雲間犬彦の観たい!クチコミ一覧

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バンダラコンチャ サードアルバム「HUG!~ステレオサウンズ」

バンダラコンチャ サードアルバム「HUG!~ステレオサウンズ」

バンダ・ラ・コンチャン

佐賀市文化会館(佐賀県)

2012/06/09 (土) ~ 2012/06/09 (土)公演終了

期待度

玉砕しそうな不安もあるが
 劇団ダンダンブエノは初期公演から観てきて、その実験性と大衆性の融合を見事に成功させている好例じゃないかと感服していたのだが、ここ数年は、ちょっと迷走しすぎかなというのが正直な印象である。
 近藤芳正は巧い役者であると同時に、プロデュース能力も演出力もあるとは思うのである。オセロ松嶋尚美の演技力をこの人ほど引き出した演出家もいない。けれども、いくらなんでもこの人と組むのはどうかという大根役者と共演することもしばしばあって、「ともかく意外な人とやってみたい」だけで芝居を作られてもなあと嘆息させられることもないではないのだ。
 今度は南原清隆とだ。役柄によってはいい演技者であると言えなくもないが、正直、旬をとうに過ぎた芸人で、近藤さんがなぜ組んでみたいと思ったのかよく分からない。「笑い」に拘っちゃうと思い切り滑りまくりそうな不安がもの凄くあるんだが、「消えた芸人」が演技者として復活する例は決して少なくはないから、そこに期待するしかないかなあと思っている。

自慢の息子

自慢の息子

サンプル

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2012/04/14 (土) ~ 2012/04/15 (日)公演終了

期待度♪♪♪♪

これもまた虚実皮膜の物語か
 昨年の岸田戯曲賞受賞作の全国ツアー。こういう「凱旋公演」は非常に嬉しい。賞を受賞したんだ、観てみたいなあと思っても、たいていの作品はもう公演は終了しているし、場所も東京だったり大阪だったりだ。
 ××受賞作、と言ったところで、演劇の場合は映画ほどには一般人への訴求力がない。岸田賞がそこそこといったところだろう。果たして地方に招聘してペイするかどうかという問題があるのは分かるが、こういう試みがなければ、演劇と観客の間にある垣根は高くなるばかりだ。
 松井周は平田オリザの青年団出身の劇作家だが、岡田利規や三浦大輔に強い影響を受けたという。どちらも現代口語演劇から「一歩」踏み出した作家たちだ。リアリズムとフィクションとの関係を突き詰めた先にどのような演劇的効果が生まれるかを、それぞれの手法で実験し続けている作家たちだと言ってもよい。松井周の演劇が、更にその先にある「結晶」を見せてくれるのかどうかに期待したい。

コルチャック先生と子どもたち

コルチャック先生と子どもたち

劇団ひまわり 福岡アクターズスクール

キャナルシティ劇場(福岡県)

2012/03/11 (日) ~ 2012/03/11 (日)公演終了

期待度♪♪♪

未来の子どもたちに
 ヤヌシュ・コルチャックの存在を知ったのは、多くの人がそうであったように、アンジェイ・ワイダ監督の映画『コルチャック先生』である。
 ナチスによるユダヤ人迫害の実態は、未だに全貌が解明されたとは言えない。ホロコーストはなかったと主張する反ユダヤ主義者も決して少なくはないのが現実だ。コルチャックの功績を語ることは、必ずしも簡単なことではない。
 劇団ひまわりは、1995年以来、定期的にコルチャックを題材にした舞台を上演し続けている。中にはワイダ監督を招聘して監修を依頼した公演もある。ひまわりがいかにこの公演に力を入れているか、差別と迫害から子どもたちを守ろうとしたコルチャックの人生を後世に伝えることに情熱を傾けているか、その歴史が語っている。

 脚本や演出、キャストは変わっても、加藤登紀子の音楽は変わらない。それも楽しみである。


ある女

ある女

ハイバイ

西鉄ホール(福岡県)

