しのぶの観てきた!クチコミ一覧

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風紋 ~青のはて2017~

風紋 ~青のはて2017~

てがみ座

赤坂RED/THEATER(東京都)

2017/11/09 (木) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

 舞台は1933年の岩手県、千人峠にある木造の駅舎兼旅籠。建物も家財道具なども具象で凝っていますが、上手と下手の袖に抜け感をつくって抽象性を確保しているので、嵐で人々が閉じ込められる設定でありながら、風通しも良いです。弦楽器(チェロ演奏・編曲:佐藤翔)の音楽が心地よく、世界観にフィットしていました。
 登場人物たちは風雨によって無理やり社会から隔離されるわけですが、旅籠滞在はふいに訪れた人生の休み時間のようでもあり、見知らぬ人同士がともに支え合うユートピアであるとも受け取りました。
 1933年の昭和三陸地震も題材になっており、2011年の東日本大震災発生時の情景がすぐによみがえりました。ぽっかりと浮かび上がった虚構の空間だから、愛について、死について、率直な言葉で語れるし、観客もそれを素直に受け止められるのだと思います。

ネタバレBOX

東日本大震災から7年になろうとする今だから、書ける、言えることもあるのだろうと思いました。2011年は劇場で波の音を鳴らすことさえはばかられました。
オペラ『ルサルカ』

オペラ『ルサルカ』

日生劇場

日生劇場(東京都)

2017/11/09 (木) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

宮城聰演出のオペラ「ルサルカ」素晴らしかった!海中をイメージした日生劇場の壁が舞台上にも続き、舞台と客席の垣根をなくす趣向。劇場に起こる魔術(奇跡)を見せた。
歌手とオケがこれでもかと愛を謳い上げる一幕で早くも涙腺決壊。不実な愛を熱く激しく盛り上げる二幕は対照的で、音楽の暴力性も表現。
水の精ルサルカが月なら彼女が愛した人間の紳士は太陽。人間界は鹿鳴館のようで、権威とそれによる排斥も描く。
森と湖が重なる三幕は(日生)劇場だからこそ現れる青の異世界。失うことでしか得られない愛に引き裂かれる。
ソリストが皆良い。イェジババ(清水華澄)は演技も上手い。アンサンブルもコーラスも効果的。
2メートル先にオケ、指揮者という席で、「フルート可愛い!オーボエ素敵!指揮者カッコ良すぎ!!」等と(笑)、奏者のオーラとともに音楽の恵みを堪能。物語からは「人魚姫」「夕鶴」を連想した。

令嬢ジュリー

令嬢ジュリー

航跡

プロト・シアター(東京都)

2017/11/07 (火) ~ 2017/11/10 (金)公演終了

傑作古典をシンプルな演技合戦で見せる、奇抜なことをしないド直球のストレートプレイでした。丁寧な戯曲読解に基づいた上演です。これを観れば『令嬢ジュリー』が何を表した戯曲なのかがわかるのではないでしょうか。約2時間10分(休憩なし)。小劇場で俳優と客席の距離が超~近く、がっつり、みっちりの観劇環境なので、欲を言えば、途中休憩を入れて欲しかったですね。

プライムたちの夜

プライムたちの夜

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2017/11/07 (火) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

「プライムたちの夜」約2時間5分休憩込み。85歳の役を演じる浅丘ルリ子さんが超可愛いーーー!!アンドロイドとの会話から老い、死後について考えさせられた。記憶は常に捏造され歴史は好き勝手に解釈される。二幕の変化に驚いた(笑)。そして佐川和正さん萌え。

ネタバレBOX

能舞台を思わせる美術。85歳のマージョリーは夫ウォルターのアンドロイドと暮らしている。ただしウォルターは50年前の30代の姿だ。マージョリーの娘テスは、母が自分が生まれる前の父を望んだことにショックを隠せない。彼女は13歳で自死した兄デーミアンより愛されることがなかったと、苦しんでいる。それを毎日突きつけられるテスの気持ちを考えると、二幕の彼女の変貌ぶりにも納得できる。

