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【前売り完売!!!当日券は若干枚数、販売予定】夏葉亭一門会vol.4

【前売り完売!!!当日券は若干枚数、販売予定】夏葉亭一門会vol.4

夏葉亭一門

王子小劇場(東京都)

2012/01/31 (火) ~ 2012/01/31 (火)公演終了

満足度★★

落語は難しい
通し券だったので、昼の部から行きましたが、
時々にしろ、本職のの落語家さんの話を聴いている人間とすると、
正直、物足りない。
夜の部は聴かずに帰りました。

逆に言うと、修練を積んだ落語家さんの芸の凄さが分かるというもの。
やる以上は、相当本腰を入れてやってもらいたい。

僕らの心象風景における、いくつかの考察【公演終了いたしました。ご感想お待ちしております。】

僕らの心象風景における、いくつかの考察【公演終了いたしました。ご感想お待ちしております。】

Minami Produce

新宿眼科画廊(東京都)

2012/02/11 (土) ~ 2012/02/21 (火)公演終了

満足度★★★★★

理屈っぽいが充実した作品
好みは分かれるかもしれないが、私は大変満足しました。
「あのときああしていれば」は人間誰しも思うこと。

やや理屈っぽく、哲学を感じさせる趣向で、
なおかつテンポよく、面白く進行していく。

転換シーンで犬役(実はかなり重要な役)が、
若手の講談師か落語家を思わせるように早口でまくしたて、
その時はロック調の騒々しい音楽が流れるのだが、
ここはもう少し台詞を聞き取りやすくする工夫をされても良いかも。

ネタバレBOX

「ぼくとおおかみ」同様、妹役が存在感あり、可愛い。
それでいて、特に結婚してからの「育てる」など、深い台詞も言う。
役者と言うより脚本の問題かもしれないが、主人公の(2人目の)妻に
もう少し存在感が出れば。
特徴があまりなくてちょっと存在感が薄い感じ。

むしろ「はじめの妻」である「先輩」の方が、
その人の「人間性」や「存在感」が伝わってきた。
『かいごのご』『ぼくとおおかみ』

『かいごのご』『ぼくとおおかみ』

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/02/10 (金) ~ 2012/02/14 (火)公演終了

満足度★★★★★

【ぼくとおおかみA】短いが充実した内容
それぞれの世代の淡い、そしてピュアな恋物語が進んでいくお話。
若い役者さんしかいない劇団も多い中、
ベテラン勢がしっかりと舞台を固めているのも素晴らしいことです。

女子高校生の主人公の妹役が可愛らしいし、
あの年代の特徴もよく出ていて、存在感もあり、良かったです。
(終演後、近くに出てこられたので、
「本当に高校生ですか?」と聞きましたら、
にやっと笑って「違います」と言われましたが・・・)

ネタバレBOX

これだけピュアなお話なのに、
野球の審判に、自分のチームに有利な判定を頼み、
そしてそれを実行してしまうシーンの意味が分からない。

あれは「お話だけ」にしておくか、
はじめからしっかり拒絶しても良かったのでは?
その方が全体のイメージが壊れなかったと思います。
愛はタンパク質で育ってる

愛はタンパク質で育ってる

ぬいぐるみハンター

駅前劇場(東京都)

2012/02/08 (水) ~ 2012/02/14 (火)公演終了

満足度★★★★

テンポが良い!
お話自体は、断片的なシーンの連なりで、
同じシーンがいわば交互に出てくるような趣向。
同じ役者が2役兼ねている場合もあり、
多少分かりにくいところもある。

もっとも、筋を丹念に追いかけて行く必要もなく、
その場その場を楽しんでいけば十分面白い作品。

そして、別々だった(と思えた)それぞれの話が最後に収斂する形となり、
それはそれで統一感をもたらすという意味では良いと思うのだが、
これだけ暴れてきたので、もっとインパクトのあるものならば、
と思ったのも正直なところ。
「タンパク」はダジャレ?

3.5位ですが、切り上げサービスで☆4にしました。

真冬の夜の夢

真冬の夜の夢

平熱43度

ワーサルシアター(東京都)

2012/02/08 (水) ~ 2012/02/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白かった!
シェークスピアの自由のパロディ。
話はいくつかの場面が次第に収斂していく手法で、
やや強引な筋の運びも感じられるが、
テンポの良さと、アクションシーンの迫力が魅力的。

そんなわけで、強いて言えば後半に比べれば前半がやや冗長とも言える。

ネタバレBOX

それと、結末で2人の娘が再合一するシーンを、
観客は待ち望んでいると思うのだが、
それが、意外とあっさりしていた気がする。
途中が華々しかっただけに、ここがもう少しインパクトのあるものなら、
なお良かったかな?