2012/03/24 (土) ~ 2012/03/25 (日)公演終了

期待度♪♪♪

他人の不幸こそ蜜の味
 岩井秀人にしろ佐藤二郎にしろ、ヒッキーだった自分をネタにして芝居を作ると、自分では自己を客観視できたつもりでいても、やはりそこに自己弁護や自己陶酔の要素が入り込んで、あまり面白いものにはならないという傾向があった。
 しかし今度は「他人」がネタである。しかも題材は「不倫」。私も不倫した知り合いを何人も見てきているが、本人たちは真剣に悩んでいるつもりでいても、端から見ればかなり滑稽なのだ。自分を客観視できない滑稽さである。
 「自分語り」はつまらないが、「他人の噂話」は面白い、というのは鉄則である。面白くなりそうでなり損なってたこれまでの芝居に比べて、今度の岩井秀人にはちょっと期待ができそうだ。

prayer/s

prayer/s

RAWWORKS

あじびホール(福岡県)

2012/06/01 (金) ~ 2012/06/02 (土)公演終了

期待度♪♪♪

祈りか呪いか
 同タイトルのワーク・イン・プログレス公演を経て、これが本公演となるようだ。
 暗闇の中、半裸の俳優たちが、蠢きながら祈りとも呪いとも取れるような、呟き、呻き、叫びを繰り返す。その奇怪な動作は、一見、抽象的でありながら、さほど意味不明という印象は与えず、こちらの心臓に鋭い刃が突き立てられるような、恐怖と悦楽がない交ぜになった感覚を与えてくれた。
 演劇には完成形がない。前回の公演が制作過程の一形態であったとしても、それはそれで衝撃的であったし、今回もまた「進化」の過程を見せてくれるのだろう。
 あじびホールは小さな会場だが、洞窟の中の原始人たちの原初の姿を垣間見るようなあの舞台には相応しいように思える。

ゲキトーク

ゲキトーク

NPO法人FPAP

ぽんプラザホール(福岡県)

2012/03/10 (土) ~ 2012/03/10 (土)公演終了

期待度♪♪♪♪

THREE WISE MEN OF GOTHAM
 出演のお三方には多少失礼な比喩かもしれないが、この三人で鼎談をするとなると、果たして話がどんな方向に行くのやら、見当がつかない。
 新進気鋭の三人、と言えば聞こえはいいが、やってることは演劇の枠組みをいかに破壊し再構築するか、既成概念に囚われない作品を次から次へと発表し続けておられるのである。演劇界のスターと言うよりはむしろ、トリックスター。そう称してもよかろうと思えるほどにその活動の過程はラジカルでアグレッシブだ。
 だから果たしてその鼎談が「仲良く」進行するものなのかどうか、うっかりすると、ジョーカーとペンギンとナゾラーがボウルの船に乗って船出するような結果に終わるんじゃないか、実はそんな支離滅裂な事態に陥ることすら期待したくなるほど、確かにこの三人の顔合わせは刺激的なのです。

ミラクル

ミラクル

WAHAHA本舗

福岡国際会議場 メインホール(福岡県)

2012/05/02 (水) ~ 2012/05/04 (金)公演終了

期待度♪♪♪♪

大きな声じゃ言えないけれど
 多分、今回もみなさんお脱ぎになられます(笑)。
 どこまでかって、そりゃ男性はフルモンティ。女性も多分、シリまでは。久本さんや柴田さんのナマジリ見られるのがそんなに嬉しい のかって言われたらそうでもないんだが、楽しくはあります。
 運がよければ梅ちゃんに水をぶっかけてもらえるかもしれないし、何と言うか、意表を突かれることは確約できます。ギャグ界のシド・ヴィシャスですからね、ワハハは。
 既成の演劇に飽きたらない人はぜひご観劇を。と言っておきながら、脱がなかったらどうしましょ。

幻蝶

幻蝶

東宝

キャナルシティ劇場(福岡県)

2012/04/22 (日) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

期待度♪♪♪

喜劇か悲劇か
 「幻蝶」を巡る物語として真っ先に思い浮かぶのは、往年の特撮SF番組『ウルトラQ』の一編『変身』だ。幻の「モルフォ蝶」を発見した男の奇怪な運命を描いたエピソードだったが、「蝶に魅入られた男」の物語は、たいていはその蝶の神秘性に影響されてか「悲劇」となることが多い。映画『コレクター』もまた然り。
 現実でも、俳優の故・岸田森は有名な蝶マニアだったが、人間・岸田森自身が神秘のベールに包まれた存在だった。

 古沢良太は、これを「喜劇」として描くつもりなのだろうか。『ALWAYS』シリーズは決して彼の本領が発揮された作品だったとは言いがたい。原作のシバリが、彼が腕を振るうのをどこかでセーブさせていた。古沢脚本の代表作はもちろん『キサラギ』である。今回、初のオリジナル戯曲が、『キサラギ』を超えることができるのかどうか、それを確認したい。