母の死後、精神不安定のテスは母をアンドロイド化させ、テスの夫ジョンもまた、若くして自死してしまうテスをアンドロイドにした。ウォルターも含めた3体のアンドロイドが語り合う部屋に、既にジョンはいない。「誰かを愛することができた人生は素敵だ」等と母のアンドロイドに言わせて終幕する。この場面は、物語から逸脱させて抽象世界に飛ばしてもいいんじゃないかと思った。100年後、1000年後を想像させるような。
散歩する侵略者

散歩する侵略者

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2017/10/27 (金) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

 すごく面白かった!今回の『散歩~』は大人でスタイリッシュ!上演時間は約2時間10分、休憩なし。客演の内田慈さんが抑えた演技でエレガントに魅せてくださいました。看板劇団員の浜田信也さんは私が今までに観た中で一番良かった~!

 現代が舞台の、SFの設定を活かした密な人間ドラマです。演劇ならではの軽やかかつシャープな場面転換で抽象空間を変幻させ、想像力を大いに刺激してくれます。コミカルなやりとりが心地よいアクセントになっており、ベタだったりシニカルだったり、笑いの種類も豊富です。笑っていいのかどうかわからないアンビバレントな空気を作るのも巧い。

 実はド直球のラブ・ストーリーでもあるのですが、抑制の効かせかたが見事でした。ギュっと凝縮した空気が持続し、巧妙にじらされて(笑)、最後は落涙してしまいました…! 芯の熱さを徐々に表に出していく演技のグラーデーションも、微細にコントロールされています。俳優の仕事をしてくださっていると思いました。

 2005年、2007年、2011年と拝見してきた私に、2017年版はどのように響いたのか。中身は変わっていないのに、やはり時代を映すことになるんですね。上空で戦闘機の爆音が轟く、基地のある海に近い街といえば、今の沖縄ですよね。「ミサイルが飛んでくるかも、戦争が起こるかも」と庶民が噂をする状況も、驚くほど今の日本と重なります。否応なしに実生活、社会状況を意識しながら拝見することになりました。

 たまたま木下順二さんの書籍「“劇的”とは」を読んでいまして、前川さんの作劇術は木下さんの分析にぴったり当てはまると思いました。

 拙ブログより。http://shinobutakano.com/2017/11/03/7467/

ネタバレBOX

他者(=敵)に概念を奪われるというSF的設定で、「愛」という目に見えない、存在を確かめられない概念を描き出すという、フィクションだからこそ成し得る離れ業。
「表に出ろいっ!」English version”One Green Bottle”

「表に出ろいっ!」English version”One Green Bottle”

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2017/10/29 (日) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

楽しかった~~!笑った~~~♪ 明らかな“偽物”が日本の伝統芸能の所作を、熱く、真剣にやってることが既に可笑しい! 約1時間20分という短い上演時間もスカっとして気持ちいい! さっそく家族に観劇を勧めました。英語上演ですがイヤホンガイドを劇場入り口で貸してくださいます(無料)。

ブランキ殺し 上海の春

ブランキ殺し 上海の春

公益社団法人日本劇団協議会

ザ・スズナリ(東京都)

2017/10/28 (土) ~ 2017/11/05 (日)公演終了

「ブランキ殺し 上海の春」約2時間10分。2.26事件が革命として成功していたら…という架空の設定で日本人、中国人、朝鮮人、西洋人らが入り乱れる上海が舞台。佐藤信さんの70年代の戯曲を西沢栄治さんが冷静に演出。私にはもうこの熱さも、革命を欲する身体もないのだな…と気付かされた。
銀色のポールが横一列に並ぶシンプルな美術に、狙い定めた照明と映像が活きる。目の前で披露される元気な歌と踊り、大声の会話、鍛えられた筋肉が「既に失われたもの」として迫ってきた。時代は変わり、日本人も変わり、今、ここには大きな断絶、空白があるのだと、まざまざと見せつけられる体験になった。

作者を探す六人の登場人物

作者を探す六人の登場人物

KAAT神奈川芸術劇場

神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2017/10/26 (木) ~ 2017/11/05 (日)公演終了