まあ、以上のような多少の不満は感じたが、
楽しめたので☆5つにします。
『ZIPPY』 ジッピー

『ZIPPY』 ジッピー

anarchy film

新宿アシベ会館B1(東京都)

2012/02/01 (水) ~ 2012/02/11 (土)公演終了

満足度★★

理解困難で
体調不調のせいもあったかもしれませんが
理解不能のまま終わってしまった感じ。
それから、他室のロック演奏が聞こえてくるのも気になる・・・。

Black Shooting Star

Black Shooting Star

おぼんろ

Barまいどおおきに(渋谷区宇田川町34-6 W&Iビル4階) (東京都)

2011/09/10 (土) ~ 2011/09/10 (土)公演終了

満足度★★

まあ面白かったが、しかし…
とあるバーに、保健所の調査入るが、
なんと、調査中に巨大化したGが出没…。
しかも、最初は遠慮がちに「出没」していたが、
次第に「自己主張」まで…というような話。

最初はドタバタだけかと思ったが、
後半はそれなりに色々の趣向も工夫され、
面白くは思った。

ただ、ここで、最近話題の「開始時刻問題」が…。
事前に17~18時と聞いていたのだが、
役者がお客さんをいじったりしていてなかなか始まらない。
10分ほど経ったとき、「遅れているお客さんがいらっしゃるので…」
と言われ、さらに「待つことにご不満の方はいませんよね」と、
いじりの延長が。
こう言われると「いや、始めて下さい」とはとても言いにくいし、
私も10分程度なら遅れても良いかと思っていたので、
「後の予定があるので」とは言わなかった。

それから数分後、その遅れたお客さんが到着で、
「(遅れたお客さんに)拍手を」とまたいじられる。
それから、前説だか芝居の一部なのか分からない結構長い話があり、
(もしかしたら。これは所要の1時間に入っているのかも、
と思ったくらい)
ところが、「ではこれから始めます」ということになった。

この本番部分も、1時間では収まらず、結果解放されたのは18:30頃。
つまり30分も超過したのだ。

私は19時までに王子に行かないといけないので、
慌ててエレベーターに乗ろうとしたら、
もう1人若い御嬢さんも飛び乗ってきた。
「私、次の予定があって…」「私も?」
「王子ですか?」「いえ、私は下高井戸で…」
なんて、多少の会話のうちに1Fに着いて、
それぞれ急ぎ足で…。

下高井戸の方はどうか知りませんが、
結果、私は10分遅刻してしまった。

結局、あの長い「前説」も公演時間の対象ではなかったのだろう。
元々遅れている上に、さらに遅れの原因となる話を
長々やるのってどうなの?

それから、遅れているときはせめて、終演後
「押してしまったので、お急ぎの型は遠慮なくお帰り下さい」
位言ってほしいのですよね。

別の劇団の話ですが、次の予定などを、客演者一人一人に話させて、
ダラダラ「終演後挨拶」が続いたことも、経験しているので…。

お客さんの全員が、終演後何も予定無し、
というわけではないのだから…。

そんなわけで、演劇自体は4Pでもいいかな、と思ったが、
遅れが酷すぎたので、2P減点とします。

OKICHI

OKICHI

アブラクサス

劇場MOMO(東京都)

2011/09/15 (木) ~ 2011/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★★

見せ場が多く、感動的な芝居
明治開国前後の、唐人お吉の物語。

一応、5つの部分から構成されていると思う。
ネタバレ部分で各部分について触れて行くが、
ただ、これは私が勝手に分けたもので、
上演時に「第○部」と表示されたり、
台本に書かれたりしているものではないことは、
あらかじめお断りしておく。

ネタバレBOX

第1部は、下田が舞台。
ハリスは、以前他の者が異人を恐れて逃げる中、
親切に案内をしてくれたお吉のことを覚えていて、
彼女を看護役・賄いに所望するが、お吉には許嫁鶴松がおり、
首を縦に振らない。
それは結局、ハリスの妾になることだと彼女も考えており、
また、下田奉行の役人達も彼女を妾にして、
油断させて情報を得ようと考えていたのである。

役人の1人が、許嫁の首をはねれば、お吉もあきらめるだろう、などと、
手荒な事を言うが、殿様である伊佐は人格者であり、その意見を排斥する。
お吉に「下田を守るため、国を守るため」と切々と訴え、
最後はお吉に土下座までして、ハリスの妾となることを承諾させる。
(このような素晴らしい見せ場が、劇の初めから用意されている!)

そして、お吉はハリスの滞在する寺に出仕するのだが、
初めは打ち解けなかった2人も、いつしか理解し合い、
愛情が育まれて行く。

しかし、ハリスは帰国することとなる。
「いつか迎えに来る」という言葉を残して……。

第1部からのつなぎの場面があって、
第2部の「異人向け」の遊閣の場面となる。
ここで遊女となっているお吉の元に、
珍しく日本人男性が客として訪ねてくる……。
帽子をかぶり、後ろ向きで、ただ話ばかりしているが、
その男は元許嫁の鶴松であった。
お吉は、ハリスの妾となったこと、そして、今は、
遊女となっていることを恥じ、鶴松を避けるが、
しかし、彼に熱く説得され、一緒に下田に戻って生活することを承諾する。

第3部は再び下田。
お吉は下田の人達には、「金を積まれて唐人の妾になった」「下田を売った」「下田の恥」「国の恥」と思われており、
それは鶴松の家族からも同様であった。
一方、子供を産めないお富を馬鹿にした元夫のこんにゃく屋と、
お吉は喧嘩してしまう、などのトラブルも起きる。
自分の店を持つことを夢としていたお吉を応援していた鶴松であったが、
しかし、周囲の偏見と無理解の中、ついには彼自身、
船大工の親方から暇を出されてしまう。

第4部は、初めは三島が舞台。
お吉は三島で再び遊女に。鶴松は亡くなってしまった。
そこにお富が訪ねてくる。2人は再び下田で店を持つことを決意する。

第5部は再び下田。
一時は繁盛したお吉の店であり、
また、お富を横浜に菓子職人として修業にも出させたりもしたのだが、
周囲の偏見により悪いうわさを流され、閉店することに
……そしてお吉は浮浪の身となり、酒におぼれている。
そこへ元殿様の伊佐がお吉を探しにやってくる。
無理解な人々の前で、伊佐は、お吉にハリスの妾となり、情報収集させ、
また、そのことは国の機密である故、決して口外しないことをも
命じたのは自分であることを告白する。
東京で店を持つまで成功したお富もやってくる。
そして、お吉を探すのであるが、すでに彼女は浮浪の身で酒にも溺れ、
精神も病んでしまっていたのであった……。

