Dの観てきた!クチコミ一覧

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パペット・オン・ザ・パニック 完全版【全ての公演は終了致しました。ご来場いただき本当にありがとうございました!!】

パペット・オン・ザ・パニック 完全版【全ての公演は終了致しました。ご来場いただき本当にありがとうございました!!】

隕石少年トースター

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了

丁寧で真摯なコメディ。
当初は「一幕ものだろうし、こじんまりしてるのかな」という印象でした。確かにそれで合ってはいたんだけど、何より安心して観ていられた。勢いだけのコメディだと台詞で説明しすぎてたりするものの、そんな事もなく。登場人物の存在や行動にそれぞれちゃんと意義が見出せたし、どの人物も愛せた。いい人ばっかり出てくると「そんなにみんな聞き分けいい訳ないじゃん」って鼻に付く事もあるんだけど、今回は素直にそれぞれの事情を慮ってあげられた。
親子や家族で観るのに向いてると思いました。ペア割とか中学生以下をかなり安くするとか、やってもいいんじゃないかな。
そうそう、舞台美術。面白かったです。あれだったらギミックをもっと無駄遣いしてもいいのに。

ネタバレBOX

人形がある部屋の場所を知らないはずの滝口にかまをかける安原とか、あのへんが上手い。「楽しければいいじゃん!」だけの気持ちでコメディやってる訳じゃないのが感じられた。きっともっとシリアスなものもやれる人達に信念があってあえてコメディやってるんだなと思った。ちょっと関心。
今回はDVDを入手したのを切っ掛けに存在を知ってチケプレを頂戴したのであまり言えた立場じゃないけど、ほんのちょっとチケット料金が高く感じはしました。東京でやる時だけでも値段を下げたらいいのかも。客席が空いてるのが勿体無い。面白いんですから。そもそも普段大阪にいる団体が東京に来る時点で、地元ではそれなりに成功してから来てる訳で。東京の演劇好きさんも地方から来る団体はそれだけである程度は面白い可能性を見出して観に行ってもいいんじゃないかなー。

舞台版『千年女優』(大阪凱旋公演は5/11)

舞台版『千年女優』(大阪凱旋公演は5/11)

TAKE IT EASY!

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了

充分。
映画未見で、当時にアニメ誌をぺら見して「多分こんな感じ」くらいの事前知識で観た今回。いやー、楽しめました。アニメ・演劇の双方のファンから高評価なのも嬉しい。要素は結構似てると思うし。
長い時を経てひたすらな思いを貫き通した千代子の姿と、舞台上を舞い踊り駆け抜けた5人の女優の姿とが見事にシンクロ。精神的にも肉体的にもきっと女性のほうが強いのだなと感じました。そしてそうある姿を目にすると、強さや逞しさに感銘。
配役ルールを根付かせる為とは思いましたが、序盤は「これもっと面白いよな?なんでこんなに安全運転してるんだろ。勿体無い」と思ったり。少し客を置き去りにするくらいでも良かった気が。観ていれば引き込まれるだけの吸引力はあったのだし。個人的には中盤以降から楽しめました。

ネタバレBOX

序盤の進行の丁寧さについてはアキラさんのネタバレBOX内でのご指摘にに共感。
カラフル3ではこの演目と一緒に柿喰う客「恋人としては無理」もやっていた訳で。同時期にこの似た配役ルールの演目を一緒に観てみたかった気持ちが沸きます。
38.5℃の裸眼

38.5℃の裸眼

ハイバネカナタ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/02/11 (金) ~ 2011/02/15 (火)公演終了

結局は何の話だったのかって部分。
一生懸命に観てると難しい内容に感じちゃうんだけど、俯瞰してみるとそうでもなかった。作風が今のバランスだから分かりにくいだけ。抽象と具象。視覚部分での演出効果と物語部分。どっちかに特化したほうがきっといいんだと思う。既存のものと比べられたら嬉しくないだろうけど、野田秀樹が同じ事やったら多分すげー面白い。野田さんにやってもらえばいいじゃんって意味じゃなく、これは扱い方次第でまだ全然面白くなる気がするのです。ただ、ごめんなさい今は面白くないです。
熱量のある演技を客演陣に任せていた気がして、そこはちょっと引っ掛かりポイント。それに合う人々を呼べているとは思ったけれど、だったらそれを引き受けて回収するべくもっと上の事を劇団員二人がやるべきだったかと。