KAAT「作者を探す六人の登場人物」約2時間20分、休憩15分含む。稽古場に乗り込んできた『登場人物』たちが自分たちの人生を演じてみせる。ピランデッロの有名戯曲をやっと観られた。
芝居の中の出来事は嘘か本当か。ひどい嘘がまかり通る毎日だから、ついつい自分の日常に当てはめて考える。伊藤詩織さんの事件とか。
長塚圭史さんの上演台本と演出は現代にフィットさせる工夫あり。演出家役の岡部たかしさんが大活躍。踊れる俳優の需要が増してますね。

ネタバレBOX

開演時刻が早いのは子役出演ゆえでしょうね。平田敦子さんの出番が短くて、さすがのインパクトだけどもったいない気も。
鼻

文学座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2017/10/21 (土) ~ 2017/10/30 (月)公演終了

故・杉村春子さんの“声の出演”が、80周年の歴史を体感させてくれました。将軍と呼ばれる老人(江守徹)の最後のセリフを聞きながら、虚構(嘘)の中に自分の真実があり、虚構という枠組みがあるおかげで、真実を他者と共有できるのかもしれないと思いました。

田中奈緒子『Unverinnerlicht - 内在しない光』

田中奈緒子『Unverinnerlicht - 内在しない光』

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭

ロームシアター京都ノースホール(京都府)

2017/10/20 (金) ~ 2017/10/22 (日)公演終了

開演前、開演後の約10分ぐらいが凄く面白かった。脚がグニャリとひん曲がり、あらぬ方向に傾いている学校用の椅子たちが雄弁。全体を影絵のパフォーマンスだと解釈するならば、私は望ノ社の方が好き。

ネタバレBOX

オープニングは光、物質、人類の誕生を思わせる。歯車の回転は時間の経過か。悠久の時の流れが止まっても、もしかしたら残るのかもしれない何か(椅子)は希望か。
スン・シャオシン「Here Is the Message You Asked For…Don’t Tell Anyone Else ;-)」

スン・シャオシン「Here Is the Message You Asked For…Don’t Tell Anyone Else ;-)」

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭

京都芸術劇場(京都造形芸術大学) 春秋座(京都府)

2017/10/20 (金) ~ 2017/10/21 (土)公演終了

中国人でも日本人でもコスプレ少女の「カワイイ」は共通だなーなどと呑気に見物した。終演後の演出家のトークで「コピーライト」も主題のひとつと聞き納得。中国の表現の自由の制限についても。同じ回を観た(経験した)人たちに感想を聞いたらそれぞれに全然違ってて、また勉強になった。

ネタバレBOX

マットレス席と椅子席の間に降ろされた巨大カーテンを、マットレス席の観客が自ら開けて出て来るのがいい。
出てこようとしてるトロンプルイユ

出てこようとしてるトロンプルイユ

ヨーロッパ企画

本多劇場(東京都)

2017/10/20 (金) ~ 2017/10/29 (日)公演終了

約2時間5分。パリのアパルトマンを舞台に売れない画家らが登場する。題名どおり額縁から出てこようとしてる何かを描いた“だまし絵”がモチーフ。息の合った親しみやすいドタバタ喜劇だが、実は平面と立体、時空間について考えせるSFになっていて驚いた。並行世界、ループものなどの王道をふうまえ、天才と凡人、身分差といった人間社会も描く。は~感服!ロビーで岸田國士戯曲賞受賞作『来てけつかるべき新世界』DVDを購入。

ネタバレBOX

ベタな繰り返しネタはバリエーションが豊富で多いに笑わせてもらった。20回繰り返したとのこと(終演後のトークより)。『ビルのゲーツ』を思い出した。

実はこの演劇でも、日常のたわいない会話でも、私たち人類はいくつもレイヤー(層)を、すごい速度で、無意識に行き来している。高尚な思考の旅は刺激的で面白い。でも、目の前の日常こそが大事なのだという“娼婦”の生き方も美しいし、真実だと思う。

舞台装置が部分的に金色に塗られていることに、終演後のイベントで気づいた。このお芝居も金色の額縁の中の絵だったというわけ!
ARE YOU HAPPY ???〜幸せ占う3本立て〜

ARE YOU HAPPY ???〜幸せ占う3本立て〜

東京デスロック

STスポット(神奈川県)

