最新の観てきた!クチコミ一覧

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キラー・ジョー

キラー・ジョー

温泉ドラゴン

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

温泉ドラゴン『キラー・ジョー』トリプルキャスト:いわいのふ健さんの回を観劇。
「底辺を生きる家族による、人生一発大逆転をかけた保険金殺人計画!!」という触れ込みや、暴力描写・性暴力描写・セクハラ描写・流血描写・火薬による銃の発砲などのトリガーアラートの発表から覚悟して劇場へ。
客席に座り、舞台を見た第一印象は「劇場と合っているなあ」という感触。冒頭からグッと物語の中へと引き込まれ、観ながら解釈や見解などを考えることなく、ただただ目の前で起きる出来事を固唾を飲んで目で追っていた。「シーン」というより「出来事」という感じ。そういう意味で、「演劇を観た!」という感覚や余韻がとても強い作品で、そういった経験が久しぶりであったことにも気がついた。
お話自体は本当に救いようがなく、一人として心を寄せられる人物がいない物語で、人に薦めるには勇気のある作品でもあったけれど、安全地帯からそう思い込んでいることそのものにも自分の暴力性をふと感じるような。そんな瞬間も押し寄せた観劇だった。
何よりも劇団としての在り方が素晴らしい。前作『悼、灯、斉藤』から一転、同じ家族モノとはいえその振れ幅にまず驚き、メンバーに劇作家が複数いながら海外戯曲にも取り組むという果敢さ、過去作品がどれも似通うことなく、一つ一つ世界が独立している点においては演劇を上演する「劇団」というカンパニーとしてある種の理想を形にしているとも考えられるのではないだろうか。

ネタバレBOX

ラストにかけての乱闘シーンはまさに手加減、待った一切なしという感じで、相当にヘヴィー。中でもケンタッキーフライドチキンを用いた暴力シーン・食事シーンは凄まじく、思わず目を覆ってしまった。
のだが、本当の意味でもっと目を覆いたくなったのは終演後のこと。私がほとんど無意識のような自然さで最寄りのケンタッキーに立ち寄ってしまっていたということだった。あんなに酷い景色を見たのに、あの時はあんな感情になったのに、今、私はあの彼女と同じチキンを食べているということに気づいた時、自分の中に宿っている暴力性に背中が冷えた。自分のことをジョーと何ら変わらぬサイコパスかもしれないと思ったくらいだった。書いていてもまた怖くなってきた。ただ、一言言い訳をするならば、暴力以前にケンタッキーの箱が出てきた時からふんわり食べたくはなっていた。いや、言い訳すればするほど恐ろしい。でも、このことも隠さず書いておきたかった。別日に観た知人にそのことを打ち明けたらきちんと驚かれ、ある意味安心をしていたのだが、また別日に観た家族に再び打ち明けたら、「食べたくなるよね!」と言われ、色んな意味でまた怖くなった。食べたくなってはいけない気がするのだ。だけど、食べたくなった。それが人間なのだという恐怖だった。これを書いた後に「満足度」に星を付けるのも含めて相当グロテスクな流れになってしまったので、満足度は割愛させていただきますが、何はともあれ、凄まじい演劇だった。俳優陣の集中力と身体能力、静から動に向かう精神との一体感が素晴らしかった。俳優の技を芸を見せつけられるような2時間。あと、(思わず途方に暮れてしまうような片付けを行う)制作スタッフさんの奔走も是非とも労いたい気持ちです!
願望機

願望機

演劇ユニットG.com

ザムザ阿佐谷(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

登場するモノの名前は何のこっちゃですが、難解な展開になることもなく楽しめました。音が効果的に働いていたのかシリアスとコミカルが程よく変わり、長さを感じることなく最後まで面白く観れました。

刃鋼 HAGANE

刃鋼 HAGANE

山将舞台企画

名古屋市名東文化小劇場(愛知県)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/03/20 (水) 18:30

名古屋で活躍しているイチオシの役者さんたちが大集結の座組!
キャストのみならず、スタッフ陣も‼︎
ド派手なアクションと殺陣は必見です!
名古屋でこんなスゴイ舞台が観れるなんて鳥肌モンですょ!

イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

アメリカ・ニューメキシコ州ロスアラモスで原爆の開発や研究に従事した5人の男とその家族たち。
かつて20代だった彼らが90代に突入するまでの65年の物語。若き日の男たちが作り上げた原爆はやがて広島・長崎に投下される。アメリカの視点から原爆と第二次世界大戦、さらにはベトナム戦争、イラン・イラク戦争による戦禍を描いた意欲作。

8月と12月、私は年に2回平和記念公園に行く。私は広島出身ではないが、二人の子どもは被爆4世に当たる。子どもたちの中に流れる血を通じて私は亡き義父や義母に思いを馳せる。会うことの一度も叶わなかったそのまた先の父や母にも。例えば、彼や彼女たちが生きていたとして、この東京に暮らしていたとして、私はこの作品を薦めることができただろうか。(続く)

ネタバレBOX

それはとても難しいと思った。中立でいられるはずもない傷を負った、いや負っている人にはあまりに辛いセリフや描写が多かった。目を背けたい、耳を塞ぎたいとも思ったし、蔑称や暴言に怒りが湧く瞬間もあった。
しかし、それはきっと日本人に限ったことではない。アメリカの視点から描かれるリアルが、紐解かれていく葛藤がそのことを伝えていた。私が日本人である限り、また、被爆4世の親である限り、本作を中立の立場で受け取ることは難しい。それでも、観られたことをよかったと思った。たとえ、感情移入することが、共感を抱くことが到底難しかったとしても、私が知っておくべき人生や感情がそこにはあった。
CoRich舞台芸術!プロデュース【名作リメイク】の第一弾としてこんなにも感情移入しにくい作品が選ばれたこと、その意義について考えている。「同じであること」に手を取り合う喜びや、それがもたらす安心は確かに人を救うかもしれない。だがその一方で、その中の声しか聞こえなくなった時、すでに分断や差別は始まっているのだろうと思う。違いや差によって生じる、今もこの世界の其処彼処で起きている争いや戦いを考えるとき、同じ気持ちを寄せ合うだけでは到底解決できないことを痛感する。対岸の声を聞くこと、国籍や人種などの属性で個人を一括りにしないこと。それは、今の時代にとても必要なことであり、その小さな積み重ねがどこかの分断や差別の芽を摘むことに繋がると信じたい、という思いに駆られた。
広島・長崎に投下した原爆を作った男と私の間に横たわる大きな溝を埋めることはできなかった。
しかし、戦争の犠牲となった息子と平和活動に勤しむ娘を持つ親として彼を見つめた時、その輪郭が初めて縁取られていくような心持ちになった。
戦争を今すぐに止める力を持たない人間一人ができること。それは、目の前の相手を一人の個人として見つめるということなのではないだろうかと思う。国家として憎み合うその前に。
座って観ているだけでも心が削がれるような負荷のかかる言葉たち。最後にそれらを一身に背負い、2時間15分、アメリカの眼差しを生きた俳優陣に改めて拍手を送りたい。
イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

原爆が題材になってはいるものの、そこには様々な時代に地球のどこかで起きている戦争が重なる。ベトナムで、イラクで、911後のNYで、会った実際の方々の顔がよぎった。力強い脚本でした。日本人がアメリカ人を演じること、物語として成立させるものにすること……これはフィクションなのだということの、バランスをギリギリで責めているような力強さがありました。

なにより企画として、再演の機会のなさへの課題は長年言われているので、それを思うプロデュースでした(今回【名作リメイク】と題)。企画したのはコロナ禍で、上演困難な小劇場を応援したいという思いや、昴や青年座研修所で上演されてきた戯曲を新劇ルーツではない方々が創作する面でも、CoRichプロデュースの意味があると思います。

イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

原爆投下したアメリカの開発者たちの開発成功から現在に至る軌跡を描いたユニークなドラマである。作者は青森の高校演劇リーダーの畑澤誠吾。演出はチョコレートケーキの日澤雄介である。ともにこういう素材はよく知っていてまとまりは良い。2時間15分。
戯曲はほぼ十年前に劇団昴で公演したものを演出者、キャストも変えての再演である。今週見た「キラージョー」(よくできている脚本だ)も五年ほど前に俳小で上演したものを、演出者シライケイタが引き取って温泉ドラゴンで再演した。共にまずは成功だ。
小劇場で惜しまれながら上演のママ放っておかれている戯曲は少なくない(それほど多くもないが)。今度の上演の主催はネットチケット販売のCorichである。面白いところに着眼した興行だが、ただただその後の成功を祈る。過去にも同じ企画に手を出した団体や劇団は少なくないがほとんどが失敗している。大きく見て企画は良いのだが作品選択が続かない、今回の満席の入りでで甘く見ないように、と釘をさした上で。
こういう社会問題劇の戯曲を扱うのは難しい。ドラマであるから、彩りとしては「教訓劇」や「扇動劇」になりやすい。ともに昭和の新劇がこだわって失敗し、今も少なからずその尾を引きずっている分野である。観客の多くは見ていて閉口してきた。
昭和が終わって、チョコレートケーキは幾つかの作品で同じ危うさを内包している素材を現代の観客が見る現代劇として観客に提供し新劇の轍を踏まず、成功させてきた。その演出家日澤雄介の演出。この作でも、チョコレートケーキの公演なら、見逃しておかない日本側の責任を棚上げしている(まぁ自虐趣味に落ちていないところはよしとしなければならないが)ところはもう一つ工夫の欲しいところだ。この素材は「教訓」にはなるが、この國ではこの話で「扇動」されやすい時代になっていることも忘れてはなるまい。扇動劇の側にいた木下順二が終始、作品からは扇動を排除し続けたところも、昭和の一面としてで忘れてはなるまい。

友達じゃない

友達じゃない

いいへんじ

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/03/21 (木) 20:00

Bチームを観た。期待の劇団の2年ぶり新作。なんかいい感じ。観るべし!観るべし!!観るべし!!!73分。
 今回の佐吉祭で観たことがある2劇団の一つ。2年前の『薬をもらいにいく薬』は私の年間ベスト10に入る傑作で、本作も期待がかかった。路上アーティストのファンの女性2人が「友達」になろうとする物語、…と言うと省略が過ぎるし本質も伝えていないと思うが、見掛けはそんな話。全く違った立場の2人が知り合うのはこういう感じだろうし、こんな展開もあるだろう、と妙に納得する。「友達」であることに拘るあたりは世代的に理解しにくいところもあるが、そんな感触なんだろうな、とも思う。メインの2人、タナカエミと中島梓織が巧いのは勿論だが、どんな芝居に出ても爪痕を残す、てっぺい右利きの有り様がとてもいい。

願望機

願望機

演劇ユニットG.com

ザムザ阿佐谷(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

純白観想文

純白観想文

劇団演奏舞台

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/23 (土)公演終了

実演鑑賞

良かったです。

光だと気づいた順に触れる指たち

光だと気づいた順に触れる指たち

排気口

王子小劇場(東京都)

2024/03/21 (木) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/03/21 (木) 19:00

90分。休憩なし。

nitehi : kedo

nitehi : kedo

こわっぱちゃん家

「劇」小劇場(東京都)

2024/03/21 (木) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日観劇しました♪満席の小劇場「劇」舞台と客席の距離は、ものすごく近いです♪その迫力にまずは驚きます!演出家の方からの地震が起きた時の注意喚起のインフォメーションはとても誠実で素晴らしくここんとの舞台鑑賞では最も感動しました!舞台が始まる前からとても好感の持てるカンパニーでした♪舞台美術も素晴らしかったです♪劇中の曲も効果的で良かった♪照明の使い方もストーリーの流れに沿って展開され非常に美しかった♪ストレート舞台は久しぶりでしたが130分ノンストップでマルチタスクステージの演出は小劇場ならではの、とても素晴らしい演出だと感じました!ストーリーは一寸重めだと思いましたが見ごたえのある良いお芝居でした♪観に行くことができて良かったです♪アフタートークイベントも俳優さん達の穏やかな表情が観られて幸せでした♪お芝居の時の表情とは全く違う和やかでアットホームなイベントでした♪観劇を迷っている方!ぜひ観劇して下さい♪下北の駅からすぐです♪本多劇場の横っ面の真向かいです♪

