焼肉ドラゴン
新国立劇場
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2011/04/16 (土) ~ 2011/04/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
生々しさの極致。
それでも生きていく。
明日はきっと、いい日。
「在日」をテーマにした作品として、わたしがこれまで触れたどの媒体(TVや映画や記録や事件簿など)よりも、そう、大きな事件が起こる訳でもなく、登場人物が特異なわけでもないのに、心底、響きました。
この衝撃度は、映画「血と骨」以来だな…などと思っていましたらば!
恥ずかしながら、「血と骨」の脚本家…というリンクが脳内で出来ていませんでした。
観劇後に知るという。なさけなや。
舞台中継やDVDとは違い、劇場で観る、という事の根幹を再確認しました。
泣き笑いしながら立ち上がって、手を掲げて拍手を送ったのは、初めてでした。
散歩する侵略者
イキウメ
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2011/06/12 (日) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
感想を見失う前に。
観劇後、即座に感想など語り合える機会に恵まれ、メモなど録るのを忘れてました…
突出して感心(生意気ですが)した部分は、文化やコミュニケーションのとり方、価値観などでなく「のり移った対象の生態が持つ言葉の意味は分かるが、概念として取得したい」という異星人(?)の発想。
言葉のもつ意味は薄っすらわかっている。
それはごく短期の一過性健忘のようでもある。
言葉と現象が繋がれば「ああ、それは知っている」と言うのだが、本質的な部分が結合しない。
これは恐ろしい。
「概念」というのは、ほとんどの人が共通して認識している場合もあり、また、ものによっては個人の価値観から形成させた「概念」もある。
感情に密接したものは後者が多いかと思う。
だからこそ、鳴海から「概念」を奪った時の激しい反射に(内面ではそこまで!)という驚きが起き、同時に受け取った真治の激しい嗚咽と続く慈愛の行動がその深さを裏付ける。
鳴海の「愛の概念」=「真治への愛」を理解した途端に、二度とそれを得ることができないと知った真治の悲しみが、痛々しかった。
「愛の概念」を理解したとき、おそらく真治も自分の中に生まれていた鳴海への愛を自覚したんだろうな…と。
最後の言葉を言いながら、ゆっくりと振り返り、鳴海へ歩いていく真治。
ここから次の物語が始まるのだという予感を与えてくれる余韻が、絶妙だと感じた。
セットチェンジ無しでも、ここまでできるのか、という妙技も堪能しました。
ワレラワラルー
F's Company
ぽんプラザホール(福岡県)
2010/12/11 (土) ~ 2010/12/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
曖昧であるが確たる境界。
明日や長崎公演をご覧予定のかた、ハンカチとかティッシュとか、必須です。
何かを、誰かを、大事な存在を亡くした(失くした)事のある人は特に。
途中から、わざとシンクロさせる微妙な手法。微妙でありながら、効果的。
ナクシタのは1人?2人?1匹?それとも、、、、
こんなに、、辛い記憶と幸せな記憶を「まぜこぜ」に呼び覚まされるのは、シンドイ。
シンドイけど、涙がとまらないけど、観ることをやめられない。
カンアミ伝
わらび座
THEATRE1010(東京都)
2011/02/18 (金) ~ 2011/02/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
[歌舞劇ロマン]に納得。
あらすじにある
『「民衆の中にあってこそ真の芸」と考える観阿弥と、「幽玄」の世界を求める世阿弥の対立』
が中心となるのかと思っていたら、まさかまさかの連続。
いったい、観阿弥や世阿弥が、どうミュージカルになるの?と思っていたので、余計に驚きと驚かされた満足感が加速度的に増していきました。
また、丸山有子さんが、姿も声も美しくて、それでいてキリリとしてて、菖蒲という名を体で現しているようでした。
そして…
「自然居士」の場面で涙があふれて止まらなくなりました。
最後の最後で、それを魅せるとは!
と。
荒野に立つ
阿佐ヶ谷スパイダース
イムズホール(福岡県)
2011/08/11 (木) ~ 2011/08/12 (金)公演終了
満足度★★★★★
記憶は確かかって事。
過去~現在~未来を、記憶を元に行き来しているようにも見えるけど、それ、本当にあったこと?