2017/09/30 (土) ~ 2017/10/14 (土)公演終了

『3人いる!』を鑑賞。やっぱり面白い戯曲&上演!欲を言えばもっと翻弄されたいかな~。岩井秀人さんと多田淳之介さんとのトークも超楽しかった。9年前の『3人いる!』に出演した岩井さんが、多田さんのことをすごく明快に紹介するのを聞きながら、私も約10年を振り返ることが出来た。

ネタバレBOX

3人それぞれにドッペルゲンガー(?)が付いているならば、舞台に居る(はず)なのは合計6人。私自身も6人居るように見えていた。でも脚本ではもっと多いみたい(本人が2人になったりするとか)。そういえば以前に観た時は、6人より多いと感じていた。岩井さんも指摘されていたように、俳優の演技に曖昧で、不確実な要素を増やしてもいいのかも。
マナちゃんの真夜中の約束・イン・ブルー/秘密の花園

マナちゃんの真夜中の約束・イン・ブルー/秘密の花園

チュム

こった創作空間(東京都)

2017/09/29 (金) ~ 2017/10/01 (日)公演終了

「秘密の花園」「マナちゃん…」の順で鑑賞。中村勉さんの戯曲は、演劇が観客にかける謎と魔法が前提になっている。それをしかと踏まえた演出で、高校演劇の魅力と可能性、既に達成しているジャンルとしての豊かさを伝えてくれたように感じた。
ただ、私は高校演劇として観るつもりがなかったので(2演目で3千円のチケットを購入していることもあり)、拙さは気になった。中村''先生''の戯曲は高校生が演じることを前提に書かれているのだろうけれど、プロの俳優、演出家が上演したらどうなるのか、興味がある。

ネタバレBOX

劇中の夢から目覚めても、劇場から出て目に入る現実もまた(悪)夢のようで、つくづく人間は夢の中に生きているものだなと思う。
カバと結婚

カバと結婚

望ノ社 with ヤノミ

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2017/09/22 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

望ノ社「宇宙カバ」は人形操作を舞台面側で行う影絵劇。とても良かった。インドネシアのワヤンクリッの裏を見せてくれる趣向。戯曲は半年がかりで仕上げ、人形や背景含む220枚の手作り影絵は製作に1ヶ月半かけたという愛情こもった力作。可愛らしくてコミカルだけど泣ける物語は「アルヴィン・スプートニクの深海探検」に少し似てる。上演時間は約50分。
ヤノミさんのスタンダップコメディは結婚式あるあるネタ。数百組の司会経験者ならではの貫禄。
東京公演は9/24まで。四日市、香川、広島、米子、姫路、京都公演あり。京都公演はKyoto Experiment フリンジ企画参加。

ネタバレBOX

「宇宙カバ」はスターウォーズ的冒険から地球またはカバ類(笑)創生へ。導入はもっと演劇として作り込んで見せる方が私好み。

結婚式がなぜ素晴らしいのか。それは祝福と感謝が満ちて、渦巻いてるから…というヤノミさんの心からの言葉に共感。
僕の東京日記

僕の東京日記

富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ

富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)

2017/09/15 (金) ~ 2017/09/19 (火)公演終了

田上豊版「僕の東京日記」になっていたと思う。ぶつかって取っ組み合ってコケて転がって…今のツイッター上での匿名の罵倒合戦が、俳優たちの心身によって目の前に引きずり出されたみたい。70年代の日本人は顔を見合わせてケンカしたし、成り行き任せだとしても、お互いに向き合って和解もしてきたんだなと思った。わがまま邦題で責任を取らず「お母さん」に甘えっぱなしでぬるりと開き直る男性像が、題名の「僕」に象徴されているように感じた。建て込まれた装置が嬉しい。戯曲本は持っていたけど上演を観たのは初めてで、とてもいい機会だった。上演時間は約2時間10分休憩なし。

ネタバレBOX

主人公のボクチャンは結局、父親の強力なコネで大企業に就職して「運動」なんて忘れ去る。中央にある階段から転がる無数の「全共闘」ヘルメットが良かった。今もデモはあるけど、この時代とは全く違うものだと思う。それを肌感覚で納得できた。
同郷同年