ネタバレBOX

眼鏡がもっとキーアイテムになるかと思ったら結構すんなりかけちゃったし、最後の寝るのとは直結してない。世界を見ないように眼鏡をかけないでいたっていうのは物語部分でどんなに推しても共感しにくいし、逆に観念的な台詞の応酬だったりもっとファンタジー食の強い内容なら「そういうものか」って思えた気が。
個人的に絶対に要らないと思ったのが冒頭。なんて言えばいいんだあれは。スター登場みたいなあれです。掴みでやったにしては作り込んでなさ過ぎるし、始まってからの内容とも雰囲気が違いすぎる。損してると思います。あれをやるならまだ普通に暗転明けで街中のあのシーンからのほうがすんなり観られたんじゃないかな。正直あれが始まった瞬間に「あ、しまった。多分オレもう入り込めない」と悟ってしまいました。
演目全体としては、やろうとしている事のそれぞれが繋がっていない印象。もっと癒着率を上げるか、なんなら余計なものをドンドン入れて隙間を埋め尽くしてもいいと思う。現段階では上演中に曖昧な時間が存在していました。文字が浮き出たり血が布とかああいうのをやり続けるのか、純粋に物語だけでいくのか。両方やろうとすると何処をポイントに観たらいいのか分からなくなる。演出としての服部さんと役者としての服部さんの違いも気になった。きっと演出としては前者の芸術観点のものを取り入れたいのだろうけど、役者としては結構プレーンなものをやっていた様に見えた。自分が演出だから役者としてはあまり濃くしない様にという意図があったかもしれないけど。先日のDART’Sにしてもプレーンな印象だったし。
先にお断りしますが、悪口じゃないです。小島ゆきこさんの台詞の根付いていなさが終始気になって入り込めなかったのもあります。観たのは5ステ目だからうろ覚えだったとかじゃないはずなのに、芯から出ている言葉には感じられなかった。声質とか日常からの会話の癖とか色々な理由があるだろうけど、ものすごく勿体無い。あの状態じゃ場合によっては棒読みに聞こえてしまうし、何より感情の機微が捉えられない。同じ劇団員であり演出家である服部さんは彼女のその特性を今後どうして行くつもりなのか気になる。
ロクな死にかた

ロクな死にかた

アマヤドリ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2011/02/03 (木) ~ 2011/02/13 (日)公演終了

個人的には珍しくリピート。
人数がいるシーンでは前回と違う人を目で追ってみたり。
初日と比べて各シーンごとの繋ぎ部分の癒着率が上がってたでしょうか。役者の演技には安定感があって、誰か誘うならこういう日に一緒に来たいなと思いました。個人的には初日のがむしゃら感とか綱渡り感とかのほうが好きではあるんですけど。
当日パンフレットの役名記載とかが丁寧になってた。公演中に新しいのを作る労力を厭わなかった精神に好感。

俺のお尻から優しい音楽

俺のお尻から優しい音楽

五反田団

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2011/02/04 (金) ~ 2011/02/13 (日)公演終了

日本国民みんな観れば良かったのに。
何度吹き出した事か。爆笑はしないのだけど、構って欲しい子どもがいちいち突っついてくる様なウざさ。ふざけやがって。本気でふざけてくれやがって。お前ら最高だ。
凄いなと思ったのが、脚本の作り自体はしっかりと王道の戯曲だった事。運命やら生死やら、ご都合主義を振り切る勢いの展開。小ネタをいくつか省いて英国人に演じさせたらシェイクスピアっぽくなるんじゃないか。なのに改めてあらすじを読んでみると「壊れそうなほど美しい少年大山」の時点で思い出し笑いをしてしまう。くそ。
個人的に大好きな木引優子さんと吉田亮さんを久々に見られて、しかもこんな演目で見てしまった。この気持ちどうしてくれる。ありがとう。

ネタバレBOX

カジヒデキとシラク大統領の名を短時間の内にあれだけ耳にするのは金輪際ないと思う。面白いからってわざわざ連呼させてくれやがって。面白かった。
いつもいつも行く度に空間の広さや高さに畏怖さえ覚えた星のホールが、学校のしょぼい体育館に見えたのは初めて。しかも舞台美術に「三鷹市芸術センター」って書いてあるのが丸見え。いや、丸見せ。絶対わざとだもん。気付かない人もいただろうに、むしろ気付いてない人のほうが多かったかもしれない。自分が気付いてしまった事に若干イラっとしました。完全にしてやられた。
ONBUって。
さめるお湯

さめるお湯

あひるなんちゃら

OFF OFFシアター(東京都)