このように、各部分部分に見せ場やほろりとする台詞が用意され、
また、基本的にはある意味不要な部分が上手に省かれ、
無駄なく話が進行していっていると思う。

まあ、欲を言えば、第1部と第2部との間のつなぎ部分は、
多少冗長であった気もする。
大政奉還の奏上文らしき漢語調のナレーションが流れるが、
これは耳で聞いているだけでは少々分かりにくい。
またここで、明治維新に向けての戦いを象徴する殺陣シーンもあるが、
ここで、髪の色の違う人(ハリス役か、後で出る回船問屋商亀吉役か、
役の役者かははっきりしなかったが…)が登場するのも、
一瞬ハリスが登場したように見えてしまった。
この部分だけ再考してもらえれば、という気がした。

なお、舞台は、奥のほうが一段高くなっていて、いわば「二段構造」で、
奥の部分を別の場面に使ったり、回想場面としたり、
と巧みな使い方をされており、これも良い効果を挙げていた一因と思う。

私自身、不勉強で、この話のどこまでが史実に基づいていて、
どこからが創作なのか、正確に知る者ではない。
例えば、「描かれているほど、ハリスが日本やお吉のことを、
真剣に考えていたのだろうか?」とか、
「いじめられるのは分かっているのに、どうして下田に固執したのか?」等々……できればこの辺の説得性も、もっとあればなあ……。
ただ、「そうあってほしいな」と思わせる部分も多く、
そう思わせる部分は、説得性のある舞台であったのだ……そんな気がする。

ということで、多少の欠点はあったかもしれないが、
端数切上げで5Pとします。
ぶどう畑に落ちた流れ星

ぶどう畑に落ちた流れ星

メガバックスコレクション

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2011/09/08 (木) ~ 2011/09/11 (日)公演終了

満足度★★★

色々矛盾が感じられて…
Aバージョンで観ました。

高評価が多い中でこういう内容のレビューは書きにくいのだが、
私としては正直、色々矛盾点が気になってしまった。

ネタバレBOX

ステージ上は凝ったバーの舞台装置が用意されていて、
本当にここで戦争ものをやるのかな? 
もしかして、会場を間違えたのでは、という気にさえなった。

ラッセル共和国のワイナリーを利用した軍事(通信?)施設に、
敵国イーオス国の4人の兵士が、飛行機不時着を装って潜入し、
ここを破壊しようとしている。

それでまず、この芝居の設定では、すでに戦争が始まっていて、
しかももう数年たっているわけで、開戦前の話ではないはず。

ところが、この狭い室内で戦争中の両国の兵士と国民が鉢合わせして、
とりあえず捕虜としたり武装解除したりするのだが、
なにしろ隙が多くて、あれではすぐに相手方に逆襲されて、
殺されてしまいますよ…。

それから、ラッセル共和国の兵士が、元々は地質学者で、
戦争の原因となっている鉱山について、
「イーオス国にもあるはず。私が見つけに行く。
だからそうすれば戦争しないで済むはず」と、長口上を述べる。
でも、それは自国の上官を通して、政府の指導者が最終的に決めること。
時々、本国に連絡したり、「報告しない」という台詞もあったりするので、
理屈上は本国の上官がいることは分かるが、
こういう台詞回しを聞いていると、登場人物自身だけで
この戦争をやっていて、そして、戦争に関する決定権も、
彼らが持っているかのような雰囲気や台詞が結構あるのも気になった。

さらには、負傷している敵国兵士を伴って幼い少女が買い物に
行ったりもするのだが、これも非現実に過ぎるのではないだろうか?

そもそも、某国の某時代の話という設定ながら、
すでに航空機があるということのようなので、
それならこの施設を空爆してしまえば、
それで済む話のようにも思えてしまうのだが。

結局私には、台本作家の「戦争は下らない」という「思想」の
「主張」だけが、強く押し出された作品のように思われてならなかった。

(なお、こういうことを言うと、「お前は戦争に賛成なのか?」と
尋ねる向きがあるので、あらかじめお断りしておくと、
私のような軟弱男は、戦争でも始まれば真っ先に命を落とすだろうし、
親類や知人に軍需産業の関係者も別におりません。
平和だからこそ観劇もでき、好き勝手なレビューも書けるわけです。
ただ、私は、演劇のみならず芸術は、「政治思想」
(自分の好むものであろうとなかろうと)から自立しているべき、
と考えているので、戦中の日本や、戦後でも共産圏のように、
芸術が政治思想のプロパガンダになってほしくない、
と考えている次第です。念のため。)

もちろん、最後のイーオス国軍人のリーダーの長台詞は、
私も結構感動したし、周囲からすすり泣きも聞こえた。
一方、終演後、駅への帰り道、夫婦連れの男性が「つまらない」と
奥さんに話しかけていたのも聞こえた。
おそらく、どちらの観方も間違っていないし、ありなのだろう…、
そう思った。
riverbed sleepless summer

riverbed sleepless summer

白米少女

プロト・シアター(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

趣向は面白いが、少々冗長
舞台(と言ってもフラットな空間だが)の左手には、
浅い釣堀のように水が張ってあって、水がちょろちょろと流れている。
一方、右側には、乱雑な室内があって、空き缶も転がっている中、
小さなテーブルとソファ、それに冷蔵庫などが備えられている。

