天気のいい日はボラを釣る 公演情報 天気のいい日はボラを釣る」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
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  • 満足度★★★★

    やはり!!
    studio saltでした!!
    どこかである風景なのに、つい、目をそらして過ごしている現実を、嫌みなく、しかし的確に突きつけてくる芝居に、見終わる頃には完全に引き込まれている。
    終始、芝居に大きな変化はないのだが、見ている客の心情が、椎名の脚本と役者の芝居で変化していかされ、登場する人物がものすごく『生々しく、人間臭い』ので、退屈することはない。
    椎名 泉水に『人間』を書かせたらこんなに面白い人はいないと思います。

    一か月経っても思い出せる、とても面白い芝居でした。

    次回も楽しみにしています。

  • 満足度★★★

    ささやかな幸せを愛でる繊細さ
    せちがらい現代日本で最低限の生活を獲得するために、川辺で人知れず戦っているホームレスの人々を、とことん優しい視線で描いていたように思います。小さき者を慈しみ、ささやかな幸せを愛でる繊細さが伝わってきました。

    ただ、なにげない日常が淡々と続くお芝居は、大事件でなくとも何らかの出来事が起きた時に、空気がぐっと変化するような、劇的な仕掛けが必要だと思います。照明・音響・衣裳・舞台転換などの目に見える(耳に聞こえる)演出でもいいですし、役者さんの演技の密度でもいいのですが。そういったところに物足りなさを感じました。また、具象と抽象のバランスがあまり良くなかったように思います。

    終演後は一般客も参加OKの2日目カンパイ(劇場内で開催)に参加させていただきました。自己申告のカンパ制で、炊き出しの料理食べ放題・缶ビールなど飲み放題という大盤振る舞い!赤字が出るんじゃないかと勝手に心配になりましたが、お客様は皆さんとても楽しそうでした。私は缶チューハイをいただいたので150円カンパしました。

    ネタバレBOX

    役所や教会の人、そしてホームレスに暴力を振るう若者らの言動・行動に、致命的な想像力の欠如と愚かさを感じられたのは、川辺で鍋を囲むホームレスの人々の、ほんの数時間(数分間?)のささやかな幸せが、リアルに描かれていたからだと思います。

    作品の中にぐっと入りこめたのは、開幕してから約40分後だったと思います。お笑い芸人“ぺん”(木下智巳)の川辺からの登場が、もっとドラマチックだったらな~。余命が少ないと告白するテント少年(高野ユウジ)が、ニコニコ顔の奥にある本音を表す(ケンカする)ところが良かったです。

    具象・抽象のバランスについては、例えば、拾い集める缶もシールも本物だし、テントも本物。食事も本物で役者さんが実際に舞台で召し上がっていました。でも、川から這い出てきた“ぺん”が全身びしょ濡れではなかったんですよね。濡れた服を脱がせてから新しい上着を渡すはずが、濡れた(はずの)シャツの上に新たにシャツを着せていました。細かいことですが気になってしまいました。

    老人シゲさん(小川がこう)が天井から紐に吊られて宙に浮くシーンが挿入されており、そのシーン自体はスリリングで面白かったのですが、なぜなのかがわかりませんでした。嵐がやってきて川でおぼれていたところ、警察(?)のヘリコプターによって助けられたんですね。翌朝になってジョージ(東亨司)が「(住処が飛ばされたので、今度は)川じゃないところにする」と言ったところで、初めてわかりました。

    シゲさんが1人で釣りをするシーンは、劇的な空気の厚みが出ていたと思います。かつてジョージがやっていたように、壁に缶ビールのシールを張っていくのも効果的でした。冒頭のシーンとのつながりがもっとわかりやすければ、さらに良かったんじゃないかと思いました。
  • 満足度★★★★

    惜しい
    面白かっただけに

    ネタバレBOX

    自転車の彼が病気だと分かり、そこから更に何かがあれば。
    もう一押しの何か。
    少なくとも観客としてはその何かに期待していました。

    しかし全体を通じて完成度の高い劇団だと思いました。
  • 満足度★★★★★

    最後に、最初のシーンがフラッシュバックしました
    もしかしたら、よくある話なのかもしれない。なのに最後は涙が出そうになってしまった。役者さんの小さな動きにも意味があって、せりふでなく、舞台全体からストーリーを感じる芝居でした。最後のシーンで、一番最初のシーンが思い出されたのは、さすが演出の力だと思いました。誰にでももしかしたら別の人生があったかもしれない、でもこの人生を生きていくんだよな~って感じが
    切なかったです。40過ぎの人なら、この感じ誰でもどっかに持ってるんじゃないかな、、。

  • 満足度★★★

    静けさ
    社会からはみ出た者たちが、いかに寄り添っているか、そこにある孤独や温かさを、丁寧に描いていた。

    ネタバレBOX

    結局、最後にはヒトはヒトを求めるものであり、ヒトに救われるのだということを、説教臭くすることなく、作品になっていて、
    決して明るい未来が描かれている訳ではないのに、爽やかだった。
  • 満足度★★★★

    人生への応援歌
     横浜を拠点に活動し、神奈川県では根強い人気のある劇団の東京進出公演。東京と横浜と言えば近いと思われるかもしれないが、メンバー全員、東京のホテルに宿泊しながらの公演ということで、やはり、その苦労は並大抵ではないと思われる。それでも東京進出を図ろうとする劇団の志しと意気込みが作品に溢れていた。