という話かなと思った。
その人、本当にいた?それ、未来の可能性のひとつで、実際に起こる事じゃないかもしれないよね?
そんな話かなと思った。
「田端」という「覚えてもらえない少女」が文字通り水先案内人となって、一方向に流れない時間の旅をする。
心に浮かぶ記憶と肉体に残る記憶の隙間を埋めながら疾走する展開が、うん、探偵もの!って楽しさも。
名前がどうでもいいって所もポイントなのかな…
どうでもよくないけど。
名づけてもらって初めて人格が実体化する「美雲」もいるし。
「自分の未来が見えない」と悩む高校生くらいの娘を持った、心配性で悲観気味のお父さんの脳内での妄想物語と思うと、それもまた楽しい。
「これを観終わって、どうとでも思っていいよ!」
って感想の自由を許された話でもあるのかな。
イムズ苦手だけど、こういった組み方と効果であれば平気みたい。
ひとんちで騒ぐな
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
ぽんプラザホール(福岡県)
2010/12/22 (水) ~ 2010/12/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
期待値を軽く越えられた~
どこにどうコメントつけてもネタバレになりそうなくらいに、数分に1度は何かが起こるという「客をあきさせない」秀逸さに、見事!はまりました。
最上段の席について、セットの全景を観た瞬間の驚き。
「これ…このままアゴラに持っていくの?」
某お方に聞いてみたら
「うん。そうじゃない?」
この人たちは、本当にいい意味で「芝居バカ」だと思いましたね。
【こまばアゴラ劇場】での感想群が今から楽しみですw
THE BEE Japanese Version
NODA・MAP
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2012/06/07 (木) ~ 2012/06/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
いくつもの「BEE」
ずいぶん前に戯曲集で読んだだけだった。
読み物として面白く、読み物として捉えたので映像作品よりの想像をしながら読んだ。
その読後感は消えず、あの戯曲を舞台にあげるとどうなるのか?という想像にシフトする事はなかった。
今回、とても見やすい席であったこと、周囲の観客が「芝居のうそ」を楽しめる人たちだったことも幸運だった。
装置や効果の工夫ももちろん楽しんだけど、とにかくあの戯曲にこれだけの「BEE」が現されていたこと、それを目の前で展開されたことに嬉しい驚きがあった。
細かい部分を見ていけばいろいろと「あそこがすごい、ここがすごい」と言えるけど、つくづく、表現したいことを実現するための努力というものは、舞台に現れるんだなと思った。
病気(再発)
二番目の庭
アートスペース2F(北九州市小倉北区清水3-8-21-2F)(福岡県)
2012/06/22 (金) ~ 2012/07/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
恐怖にもいろいろある。
男がカリカリし始めたとこ、涙がとまらなかった。
さきちゃんの凄み、感動的だった。
さきちゃんったらいつの間に、こんなに静かな迫力のある役者になってたの?!って思いながら。
美しい微笑みに総毛だつことって、本当にあるのだと知った。
言葉にうまくできない。
それほどに渦巻いた。
ラストの解釈は3通りも4通りも見る人によって変わるだろう。
それが「あえて」なのがにくい。
ねぇ、みずきさんって本当に病気なの?
