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朗読劇「Unknown」

朗読劇「Unknown」

劇団ナンバーエイト

浅草九劇(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)上演中

予約受付中

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演のAチームを観劇。
動きのある朗読劇ということはうかがっておりましたが、これほどまでとは思ってませんでした。台本を持たない場面も多く、演劇の舞台に近いものだったと思います。

公演は4回ありますがメイン3名の演者さんは毎回変わるので、たったの1回です。お三方はその1回にすべてを出し切ったと感じました。

持田さんは台本を持たないシーンも多く、朗読劇と思ってたのが良い意味で裏切られました。たまたまですが私の正面に来ることが多く、細かい視線の演技までよく見えてよかったです。

ストーリーには引き込まれました。伏線を回収する流れが見事だったと思いますが、それに加えて演者さん7人の強い思いも大きかったと思います。

ネタバレBOX

持田千妃来:近藤椿。「思考手術」の研究・実行者
松井拓己:2役 春本一澄・小出千春。元教師で椿のアシスタント・椿の死んだ恋人
辻美優:加瀬伊吹。反逆で罪に問われた春本の、弁護士

チラシには「SFメルヘン。再び。」と。上演前の案内放送によると、過去に舞台としても上演されたそうです。

以下は私の解釈です。記憶に頼っているところがあるので間違いあったらすみません。

PM2.5などで地上の汚染が激しく、人々は地下で生活するようになった、2040年の世界。
椿の耳にある半導体チップには14,000人もの思考データが入っている。
春本が来るまではひとりで研究室におり、その思考と共存していた。
犯罪者の思考を強制的に書き換える。それを椿ひとりでやっていた。犯罪者の再犯率はわずか1%。
その職を離れることはできるが、契約で記憶を消されることになっていた。椿は千春の記憶を消されたくないので、続けていた。
昔。椿が大学1年、千春が3年。千春たちゼミのみんなで「思考」の研究。それが原因で千春たちゼミの皆は死んだ。「思考」を椿が引き継いだ。
椿が時折腕を伸ばして「ダー!」とする、照れるときに額を抑える、といったことは千春のそれ。

花の「サイネリア」は本来「シネラリア」で、日本語的に縁起が悪いので通称ができたと。勉強になりました。
爪かわいい

爪かわいい

絶望プリンアラモード

北池袋 新生館シアター(東京都)

2024/05/18 (土) ~ 2024/05/19 (日)上演中

予約受付中

実演鑑賞

満足度★★★★

ピンクに染まるネイルサロンの一室に集う女性たち、その生き方が交差しやがて思わぬ方向に転がってゆく休憩無し約1時間50分、キーワードは「爪は死体」。

達磨さんは転ばない

達磨さんは転ばない

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/15 (水) 19:00

初日を鑑賞したが、やはり村手龍太の描く舞台世界は(いい意味で)一癖も二癖も、と、そう思わせる作品だった。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

映画監督の金本達磨(女性)が5年ぶりの新作制作にあたり、スタッフやスポンサー等には相談もせず、独断でキャスト募集オーディションをSNSで告知した。スポンサーはこれでは金を出せないと騒ぐし、マスコミも密かに探りを入れている様子にプロデューサーや助監督は対応に走り回る。
一方、選考されオーディションに集まったのは闇を抱えた8人の男女。そこで達磨は参加者たち応募書類に書かれていた彼らの経歴をほのめかしながら、それぞれが己を曝け出すことを要求する。刑事だという男も顔をみせ、達磨と思わせぶりにやりとりしている。

劇中でも事実と真実の違いについて説明がなされるが、まさにどこまでが事実で、どこからが虚構かはっきりさせない展開が続く。そしてラストでのどんでん返しで、またさらにどこまでが事実なのか観客を煙に巻く。

達磨役の上田愛がこのトンデモキャラクターを存在感たっぷりに演じている。
刑事と思しき村手龍太やプロデューサー役として久々の舞台出演となった中村公隆は勿論のこと、ムショ帰りの男を演じた朝廣亮二(この役を以前龍門に客演した役者に演らせるとしたら和興あたりか…)など、年配の男優の演技は厚みが違う。若手役者もこうした演技を観ながら成長していくんだなあと実感した。
PLAY ULTRA vol.4  合戦-3on3-

