TOMの観てきた!クチコミ一覧

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シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ

シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ

音楽座ミュージカル

赤坂ACTシアター(東京都)

2009/06/06 (土) ~ 2009/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

観ないと損をしますよ
「ブランド」  
物を選ぶとき、多くのひとが根拠にするのは「ブランド」でしょう。
舞台も同じです。  特にミュージカルはその傾向が強いと思います。

有名劇団の公演だから、名のある役者が出ているから。  
そして「ブロードウェイ・ミュージカル」という冠。

まだまだ認知度が低く、オリジナル・ミュージカルに挑戦し続ける音楽座。
音楽座としての第1作となる「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」が久し振りに再演されました。  宣伝の謳い文句は音楽座の原点。  これは第1作という意味でもありますが、原点には音楽座が伝えようとしている心の優しさ、愛、そして命は永遠というテーマがこの作品に凝縮していることにあると思います。

しかし、作品は宗教的なイデオロギーを押し付けるようなものではありませんし、感動を強要するようなものではありません。
笑いもたくさん。  素敵な歌とダンスに、レビューのような迫力のある群舞もあります。

全国区ではないかも知れませんが、出演者たちのレベルはとても高いです。
取り分け、主役・佳代を演じる髙野菜々は20歳になったばかり、この舞台が2作目とは思えない見事な歌唱と演技を見せてくれます。

無印商品ですが、物は保障します。

【Daddy's kids are・・・ Back on Stage!】

【Daddy's kids are・・・ Back on Stage!】

Back on Stage 制作委員会

下北沢GARDEN(東京都)

2011/01/26 (水) ~ 2011/01/27 (木)公演終了

満足度★★★★★

最高!
昨年亡くなった脚本家、演出家・福田陽一郎氏を偲び、氏が演出した「シューズ・オン」のメムバーが5年振りに集まり、懐かしいショーを繰り広げる。
いずれも素晴らしいエンタテイナーばかり、大いに笑い、ダンスと歌を楽しんだ。

川平慈英が”Daddy"福田陽一郎に捧げる歌で、Daddyを”Mr.ボージャングル”と呼び、ラスト近く、女性出演者全員により「Mr.ボージャングル」を静かに、感動的に歌う。  爆笑シーン満載のなか、しっかりと福田氏への追悼をするというとてもいい演出だった。

Daddyの子供たちは、見事に育っている。  彼らがDaddyが造った粋なエンタテインメントを受け継いでくれることを期待している。

サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ 〜日曜日にジョージと公園で〜

サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ 〜日曜日にジョージと公園で〜

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2009/07/05 (日) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★

アートのような舞台
ミュージカル映画「オペラ座の怪人」では、冒頭の荒廃したオペラ座が華やかかりし時代へと一気に遡るCGを駆使した画面が見事だった。
結局、この映画この場面以外にはあまり見るべきものはなかった。
舞台を映画化するのならば、映画でしか出来ない特色を生かすべきである。

ところが、「サンディ・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ」の先端テクノロジを使用したアートとも言える舞台技術は、映画の特質をも凌駕するである。

ネタバレBOX

斜めの舞台を囲む、遠近法を表すような白い壁面。  これはキャンバスである。
ここに、石丸幹二扮するジョージ(ジョルジュ・スラー)が絵を描いていくシーンは、息をのむほどの美しさである。

2幕では、19世紀のフランス人ジョージのひ孫でアメリカに住むジョージがコンピュータグラフィックによるアートをこのキャンバスに描き出す。

パーティーで、ひととは義理で相手をするジョージを映像で移し、本心を生身のジョージが唄うという演出もある。  影をうまく使用する演出もある。

この作品は舞台美術が秀逸である。

実力者の揃った出演者たちも負けてはいない。
才能ある出演者たちは実力を発揮し、視覚的に引き付けた客を落胆させることはない。
1幕はフランス人画家ジョージの苦悩を描く。  
台詞が多く、ストレート劇の趣でもある。
2幕はアメリカ人ジョージがひとそして祖先との繋がりを発見する感動的ドラマである。
2幕は音楽満載である。  名曲「Putting It Together」は、やはり聴きどころである。

歌唱力豊かなひとが揃ったラストナムバー「Sunday」が、帰り道、頭のなかをグルグル回っていた。

宮本亜門によるソンドハイム作品は4作目である。
大傑作「太平洋序曲」以来、何れも素晴らしい舞台を創っている。
是非、いまひとつだった「カンパニー」、まったくのミスキャストで悲惨な舞台となった「リトル・ナイト・ミュージック」など、是非、亜門さんで再演して欲しい。
10カウント

10カウント

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2010/04/22 (木) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★

津嘉山さん、健在!