なんて聞いてごめんなさい。
リアルすぎて・・・
自慢の息子
サンプル
J:COM北九州芸術劇場 小劇場(福岡県)
2012/04/14 (土) ~ 2012/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
笑って笑って笑って肝が冷えた。
…もぅ。
どこまでも深読みが出来る。
どこまでも妄想が許される。
そんな狭い空間での広大な物語に、ただただ参りました。
チラシでは宇宙空間の惑星表面と思い込んでいた「図?」がフライヤーでは「アレ」だと知ったときのやられた感たるや。
冒頭と矛盾しますが、すなおに観る事をオススメします。
魅入られます。
「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう!」vol.3 上演審査
福岡市文化芸術振興財団
ぽんプラザホール(福岡県)
2011/04/22 (金) ~ 2011/04/23 (土)公演終了
満足度★★★★
観せることと読むこと。
上演順は日替わりだったそうで、審査日は「柿喰う客」が先、「village80%」が後でした。
公開審査にて、さすがの評論が展開されたので、あくまでも審査前に感じた(アンケートに書いた)事のみ。
決定的な差は「この戯曲のキモ(作者が最も伝えたかった所)はどこか」という部分をどこかと探る所に、両演出家に差があったのかなと。
作者の意図に沿うのか、演出家が強調したい部分に沿うのか。
核を元に肉付けをしているのなら、そういった出来上がりになっていたはずであるから。
優しく見える、みどりの中で。
演劇関係いすと校舎
自宅劇場「守田ん家。」(福岡県)
2009/06/20 (土) ~ 2009/06/28 (日)公演終了
満足度★★★★
自宅劇場の醍醐味!
大分から行橋まで観にいきました。
目の前(字のままです)で展開される姉妹の物語。
部屋の端と端にいる二人を交互に見ないと見えない。
視野の問題で。
誰かに気をとられると誰かを見逃しそうでもったいない。
そんな自宅劇場。
じーん。 と、します。
うまく言い表せないので、ぜひ、観にいってください。
コデ。
劇団きらら
熊本市現代美術館(熊本県)
2011/08/26 (金) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
迷えばいいのだ。
これでいいのかな?
もっと我慢したほうがいいのかな?
我慢…しなくちゃ、いけないのかな?
自分の「今」に迷ってるとき、答えを求めるのが人情だけど
もうちょっと、迷っても、まだまだ、間にあうさ。
大丈夫。
そんな風に、優しく抱きしめられた空間だった。
「我慢」を「努力」に代えてもいいっす。
無差別
柿喰う客
イムズホール(福岡県)
2012/09/27 (木) ~ 2012/09/28 (金)公演終了
満足度★★★★
たっぷり。
2日間しかないので、初日はアリーナ(予約時に張り切りすぎたのか、六角形の最先端中央だった…)で、合ってないとは思いつつも、目の前に役者の目がある。
顔っていうか、目がある。
手を軽く置く音も聞こえる。
のに、激しい動きでは聞き苦しい踏み音もたてず、ブレスも安定。
どんな稽古をしたらこんな身体表現ができるのだろうと、またもや思った。
ほとんどの役者が唾を飛ばさず動きの中で汗を散らすのみ。。。
ファン気分満喫しました。
鼻水出るほど泣いて知り合いにひかれた。
2日目。
少し間をあけ、壁に写る影も楽しみました。
イムズだからね。
影すらも計算の内であるような濃淡と大きさ。
(いや、分かってるんだろうな)
同じとこでも泣いたし、違うとこでも泣いた。
それぞれの「命」と「心」と「摂理」の根底に響く観客への訴えを勝手に感じてしまい、中屋敷さんにも「世阿弥でなく、観阿弥の世界感を感じました。」と伝える事ができたので、ファン心理として満足。
天神様と狗子の存在が、自然居士の役割を代弁し、民衆と幽玄の境界にも思えたからかもしれない。
あとは「母性」と「女性」に対する中屋敷さんの想いなのかな。
人之子の「命」と「心」が、もしかしたら、最も素朴な生命の根源だったのかもしれない。とか思いながら、最も鼻水垂らして泣きました。
追伸・柿パーカーの素材いいです。めっさ暖かい。
大阪のひと、もう寒いから無くなる前に買ったが勝ちですよ。
九州ですが、既にはおってます。
…柿喰う客をなんでこんなに好きなのか、自分でも気持ち悪いよ、ごめんなさい。
グンナイ
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
イムズホール(福岡県)