さて、この芝居は、不仲で、長らく会っていない姉を訪ねてきた妹の物語。

ネタバレBOX

しかし、姉の住んでいた地で、姉の恋人は事故死を遂げ、
自分だけ生き残ったことを悲しく思う姉は、
友人の研究者に依頼して、自分も死を選ぶ。
この研究者も、元々は名発明をいくつも生み出した、
その筋では知られた人だったのだが、
なぜかこの世のしがらみを疎ましく思い、この地に来ていたのだった。

もちろん、話はこれほど単純ではなく、彼らの周囲の登場人物も含め、
辛い体験や人生観などが語られ、場合によっては衝突していく。

むしろ、正直申して、話は冗長で、彼らの話が、
姉の生きていた頃と、妹が訪ねてきた頃とが交錯して進行していくのだが、
話の整理がよくないのか、少々分かりにくい。

例えば、なぜ死ぬのか? なぜ死ぬのを手助けするのか?
理屈では説明されていても、心の中にフッと落ちてこない…。

この辺を、もっと分かりやすく、また良い意味でコンパクトにできると、
劇全体が締まってくると思うのだが。

また、場面転換時には、映像が流れるのだが、
(いつも言っていることながら)あまり画像が良くない。

それから、この映像が流れるときに、
ヴァイオリンとギターの生演奏が入る。
生演奏自体は贅沢なのだが、役者が登場している時には彼らは演奏せず、
なんかもったいない印象。

曲自体は、ポピュラー系で、ヴァイオリンの技術はしっかりしているが、
ただ、ヴァイオリン独特の、音色の変化の美しさや、
メロディーを美しく歌い上げるような表現は聴かれなかった。

ところで、ヴァイオリニスト(島村絢沙さん)は大変な美人で、
また、演奏時は立って演奏するのだが、(この日は?)ショートパンツ姿で
脚も長く、スタイルも抜群!

それで、この方をちょっと調べてみたら、今は桐朋音大在学中の
学生さんで、高校時代にはCMに出るなど(中村アヤサの名で)、
女優のような活動もされていたとのこと……なるほど。
クラシックとポピュラーの両面で活躍されているようです…。

一方、ギタリスト(エンドウシンヤ)は男性で、
こちらもシルクハットをかぶっていらっしゃり、
しゃれたスタイルなのだが、スポットライトもヴァイオリニストにだけ
よく当たっていて、しかも彼は座って下を向きながらの演奏なので、
お顔も良く見えないし影が薄い…それから演奏面でも和音伴奏専科みたい。

まあ、オジサン観客としては、美人奏者だけ拝めれば、
それでも良いとも言えますが(笑)、それでも、
ちょっとギタリストさんが気の毒にも思えたり…。

結局、色々の趣向は良いのだが、ちょっと長すぎたかな? という印象。

それから、他の方もすでに指摘されているが、
空席がかなり多いにもかかわらず、
「端から詰めてお座り下さい」という案内を私もされた。
劇団関係者はここを読まれていないのかもしれないが、
それなりに席が埋まってくる場合にはともかく、
空席が目立つような場合には、
違う対応をされてもよろしいのではないだろうか?
暴れン坊の棒、大いに暴れるの巻

暴れン坊の棒、大いに暴れるの巻

LIVEROCK

ラ・グロット(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

荒削りで実験的な公演
この会場は初めてで、入ってみると、いびつな5角形。
入口のそばには、一段高いところがあり、奥に向かって階段が付いていて、
下に降りることができる。もとは倉庫か何かだったのか?
(↓ここに会場の写真があります。)
http://www.la-grotte.com/1f/

11の小さい話に分かれていて、関連性の濃いもの、薄いもの、
少し前の話と関連しているものなどさまざまだが、
何しろ実験的で、暗くしてライトを使うもの、
まくしたてたり、静かに魅せたり・・・
何より驚いたのは、例の階段が可動式だったことで、
これが動きながら役者もアクション的演技をすると結構な迫力!

ということで、荒削りで、好みは大きく分かれると思うが、
期待は持てる劇団と思った。

で、好みは分かれるところで、
こういう実験的試みは、個人的には面白かった。
これはプラス1P。

でも、ギャグがあまり受けなくて、しかも、
一番つまらない「ニューートントン…」というやつが、
最後までしつこく繰り返されたのは、いかがかと思った。
で、これはマイナス1Pで、結果3Pとしました。

熱闘!臥龍小学校!!

熱闘!臥龍小学校!!

爆裂団

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2011/09/16 (金) ~ 2011/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★

まあまあ面白かった
タイトルのように小学校が舞台。
結局、一言で言えば「番長争い」なのだが、
色々の要素のある、多様な舞台であった。

初めのダンスシーンは、振りも歌もイマイチだったので、
ちょっと心配になったのだが、
それは開演直後の緊張からだったようで、
その後は順調に推移・・・。

初めはゆる~いコメディのような進行で、
まあこういうのもたまには良いのかな?
特に緩いものが好きな方には…という印象。

しかし、低学年の女の子がさらわれる辺りから、
何となくシリアスな表情に変わり、
アクションドラマに変容?

