忍苦の観てきた!クチコミ一覧

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フェイク

フェイク

WITHYOU

劇場MOMO(東京都)

2015/07/02 (木) ~ 2015/07/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

誰も救えない、救われない物語
舞台「フェイク」見て来た。学生時代に小劇場巡りをした以来、観劇って行為がまず久しぶりで新鮮でした。

重いテーマで幸せになれる人が少ない話、終盤に謎が解けるにつれ涙が止まらなかった。弱く力のない者がころげ堕ちる運命を、正攻法で救えない世の中、復讐だけを支えに生きることを誰が止められよう。

そんな世間から取りこぼされた存在を救えるのが、いわく付きながら権力のある闇組織、寄り添う疑似家族達。しかし「誰も人の気持ちをコントロールできない」の台詞が暗示したかのように、どんなに上手く采配したつもりでも、暴走により再生物語はまた閉ざされてしまった。

生き地獄を終らせたい女と、やり直したい男が出会い、ニセモノで生き延びてきた人生をリセットするため、ホンモノを求め合う。でも結末はあまりに悲しすぎて。

あの「何もかも失われた故郷」に立ち尽くした者の気持はわからないと、続く言葉を失うリアルに、それでも手を差し伸べた睦美。その心情・行動はフェイクじゃない。なのに彼女を持ってしても救えない運命。悲しすぎた。目的を遂げ新たな人生を生きるはずだったのに救われない香奈、悲惨すぎた。

今目に見えているものは、かろうじて形を保ってるだけの幸せなのかも、と振り返る。漁協も香奈も、人生が詰んだ理由は誰にも起こりうるトラブルで、なぜそちらを選んだ!と揶揄できるのは傍観者だから。当事者にはなるまいと意識高くいても、飲み込まれてしまうことはあるだろう。

舞台「フェイク」、誰も救えない、救われない物語だったけれど、それでもまた睦美はタフに生きて、彼女達は役目を果たしていくのだろうと、不思議な繋がりで裏社会に生きる疑似家族の今後に想いをはせる良作だった。

平成戦士デモクラッシャー

平成戦士デモクラッシャー

アフリカ座

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2016/11/29 (火) ~ 2016/12/05 (月)公演終了

満足度★★★★★

何が正義で、何が悪なのか
石原慎一さん目当てに見に行きました。特撮大好きなので、戦隊物というテーマも興味があって。とても良く練られたシナリオで、楽しかったです。

妖艶なイクオリティーに女兵士達、衣装も美しくキャラクターも魅力的でした。デモクラッシャーの5人も、それぞれ個性があって良いチームでした。

ネタバレBOX

中でも、警官が良い味を出していたと思いました。まさか正義のために力尽きるとは…常に謙虚で、でも熱く自分の信念を貫く、立派なお巡りさん。けして感謝されたり、名を残すことはなくても、平和な日常は、こんな一人ひとりの力が集まって実現しているんだろうと感じました。

デモブラックが出てきたのも、スーパー戦隊お約束の追加戦士という文脈どおりでニヤリとしましたが、なんと宿敵は実の父親…見ごたえあるストーリーでした。

何が正義で、何が悪なのか、自分の頭で考えないと、あっという間にこの世は闇に屈してしまう。ユーモアたっぷりの中に、リアルな日常に重なる重いテーマも織り交ぜてあったと思います。見に行って良かったです。
超鋼祈願ササヅカイン 戦いの果てに

超鋼祈願ササヅカイン 戦いの果てに

カプセル兵団

笹塚ファクトリー(東京都)

2016/02/03 (水) ~ 2016/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

特撮作品を舞台で表現すること
特撮・ローカルヒーロー好きな者です。
初ササヅカイン、初カプセル兵団というニワカでしたが、そういう私に楽しめる作品とのことで、チケット取りました。

普段はヒーローショーを見に行きますが、アテレコとアクションのズレを“こういう物だし”と脳内補完しています。しかし、プロのスーツアクターさんとプロの声優さんだと、こんなにクオリティ高く楽しめるんですね。皆に見えてる黒子という演出もユニークでしたが、アクションシーンではその存在をすっかり忘れ、完全にササヅカインと一体化したリアルヒーローに感じました。

アクションに定評のある劇団という点も楽しみでしたが、脚本、演技、コスチューム、照明音響に至るその全ての調和で、ヒーローショー、アクションショー、演劇、ダンス、といったカテゴライズではない「カプセル兵団」というカテゴリと言える物だと思いました。