2011/05/28 (土) ~ 2011/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★
良かったけど、しくじった?←自分が。
とにかく
生コメンタリーって…絶対面白いやろ!と、29日にしたんですが~
ラストの方の切ない気持ちが爆笑でぶっとびました。
これは、よかったのか、悪かったのか。
うむむむむ。
天草と和美は(一度、みていたので観応した?)と思うとして。
死が迫る危機の中で、幻覚に襲われた彼等に浮かんだ「幸せだった場面」が、あの思い出なのだな…
って思うと、やっぱ切なかったです。
作・演出の世界観を表現するためのスタッフワークも最高ですね。
工場S
飛ぶ劇場
旧サッポロビール醸造棟(門司赤煉瓦プレイス)(福岡県)
2011/11/18 (金) ~ 2011/11/23 (水)公演終了
満足度★★★★
一番後ろ。
一番後ろで観た。
芝居を観ながら、観ている人々の反応も込みで舞台になってて、とても楽した。
ブログにも書いたけど、とにかく寺田さん。
いやー寺田さん。
そんなかんじ。
そして公演直前に合流した寺田さんにあの役をやらせる泊さん。
いやーさすが。
素敵じゃないか
RAWWORKS.NDR
枝光本町商店街アイアンシアター(福岡県)
2011/02/05 (土) ~ 2011/02/06 (日)公演終了
満足度★★★★
素敵でした。
観なかった人は、再演を希望したほうがいいと思うよ。
ちょっとしかめた眉
ちょっとだけ傾げた首
瞳に映る光や、睫が落とす影…
あの会場で、あの距離で味わうことができて幸せでした。
話の中心は「子供を産むということ」
それって、結局は
「生み方じゃないよ。育て方なんだよ」
っていう裏のメッセージも含まれていたのかなぁと思いました。
終わったとこから続きが始まるような、素敵な余韻でした。
ええじゃないか。
有門正太郎プレゼンツ
ROCKARROWS(福岡県北九州市小倉北区船場町7-20 地下)(福岡県)
2011/04/26 (火) ~ 2011/05/01 (日)公演終了
満足度★★★★
コントだ!
観ている人を、どう楽しませようか。どう、笑わせてやろうか。
そんな企みに素直にはまるのが正解!
「想定外」とか狙っていない王道。
直球で勝負しまくった結果、こちらは笑いすぎてフラフラになりました。
せめぇて2年に1回はやってくださいw
血の婚礼
Bunkamura
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2011/08/27 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
想像より激しい雨だった。
路地がいい。
路地ってとこが、やっぱいい。
雷のような太鼓隊。
物語が進むと当然雨水が溜まる。
これが、ほんとに、アスファルトを冷ました雨水みたいな匂いがする。
ところが、どんどん、苔蒸した日の差さない山奥の湿地の匂いになった。
怖いなぁ。
TV画面の赤と青が、ゆらめく炎のようで美しくもあり、映像どおりに淫靡でもあった。
ピーター・ブルックの魔笛
彩の国さいたま芸術劇場
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2012/03/31 (土) ~ 2012/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
オカンの呪縛。
派手な装飾が排除されたことで、夜の女王にパワーが無い。
その普通さがしみじみと
ああ。母親ってこうやって娘に自分の価値観という呪いをかけるよねぇ。
って思えて、とっても面白かった。
あちこちで、いっぱい笑いました。
パパゲーノは最後、死ぬって思い込んでたからハッピーで安心した。
なぜに死ぬと思い込んでいたのだろう。
なぞだ。
『三月の5日間』100回公演記念ツアー
チェルフィッチュ
早川倉庫(熊本県)
2011/12/09 (金) ~ 2011/12/11 (日)公演終了
満足度★★★★
主観。
誰も主役じゃない誰も中心じゃない世界の話。
いろいろ思ったけど、何と言うか、床が丈夫な場所だったら、休憩時間に踊って温まりたかった。とか、知り合いと話した。
そういう自由空間だった。
「踊っても怒られないんじゃね?」
という自由なかんじで。
詳しい演劇用語とか難しい横文字並べなくてもいいよね。
好きな音楽を聴いている時と同じような快さがあった。
そんで、パー券付きの日に行ってよかったです。
いろんな方々と交流ができて、とにかく楽しかった。
個人的に、風邪や肺炎で寝てる間に湾岸戦争が始まって終わっていたり、同時多発テロが起こっていた経験があるもんで、なんとなく分かるなぁ。
あのカンジ。