で、それで終わるのかと思ったら、
最後はまたコメディ調になった。

まあ、雰囲気が変化していくことはよくあるし、
それ自体は構わないのだが、何か繋ぎ合わせたような感じがあって、
少々ぎこちなかったし、相乗効果でなく
むしろマイナス効果になっていた気がした。

例えば、アクションをメインにするなら、
それまでの緩い部分がちょっと長いのではないか?
この辺のバランスや移行方法を考えて行けば、
もっと良くなると思う。

それと、アクション部分は「死闘」「殺し合い」のような雰囲気で、
台詞にもそれを思わせるものが出てくるのだが、
その後の、教師たちの台詞は、
それらを「暖かく見守っていた」というもので、
なんか、観ている方がガクッとくるし、
まあ、矛盾と言えば矛盾ですよね。

また、ギャグの「校長先生ネタ」も、
初めは面白かったが、3回も出てきて、ほとんど同じで、
しかも3回目が「死闘」の後だったので、これも力が抜けました…。
ギャグなら、変えて行った方が面白いのでは?

それから、何より思ったのは、この話、
小学生でなくて、中・高生にした方が自然だったのでは?
やっぱり番長やら恋愛がそれらしくなってくるのは中高生だろうし、
役者にトウの立っている人も多くて(笑)。
(それを逆にネタにした「膝歩き」は面白かったが…)

まあそういう課題を抱えてもいるので、
3Pと4Pのあいだくらいですが、
熱演でもあったので、端数切上で4Pとしました。

大山デブコの犯罪

大山デブコの犯罪

快楽のまばたき

タイニイアリス(東京都)

2011/09/15 (木) ~ 2011/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★

楽しめたが・・・暑かった
会場に入ると、いつものタイニイアリスとは配置が異なり、
90度右に回転させたとでも言うか、
入口を入ると、その向きで座席があり、その奥に舞台がある。
したがって、座席も舞台も、普段よりは横に細長くなっている。

開演前から、すでにセーラー服姿の女優さんが、
はやり歌をメドレーで歌っている。
(樋口舞さんで本業は歌の方のよう…声楽の訓練を受けた方という印象)
また、それと関係なく、場末の劇場で流れるような音楽も、
(一部ライブで?)演奏されている。
さらには、客席右側に、ギターを持った男性や、
派手なメイクの女優さんも座っていて、
雰囲気を作り上げている。
ただ、舞台には幕がかかっていて、
開演前は中の様子は分からない。

開演後の筋や、表現について、言葉で説明するのは困難で、
また、筋を説明する必要もないと思うが、
寺山作品の独特の雰囲気はしっかり出ていたと思う。

残念なのは、タイトルロールのデブコ役を、
たしかにぽっちゃりタイプの女性が演じていたのだが、
(デブコにしては痩せている方かも?)
少ない台詞の台詞回しなどでの存在感が希薄だったこと。
もっと強く台詞を言って良いのでは?
ただ、途中でアコーディオン演奏なども披露していて、
それは素晴らしかったが。

音楽はやはり打楽器などはライブのようで、終わり近く、
ちんどん屋のように楽隊が登場するのだが、
曲の終わりの方、ちょっと録音とずれていたのですよね・・・
でも、打楽器のライブは空気の振動も伝わってきて、
その臨場感は良いものである。

なお、演劇をそれほど観ていなかった、多分十数年前、
別の劇場、別の劇団で、この作品を観たことはあるが、
もちろん、それぞれドロドロ感はあるものの、
今回は全く違った演出であった。

ということで、演劇自体は他の出演者も中々良くて、
興味深く観ることができたが、
開場時点から室内は蒸し暑く、しかも満席になって、
最前列前に補助席も出たほど。

狭くて椅子の小さいこの劇場で、
終演まで蒸し暑い状態(終始扇子を利用されている方が何人も)
というのは、正直つらい。
本当はスタッフに室温などの配慮がほしかったところ。
4Pと5Pの中間くらいだが、
この辺が残念だったので4Pとしました。

PRISON

PRISON

劇団伍季風 ~monsoon~

小劇場 楽園(東京都)

2011/09/02 (金) ~ 2011/09/11 (日)公演終了

満足度★★★★

矛盾は多いが、なぜか楽しめた
評価もかなり分かれていますが、なぜか(?)私は結構楽しめました。
たしかに、矛盾やおかしい話は多いです。
なお、私が見たのは女性バージョンです。

すでに多くの方から指摘されているように、
脱獄の方法、あれで死刑になるの?(あれなら執行猶予かも)、
突然の死刑囚全員執行?…

「某国の某時代の話」というのなら分かりますが、
日本の法律を持ち出すなど、ある面ではリアルさを強調したりもしているので…。

それに、他の方からまだ指摘されていない点で、
私がかなり気になった点を挙げれば、
「脱獄した後どうするの?」ということ。

色々シャバでの夢を語るのだが、
脱獄すればすぐ警察に追われますよ。
「刑務所服役中の彼氏に会いに行く」のは
「刑務所舞い戻りだからNG」というけど、
何をやっていても、警察に怯えながらのはず。
それこそ、整形しながら逃げた逃亡犯のようにでもしないと、
逃げ切れないはず。

余談だが、私が脱獄ものですぐに思い出すのは、
映画『ショーシャンクの空に』で、
こちらは、脱獄方法のみならず、
脱獄後どうやって平穏な暮らしを得るか、
まで、考え抜かれている。
(それでも、矛盾を指摘する向きもいるが。)

それはともかく、おかしな点を多々抱えながらも、
それなりに楽しめた理由の1つは、
「これから、どうなるのかな?」と期待とハラハラ感を持てたこと。
それからもう1つは、(不謹慎ながら、でもやっぱり)
女性バージョンだったからかな?

男性バージョンだったら、評価下がったかもしれません?