昭和歌謡コメディVol.19

昭和歌謡コメディVol.19

昭和歌謡コメディ事務局

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すばらしかったです。舞台あり歌ありで楽しい時間でした。軽い下ネタもあり昭和な雰囲気満載でよかったです^^

ジーザス・クライスト=スーパースター

ジーザス・クライスト=スーパースター

劇団四季

自由劇場(東京都)

2024/02/16 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

[エルサレム・バージョン]

楽曲が良いのでやはり観入ってしまう。ジャポネスクよりもこっちの方が好きかも。

ジーザス・クライスト役、加藤迪(すすむ)氏は鈴木健想に見えた。
マグダラのマリア役、江畑晶慧(まさえ)さんも巧い。
この二人の歌はどんな状況でも歌詞を聴き取れるのが凄い。
イスカリオテのユダ役、佐久間仁氏は時々谷村新司を思わせる。
ヘロデ王役、北澤裕輔氏は松平健っぽかった。

ジーザス・クライスト逮捕の理由。当時ユダヤ教は三派に分かれていた。ローマ帝国に従う権力を握る官僚的なサドカイ派。一番大衆に根付いていたパリサイ派は伝統的な律法を守り習慣を重んじた。ジーザス・クライストのいたであろうエッセネ派はゴータマ・シッダッタの教団に近い形で儀礼ではなく精神的なものを重要視した。ラディカルにパリサイ派を批判し、かなりの民衆を扇動出来る人気、反政府運動のカリスマ的な立ち位置。それを敵視したパリサイ派サドカイ派の者達は死刑の権限を持つローマの総督ピラトに処罰を委ねたとされる。

ネタバレBOX

ジーザスは死にたがっているようにしか見えない。体制に抗って惨めに死ぬことで自分の存在は完結する、と。

新約聖書外典の一つ、グノーシス主義者による『ユダの福音書』は「肉体は牢獄であり、本人の指示通りにその牢獄からジーザスを解き放ったのがユダ」という内容。

ユダがジーザスを売った理由を「愛していたからだ!」と叫ぶ。仄かに同性愛的なものを感じた。自殺したユダが女を侍らせて十字架までやって来るシーンが見もの。
島口説(しまくどぅち)

島口説(しまくどぅち)

株式会社エーシーオー沖縄

R's アートコート(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/23 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

1979年、沖縄本土復帰から7年、ここは民謡酒場「スミ子−の店」。山城スミ子(城間やよいさん)と元バスガイドの新人(知花小百合さん)が団体客の応対をしている。(今作では山城スミ子本人の役ではない可能性もある)。遅れてやって来る平良大氏が三線を奏でる。
比嘉恒敏の曲、「艦砲ぬ喰ぇー残さー(かんぽーぬくぇーぬくさー)」=艦砲射撃の喰い残し、が印象的に唄われる。「死に損なった猪が我が子を想うが如く、こんな目に遭うのは二度と御免だ、と夜も眠れぬ日もある」
今沖縄で生きている自分達はあの時の死に損ないに過ぎないとの境地。

知花小百合さんは吉村実子っぽい。本職は舞踊家なのにお笑い芸人のように達者。
城間やよいさんは野々村友紀子っぽい。やはりプロのお笑い芸人だった。喋りが素人ではない。
もう開幕から漫才のようだった。客を弄りながら自然に喋っているようで、実は完璧に構築された世界。伝統芸能の域。ここまでACO沖縄はレヴェルが高いのか。凄い作品。『この世界の片隅に』のような語り口と今村昌平作品をガッチリ観た時のような濃密な空間。笑わせて泣かせて一人の女性の人生を丸ごと味わわせる。ここまでやれるのか。

1979年北島角子さんの一人舞台として初演、300回を超える公演に。2018年、沖縄のローカルお笑いコンビ「泉&やよい」主演の二人芝居に脚色してACO沖縄で再演。2019年からは知花小百合さんと城間やよいさんのコンビになった。
かつてはこれを一人でやったのか?そりゃ観てみたい。今回の脚色も素晴らしく、二人の掛け合い、役の交換、先輩と新人の関係性などよく練られている。
「艦砲ぬ喰ぇー残さー」こそ、生きて戦争の証にならなければ!沖縄についてかなり深く感じ取れた。必死に純粋に生きて全ては自然のままに。それは政治運動でも思想でも何でもない。全ては自然に。