PLAY ULTRA vol.4 合戦-3on3-

PLAYULTRA

神戸三宮シアター・エートー(兵庫県)

2024/05/18 (土) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

壱劇屋の6人の悩める観客や病的船団に出ていた赤鬼の行澤さんがオーガナイザーをされているイベント!
去年、ハラマサさんが出ていたヤツのチーム対抗戦。
中尾周統参戦につき、遊びに行ってみる。
優勝:超絶FANTASTIC(中尾周統・三原悠里・浄弘卓磨)
MVP:中尾周統
ちかちゃんはやっぱり凄かった!

ちかちゃんはやっぱり、きのこりん?を出してきた…

達磨さんは転ばない

達磨さんは転ばない

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★★

達磨さんが転ばないどころか、輝いていました。

ネタバレBOX

重たい過去を抱えた人たちのオーディション、映画製作、詐欺事件、どこからが映画製作なのか、その意表を突く展開に圧巻されました。最初から最後まで役者の熱気か熱量が高く感じ、集中力が高まりました。それぞれの登場人物の暗い過去が少しずつあらわになる展開は絶妙です。心打たれる場面があるところに、笑いの瞬間がいいところでスパイスのように効くのが、とてもいいですね。
親の顔が見たい

親の顔が見たい

diamond-Z

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

世界ギュルルン滞在記

世界ギュルルン滞在記

FREE(S)

ウッディシアター中目黒(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/06/02 (日)上演中

実演鑑賞

面白かったです。

世界ギュルルン滞在記

世界ギュルルン滞在記

FREE(S)

ウッディシアター中目黒(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/06/02 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

普通のコメディかと思っていましたが、ちょっとブラックっぽい考えさせられる深い内容でした。後半意外な展開があり、しかもそこに話は落ちつかず、更にオチがあったと言うのはびっくりでした。全体通して飽きさせないお話でした。

ネタバレBOX

猿のままでいた方が幸せなのか難しい選択ですね
でも彼がどっちの選択をしたんだろうと気になってしょうがないです。そこをすっきりさせたかったけれど、観ている人が想像するものなのですかね。
最後のオチでなーんだ心配したのに、めでたしな気分にはなったけれど。
役者の皆さん素晴らしかったけど、特に猿の方が体も動きも猿っぽくて最後にプロデューサーとして出てきた時とのギャップがすごいなと感心しました。
LALL HOSTEL

LALL HOSTEL

おぶちゃ

MsmileBOX 渋谷(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/26 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

色々な男女模様が描かれて、面白い舞台でした。

PLAY ULTRA vol.4  合戦-3on3-

PLAY ULTRA vol.4 合戦-3on3-

PLAYULTRA

神戸三宮シアター・エートー(兵庫県)

2024/05/18 (土) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

満足度★★★★

3on3の四チームの対決 個人的には普通の演劇が好みだが、コスパも良く楽しめました‼️

若き日の詩人たちの肖像

若き日の詩人たちの肖像

平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co.

戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡(東京都)

2024/05/17 (金) ~ 2024/05/19 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

新宿区にある「戸山公園」にて上演された野外劇。近隣には学習院女子大学、早稲田大学、都立戸山高校などがあり、学校に囲まれた、緑豊かで人々の行き交いも多い公園でした。18時30分開演、上演時間60分。ゆっくり日が暮れていき、闇が広がり、表現が街へ伝播していく。野外劇の醍醐味のひとつに「街との一体感」があるけれど、今作は「ステージを基点に想像力をどこまで広げられるか?」という、表現の能動的な営みを感じることができました。

