劇艶おとな団

集合写真提供:劇艶おとな団

 CoRich舞台芸術まつり!2022春・グランプリ受賞作の劇艶おとな団『9人の迷える沖縄人~after’72~』が、こりっちスポンサード公演として2023年5/20(土)~21(日)ロームシアター京都ノースホール(京都府)にて再演されます。

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審査員クチコミ評

 公演関係者の皆様(安和学治さん、犬養憲子さん、宇座仁一さん、島袋寛之さん、上門みきさん、当山彰一さん、与那嶺圭一さん ※五十音順)にZoomでお話を伺いました。

インタビュアー

 初応募での、初グランプリ受賞でした。そもそもなぜ応募しようと?

 
 

 制作の土屋さんからの提案でした。復帰50年(※2022年は沖縄・本土復帰50周年)の節目だということもあって、多くの県外の人にも知ってもらいたいなと思っていたので、応募させていただきました。応募して、しかも最終候補10団体に残ったことを他のメンバーが知ったのは、チラシを見た時かな。審査員が5人も来るんだ!って。

当山彰一さん
 

 私は大阪インディペンデントシアターの一人芝居フェスティバル「INDEPENDENT」に 出演する時にCoRichチケット!をよく利用させていただいていて、このまつりのことも知ってたんですけど、応募してることは知らなかったです。

犬養憲子さん
 

 私は本番一週間前くらいに知って、すごく緊張しましたよ!

上門みきさん
インタビュアー

 受賞作『9人の迷える沖縄人』は8年前に初演してからこれまで何度も上演されていますが、2022年の復帰50年にあたって、なにか変更された点はありましたか?

 
 

 脚本は変えましたね。ウクライナ侵攻があったことも語りたかった。それにあたって登場人物一人ひとりの言葉を少し鮮明にしました。

安和学治さん
インタビュアー

 ご覧になった方の様子や、印象的な感想はありますか?

 
 

 今回は客席に子どもや若い方が多かったかな。
(※若者に演劇の機会をプレゼントする企画「みらいチケット」 を導入)

犬養憲子さん
 

 小学校跡地に建った新しい劇場ということもあって、近所のリピーターの方々も来てくれましたね。

当山彰一さん
 

 60代の方から「よくできている」「懐かしい話も出ていた」「宇座仁一さんの方言がかっこいい。自分も綺麗な方言を喋りたい」と聞きました。60代の方でもそう思うんだと知って、宇座さんのすごさを感じました。

島袋寛之さん
 

 僕のお父さんも60代なんですが、沖縄のパスポートの表示についてなど父が初めて知ったことがあったそうです。家に帰って自分のパスポートを見て「本当だー!」ってびっくりしたみたい。今まで知らなかったことやいろんな発見があって面白かったらしいです。

与那嶺圭一さん
 

 いつもはなにも反応しない僕の知り合いも、今回は「本当にすごかった。絶対に続けてほしい」とメールをくれて、びっくりしました。

安和学治さん
 

 演劇嫌いって言っていた人も「とても面白かった」と言ってくれましたね。びっくりしました!

上門みきさん
劇場で販売した戯曲とオキナワグラフ2022年4月号(写真中央が当山彰一さん)
劇場で販売した戯曲とオキナワグラフ2022年4月号(写真中央が当山彰一さん)
インタビュアー

 初演からどんな変化があったのでしょう?

 
 

 私は今回初めて出演しましたが、観客としては3回くらい観ているんですよ。最初の時と今では全然違う感じがしますね!なんでだろう?

上門みきさん
 

 初期の頃は、「有識者」という役がメインのキャラクターだったんです。でもそれがどんどん変わっていって、最近では登場する若者たちに焦点があたっているように思います。そこが一番大きい変化かな。たぶん、時代が変わると主人公が変わるんでしょうね。

安和学治さん
 

 「演出家」という役もいなくなりましたね。

犬養憲子さん
 

 ああ、そうだ!もともとは出演者が10人だったんですよね。今の9名にくわえて、「演出家」という役がいて、客席から演出をつけるんです。そこも大きな変化ですね。

当山彰一さん
 

 出演者もけっこう変わりましたよね。今のメンバーは2年間同じで、それぞれ違う劇団から集まっています。最初の段階で「みんな普段は違う活動をしているけれど、ここではひとつの劇団のような関係性で、一緒にお芝居を作ろう」と話をしてから始めたので、仲がいいです。

犬養憲子さん
 

 年に1回、この芝居をやる時に全員そろうような関係ですね。2021年にこのメンバーでこの作品を、アトリエ銘苅ベースという小劇場で上演するつもりだったんですが、コロナの影響で配信だけになってしまった。だからこそ復帰50年にあたっては同じメンバーでやりたかった。作品のなかで演劇の稽古をするシーンがありますが、実際の稽古場でもあんな感じですよ。すごく自由です。

当山彰一さん
 

 (笑)

みんな
 

 まあ、劇場に行けば顔を合わせたりするので、ふだんから距離が遠い感じはしないですからね。

安和学治さん
インタビュアー

 これだけ所属が異なる方々が集まる公演って、沖縄ではよくあるんでしょうか?

