って仲間に刺客を差し向ける心境も理解できない。義明が操ろうとする徳川慶喜のご落胤、狂四郎(入木純一)も名君タイプとは言えず、眠狂四郎を真似たようなニヒリストで、よくわからない男だ。
    幕末は「蔭間茶屋」が繁盛したが、義明も蔭間だったことが明かされ、義明と狂四郎の間にそれを匂わせるものがあるようだ。
    近年、伊藤博文や大久保利通については従来とは違う角度から政治手腕や人物像を再評価する一般向けの書もいくつか出ており、本作でもどのように表現されているか期待したが、そういう解釈の工夫はわずかながらも見られなかったのが残念。「新政府でまだまだやらねばならぬことがある」と通りいっぺんのことを繰り返すだけでなんら政治ヴィジョンを語らないから(現代の政治家のよう?)、士族側も不満を解消できないはずだ(笑)。あの世から西郷(渡辺城太郎)や龍馬(藤原習作)が常識的に解説する場面も多く、劇的に盛り上がらないこと甚だしい。渡辺の滑舌が悪いのも気になった。
    小鉄(井上真一)が「けりをつけなきゃならねぇ」と狂四郎と切り結ぶのもよく意味がわからない。その前の段階で納得していたから結婚も決めたのではないのか。それを翻意する必然性が劇中で感じられないので唐突な印象を受けた。
    この芝居の中で一番面白かったのは岩倉具視(藤原習作の2役)。幕末に貧乏公家だった男の本音が出ており、スイスイと危難をくぐって生き延びていく男のしたたかさが伝わってきた。岩倉は肖像がお札にもなったせいか、かつては公にあまり悪く言えない雰囲気があったようだが、亡き母が戦前の京・大阪に伝わっていた岩倉具視像について話してくれたのはちょうどこんな感じだったのでふき出してしまった。難点は「あんさん」のイントネーションが一定せず台詞によって違うこと。京阪言葉の語尾の音下がりが不安定。
    評判に聞いていたほど殺陣も巧いと思えず、ぞくぞくするような緊迫感がなく、いち、に、さんとテをつけているのが見てとれてしまうのが興ざめ。特に狂四郎の入木はかたちにこだわっている段階のようで、技量がいまひとつ、斬られ役との息が合っていないので、剣が強く見えない。
    長刀で切腹しようとする場面が2箇所ほどあったのも考証上違和感があった。明治でもこういう場合は脇差(短刀)でないと。
    野村貴浩の勝海舟には存在感があり、好演。それに対する旧幕派の若者たちの魅力が薄過ぎた。晋之介(秋本一樹)は薩摩っぽらしさがあって良かった。中性的な牡丹(菅原貴志)は面白いキャラクター。本来は太鼓もちのような役柄なのだろうが、扮装は太鼓もちではない。鼓を打つ場面が、武士の嗜みのはずなのにまったく鼓の音が出ていないのにはガッカリ。生で打つなら音がきちんと出るようになってから舞台で使うべき。時代劇はこういう小道具が重要なので、疎かに扱ってほしくない。
    女性陣は椿(武田久美子)と楓(高橋佐織)が過去を引きずる守旧派で、小菊(松本具子)と、椿の妹・茜(稲垣納里子)が明るい現実派。徳川の世に幻想を持たない現実派の2人の台詞には説得力があった。武田は滑舌が悪い。
    音楽で雰囲気を盛り上げようとするのが露骨で浮き上がり、芝居の力が足りないと感じた。やたら登場人物にピンスポットを当てる演出の多用もいただけない。ラスト・シーンで全員が並ぶと、本来ならグッと感情が高まるところだが、それまでにさんざんスポットを当ててきたうえ、人物描写が薄っぺらなので際立ってこない。
    女性にはかなり人気のある劇団のようだが、新派や新国劇で腰のすわった本格的な芝居を見慣れた大人向けではないなと感じた。
  • 満足度★★★★★

    めちゃ!かっこイイ!
    作品は、もちろん!生き方も、役者さんも、殺陣も、かっこ良かったです。
    夢、誇り、愛、義理、人情、・・・忘れては、いけないことばかりです。
    次回11月公演も、絶対、観たいと思いました。

    ネタバレBOX

    見せ場は、たくさん、あるのですが、主役だけではなく、各キャラの、かっこ良さに、泣かされます。でも、もちろん、笑いも有り。追い続ける故に、消えてしまった人々の志を、引き継ぐ苦悩もあるけれど、新しい明日(夢)を、見つけて見詰める大切さも、語ってくれます。

    魅力的な役者さんばかりでしたが、藤原周作さんが、二役だったなんて、・・・全然、気付かない程、見事でした。

    照明は、控え目なんだけど、とても、活きてたと思います。刀に映る、淡い赤、青と・・・いろんな場面で、光が語ってました。

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