ネタバレBOX

森の中に佇む野外特設ステージ。夕景から夜景に変わる自然を背景に上演する。これらの環境要因に強いこだわりを持って企画されたことがよく伝わってきます。正直、この上演環境であれば、何を上演しても観客の満足度は高いと思う。それを踏まえて、どのようなテキストを乗せるか? についても熟考し、迷いながら、悩みながら、でも信念を持って上演に至ったのだと想像します。戦争に翻弄された時代、若き芸術家たちの苦悩、不安定な社会状況など、カンパニーの実存と重なる内容だと感じました。反戦に対する想いは勿論ですが、芸術家たち自身の自我、葛藤、絶望などを描いている点も印象深かったです。
親の顔が見たい

親の顔が見たい

diamond-Z

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今まで身の周りで中学生の自殺事件が起こった事こそ無いけれど、普段 通りかかっている学校内で、こんなやり取りが実際にあっても全くおかしくないなぁと思わせる説得力
日常生活の延長線上な世界観は、やはり日常生活で関わりのありそうな雰囲気ある役者さん達の揃ったdiamond-Zさんにはとても合っている
穏便に暮らしていて突然この様な事件に直面したら
「これは何かの間違い、うちは関係ない!」・・・そう思いたい気持ちは痛いほど分かる
だからこそ目が離せない
本当にいろんな親の“顔”を見る事ができます
味わい深い役者さん達、台詞が自身の役に沁み込んだ“言葉”としてもう一段自然に発せられたなら、味わいはより一層深まったと思う

略式:ハワイ

略式:ハワイ

劇団スポーツ

OFF OFFシアター(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)上演中

予約受付中

実演鑑賞

まだ学生劇団だった「劇団スポーツ」が7年前に上演した作品の、リクリエイション版だとか。タイトルは一緒ですが、内容は新作に近いのかも。当日パンフに記載されたキャラクター解説が劇中より詳細に設定されており、大幅な加筆修正が想像できます。

ネタバレBOX

17歳の高校生たちによる学園青春ドラマ。体罰に近いハードな練習を課す剣道部に所属する主人公。残りの高校生活をこのまま剣道部に捧げるべきか? について悩み、クラスメイトに誘われるまま高校生バンドへ加入。剣道からバンド活動にシフトチェンジしようとしたその時、「10年後の自分」を名乗る青年が現れ、剣道部を辞めないよう提言する…。

ネタバレOK欄ですが、ネタバレしない方が観劇を楽しめると思うので、大きなネタバレは避けます。僕の感想は、昨年内田さんがヨーロッパ企画へ客演した影響が、今作に濃く出ているなぁ…というもの。勿論悪い意味ではなく、吸収力があり意欲的な若手劇団として目に写りました。
親の顔が見たい

親の顔が見たい

diamond-Z

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

初めて入る劇場だったが、昨年他の劇団で観た本作の公演とはセットのトーンやテーブルの配置などが違う。色んな意味で「強い」作品だから面白くはなるのだけど、今日の回は少々演者のバラつきが目立ったような。

象

9PROJECT

上野ストアハウス(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/19 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/05/18 (土) 13:00

座席1階

9プロで別役作品とは新境地の開拓かな、と思ったが、流れとしては9プロが上演しているつかこうへいに最も影響を与えた劇作家が別役実だということだった。この「象」という作品は別役が25歳の時の作品で、初演が1962年。高野愛の前説によると、つかは「初球革命講座飛龍伝」などでも思いっきりパクっているということで、つかこうへいが相当なリスペクトを払っている劇作家が別役であることは間違いない。まだ、戦争の影が色濃い舞台設定の作品を若き9プロがどう演じるか。ということで上野に向かった。

舞台上には病院のベッド。これは他劇団による「象」と共通している。被爆者で原爆症を患い入院している男と、訪ねてくる甥。甥もまた、被爆者であり舞台後段で吐血して入院する。男は背中にケロイドを負っており、それを町で見せ物にしていたことが、舞台の進行で分かってくる。だが甥は、そうした「見せ物」としての原爆の記憶は変容していると主張し、男が病院を抜け出して再び「見せ物」として背中をさらそうという試みを止めようとする。