シャイロック

シャイロック

東京演劇アンサンブル

ブレヒトの芝居小屋(東京都)

2011/09/09 (金) ~ 2011/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★★

見ごたえ十分の舞台
横浜からは結構遠い武蔵関まではるばる伺いましたが、
遠くまで観に行って本当に良かったと思った。

主役人から脇役まで演技面でも、
そして舞台装置など演出面でも素晴らしく、
この日はかなり疲れていましたが、
むしろ、元気を与えられたような気さえしました。

ネタバレBOX

シェイクスピアの「ヴェニスの商人」を素材にしながらも、
一部は変更され、また、そもそもこちらは
「ユダヤ人社会の側」から、この劇は作られている。

シャイロックとアントニオウは、お互いに尊敬しあう親友という設定。
アントニオウを名付け親として頼ってきたバサーニオウに、
お金の工面を懇願され、彼のためにシャイロックから借金するはめに。

シャイロックは親友の頼みゆえ、「証文も期限も不要」というが、
アントニオウは、「ヴェニスの法律が、ユダヤ人との取引の場合、
証文作成と担保設定を義務付けている。
だから、法律を守らないわけにはいかない」と言う。
そのため、2人は「馬鹿な法律を揶揄する」ため、
例の「肉1ポンド」の契約をする。

さて、キリスト教徒で、シャイロックやユダヤ人達に敬意を持って
付き合う男はアントニオウだけで、
バサーニオウはじめ、アントニオウの周囲は、
ユダヤ人を人種差別し、軽蔑している。

そして、アントニオウの船が遭難(?)という情報が入り、
期日までに借金の返済ができないことに…。
しかし、法と契約を守らないと、法律違反の前例を作ることとなり、
それは法によって差別もされながらも一定の活動を許容されている
ユダヤ人の平穏な生活を奪うこととなる。
シャイロックもアントニオウも、
「契約」の履行をせざるを得ないことを覚悟する……。

さて、これまでの筋の流れと並行して、
例のポーシャの婿選びの話も紹介される。
しかし、こちらの扱いは軽く、劇中の婿候補は
バサーニオウだけで、しかも彼は逡巡しながらも、
ついに見事に「鉛」の箱を選択し、彼女を射止める。

そして彼女は、シャイロックとアントニオウの
不幸な出来事を知り、ヴェニスに向かう。
そして、「肉だけ」「1ポンドだけ」の有名な台詞で、
「契約無効」を宣言するが、これは利発さからというより
「思い付き」というような扱い。

また、フィアンセにも分からないような変装もしないし、
フィアンセの指環を強引にもらって、それを使って
後でフィアンセを困らせる話も出てこない。
したがって、最後のバサーニオウの台詞では、
むしろポーシャを下に見るような台詞も口にし、
ポーシャの利発さはあまり強くは感じられない。

また、話は前後するが、さらにもう1つの話として、シャイロックの娘
ジェシカが、父への不満(しかし、彼は変人かもしれないが悪人ではない)から反発が次第に強くなってきたことと、
ロレンゾウに魅かれ、ついに家出を敢行。
しかし、ロレンゾウも、結局はユダヤ人差別者。
父にまつわる裁判を通して、ロレンゾウや彼の取り巻き達の、
ユダヤ人への差別意識を知り、彼への気持ちは冷めていく。

結局、この芝居を通じて、キリスト教徒の方が、
むしろ小人物に描かれている。
シェイクスピアの戯曲と、どちらが史実に近いのか?
は不勉強で知る由もないが、少なくとも、
こういう観方は当然できるものと思われるし、
むしろ、こういう観点からの問題提起はなされて当然とも思われる。

まあ、A.ウェスカーの台本にもし注文を付けるとすれば、
ポーシャが最後の裁判の場面など、さらに知恵を出して
シャイロックをもっと助けて欲しかったところ。
前述のとおり、ポーシャについて、この扱いでは、
シェイクスピアの下敷きが無ければ、ポーシャの話は無くても良いくらい。
まあ、「ヴェニスの商人」はあまりに人口に膾炙しているので、
ポーシャの話を入れても良いし、
あるいは入れないと益々落ち着きが悪くなるのかもしれないが。
興す人々

興す人々

劇団熱血天使

小劇場てあとるらぽう(東京都)

2011/09/14 (水) ~ 2011/09/19 (月)公演終了

満足度★★

もっと演技・演出に磨きを
残念ながら、期待外れでした。
時々いうことですが、とにかく怒鳴り声・叫び声が多い。
しかし、台詞には「気持ち」「魂」がこもっていない。

また、台詞に「現代語」としか思えない言葉がチラホラ。
師である緒方洪庵も、また福澤諭吉も、権威がまったく感じられない。
諭吉など、これではただの軽薄な奇人に過ぎず、
(他の人物もそうだが)明治の激動を生きた人間としての
「腹の据わった」感がまったくない。

また、過去(洪庵の適塾時代)と15年後の現在を交互に描く手法で、
かつ場面転換時の暗転の代わりに、舞踊を取り入れているのだが、
舞踊も場面にマッチしているとも言えず、
交互に描く手法共々、意味がよく分からない。

ただ、新しい手法を取り入れようという気持ちに対し、
1Pプラスで2Pとしました。

ワークショップ公演 穴ヲ食ベル

ワークショップ公演 穴ヲ食ベル

しずくまち♭[フラット]

d-倉庫(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★

面白かったが、後味の悪い結末が…
舞台上は宇宙船(潜水艦と言っていた人もいたが)という設定。
しかし、それらしい様子は特になく、舞台には遠くから見ると、
白と茶の石敷きのように最初は見えたのだが、
近くで見ると、一部茶色に変色した紙の束であった。

