男の一生 公演情報 男の一生」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★★

    後悔はなかったはず
    チラシに大きくあるキャッチコピー「後悔はないか」、
    きっと三田村周三氏に後悔はなかったはず。
    彼が舞台上で天に召される姿を見届けた。

    蓬莱竜太氏(モダンスイマーズ)の脚本提供と聞いて観に。
    この三田村組ラスト公演が初見となってしまった。

    文句なくいい作品だった。
    ある男「神林(三田村周三氏)」の一生。最後のおとぎ話。
    コレが最後だなんて…残念でならない。
    本当に観て良かった。

    ネタバレBOX

    役者陣、脚本はもちろん抜群によかったのだが、
    私は舞台美術がすごく気に入った。

    葬式を思わせる黒と白の幕が半円に垂れていて、
    その天が束ねられ釣られていてる。
    サーカステントのようにも見えた。
    きっと道化ってことだったんだろうな。
  • 満足度★★

    お疲れ様でした
    今回が最終公演とのこと。
    まだ、「第18回」公演と案内されていた時は、まさかこんなことに
    なるとはつゆ知らず。 本当に長い間お疲れ様でした。

    舞台の上で観る三田村さんは、時に渋く、時にやんちゃで、熱くて
    哀しみを存分にたたえた、「頭から足先まで全身で語れる」役者だったと
    感じていました。 次の動きに期待してます。

    ネタバレBOX

    サスペンデッズから客演していた佐藤 銀平は良い役者だと思いました。
    表情から、細かい動き、発声の加減まで役に溶け込んでいて、
    しなやかでどんな役でも出来そうな。

    前にも書いた気がしますが、蓬莱氏は「雨」が好きなんでしょうか?
    「罪」「凡骨タウン」「サイコ」と立て続けに、降りしきる雨、そこに
    浮かび上がるように現れ出る人物…という構図が毎回なので、
    流石に読めてしまったというか。 巧妙に「過去」と絡み出すのも定石。

    母親が「親不孝者…」と呟きながら登場してくる場面。
    思わず「凡骨タウン」を思い起こす程デジャヴ感が凄かった。

    最後のどんでん返しは上手かったけど、ネタ切れを起こしてるのか、
    劇団最終公演ということで抑えたのか。以前の、観ている観客の
    身まで削り取っていくような、焦燥感が正直最近は感じられない。
    「314」で衝撃を受けて蓬莱作品をチェックするようになった身としては
    何か煮え切れない気分。 どこかで観た感がそれだけ強い。

    それにしても・・・「正当に扱え!」はひどかったなぁ。 あの一言で台無し。
    後半の要になる発言かと思いきや、場面ごと軽く流されたし、
    あの台詞で、とどのつまり自分で何も選択してこなかった老人の
    ただの我儘、それにつきあった揚句を最後慰めてやる青年、という、
    危うく甘えになりそうなところにまでこの作品全体が落ちかかったでしょう。

    でも、「父親の後を追いかける人生だったなぁ… いつも帰ってくるのが
    俺で、ごめんな」って死んだ母親に語りかける場面は思わず泣きそうに。

    蓬莱氏は弾丸のように場面ごとの決め台詞が飛び出してくるのは
    分かるけど、自重しないと逆効果になりそうな気がします。

    最後に、葬式の白黒幕を模した、町工場の舞台セットは巧みで
    印象深いものでしたね。 面白いと思った。
  • 満足度★★★★★

    チラシの意味が後で、わかる
    三田村組、拝見するのは、これで3度目。もっと早くに出会っていたかったと後悔しきりです。

    蓬莱作品は、何故か、外部への提供作品は、どれも好みで、今回も、例に漏れず。
    田村作品同様、終盤、意外な展開を見せますが、こちらは、人物の心情に納得が行くので、観客としての不快感は一切なく、まったくお見事な作劇と感服しました。

    役者さん達も、皆さん、とてもいい!

    ラストまで、観て、三田村さん全裸のチラシの表す意味が飲み込めて、ちょっと、感無量となりました。

    ただ、帰路、後ろから「役者っていっぱいいるのねえ。」「そうそう、成功してるヒトは、ホンの一握りなのねえ」とため息を漏らすおばさんの声が…。
    その方達にとっては、テレビで顔を知っている斉藤さんお一人が、「成功している役者さん」と認識されていたようで、生まれながらの舞台演劇ファンの私には、とても悲しい反応でした。
    私にしてみれば、これだけ、役者が揃った舞台はそうそう、ないのにね。

    ネタバレBOX

    本当は、たった4行で語れてしまうという、主人公の老人の告白台詞に、先日、NHKの番組を観て、衝撃を受けた、「無縁社会」を想起し、心が辛くなってしまいました。

    帰りに寄った喫茶店で、「何か食事できるメニューはありますか?」と、一人、椅子に腰掛けた老女が、注文をし終えた後、携帯で、家族に電話し、「あー、あのね。皆が、一緒に食べて行こうって誘うから、夕飯食べて行きますけど、いい?」と、作り話をしているシーンに遭遇。
    今しがた、観終わった、「男の一生」とダブり、何だか切なくなってしまいました。

    たとえ、いがみ合っても、本音で語り合える家族がいる自分は、幸せなんでしょうね。
  • 満足度★★★★★

    ラストチャンス
    チラシの三田村さんの全裸にインパクトを受けて、
    初めての三田村組の観劇となりました。
    この公演をもって、三田村組が終了するということで、
    最初で最後の観劇となりました。

    ネタバレBOX

    葬式の黒白の幕が垂れている印象的な舞台美術でした。
    そこで、三田村さん演じる主人公が死んだところから、
    物語の幕があがります。

    舞台は町工場。
    跡取り息子が、町工場に訪れて、
    主人公と会話します。
    主人公は自分の人生を語りはじめます。

    その語りに合わせて、
    出演者が町工場の人から、
    主人公の語るその当時の登場人物に替わる演出でした。
    後々に、この演出が効いてきます。

    主人公の人生は、
    不幸と波乱に満ちたもので、
    特に片思いの人との別れと、
    子供の出生が分かるところが、
    非常に印象に残っています。

    そして、全て語り終わって、
    町工場のシーンに戻りますが、
    ここからが真骨頂。
    なんと!?全て主人公の作り話でした。
    これは町工場の人の名前や設定が微妙に変えて、
    語る人生録に出てきていて、
    まるで、ユージュアル・サスペクツのようでした(笑)

    ここで、モダンスイマーズの蓬莱らしい、
    グサッとくる主人公の叫びが印象的でした。
    「作り話ではない自分の人生なんて、たった4行だ」
    教師の両親、公務員として定年退職、そして老後と。。
    普通であった人生。
    波乱もなく不幸でなかった。
    でもそれこそが不幸という二律背反。

    跡取り息子に自分の葬儀の様子を物語として語らせ、
    葬儀を退席する跡取り息子に、
    主人公が「後悔する人生を」と語り、
    「もうここには来ないと」告げる跡取り息子。
    自分が出来なかったことを託したのかなと。

    男の一生を辿ったわけですが、
    その男の虚構の人生って、
    演じることであるので、ある意味俳優であり、
    これは三田村さんの一生も表していたのかなと。
    そして、一生の幕を閉じたのと、
    三田村組を閉じたのを掛けたとしたら、
    とても美しい、まさにファイナルの名に相応しいと思いました。

    終演後に三田村さんと握手出来ましたが、
    とても大きな無骨な手であり、
    男の逞しさを感じました。

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