普段イベントで見ている、映像作品ではないヒーローショーでは、戦闘の効果や、武器から発せられる光線や弾丸などは「あるもの」として演じる当て振りでしかないわけですが、本作品の演劇表現としての解釈はとても面白かったです。

「カウンター!」と宣言して形態模写するユーモア、「空に円盤が!黒い霧が降ってきた!」とト書きを読み上げての状況説明、パフォーマーの体の動きで効果を表現したりと、これらはとても演劇的で、ヒーローショーにはないものだと。

特に、随所にあしらわれたコンテンポラリーダンスのような体の動きは印象的でした。戦闘員、市民、黒子のパフォーマー女子4人の、殺陣やアクションを超えた「台詞のない体の芝居」が、舞台演劇ってこんな表現をするんだ!面白いな!と感動しました。

特撮ファンがニヤリとできるネタも沢山盛り込まれ、豪華ゲスト、ローカルヒーローの応援と見どころいっぱいで、演劇に馴染みのない私でも大変楽しめましたが、何よりも舞台演劇の可能性に触れられたことが、見に行って良かったなと思えました。

ササヅカインのご活躍をお祈りしております。また機会あればカプセル兵団の公演にもおじゃましたいと思います。

追記:
ランビニオンのマザーヴィシュヌを演じた永澤菜教さんが、昭和特撮伝説の女怪人・曽我町子さんを彷彿とさせ、大変ステキでした。

有限会社ひきもどし

有限会社ひきもどし

WITH YOU

サンモールスタジオ(東京都)

2016/09/07 (水) ~ 2016/09/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

劇場で見て良かったと思う作品
知人が出てるので見に行きました。劇団「WITH YOU」さんの芝居は、2014年の「フェイク」を見ていて
http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=285421
大変感動したので、今回も楽しみでした。

前回に続き、社会問題や、日本人が置かれたつらい状況を、ユーモアも交えて問題提議し、でも皮肉には終わらず、最後はしっかりと向き合わあわせてくれる、見応えあるお芝居だったと思いました。

演劇のことはよくわかりませんが、脚本が良いのだと思いますし、一癖ある登場人物を、それぞれピッタリな配役で演じられているのも、リアリティもありながら、ちゃんとエンターテイメントになっていて、力のある方々なんだなと感じます。

たった一枚のドアが印象的で、ブロックのようなパーツを組み変えるだけで、様々な状況を見せてくれる舞台装置も、映像作品にはない「舞台」としての面白みを感じました。

そして、生の楽器演奏という贅沢な音響は、DVDやTVではなく「舞台を見に来て良かった!」と思わせる物でした。演奏された音楽は、全て描き下ろした物とのことで、作品の世界観にもピッタリで、最高の演出だと思いました。

幻法大阪城

幻法大阪城

座◎葉隠

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2016/04/21 (木) ~ 2016/04/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

プロの殺陣を満喫
観劇経験は、学生の頃に小劇場やインディーズ劇団をいくつか見た程度で多くありません。そんなレベルの感想ですが…。

今回、知合いが出るので見に行きました。恥ずかしながら歴史にうとく、前情報なく丸腰でしたが、良いシナリオで知識のない私でも充分に楽しめました。

テレビで時代劇が減っている今、時代物ってエンタメとしてニーズがあるのかな、とも思いつつ。でも、武将や忍者などの派手な衣装や、戦国の時代に起きた悲劇は、ドラマティックで非日常な最高のエンタメなんですね。

何よりも、ふんだんに盛り込まれた殺陣が見事。この技術を見るための劇団なのだな、と思いました。少しのポジションのずれでも破綻してしまうであろうフォーメーションを、誰一人として迷うことなく、完璧にこなす。大変な運動量だと思うのに、息も上がらず台詞を語る。ぴったり合ったSEがさらにアクションを際立たせ、完成されたダンスのような、上手く言えませんが「殺陣ってかっこいいなぁ!」と思えました。

ネタバレBOX

殺陣をよく知らない素人の感想ですが、マントをひるがえしながらでも、長物に絡んだりしないんだなぁと。迫り来る敵に、二人が背中合わせで刀を構え睨み合うシーンでは、構えた刀がぶつからないように立ち位置を変える瞬間に、刀の長さを含めた自分の体のサイズが染み付いてるんだろうなぁと。実際には切らない動きで、本当に切られている様に見せる演技力とか、殺陣ってすごいパフォーマンスなんだなぁと感心しました。