この紙は、この話が日本文学を素材としているものであり、
「原稿」「書籍」「文献」を象徴しているように思われる。
例えば、登場人物中の「ダダイ」は、太宰治のモジリであろう。
彼はしきりに権威に反抗するニヒリスト。

ピアノの生演奏もあることと、男役を女優が、女役を男優が演じる趣向で、
女優の男役は結構見られるのだが、
男優の女役は、登場時は笑いを買っていた
…しかし劇の進行とともにそういう可笑しさは感じなくなってきた。

さて、環境汚染?疫病?のため、女性は昔に絶滅してしまい、
生き残っているのは男性のみ。

そして、ここには「総統」と呼ばれる者がいて、
彼が艦長のような立場であり、
ほとんどの者は彼に多大な敬意を表する。

また、「博士」と呼ばれる者がいて、過去の「文献」を頼りに、
「子供」(チビオ)や「女性」(自分の妻・チビオの母役「ミチヨ」と、
もう1人?より若い「ユリエ」)を作ってみる。
しかし、作りものであるだけに、イマイチ出来が悪く、
例えばミチヨは、シチュエーションが違っても同じセリフを口にしたりし、
これで観客の笑いを取ったりする。

ネタバレBOX

まあ、この辺りは良かったのだが、
「閉鎖的空間」という設定には、少々難を感じた。
狭い艦内であれば、多少不満はあっても、組織内秩序というものは、
それなりに重んじられると思われるのだが、そういう雰囲気はない。

また「水戸先生」(水戸黄門のパクリであろう)が時々登場して
皆、長老として敬意を表するのだが、彼は「滅多に会えない人」で、
宇宙人らしい。しかし、これも、艦外から出入り自由ということなのか、
艦のどこかにこもっているのかよく分からない存在。
これなら、例えば、地球がひどい環境汚染となり、
地下やシェルターに住んでいる、という設定にした方が自然に思われた。

さて、「総統」は、ユリエに好意を寄せるようになるが、
しかし彼女は彼を避ける一方、自分の作者「博士」に好意を寄せる。
ところが博士は妻役のミチヨに夫婦愛を感じている。
そして、最後は、これらから破局が生じ、死屍累々とまではいかないが、
舞台上に数体の死体が転がることとなる。

この時のミチヨの母親的ワンパターン台詞に、
登場人物は皆ホロリとはするのだが、
ただ、この結末も、それまでのコミカルさや、
知的好奇心をくすぐる台詞が散りばめられていたことからすると、
私的にはちょっと後味の悪さと違和感が…。
この結末しかなかったのかなあ?…という気がしてならない。
かもめ

かもめ

第七劇場

シアタートラム(東京都)

2011/09/08 (木) ~ 2011/09/11 (日)公演終了

満足度★★★

前衛的な「かもめ」
「かもめ」自体、読んだことも、また上演を観たのも、大分前のことで、
記憶もかなりあやふやになっているが、公演時間が70分と言うのは、
それにしても短いんだけどなあ、と思いつつ会場へ。

ネタバレBOX

会場に入ると、白い衣装の女性4人がすでに舞台に立っていて、
なにやら時々、「77」とか、二桁の数字をつぶやきながら、
舞台上を静かに動いている。

舞台上は基本的に無機質の雰囲気で、白い質素なテーブルがあって、
その上に「かもめ」(の剥製)がいる…正確には上から吊り下げられていて、
テーブルから浮いている、という感じ。

椅子は、地味だが見た目の悪くない木製のものが十数個置かれている。
彼女達の中にはこの椅子に座っている者もいるし、
また、やはり上から吊り下げられたブランコに座っている者もいる。

開演前の注意やブザーが鳴り、相変わらずこういう雰囲気なので、
始まったのかどうかイマイチはっきりしないまま。

しかしここに、男が1人入ってきて、雰囲気が変わる。
ところが、この会話は「女性患者と男性精神科医」というもので、
つまりは、女性は精神病患者、
ここは精神病院という設定であることが分かる。

その後、舞台奥に、ロシア風の衣装の人物達も現れ、そして彼らも芝居に加わって、一応「かもめ」らしくなる。

しかし、前衛的雰囲気は変わらず、オペラの重唱のように、
数人が同時にしゃべりだしたり…もちろん、台詞はほとんど聞き取れない。

音楽は、ストラヴィンスキー「春の祭典」の
ゆっくりした部分が使われたり、
また、いかにも前衛演劇特有の効果音が使われたりで、
こちらも前衛的性格を一層際立たせていた。

で、例えば、コカを精製して、より作用の強いコカインを作ったり、
というのと少々似ているかな、という気がした。
つまりは、前衛的手法によって、これまで「物語」というオブラートの中に包まれていたものが、明瞭にされてしまう、ということ。

そうなると、あとは、観る者の嗜好の問題、つまり、
こういう結果を好むか好まないかで、評価が分かれてしまう気がする。

私個人としては、骨格を明確に示してしまうより、
肉も脂肪も皮膚もあった方が良いと思うタイプなのと、
もう1つは、「精神病院」という手法自体、決して新しいものでは無いし、
一時期流行った、芸術・芸術家を「なんでも精神病」にしてしまい、
それで、芸術の本質を解説できたとする風潮に
疑問を感じていたこともあるので、
まあ「私の好みではない」というところです。

もちろん、役者も(冒頭台詞の聞き取りにくい人はいたが)
良い水準の人たちと思うし、
(全体の中での位置づけという点では多少しっくりこなかったが)
舞台奥の枯れ木のある部分に雪が降る場面は
とても美しいシーンであった。
レジデント

レジデント

Gooday Co.

