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カール・マルクス:資本論、第一巻◆フェスティバル/トーキョー09春

カール・マルクス:資本論、第一巻◆フェスティバル/トーキョー09春

フェスティバル/トーキョー実行委員会

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2009/02/26 (木) ~ 2009/03/01 (日)公演終了

満足度★★★★

1冊(?)の本に振り回される人達の話
劇中で配られる資本論の文庫3冊の質感がずしりと重い。持った瞬間、全部読む気が失せる人が大部分だと思うし、翻訳やダイジェスト版がマルクスの書いたことを厳密に伝えているのかということまで考えると、この本が得体のしれないものに見えてくる。
そんな得体の知れないものなのに、この作中に登場する人達も含めて資本論について多くの人達が語れるし、時には運命さえ左右されてしまう。そんな光景に遭遇すると何ともいえないシニカルさを感じてしまうと同時に、それに振り回される人達に愛おしささえ感じてしまいました。
目の悪い自分にとって字幕が少々読みにくかったことと、開演前の対応にやや問題があった分だけ☆1個分マイナスにしましたが、とても面白い作品だったと思います。

ロミオとジュリエット(公演終了)

ロミオとジュリエット(公演終了)

三条会

ザ・スズナリ(東京都)

2009/02/18 (水) ~ 2009/02/22 (日)公演終了

満足度★★★

役者を観ているだけで面白い
戯曲から、言葉やセリフや役を剥ぎ取って自由自在に操る。演劇の構造を良く分かっているけど、そこに縛られない、演出家と役者の自由な発想と手並みはさすがのひとこと。
特に、役者さんの細かい動きが一々面白いですし、舞台の焦点の作り方がホントに上手かったと思います。

ただ、役者さんの動きほどは、物語に面白みを感じなかったのがちょっとだけマイナス。その原因は「ここにいる人は、ロミオとジュリエットくらいみんな分かるよね?」と言わんばかりで、物語の再構築を後回しにしてしまった、作り手の姿勢にあったのではないだろうかと思います。

静かな爆

静かな爆

東京タンバリン

駅前劇場(東京都)

2009/02/04 (水) ~ 2009/02/09 (月)公演終了

満足度★★★

良く出来た作品だとは思いますけど・・・
街中のワンシーンをさまざまな角度とテクニックで切り取っていく、そこで描かれていくテーマの「切り口」はとても鮮やか。役者さんの演技や舞台美術も含めて、観ていてホントに上手いなあと思うし、観終わった後もいろいろなことを考えさせてくれます。

けど、これは好みの問題としか言いようがないのですけど、自分にはどこかしっくりとこない。妙にリズミカルでわざとらしい会話、キレイに作りこまれ過ぎた作品、実社会に寄り添ったテーマ。この三者の間にぎくしゃくとした噛みあわなさのようなものを感じてしまい、上手く作品の中に入り込んでいくことができませんでした。過剰なまでに一定で単調な会話の間を替えてくれるだけでも、自分の中での作品のイメージが随分と変わってくると思うのですけど。

という訳で、自分の中では作品の評価がこんだけ難しい作品は珍しいです。作品の質的には、☆5つでもいいくらい。けど、自分に合わないということでは、こんだけ合わない作品も滅多にない。ということで、評価はその真ん中ということで・・・。

エビビモ

エビビモ

エビビモpro.

シアタートラム(東京都)

2009/01/31 (土) ~ 2009/02/01 (日)公演終了

満足度★★★★

なかなかどうして!
正直、最初はチープだなと思い、冷ややかに観ていたのですが、気が付いたらいつの間にか食い入るように観ていました。40人以上の役者が、ただの頭数ではなく、一人一人の顔がきちんと見えている。これってベテランの劇団でもなかなか出来ない事で、非凡なことだと思います。
確かに粗削りな部分はありますが、見せるという部分をきちんと意識していけば、客席がもっとドカンと来てもいいはず。けど、それはのびしろが大きいということの裏返しでもあるので、今後の活躍がとても楽しみでもあります。

今回は、彼らの頑張りももちろんですが、劇場の企画の勝利だったと思います。こういう出会いがあると一演劇ファンとしても嬉しいです。

リチャード三世

リチャード三世

劇団☆新感線

赤坂ACTシアター(東京都)

2009/01/19 (月) ~ 2009/02/01 (日)公演終了

満足度★★★

良い意味でも、悪い意味でも軽い
休憩を含めて3時間半。ビジュアル的にはかっこいいし、見せ方もとても上手いし、個々の見せ場は多いので、時間の割にはストレスを感じずさらっと観る事が出来ました。特に、銀粉蝶さん、三田和代さん、久世星佳さん、3人の女優さんの演技は素晴らしかったです。

その一方で、見た時間の割りに感情に訴えかけてくるものが少なく、特に前半はほとんど心が動かされることがありませんでした。シェイクスピアの戯曲をストレートにといえば響きはいいのかもしれませんが、始めに古田さんありきで、作品の芯になる明確なプランがなく、場当たり的に対応していたことの裏返しだったのでは、という疑問を感じます。

面白かったけど、作り手がこの作品で何を伝えたかったのか、どんなリチャード像を描きたかったのかが最後まで見えて来ず、自分の中ではその点に、ものすごくフラストレーションを感じてしまいました。

四色の色鉛筆があれば

四色の色鉛筆があれば

toi

シアタートラム(東京都)

2009/01/27 (火) ~ 2009/01/28 (水)公演終了

満足度★★★★

物語はありふれていても世界は広がる
ありふれた物語なのに、さまざまなアィディアがまるで作品を広げる装置のようになっていて、そこから立ち上がった世界が瑞々しい。自分の想像力がとても刺激される舞台でした。

一見、アィディア先行のように見えて、ことばやからだを決してないがしろにしていないから面白い作品になったのだろうと思います。
ですから、例えばこのユニットが、アィディア頼みでない、ストレートプレイな「ありふれていない」物語を立ち上げるとどうなのか?面白そうなので観ていたい気がします。

パンク侍、斬られて候

パンク侍、斬られて候

wat mayhem

本多劇場(東京都)

2009/01/20 (火) ~ 2009/02/01 (日)公演終了

満足度★★★

山内さんの原作への愛が溢れているけど・・・
基本的には町田康さんの小説の雰囲気を忠実に出そうとしている意図が感じられた作品になっており、原作ファンの自分にとってはまずまず納得できる作品。そうでない人でもまずまず楽しめるのではないでしょうか?山内圭哉さんの原作に対する深い愛情が、作品の随所に感じられます。
特に、小説では、ただ名前しか登場しない必殺技の数々が映像で再現されている場面はホントに可笑しかったです!

ただ、小説のバカバカしい世界をマジメに再現しようとしすぎるあまり、良くも悪くも作品がキレイにまとまってしまったきらいがあるのが、残念といえば残念。コユい役者さんが揃っていたということもあり、個人的には、原作の枠組みをぶち壊すような、ぶっ飛んだ作品が見たかった気がします。

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