 
 

 珍しいと思います。僕がね、ずっとやりたかった形なんですよ。劇団の垣根を越えて、沖縄でなにかやりたいなとずっと思ってた。そのきっかけは、もう何十年も前の小劇場ブームの時に、下北沢の本多劇場でつかこうへいさんの『広島に原爆を落とす日』という芝居を観たことでした。そこで東京壱組や第三舞台などの名だたる劇団の人たちが出演していて、「こんなにいろんな劇団の人たちが集まってひとつの舞台ができるんだ!やってみたい!」とずっと思っていたんです。それからは「沖縄でいろんな劇団に入っている人たちと一緒に集まってお芝居ができたら楽しいだろうな」という思いをもとに、いろんな企画をするようになりました。

当山彰一さん
インタビュアー

 『9人の迷える沖縄人』もその企画のなかのひとつですか?

 
 

 それがもともとは劇団(劇艶おとな団)のための作品だったんですよ。脚本の安和さんが、札幌の劇場コンカリーニョでELEVEN NINES(イレブンナイン)さんの上演した『12人の怒れる男』を観て刺激を受けて、書いてくれました。当時はおとな団のメンバーが9人しかいなかったので、演出の僕を合わせて10人芝居でしたね。再演をするうちにどんどんこの作品が面白くなっていったんですが、劇団員は普段は働いている人が多いので再演が難しい。そこで少しずつ沖縄で活動するプロの俳優さんを引っ張ってきて上演しているうちに、今やおとな団メンバーは僕と安和くんしかいなくなりました。出演者にいたっては僕しかいない!(笑)

当山彰一さん
写真1
『9人の迷える沖縄人』舞台写真

 グランプリ受賞後の変化

インタビュアー

 グランプリを受賞していかがでしたか?

 
 

 青森の渡辺源四郎商店(2008年グランプリ団体)の畑澤(聖悟)さんから電話がかかってきて「おめでとう」と言われたことで知ったのかな。驚きましたね。「獲れたんだ……」というのが正直な気持ちです。

当山彰一さん
 

 (笑)。特になんの期待もしていなかったんですよね。

安和学治さん
 

 僕はベッドの上でYouTubeの受賞発表を見ていたんですけれど「グランプリか!すごいな!え、お金ももらえるの!?」というのが正直な感想でした(笑)

 

 演劇関係者からも「おめでとう」と言っていただけたのも嬉しかったですね。

島袋寛之さん
 

 2017年に沖縄からCoRich舞台芸術まつり!にエントリーした劇団ビーチロックさんからもたくさん「おめでとう」と言っていただけて、嬉しかったです。

当山彰一さん
 

 とってもびっくりしましたが『9人~』のメッセンジャーグループで「1位獲った ぞー!やったー!」と盛り上がって嬉しかったです。箔がついたな、とも思いました(笑)。あとは宇座さんが演技賞を獲ったこと。宇座さんは沖縄でもとてもすごい人だけど、その宇座さんが賞を獲ったことで、内地の人たちから見ても組踊の人ってやっぱりすごいんだろうなと思って嬉しかったですね。宇座さんには賞金でおごってもらおうと話しました(笑)。

上門みきさん
 

 でもこのご時世なので、まだ実現できていないんですよね。受賞については正直、びっくりしかないですね。僕はふだんは組踊(琉球の歌舞劇)の活動をしているので、現代演劇とは違う畑にいるんです。けれども今回、これだけのすごいキャストの中から演技賞をいただけて、本当に驚きました。

宇座仁一さん
インタビュアー

 広報面でも、復帰50年として力をいれているのを、沖縄に降り立って肌で感じました。ロビーの展示も充実していました。また、昨年は、雑誌『悲劇喜劇』に戯曲が掲載されたり、当山さんが第57回沖縄タイムス芸術選賞・奨励賞を受賞されたりと、さまざまな面でも注目されました。

 
 

 復帰50年としていろんな雑誌に取り上げていただいたり、県内だけでなく県外の新聞社にも3社ほど(日経新聞、朝日新聞、毎日新聞)取り上げていただきました。珍しくフランスの記者の方も取材に来てくれたのは少し驚きましたね。

当山彰一さん
写真2
『9人の迷える沖縄人』舞台写真

 再演について

インタビュアー

 賞金100万円は再演資金として支援しています。5月に京都で再演されますが意気込みは?