別役の不条理劇とは趣を大きく異にする物語だが、確かにつかこうへいの香りがすると思う。それは9プロが上演したからでなく、この作品につかが相当入れ込んでいたというエピソードが、その香りの理由を物語っている。おそらく別役の戯曲に忠実につくられた今作の台本。せりふの端々に別役ワールドが感じられるのも、つかこうへいをリスペクトする9プロの舞台らしいと思った。

「2代目はクリスチャン」のような迫力あふれる舞台ではないが、今作は9プロの新境地になる舞台かもしれない。そうであると期待し、「郵便屋さんちょっと」も見てみたい。

親の顔が見たい

親の顔が見たい

diamond-Z

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

重い内容だったが引き込まれた。うちの子に限って…思いたいよね。だけど,子供の24時間全てを把握してるわけじゃあ無い。
加害側も同じ…
ラストが未消化で残念な気がする

達磨さんは転ばない

達磨さんは転ばない

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです。迫力ある演技に圧倒されたマジどんやピンタ…痛そう
クライマックスの展開がごちゃごちゃ面白かった

物語ほどうまくはいかない物語

物語ほどうまくはいかない物語

wag.

小劇場 楽園(東京都)

2024/05/18 (土) ~ 2024/05/26 (日)上演中

予約受付中

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/05/18 (土) 13:00

Route 4 を観た。須貝英の作・演出作品は久々で、2019年に上演された作品を別ユニットで上演。とてもよくできた、いい話。ちょっとばかりホッコリする。(4分押し)107分。
 新人賞を取ったばかりの小説家の卵・紗那(井上みなみ)の所に、失跡してた父が戻って来るが…、の物語。よくできた物語で、ちょっと展開が急過ぎる気はするけど、次々に起こる出来事には興味を引かれちゃうし、登場人物達のキャラが濃くて、見入ってしまう。終盤はちょっと切なくなるけど、それも予想の範囲で、須貝らしい話を達者な役者陣が演じて、とてもよくできた芝居になっていた。

A Bright New Boise

A Bright New Boise

spacenoid

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2024/05/10 (金) ~ 2024/05/19 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★

アメリカは広大な国だから当然と言えば当然だが、普通アメリカ演劇と思っている、アーサー・ミラーやテネシー・ウイリアムス、さらにはオン、オフのブロードウエイとは全く色合いの違う演劇もたくさんある。時々そういう演劇も上演されるようになって多民族国家の実相も知るところとなったが、こういう世界に住んでいない日本人には掴みにくい。宗教一つをとってもそうで、欧米人と少し親しくなって宗教の話になると、途端に、宗教に対する日本人の寛容度の廣さに唖然とされたりする。
今でもアメリカは変わらないなぁ、と全くイメージの沸かないボイジーという田舎町のドラマを見た。
ところで、10年前のまだ湯気の出ている新作を見せてくれたのは良いのだが、この上演の意図がわからない。今朗読劇が流行っているからと言って、何組ものチームでやってみせるのはどういうつもりなのか、単に役者も演出も、責任逃れなのかと思う。2.5では客寄せによくこういう何チームも組んで上演する公演があるが、これは、観客に、この作品は作こういうものですと、と見せて欲しい「演劇」作品だ。
また、朗読を、態々、その本読みリハーサルで見せる、というのも訳がわからない。チームによって狙いを明らかにしてくれないと見方も定めようがない。これだけ動きも見せるのなら、ではト書きはどうなんだ、と問いただしたくなる。戯曲にどう向き合っているのか、全く解らない。翻訳も、単調で今は上手い人もたくさんいるので、こういう、ちょっと言葉は悪いが、棒訳では役者が満足しなかったのではないか。それもアメリカ演劇の姿かとも思うが、やっぱり台詞だけしか見せないのなら、アメリカ語とはいえ、もっと言葉に丁寧に取り組んで欲しい。
この企画は公共劇場(KAAT)でなければ通らないものだろう。公共だから、客は入らなくても良いだろう。しかし、何人かの出演者の親衛隊を入れても、このホールで三割も入っていないのには主宰者側の取組みにも問題がある。こういう特殊な作品を特殊な座組と演出でやるなら、その意味と解説をもっと主宰者側がやるべきだろう。配役表もない、席ビラもない。劇場側の主宰者の意図説明もなし、つまり、何にもなしで、経歴不明の新人演出家を送り出すのは無責任だろう。こういういい加減なところは新国立劇場を真似て欲しくないものだ。