    ネタバレBOX

     オープニングはのどかなシーンで始まる。題名どおりの天気のいい日にのどかにつりをする初老のしげさん。通りがかりの人が優しく声をかける。みんないい人でみんな幸せそうだ。平和を絵に書いたようなシーンだ。ところが後からわかることだが、この冒頭シーン、実は様々な問題を抱える登場人物たちの、想像上での幸福シーンなのである。

     現実には登場人物の全てがそれぞれの問題や悩みを抱え、今はホームレスとなったりしている。自転車で日本縦断を目指す人なつっこい好青年が登場する。この青年だけは他の人と違い幸せそうだと思ったら、実は不治の病に冒されているということがわかる。今の時代、問題を抱えていない人などいないのだ。

     そういう人生の厳しい現実をしっかりと描き、そして将来の希望や夢を安易に提供するのではなく、この現実から抜け出すことは出来ないかもしれないが、それでもこの現実を肯定しようという前向きな姿勢の作品なのだ。しげさんは仲間にこう語る。今までの人生を振り返っていいことだってひとつやふたつあったろ?これからだっていいことがあるかもしれないぞと。

     うまくいかない、どうしようもない人生だけど、天気のいい日もある。ボラという魚は臭くてまずい魚だと思われているが、それは汚染された海のせいで、本当は鯛よりおいしい高級魚なのである。そのボラに登場人物を重ね合わせて、今はみすぼらしい生活をしているが実は心豊かな人たちなのだということを作家は描いている。心温まる人生への応援歌だ。

     ひとつひとつが上質な手作り感があり、役者の動き、台詞、目線、そのひとつひとつが計算された上で、実に自然なのだ。しげさんがブルーシートに釘を打つシーンがあるが、その釘を打つということだけで、背負ってきた人生の悲哀と、これからの不安、それらを振り切って強く生きていこうという決意などが、見事に表現されている。そういったシーンがたくさんあるのだ。食事のシーンもそうである。ただ、食べるというだけで、それぞれの人生を表現出来るのである。素晴らしい演技であり、素晴らしい演出だ。

     派手さはないが、しぶく光る劇団である。本物志向の人たちにはたまらない劇団である。
  • 20090520
    20090520@王子小劇場

  • 満足度★★★★

    のんびりとした空気を・・・
    感じさせていただいた舞台でした。

    面白かったです!

  • 満足度★★★★

    よかったです。
    非常に。
    のんびりした時間の流れを感じました。

  • 満足度★★★

    あったかい役者さん達
    出ていた役者さん達が暖かくて良かった。

    ネタバレBOX

    公演が終わってからが激アツで、のんびりゆっくり話しを聞けたりするのが楽しかった。役を外した役者さんと話できたり、裏話を聞けたり、自分には新鮮でした。
  • 満足度★★★★

    温かい甘水に満たされる思い
    ほのぼのとした風景が多く観た後に本当に優しい気持ちになれる作品。
    芝居は釣りのシーンから始まるが、フライヤーに似たような風景は、大きなスクリーンに流れる綿菓子のような真っ白い雲や、橙色の夕焼けを映し出す事で見事に演出する。

    観劇後、打ち上げと称する飲み会があります。これに参加すると楽しい。(^0^)舞台で使ったボラ鍋(豚汁)やおにぎり、つまみ、漬物、イカのから揚げ、卵ぶっかけご飯、メンマ、シュウマイなど出してくれます。飲み物はビール、ワイン、焼酎など。(空き缶は潰さず回収し、次の舞台で使用)キャストやスタッフも慣れたもので観客を飽きさせません。実に楽しいひとときでした。



    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    川辺を住居としているブルーシートの人たちの人情劇。
    鮮やかな緑に囲まれた川のほとりに今にも倒れそうなブルーシートの小屋。ここで暮らすシゲさんが釣りをしているシーンから始まります。その風景は本当にのどかで、釣竿の先では、太陽の光を反射して銀色に輝いてる魚が時々ピシャ!っという小さな音をたてて水面を切るようにして飛び上がるさまが想像できる。
    シゲさんの所には社会で生きられなくなった人たちがいつの間にか、住み着くようになるが、やがて彼らは役人の説得により役所が用意した仮設住宅に一人、二人と移動し始める。その間、窃盗や暴力、台風などの天災によって現在の環境では居られなくなるもシゲさんだけがこの場所に残る。

    物語の内容は実際にありそうなありふれた風景を描いているが、この物語の凄いところは、ありふれた風景に心という心地良い感触と小さな熱を加えることで、こんな風に優しい物語になるのだと、そう思いました。
    この世の不条理とか己の身の上に推された烙印の深さとか、生きるとは何か、死ぬとは何か、いったい私達は何に向かって転がり続けているのか・・。そんな心持ちになった舞台。

    全体的に優しげで温かみがあって日向の匂いのする物語です。
    彼らは変わる事を切望しながらも自分が変われない事を嫌と言うほど理解し、そうして淡々と空き缶を潰しながら生きていくんだよね。人が生きていくと言う事は何かを捨てていく事ではなく、広い集めていくことではないのか・・、この空き缶のように。

    役所の職員や牧師が彼らに話しかけるシーンは滑稽でオカシイ。(苦笑!)
    シマウマがライオンに「一緒に遊ぼう!」なんて言ってるようなもので、会話が成立していない。つまり、生きてきた環境が違いすぎるし、価値観も経験も違いすぎる。だから、吐いてる言葉は理解できても会話は成立しないよね。そんな可笑しくも切ない要所も随所に取り入れ、役者の表情や目の動きや仕草で演じます。決して劇中のセリフは多くない。多くないけれど役者の演技力で魅せます!実に素晴らしい舞台でした。

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