テレビの時代劇で見ていたチャンバラは見慣れてますが、生の舞台で初めて見ると、主役から切られ役までの全てが完璧に計算つくされた動きで成立してることがわかり、すごく難しいことをされていたんだな、と思いました。

背景に映しだされる映像を使った演出も、とても良かったです。舞台装置、音楽、照明に加え、昨今は映像が効果的に使われているものなんですね。演劇を見慣れてる方はきっと、脳内で補完できるんでしょうけれど、私のような素人には、例えば「炎に包まれた城」といったシーンが、映像による効果でとても臨場感があり、引きこまれました。

次の公演も楽しみです。ぜひまた見に行きたいと思います。
キャプテンハーロック~次元航海~

キャプテンハーロック~次元航海~

ビッグファイタープロジェクト

新宿村LIVE(東京都)

2016/06/08 (水) ~ 2016/06/12 (日)公演終了

満足度★★★

アニメの舞台化が面白かった
知人が出るので見に行きました。熱心なアニメファンではないですが、この名作は自然に目に耳にしてる世代なので、懐かしさもあるし、あのハーロックが3次元になるとどうなるのかも楽しみでした。

ハーロック役の方は、身長も高く、ルックスも良く、見事に「漫画から出てきたような」かっこよさでした。台羽正役の方も女の子のような可憐さで。

でも、演劇鑑賞に慣れてない素人の感想ですが、今回目を引いたのは、主役クラスの演者さんより、乗組員さんなどの回りを固める方々の活躍でした。
殺陣もアクションもダンス的な振付も、自分の物にしてる感じは脇役さん達から感じました。

レンジャー

レンジャー

ミュージカル座

光が丘IMAホール(東京都)

2016/10/20 (木) ~ 2016/10/23 (日)公演終了

満足度★★★

初ミュージカル体験
初のミュージカル体験でした。これまで積極的に「ミュージカルを見たい」という気持ちが起きずにいましたが、私の好きな特撮がテーマなので、初体験にちょうど良い作品だと。

特撮ソング歌手として大ファンの石原慎一さんと松原剛志さんが出ると知り、それだけで行く理由に充分だったので、公演情報も斜め読みでした。

若い作家さんや役者さんが、特撮の舞台裏をテーマにするんだ、ぐらいの理解でした。時代設定も私の好きな昭和特撮、これをどんな新たな解釈で見せてくれるのだろうと、とても期待して行きました。

ネタバレBOX

ですが、舞台が始まってすぐ、1993年に放送されたテレビドラマ『私が愛したウルトラセブン』と酷似していることに気づき「なんだ焼き直しか…」とガッカリしてしまいました。

しかし、公演後に改めてサイトを見てみると、ちゃんと脚本家さんのメッセージに「とある特撮番組」をベースにしたと書いてあり、私が見落として、過剰な期待を勝手にしただけの、勘違いだったことを反省しました。

ちょっとテンションが下がったまま見てしまったので、失礼なことをしたなと思い直しています。

あのTVドラマは、実話を元にはしつつもフィクションが入っていますが、それでも、実際にご自身のアイデンティティを表現しようと苦心された、円谷プロの脚本家・金城哲夫氏(松原さんが演じた金野賢俊のモデル)や上原正三氏(阿部さんが演じた上川正輝のモデル)の功績は、特撮ファンなら良く知るところです。

石原さんのカリスマ性はプロデューサー役にぴったりで、難しい決断を迫られる立場の苦悩と、両脚本家との関わりも丁寧に再現されていたと思いました。

静かに、でも熱い信念を曲げない脚本家・金野は、真摯な松原さんのイメージにぴったりでしたし、全てを受け入れて見送る阿部さんの演技も、胸に残るシーンでした。

そのシーンで歌われていた、道は違っても踏み出す者にエールを送る歌は、とても印象的だったので、歌詞を読み直したいとも思いました。


初めてのミュージカル体験としては、若手キャストの歌詞が聞き取れない部分が多々あり、作品理解が演劇のようにはいかないな…と、残念に思ったのも正直なところです。

素人なので、それが演者の歌唱力による物なのか、会場の音響の問題なのか、原因を知る由もありませんが、いずれにしても、自分の勘違いで先入観を持って見てしまった所もありますし、

何よりも、ミュージカルという芸術を鑑賞することに「慣れていない」ことが大きいと思うので、今日の体験だけで「ミュージカルには馴染まない」という感想を持つのは早計でした。

また機会があれば、いろんなミュージカル作品を体験してみます。

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