是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

第一幕は知花小百合さん演ずる戦後の山城スミ子物語。ある日、アシバー(遊び人)だった父が青年・朝栄を連れて帰って来る。「これがお前の旦那だ」とその日の内に祝言をあげさせられる。宮城島(?)から朝栄と二人で平安座島(へんざじま)へと歩いて渡る情景が美しい。鯨の解体、舟の模型。

第二幕は城間やよいさん演ずる山城スミ子の父親の物語。戦後は瀬長亀次郎(アメリカ統治下で徹底して反米を貫いた政治家、沖縄の英雄)について回ったり、陸軍中野学校から来て戦時中に息子が死ぬ切っ掛けを作ったアサノ(?)を追い回したり。

1970年12月20日に起きたコザ暴動。5000人以上の島民が暴れ、軍関係の車両82台が焼き払われた。父親とその場に立っていた山城スミ子は群衆の中に学生時代の親友を目撃する。
願望機

願望機

演劇ユニットG.com

ザムザ阿佐谷(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

入り口で靴を脱ぎます。板の間なので冷えが心配な方は何か(私は家で履いてるモコモコ靴下持って行きました)持って行ったほうがいいかもです。

口先の願いではなく、願う者の心の奥底の願望を叶える(?)願望機。思っていたより分からなくなかったです。存外、何これいい話になっている?と思った矢先の不安要素。
ぜひご覧ください。
あれは誰の願望だったのだろうと思っている今です。

マクベスの妻と呼ばれた女

マクベスの妻と呼ばれた女

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

青年劇場スタジオ結(YUI) (東京都)

2024/03/19 (火) ~ 2024/03/31 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/21 (木) 14:00

座席1階

マクベス夫人とその取り巻きの女性と、そこにお仕えする女中たちの物語。タイトルにある「マクベスの妻と呼ばれた」はつまり、名前があるにもかかわらずその個性を自ら打ち消し、妻としての務めを果たして生きるということを表している。舞台では、女中たちが「そうではないだろう。あなたの人生を生きて」と敢然と挑戦していく。

原作は篠原久美子、演出は文学座の五戸真理枝。そして舞台に登場するのは女性ばかり。ジェンダー平等が叫ばれる現代とは社会の意識がまったく異なるが、まだまだジェンダー平等とはほど遠い現代社会への鋭い告発とも言える作品だ。
女中たちは非常に個性豊かなメンバー。子どもを産めないと蔑まれたり、男性優位、男性が支配する世の中で子どものころから辛酸をなめてきた。自分らしく生きたいという思いがほとばしるように輝く演技はすばらしかった。
もう一つ、女中たちがいろいろ画策した理由に、「いくさを止めたい」という狙いがある。戦乱が当たり前だった時代だが、何とかして戦争が起きないように政治に裏から関与していくという筋立てを前面に出したのは、青年劇場らしい舞台だ。
女性たちの演技ははつらつとしていて見事だった。発語も明瞭で、分かりやすい。高齢者が多い客席にはとても優しい舞台だったと思う。

崩壊

崩壊

糸あやつり人形「一糸座」

座・高円寺1(東京都)

2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

白鯨を追うイシュマエルたちは人形で、それとともに海を行く夢を見る女(松本紀保)は、病院のベッドと船の上を行き来する。女は白鯨を追いかけていった友を探しているのである。白鯨を追う航海は、戦争にまきこまれ、病院もまた戦場になった(と記憶する)。
「白鯨」にモリ撃ちのクイクェグという南洋出身の大男がいるとは知らなかった。

ネタバレBOX

舞台背後にあった白い雲のような塊が、最後は白鯨と変じる。たまたま劇場で会った知り合いは「とことん暗いね~!」と嘆いていたが、私は今一つ人物の彫りが深まらなくて感情移入できず、カタルシスに乗りきれなかった。
月の岬