ネタバレBOX


沖縄出身の元ボクサーの老人と病気の少年の物語である。
老人は、かって「かまれ犬」だった。
「かまれ犬」とは、若手の有望なボクサーに勝って、自信をつけさせるため、つまり、負けるためのボクサーだ。

引退後は色々な職業につくも、長続きせず、今は清掃人としている。
ある時、資産家のお屋敷の掃除をしていて、少年に出会う。
8歳になる少年の部屋はボクサーのポスターや、グローブ、サンドバッグなどが置かれている。
身体が弱く、声が小さい少年は、強いボクサーに憧れている。
老人は彼のために、自分の生い立ちやボクシングの話をする。
病弱の少年は、目を輝かして老人の話を聴く。

一人くらしで見寄りのない無学な老人。 家に帰ると屋根裏のネズミに話しかけるだけ。
そんな彼は、少年を元気付ける という生きがいを見付ける。

少年も、掃除の老人が訪ねてくるのを待ち焦がれている。
「ボクシングのおじちゃん」
一方的に、老人が話すだけですが、二人の心は通じ合う。

そんなある日。  老人が、いつものように少年の家を訪ねると、母親からのメモが置いてある。
少年が亡くなったという知らせ。
少年の病死を伝えると共に、少年が“ボクシングのおじちゃん”に合い、話を聞くのを心から楽しみにしていたことへの感謝が書かれている。

老人は、サンドバッグを少年を殺した病気とみなし、叩き続ける。
しかし、無情にも鳴らされる「10カウント」

この物語は、津嘉山さん本人が書いた。
病気で倒れた自分の状況を重ねるような作品で、ラスト、息を切らしながらサンドバッグを叩き続ける津嘉山さんの姿は、壮絶とも言える。

舞台は少年に話しかける老人の話が中心だ。  沖縄訛りが心地よい。
沖縄人らしい楽天的な面も持つ老人の話は、笑いも多い。
終盤は、津嘉山さん本人もタオルで涙をぬぐいながらの、朗読。  こちらも嗚咽がもれそうだった。

昨年、病気で倒れ、「ヘンリー六世」を降板して、心配したが、名優津嘉山正種は健在だ。
京都から二千匹発送しました。

京都から二千匹発送しました。

燐光群

梅ヶ丘BOX(東京都)

2009/04/30 (木) ~ 2009/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

京都から二千匹発送しました。
ネタバレBOXに書きます。

ネタバレBOX

上級生の男子に何度も投げられて、意識不明になった女生徒智子。
その時、監督の教師は不在だったという。 また、智子が倒れてもすぐに手当てをせず、しかも、事故後は生徒に沈黙を要求し、事故を隠そうとする学校。

親は県、市、学校、加害者の少年を相手取って裁判を起こします。

舞台の初めに事件の概要が語られ、それを聞いて腹立たしい気持ちになります。

しかし、舞台は学校対子供を植物人間にされた家族との戦いとは描いてはいません。

学校にも教育、部活動そして生徒に正面から対峙する熱心な教師がいることや、少女に傷を負わせ悩む男子生徒らも描きます。

笑いも多く、智子に向ける人の愛情から、家族が人に対する信頼感を得ていく過程に心あたたかになります。

告発の作品でなく、甘くさえ見える作品にしたのはなぜだろう。

劇場で渡されているチラシに脚本家が書かれているこの文面に答えがあると思います。

「このご家族が、人に対する信頼と、暖かさを失わずに済んだのは、金銭的ではなく、様々な形でこのご家族をささえようとする人たちとの出会いがあったからだということをお聞きしました。  娘たちがその人たちに出会わせてくれたことを感謝している、ということも。」

事件に遭遇したことよりも、強さと優しさを持つ母親との出会いがこの舞台を作った理由とぼくは感じました。
EVIL DEAD THE MUSICAL~死霊のはらわた~

EVIL DEAD THE MUSICAL~死霊のはらわた~

アミューズ

サンシャイン劇場(東京都)

2009/06/25 (木) ~ 2009/07/05 (日)公演終了

満足度★★★

悪趣味ミュージカル 
興味を捨てきれず、また恐いもの見たさ(ホラーではなく、舞台の出来)で、観に行きました。

気色悪いゾンビが登場し、それら(彼ら?)をライフル、斧、チェーンソーでなぎ倒します。
血が吹き飛び、切り離した首が転がり、手が動きまわる。
なんとも下品で悪趣味な舞台です。

しかし、面白い!
「こんな舞台に整合性なんてない!」なんて言いながら、好きに展開する物語。
テムポがよくて、活気に溢れています。
音楽はロック調が主流ですけれど、バラード、タンゴ、ゾンビがポルカに合わせて踊るナムバーなんてのも登場します。

出演者たちの歌唱力は中々。 リズム感がよく、ミュージカル的にも楽しめます。

大げさなわざとらしい演技もとても効果的。

ホラー好きという河原雅彦が演出を担当したのが成功です。

いい加減な、悪趣味ミュージカル
きっちりとした構成で、テーマのしっかりした舞台がお好きな方にはお薦めできません。

ぼくは楽しめました。

かなり。

朝霞と夕霞と夜のおやすみ(ご来場ありがとうございました)

朝霞と夕霞と夜のおやすみ(ご来場ありがとうございました)

FUKAIPRODUCE羽衣

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/05/09 (土) ~ 2009/05/20 (水)公演終了

満足度★★

関係者席
初見です。

全編に溢れる活力がエロスも猥褻な感じにしないところが面白いと思いました。
音楽は残念ながらぼくにはいまひとつでしたが、他の舞台も観たいと思います。

ただ、今日はとても残念な出来事が。
”関係者席”という紙が置かれた席に開演直前に女性の2人連れと小学生入学前後のこどもが入ってきました。
ある程度、芝居の内容を聞いていたので、こんな子供に見せていいのかと思いましたが、それは親が考えること。  しかし、こどもは芝居の間中、ずっと話をし、二人の女性は注意をしません。  していたのかも知れませんが、最後までこどもは静かになりませんでした。  つまり、親はなんにも考えていないということです。

こういうマナーを知らない人間が”関係者席”に。  劇団の質が問われます。
すっかり、集中力を邪魔されてしまいました。

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