ピーター・ブルックの魔笛

ピーター・ブルックの魔笛

彩の国さいたま芸術劇場

J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)

2012/03/31 (土) ~ 2012/04/01 (日)公演終了

期待度♪♪♪♪♪

なにかがある空間
 もちろんそこには何もないのだが、観客は何かがあると感じる、それがピーター・ブルックの「なにもない空間」理論だ。考えてみれば、歴史に残る演劇というものは全てそのようなものではなかったか。
 だからこそ精神病院患者たちによる演劇、などという『マラー/サド』の演出も成立する。彼らは狂っているのではない。彼らを狂っていると見なす我々の心に狂気という名のイマジネーションが生まれているのだ。
 ピーター・ブルックvsアマデウス・モーツァルト。天才対天才の相乗効果で生まれてくる「怪物」は、いったいどんな姿をしているのだろうか。

季節のない街

季節のない街

Co.山田うん

J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)

2012/03/24 (土) ~ 2012/03/25 (日)公演終了

期待度♪♪

どですかでん
 『季節のない街』と聞けば、どうしても黒澤明『どですかでん』を思い出す。
 黒澤作品の中では忘れられることが多いが、山本周五郎らしさが一番よく表れているのは『どですかでん』だと思っている。
 短編ながら、一つ一つのエピソードに、滑稽や哀切、皮肉やナンセンス、深い人情と虚無的な諦観、人間のありとあらゆる面が詰まっている。
 中でも「電車ばか」の六ちゃんの話は特に好きだ。
 いずれの作品もドラマチックで、ストーリーテリングの妙を味わえるのだが、だからこそ、「これがダンスになるの?」と首を傾げたくなる。
 ダンスから、街の人々の声や姿が見えてくるようなら嬉しいが。

春風亭小朝 独演会 2012

春風亭小朝 独演会 2012

シアターネットプロジェクト

エルガーラホール 大ホール(福岡県)

2012/03/10 (土) ~ 2012/03/10 (土)公演終了

期待度♪♪♪

年に一席は
 いつぞやのスキャンダルのせいで、「×髪×野郎」って蔑称がかなり浸透しちゃったが、もう「ほとぼり」が冷めた頃か。素直に落語を楽しみたい。
 小朝は巧い。それは真を打つ前から評判で、だから「36人抜き」の時には「ついに」とか「やはり」とかの形容が付いたのだった。
 けれども、巧いのにどこか物足りない。そつがなさすぎてつるんとしている。どんなに下品に演じても「若旦那」に見えてしまう。生来の暢気さのせいで、何歳になっても坊っちゃん坊っちゃんしたキャラ以外は「アクの無さ」が目立つ。
 だからしょっちゅう福岡に来ている割には、気が向いた時しか聴きに行かないのだが(先日のJR博多ホールこけら落としも観に行かなかった)、観なかったら観なかったで、残念な気持ちにさせられるのである。ともかく口跡ははっきりしてるし、間は絶妙に巧いんだから。
 1、2年に一回くらいのペースで観に行くかな。

再/生

再/生

東京デスロック

ぽんプラザホール(福岡県)

2012/02/18 (土) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

期待度♪♪♪

多田淳之介の真価を
 多田戯曲を、他劇団が演じたものを観たことがあるが、戯曲の解釈もろくにできていない貧弱な舞台だった。
 もちろんそれは、劇団の俳優と演出家がシロウトだったということであって、多田淳之介に責任があるわけではない。そのつまんない舞台の向こう側に透けて見えていた戯曲そのものは、頗る付きの面白さだった。
 役者と演出をもっとマトモな人に任せればいくらでも面白くなる可能性を秘めていたのだ。

 合同公演にも惹かれるが、まず、自身の劇団がどこまでのクォリティなのか、それを確認したい。

カミサマの恋

カミサマの恋

劇団民藝

ももちパレス(福岡県)

2012/07/24 (火) ~ 2012/07/31 (火)公演終了

期待度♪♪♪

初めての畑澤作品
 「渡辺源四郎商店」の畑澤聖悟が、劇団民藝のために書き下ろした新作。今年は『福岡 みなぎる血潮はらっせらー』と合わせて、2本の畑澤作品が観られることになる。
 と言っても、畑澤作品は『親の顔が見たい』の戯曲をパラ読みした程度なので、私にとっては期待も何も、ほぼまっさらの状態で観劇することになる。
 「カミサマ」を実在とするのか非実在とするのか、あるいはどちらとも確定させないのか、その描き方次第で、作品の評価も変わってくるだろう。