月の岬

アイオーン

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/02/23 (金) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

静かだが心のざわつく芝居である。結婚しない姉(谷口あかり)の沈黙が何を語ろうとしたのか、いつまでも心に引っかかった。余白の多い芝居で、ぽつりぽつりと事情が分かっていき、最後に大きな余韻が残る。

長崎の平戸沖の島、姉・平岡佐和子と弟・平岡信夫(陣内将)が長年住んできた古い家。弟の結婚式に出るのに、近所に嫁いだ、騒々しい妹・大浦和美(松平春香)がやってくるところから舞台は始まる。
弟は中学教師で、新婚旅行に行っている間に、家に生徒が男の子2人(赤名龍乃介、天野旭陽)女の子1人(真弓)やってくる。そこに弟が帰って来ると、女生徒は「先生が結婚したから、この男子と付き合うことにした。それでいいですか?」と不穏なことを言ってくる。いっぽう、佐和子と高校生時代に駆け落ちしようとした男・清川悟(石田佳央)が島に帰ってきて、佐和子に一緒に島を出ようと迫る。女子中学生に迫られる信夫、昔の男に迫られる佐和子、の二組の思うに任せない恋が、島の平凡な日常に波乱をひろげていく。

佐和子は子どものころ海でおぼれかけて、助けた父がそのまま流されたという過去がある。佐和子は表面的には穏やかで、何も言わないが、父のことは大きな負い目、自分は幸せになってはいけないと考えているのだろう。それがラストの思い切った行動になるのだと思った。
舞台奥の白い小さい花は、萩の花。

さすが90年代「静かな演劇」を代表する戯曲である。キャストもみな好演でいい芝居だった。

ネタバレBOX

リフレインされる「月の岬」の歌「月の夜は/潮の満ちて/岬ば切れて/島になると」が、せつなく、象徴的に響く。
悟は妻子がいるのに佐和子への未練を棄てられない、どうしようもない男だが、そのセリフは良かった。
「何かを始めるために何かを失うんじゃなかったとね。これでは何も始まらん。前と一緒じゃ、わしもあんたも」
歌っておくれよ、マウンテン

歌っておくれよ、マウンテン

優しい劇団

白川公園付近(野外公演)(愛知県)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ひたすらに最高。最高と最高。名古屋から遠路はるばる。
Twitterで追ってた限りだと「なんか野外で叫んでる変わった人たち」だったんだけど
とんでもない土下座してジャンプしちゃう。凄い。凄い。
凄いすごい。滅茶苦茶おもしれぇ。場を大切にしてくれる。
照明が動かないなら手に持って動き回ればいいんだ。凄いだ。
凄いだ。ただただ、凄くて楽しくて、意外にもさわやか。
ただ、体験としては濃厚な豚骨スープなので30分時点で
これは胃もたれするかも・・・?と思ったらそんなことは無かった。

1日限りの2公演、しかも2024年3月いま、演劇超狂乱の時
観に来れなかった人が大多数でしょう...そのうち、きっと、また
東京でも...いや、名古屋に行くのもありかもね。ほんと素晴らしい。

イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

アメリカ人の目線で語られていく原爆。私は向こうの学校に通ったことはないが、原爆投下について社会科で論述問題が出たら、グレッグの主張のように書けば正解とされると聞いたことがあるので、概ね世情を反映しているのだろうと思う。

ネタバレBOX

美術(小道具)が黒くて不気味だった。
戦勝パレードも独立記念日も、愛国的な祝い席のご馳走は黒色。ラム酒だ、とグラスに注がれるのは黒い砂(注∶黒い米だったらしい)。果物皿から「美味しそう」と手に取ったのは黒いグレネード(手榴弾)で、ゾワッとした。
アメリカ目線のストーリーとは裏腹に、この辺からは、暗に原爆投下に関与した彼らを責めている気がした。
黒い砂を飲んでしまうくらいイノセントな人々?
いや、本当に「罪の無い人たち」は、広島のキノコ雲の下にいた人たちのはず。
戦争は双方の正義のぶつかり合いだが、誰も幸せにならない虚しさが残った。

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