 
 

 5月15日が復帰の記念日なので、本土復帰について考える5月にこのメンバーで再演をしたかったんです。そして、沖縄でやるのか、県外でやるのか。県外ならどこでやるのか……相当迷いました。北九州、大阪、仙台、三重などいろんな候補を考えましたが、せっかくグランプリを受賞して注目もいただいているので、少し規模が大きくて、いろんなお客さんに観ていただきやすい公共ホールでやりたいという思いもあって、まっさきに興味を示してくださったロームシアター京都さんでの上演を決めました。その一環として、すでに1月に沖縄県内の中学校2校で上演しました。実は、50周年の上演を観に来た沖縄県浦添市の市長が50周年の上演を観に来た沖縄県浦添市の市長がTwitterで応援コメントを書いてくれたので、終演後にお礼のご挨拶に行ったんです。そこで「若い子たちにどんどんこういう作品を見せたいね」とお話しくださって、中学校での上演が決まりました。

当山彰一さん
 

 京都では、やっぱりいろんな方に観ていただけるのが嬉しいですね。沖縄といえば綺麗な海とかだけじゃなくて、いろんなお芝居があって、いろんな問題も含んでいて、それもひっくるめて沖縄なんだということを伝えれたらいいな。

 

 京都公演が決まってから、いろんな人から「やったー!観に行くね」という反響がたくさん来ました。大勢の芝居で県外公演をする機会はなかなかないので、京都で上演することで多くの方に観ていただけることは嬉しいですね。

 

 沖縄から海を渡って本土に芝居を持っていくことは本当に大変なんですよね。でも、沖縄までは観に来られないけど、本土なら行けるよという期待も聞いています。すでに札幌から2人のほか、全国小劇場ネットワークに取材に来ていた東京の朝日新聞の記者の方、三重県の方々からも「観に行きます」と連絡をいただいているので、いろんな方にどう観ていただけるのか、すごく楽しみです。もちろん「グランプリを獲ったのでやろう!」という気持ちもありますね。

当山彰一さん
 

 京都公演って字幕はあるのかな? 私の「文化人」という役は古典の役者さんで、台詞の7割くらいが沖縄の方言なんですよ。いつも「意味は伝わっているのかな?」と感じています(笑)。前に鳥取で公演した時も、地に足がついていないまま演じている感じがしていました。

宇座仁一さん
 

 (笑)

 

 「こんなに一生懸命しゃべっていても、お客さんには通じていないんだろうな……」という疑問があって。もうちょっと標準語に近づけた方がいいんじゃないのかと演出の当山さんや脚本の安和さんにも相談はしたことがあるんですが、「いや、沖縄はこういう言葉があって、こういう文化の島なんだから、それはそれでいいんだ」と言われて。「宇座さんが言っていることは意味がわからなくてもいい」って(笑)

宇座仁一さん
インタビュアー

 沖縄の言葉の意味はわからないことも多いですが、同じ空間で観劇しているからこそ、言葉以外から届くものがたくさんあるんだと感じました。後で脚本を読んでさらに深まったこともあります。わからないことによってわかることがものすごくあると感じられたことは、この作品の魅力でした。

 
 

 誇りをもって頑張ります!

宇座仁一さん
写真3
『9人の迷える沖縄人』舞台写真
インタビュアー

 再演にあたって、脚本面や演出面での変更はありますか?

 
 

 脚本は変えないです。ただ、なはーとでのグランプリを獲った公演は、この作品が初めてプロセニアム形式(※舞台を正面から額縁のように切り取った構造)のように、お客さんが正面にだけ座っていた形態だったんです。これまでの上演ではずっと3方向から囲んでもらっていたんですよ。だから前回は、舞台を身近に感じていただけたらいいなという狙いがあって、スライドを使って沖縄について説明をするシーンを入れていました。でもロームシアターの場合は、3方向から囲むことができるので、スライドは無しで、本来ずっと続けてきていた演出に戻す予定です。

当山彰一さん
 

 何回観ても楽しんでもらえる作品だと思うんです。今まで沖縄でも何回か上演していますが、自分達も毎回新たな発見があるんですよね。台詞やラストシーンもどんどん変わってきているので、出演していると「あ、今回はこういうラストなんだ」という感覚もある。私も毎回舞台上で違うことをやっていて、共演者を笑わせることに必死になっています(笑)。そういうことも楽しんでいただけるかなと(笑)

 

 宇座さんのうちなーぐち(沖縄語)が聞けますし、組踊の一部も見ることができますよ!

当山彰一さん
 

 1人でも多くの人に観に来ていただけるよう、感動と笑いを与えられるように頑張ります。ぜひ観にいらしてください!

宇座仁一さん
写真3
集合写真

インタビュー実施日:2023年2月24日 ZOOMにて 取材・文:河野桃子 ※文中敬称略

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