王女メディア

王女メディア

幹の会+リリック

ももちパレス(福岡県)

2012/06/12 (火) ~ 2012/06/20 (水)公演終了

期待度♪♪♪♪

最後の王女
福岡市民劇場に寄せられた平幹二郎さんのコメント。
「愛着を持って三十四年間演じ続けてきた役に別れを告げる“時”が来ました。ずっと私の中に棲み続けてきた『メディア』が、今度は皆さんの心の中に生き続けてくれますよう願っています。福岡市民劇場五○周年おめでとうございます。 平幹二郎」
34年前の初演の『メディア』には、もちろん度肝を抜かれた。辻村ジュサブローデザインの妖麗とでも言うべき斬新な衣装は、これが演劇の極北かもしれないと心胆を寒からしめるものがあった。
あまりにもその時の印象が強烈だったので、後の『メディア』は、平さん以外の作品も含めて、一本も観ていない。
しかし、これが最後である。見逃すわけにはいかないではないか。

イッセー尾形のこれからの生活2012 in 茅野/in 春の博多

イッセー尾形のこれからの生活2012 in 茅野/in 春の博多

森田オフィス/イッセー尾形・ら(株)

イムズホール(福岡県)

2012/03/31 (土) ~ 2012/04/01 (日)公演終了

期待度♪♪♪♪

耳順
 イッセーさんが還暦を迎える。
 『論語』によれば、六十歳は「耳順」の歳で、他人の言葉を素直に聞くことができるようになる歳、ということであるが、イッセーさんの一人芝居で演じられるキャラクターたちで、素直な人間なんてものは一人もいない。たいていは頑固で因業で思い込みが激しくて斜に構えていて、外面はともかく内心では人を人とも思っていない、そんな「いびつ」な人間ばかりだ。
 でも現実の世の中を見回してみても、素直な人間に出会えることなど滅多にない。イッセーさんの人間観察、洞察力が極めて優れている証である。
 還暦記念ツアーということで、今回の新作は「一ネタずつ、特別の意味を込めて、丁寧に手渡すように演じる」とか。そして、今年は8月を区切りとして、休養に入られるという。
 毎年、2、3ステージは確実に観られると思いこんでいたイッセーさんの舞台であるが、今年は去年のような「冬の小倉」はないかもしれない。シリーズネタの「天草五郎」(島原の乱の時代を背景に、絵師の天草五郎と、妹のふみ、僻みの平三や長崎奉行や天草四郎など、多数の登場人物を一人で演じ分ける壮大なSF大河ロマン・・・・・・だと思う)は、今度こそ完結するのだろうか。

Final Fantasy for XI.III.MMXI

Final Fantasy for XI.III.MMXI

福島県立いわき総合高等学校

福岡明治安田生命ホール(福岡県)

2012/03/03 (土) ~ 2012/03/03 (土)公演終了

期待度♪♪♪

高校演劇の枠を超えるか
 平田オリザも一枚噛んでるらしいがホントかな。
 東北のチャリティー公演で、高校演劇で、と聞くと、学芸会に毛が生えた程度かと侮ってしまいそうになる。
 しかし、高校演劇大会の東北代表に選ばれた実力は、東京から招聘したプロ演出家たちによって錬磨されたものだとか。
 これまで、前田司郎、柴幸男、多田淳之介、篠田千明、長谷基弘、わたなべなおこら錚々たるメンバーによって、高校生たちにワークショップが行われてきた。そんじょそこらのへなちょこ劇団よりもよっぽど濃い修練を積み重ねてきているのだ。
 震災を題材にした今回の舞台のプロデュースも、五反田団の前田司郎が買って出ている。
 先入観は捨てよう。高校生たちの「今」を観たい。

柳家喬太郎 独演会

柳家喬太郎 独演会

福岡音楽文化協会

イムズホール(福岡県)