戸野廣浩司記念劇場(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

前半がもっと良ければ…
詳しいレビューも書かれているようなので、簡単に。

ネタバレBOX

女性副編集長・麻衣宅に居候してるヒモ男は、
一方で後輩女性玲子に色目を使い、何と自宅(というか麻衣宅だよね)
に招いたり(せめて上手に隠して、他の場所で会えよ、と言いたいところ)、
しかし、麻衣には「生理が無い」「更年期障害?」など、
相当ひどい言葉をぶつけ、さらには玲子に「姉です」とまで言う。
まあ、あまりに身勝手なのだが、「盗人にも三分の理」ということで言えば、
元々は、彼は親友に、友情ゆえに望みを譲ってしまった…のが発端。

これはもしかしたら、漱石の『それから』にヒントを得たのかな?
親友に好きな女性を譲ってしまう設定も同じだし、
その後、その代助は「高等遊民」を気取るし…。
(でも、ヒモ(しかも程度の悪い)にはなりませんが…)

それはともかく、この話、「片思いの連鎖」で、
バーテン→副編集長→ひも(ニート)→後輩女性⇔その夫
というような具合なのだが、正直、前半はもたもた感ありで、
ヒモ男の行状の紹介、という気もした。

しかし、終わり近くで、座席中央の通路を利用し「花道」のようにした中での
場面は秀逸でした!

ただ、最後の「指環」のシーンは??という気もした。
冒頭の伏線なのだが、唐突過ぎる感も…。
この伏線が、劇の途中でも活かせられていたら、
より面白くなっていたかもしれない。

そんなわけで、前半3P、後半5Pで、中を取って4Pとしました。
アンサンブルの楽しみ

アンサンブルの楽しみ

東京ミュージックアーツ

東京文化会館 小ホール(東京都)

2011/08/30 (火) ~ 2011/08/30 (火)公演終了

満足度★★★★

楽しいオペラアリアのひととき
本来は「クラシックコンサート」に分類される催しなので
ここに紹介できるかどうか、ギリギリの線かと思いますが、
第2部は、振りや、最低限の小道具・衣装など、そして解説も用意された、
オペラアリア・名曲をたっぷり聴けたので、
「オペラ振興」のためにも、紹介してみようかと思いました。

その前に、せっかくなので第1部についても簡単に。
若手奏者4人(東浦亜希子(ピアノ)、佐原敦子(ヴァイオリン)、
西村知佳子(ヴィオラ)、門脇大樹(チェロ))による
ピアノ四重奏2曲(モーツァルト:第1番ト短調K.478、
シューマン:変ホ長調Op.47)で、
技術的にはしっかりしていたと思うものの、やはり若手だけに、
理屈っぽいというか、情感がもっとあれば、とは思った。

さて、第2部は4曲のオペラの5つの場面が登場。
1曲目は「セヴェリアの理髪師」より「フィガロと伯爵の二重唱」で、
最後はステージ下まで駆け降りるほどの熱い演技を見せた。

2曲目は「薔薇の騎士」より(終幕の)「三重唱」で、
これは、オペラ好きなら聴いてみたい!と思う曲。
正直、もう少し前の場面から聞ければ、
しみじみとしたこの場面がひときわ映えるようにも思ったが、
こちらも好演であった。

3曲目は「ノルマ」より「ノルマとアダルジーザの二重唱」で、
2人の巫女の嫉妬の物語…今日の演目の中では唯一の悲劇で、
地味な曲目だが、恋と巫女という立場に悩む心情が伝わってくる曲。

実は、主催の「東京ミュージックアーツ」は、
普段でも時々このタイプのコンサートを港区・高輪のホールでやる
団体なのだが、毎年夏のこの公演は特別なものと認識されているようで、
ここまで聴いたところ、普段よりも歌手のレベルが高いように感じた。

ただ、第4曲の「こうもり」の「第二幕・乾杯~Duidu」は、
小悪魔とも言えるアデーレ役がイマイチで、軽快で楽しい感じが
もっと出れば、と思った。
ただ、世紀末的な耽美性をも感じさせる陶然とした部分は、
中々素晴らしいコーラスで、感動!

最後の第5曲は同じ「こうもり」より「第三幕・三重唱~FINALE」で、
浮気を疑われている妻とその愛人(?)が相談している弁護士は、
実は夫が変装している…しかし、そうとは知らない2人は
あれこれ正直にしゃべってしまい、「変装弁護士」も時々怒りだし、
そしてついには夫であることを明かす。
2人は一度は仰天するが、しかし、この夫も昨晩の浮気がばれていた…。
なぜばれたかというと、浮気のつもりで、変装していた自分の妻を
口説いていたから…というバカバカしい話。
まあ最後は「シャンパンのせい」ということで、
賑やかに楽しく終わるのだが。
この曲も、アデーレも良くなったし、楽しい演奏だったと思う。

それから特筆すべきは、ピアニスト兼解説役の高木由雅さんが、
演奏も素晴らしいだけでなく、解説も何も見ないで、
歌われる部分を上手に説明されるのも見ものの1つ。
経歴を見ると「二期会ピアニスト」もされている方なので、
オペラの音楽にも筋にも造詣が深いのであろう。

1年に一度、上野の文化会館小ホールでやっているので、
ご興味のある方は一度聴きに行かれると良いと思います。

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