同郷同年

公益社団法人日本劇団協議会

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2017/09/13 (水) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

核廃棄物の最終処分場の誘致がテーマの男性三人芝居だから、気を引き締めて劇場に行ったんだけど、すごくよくできた90分の会話劇でとっても面白かった!
「反吐が出る」と言っていいぐらいの醜悪さにムカムカするんだけど(笑)、俳優さんに愛嬌があり、宮田慶子さんの演出でコミカルにも見せてくれる。場面ごとの変化にわくわくする。
劇作家のくるみざわしんさんは色んな戯曲賞を受賞されている現役の精神科医。今回の劇作家協会新人戯曲賞の一次審査も通過されている。
ひとつの言葉の意味が意図的に変えられ、何度も利用される様に胸が苦しくなる。今の日本の報道、政治家の発言とぴったり重なった。

ネタバレBOX

いじめの構造が明らかにされている。死ぬとわかっていても、徹底的にやる。死んだら、見せびらかすようにその「同郷同年」の友の墓の世話をして、自分は地獄行きだと言いながら、のうのうと公金で生活する。まさに反吐が出る。でもそういう人間が生き延びる。
悪について

悪について

小田尚稔の演劇

新宿眼科画廊(東京都)

2017/09/08 (金) ~ 2017/09/12 (火)公演終了

 カジュアルな服装の若い俳優が客席に直接話しかけ、独白で進行していったので、第一印象はチェルフィッチュの『三月の5日間』でした。今の若者たちの言葉を、姿を受け取りました。皆、弱くて、優しいです。

 作・演出の小田さんは長らく哲学を学んでこられたそうで、劇中に哲学書などを朗読する場面があります。小田さんご自身が今見て、聞いて、感じ取っている身近な世界を、哲学のあるテーマに即して演劇の形に表されたのだと思いました。

アンネの日

アンネの日

風琴工房

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2017/09/08 (金) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

いわば「ヴァギナ・モノローグス」の生理版で、法廷劇のようなスリルもある会議ものの群像劇。初潮から閉経までを当事者視点で赤裸々に語ってくれるから、何もかも自分のことのように感じて、「そうなの、そうなのよ!」と脳内で激しく頷きながら、なぜか涙をポロポロ流しながら観た。女性の生理は今も“隠されたもの”なのだ。

生理用品の開発現場から現代の社会問題が浮かび上がる。日本人の“働き方”について考えせられ、原材料の生産にまつわる農薬、種の問題は特に興味深かった。企業内の“リケジョ”の活躍はエンタメ要素が多く、研究開発やコンペの行方にわくわくする。

男女問わずお薦め。カップルやご家族で観に行くといいのでは。笑顔を貼り付けたような演技がごくたまに気になったけれど、作・演出の詩森ろばさんと仕事をしたことのある女優さんばかりで、チームワークも上々。石村みかさんがはまり役、笹野鈴々音さん、熊坂理恵子さんはいつもながら柔軟で光っていた。約2時間10分。

ネタバレBOX

「50歳で閉経したとすると、妊娠・出産しなかったら9年間は生理期間である」という日数計算に驚いた。そんなに長いのか…。多産だったら少なくとも5分の1にはなる、と終演後に耳に挟んだ。現代の婦人科の病気の原因は少子化も影響しているらしい。
冒した者

冒した者

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2017/09/06 (水) ~ 2017/09/22 (金)公演終了

10分休憩2回を含む3時間50分という大作。めちゃくちゃ面白かった。三好十郎戯曲を隅々まで読み込んだ上で、独自の解釈や遊びを加える上村聡史さんの演出に感服。終戦直後の話なのに、ヒリヒリするほど今だった。アトリエを活かした急勾配の抽象美術に、人間の本性を暴くような照明。突き放すような選曲のセンスも好き。神妙になり過ぎず意外な展開を生む演技も楽しかった。

ネタバレBOX

須永はイエス・キリストのように、血まみれになって私たちの犠牲になったのかな。
こんなに上村ワールドなのに、三好十郎さんにしっかり説教された心地。嬉しい。

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