2012/03/18 (日) ~ 2012/03/18 (日)公演終了

期待度♪♪♪

悪い下宿人
 つい最近だが、喬太郎師匠のデビューは落語家としてではなく、往年のバラエティー番組『欽ドン! 良い子悪い子普通の子おまけの子』での「悪い下宿人」の役であったと知った。
 言われてみれば、記憶の彼方の悪い下宿人の顔と師匠の顔とが重なりあう。そんな昔から師匠のことを知っていたということになるが、これまでその事実に気付かなかったのだから、決して昔ながらのファンだなどと威張れるものではない。実際、生の高座を拝見するのは今回が初めてである。
 巧いと膝を叩くほどに感心したことはないのだが(失礼)、ハズレ籤を引いたと感じたことも一度もない。以前は「一人でやっている(客の反応を見ていない)」と感じることもあったが、白髪が増えてから(苦笑)、余裕というか、貫禄も感じられるようになってきた。新作落語にも意欲的だが、ちょっと「やり過ぎ」の感もないわけではない。しかし、落語家の世代交代の先頭を走っている一人であることは間違いない。
 独演会ということは三本は聴ける。古典二つ、新作一つくらいの配分になるだろうか。

東儀秀樹 雅楽ワークショップ&ミニライブ

東儀秀樹 雅楽ワークショップ&ミニライブ

そぴあしんぐう

そぴあしんぐう(福岡県)

2012/02/04 (土) ~ 2012/02/04 (土)公演終了

期待度♪♪♪

雅楽の科学
 笙、篳篥、笛、鼓と、雅楽は充分にオーケストラでシステマチックな音楽だと思うのだが、一般的には古めかしいものとして、そうそう若い人の興味を惹くことはなかったろうと思われる。東儀秀樹が現れるまでは。
 大河ドラマ『篤姫』の孝明天皇役で広く知られるようになり、先日公開された映画『源氏物語 千年の謎』では一条天皇役であった。俳優としても高貴な役ならこの人、というイメージが定着していて引っ張りだこなのだろうが、本業はあくまで雅楽師である。現代音楽とのコラボなど、雅楽のイメージを一新する活動の数々は、一般観客のみならず、アーチストを自認する人たちにも驚異的かつ歓喜の声を伴って迎えられてきた。
 今回はただのライブではなくて、ワークショップだというのだから、その魅力の一端を「実体験」できるわけである。胸が躍るではないか。

 もう当日券しか残っていないようだから、ご興味のある方はそぴあしんぐうまでお問い合わせを。

日韓演劇フェスティバル in Fukuoka

日韓演劇フェスティバル in Fukuoka

日本演出者協会 福岡ブロック

大博多ホール(福岡県)

2012/02/11 (土) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

期待度♪♪♪

懐かしいあの村へ
 映画『トンマッコルへようこそ』は、ドラマとしてはかなり不満のある物語ではあったが、イノセントなヒロインの魅力と、何よりも「理想郷」としての村の鮮やかな緑の色彩が印象に残った。
 舞台が村に限定されているから、演劇にするには格好な題材ではあるが、自然が主役だったとも言えるあの映像美を、舞台上で再現することは困難だろう。「演劇的に」何を付与し、膨らませてくれるのか、正直不安もないわけではないのだが――。 
 ともすればつまらぬ政治上の諍いでギクシャクしがちな日韓の間で、映画や演劇の分野ではこうした交流が行われていることについて、純粋に喜ばしいことだと思うのである。 

 『恋愛』 は「無言劇」であるという、ただその一点に惹かれて観劇することにした。演技と演出によほどの自信がない限り、無言でドラマを作り出そうなんて無茶なことはしないだろう。それが羊頭狗肉でないことを祈りたい。

 今のところ、観劇予定なのはその2本だけ。あとはたいして魅力は感じないのだが、気が向いたらリーディングくらいは観に行くかも知れない。

アテルイ ―北の燿星

アテルイ ―北の燿星

わらび座

ももちパレス(福岡県)

2012/01/31 (火) ~ 2012/01/31 (火)公演終了

期待度♪♪

まつろわぬ民たちのために
 大和朝廷に一矢報いることができた唯一の勇士、アテルイに興味を惹かれるのは、同じく被征服者であるクマソの地に生まれ育った血が呼応しているからだろうか。単一民族とか、そんな妄言に騙されてはいけない。日本は古代からずっと、多民族国家である。
 被支配者の暗く重い物語を、悲惨な実話を、果たしてミュージカルにできるものだろうか、してもいいのか、という疑問が脳内を経巡るが、だからこそ、わらび座の意図と成果をこの眼と耳とで確かめたい。

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