親の顔が見たい

親の顔が見たい

diamond-Z

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

考えさせる濃密な会話劇。見応えあり。
無くならない苛め問題、それを当事者である生徒ではなく、その親の責任を問うような物語。
(上演時間1時間30分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、中央にテーブルとパイプ椅子。下手に出入り口の木製ドアと電話。中央壁に校訓「真理友愛」が掲げられている。その壁が薄汚れており年代=伝統を思わせる。シンプルなセットだが、内容は濃密だ。ドアを開けると外の雑音が聞こえ、この部屋とは別世界のよう。その意味では、集まった保護者は誰も途中で出入りしないことから、密室劇(保護者という責任から逃れられない)の様相でもある。

梗概…都内の私立女子中学校、校内の会議室に5組の父母(もしくは祖父母)が集められる。苛めを苦に自殺した生徒の手紙(遺書と思われる)に5人の級友の名前が書かれており、その生徒たちの親が集められた。年齢や生活環境、職業が異なる親たちは、それぞれ自分の子どもは無関係とばかりに擁護することに終始する。いつの間にか親同士が激しく対立し怒鳴り声が高まる中、各家庭の事情や親娘関係が明らかになっていく。

苛めは、暴行を加え、金を要求し、足りなければ援助交際まで強要する悪質さ。これは<虐め>を超えた犯罪であろう。公演では、学校の事実確認・調査に対して、父母等は自分の子供に限ってという言動。一方 学校側の曖昧な態度が事態をさらに混沌とさせる。

この戯曲が書かれた何年か前に、北海道で小学生の女生徒がいじめを苦に自殺した事件があったのを思い出した。当初、学校だったか教育委員会だったか忘れたが、苛めはなかったと結論付けた。しかし、遺族によって遺書が公開され一転して謝罪することになった。その後「遺書」ではなく「手紙」という説明まで飛び出した。
この隠蔽体質、適当に誤魔化す対応が、苛めに対して断固たる対処できない一因ではないだろうか。さらに今日的にはブログやSNS等、責任の所在を曖昧にする巧妙なネット苛めが増えているのは周知のこと。

また、学校での苛めを通して様々な問題提起をしている。父母と娘のコミュニケーションの希薄さ、名門学校という枠組みに潜む差別・格差。山の手以外、例えば下町や近隣県からの通学生への蔑視、家庭の経済的な貧富、片親や職業への偏見、帰国子女への悪意ーそれは社会全体に蔓延る縮図そのもの。公演はそれらに対する警鐘ではなかろうか。

1人の母親 柴田純子がスリッパに係る素朴な疑問を発する。なぜ来客はスリッパで、教師は上履きなのだろうか。何気ない台詞の中にリアリティを持ち込む。父母の中に教員夫婦 長谷部亮平・多恵子がおり、説明によれば男性教師は生徒を追いかけ、女性教師は生徒から逃げるためだという。
やはり何年か前、男子生徒が女性教師から何かの理由で注意され、それが原因で女性教師が刺殺された事件を思い出した。それだけに一層リアリティを感じた。

公演では、苛めた生徒は登場しない。しかし担任教師 戸田菜月から、生徒達の様子は普段と変わらず平静だと言う。その生徒達はLINEで連絡を取り合い知らぬ存ぜぬを決め込む様子。苛めのターゲットがいなくなれば、別の生徒を…そんな怖さを抱かせる。一方、戸田は自殺した井上道子へ心肺蘇生法を施しており、そのショックは計り知れない。精神的な動揺、その落ち着かない様子を 呈茶で紛らわす。実に丁寧な心理描写だ。

「親の顔が見たい」…このタイトルは、自殺した生徒がバイトしていた新聞配達店の店長 遠藤亨の告発から来ている。親の顔も見たいが、心裏も確認したいところ。
次回公演も楽しみにしております。

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