2011/02/09 (水) ~ 2011/02/14 (月)公演終了

結局冷めなかった。
同じく劇中の温度も。あひるの空気感は普段からゆるーくぬるーいものの、今回はそれよりちょっとだけ熱かったかも。せいぜい1℃くらいだけど。前回が再演での今回新作だから気合入ってたのかな?とか思うけど、聞いたら『いや別に』って返されそうだ。そういう人達だ。
ツッコミ役になる事の多い異義田さんがボケ側に。っていうかいつもに増してボケが多かった気がする。ボケっぱなし。あとやさしい発明家だったのかどうかよく分からなかったけど、そのへんはどうでも良かった。
未見の方にどんな団体なのか伝わる様に補足すると、当日パンフレットに『携帯電話?PHS等の音の出る機器の電源は切っていただかなくてもかまいませんが、本番中に音が鳴った場合、役者が効果音と間違って、上演時間・内容等が変わってしまう場合がございます』とか書いてあります。そういうなんちゃら具合。
いつもいい仕事してるテーマ曲。今回のは個人的にかなり好きだった。

ネタバレBOX

あの焼きそば、ちゃんとソース絡んでるかなーとか気になった。スープも作るあれは北海道の文化ですよね。なんだっけ、おべんとセットみたいな名前の商品があったはず。名前がはっきり思い出せない。ランチパックがパンだというのはギリギリ思い出せる。
佐野さんのクレジットが舞台監督じゃなかった。
恋する、プライオリティシート

恋する、プライオリティシート

コメディユニット磯川家

王子小劇場(東京都)

2011/02/05 (土) ~ 2011/02/14 (月)公演終了

王子で王道。
たくさんの小ネタに笑わされる内にいつの間にか物語にも見入って登場人物を見守ってしまう。これぞコメディ。ぷぷぷ、となった瞬間は結構たくさんありました。なんか分からないけど伝わってくる作品というのも奇跡的で感動しますが、あそこがここが面白かったと口で説明出来るならそれはそれで他の人との意見交換もしやすい。
あと、たくさんある舞台美術のあれをよく揃えたなと。すげー。あれだけでも結構な時間見ていられた。

ネタバレBOX

中盤過ぎてカクテルを作る時に氷の音がしたのが良かった。バーの空間を一気に取り戻した感覚があった。
ピアノは音色がもうちょっと、こう。響きが綺麗じゃかった。超もったいない。もっと音が綺麗だったらピアノが鳴っただけでも泣けた気がする。調律の良し悪しは分かりませんが、なんか残念な音だった。ピアノの良し悪しとは違うのかな? 劇場空間の問題? ピアノの位置の問題?
以下、ファンの方が見たら怒る人もいるかもしれませんがあくまで個人的な感想ですから目を瞑ってやってくださいませ。そもそも自分は好き勝手言うから年に何度か怒られたりするんですけど、今の時点でこれだけコメントに好評ばかり並んでると流石にチョット怖いですわ。
役者はそれぞれにこなすべきものをこなしていたと思います。台本の上での役の在り方にちょっと疑問。
菊池さんの演技は良かったんだよなー。出てきた当初は「あ。こいつムカつく」と純粋に役にムカつく事が出来て、話が進んでからは「でも仲間思いの良い奴なんだな」と思えた。なのに純一と舞子はいなくても物語上は全く支障がなかった。もっと話の中心に入れてあげて良かったんじゃないかと思います。脇役にするには惜しい。冒頭はトイレ前のテーブルの辺りであれだけ存在感があったのに、その先はあんまり話に絡んでなかった。そういう位置だったし純一が舞子を度々馬鹿にしてたのもあるから、二人が海外旅行をゲットするのは幸せだった気がしなかったのです。
その純一含め、同級生達の絆がもっと見たかったかな。『オレらはあの頃からの仲間だよな!』みたいな遣り取りをもっともっと濃く見せておいて、当時どんな遣り取りをしていたのかも想像させて欲しかった。そのほうがそれぞれの一言から重みや思い遣りをもっと汲み取れた。あと、そのほうが『え!男なの!?』ももっとびっくり出来たはず。
理香。序盤は「主人公なのにこの悪女は好きになれなくて思い入れ沸きにくいな」と思ったけど、終盤は逆に良い子になり過ぎてた。ラストのあの大騒ぎで気持ちが崩れるのなら、迫田の説得がもうしばらくの期間続いていれば真摯に受け止めて心変わりしてくれたんじゃないかな?とか想像。しかもそのほうが二人の親密度は深まったんじゃないかと。
迫田には小橋理香が好きだったとは言わないで欲しかった。他の人みたいにかつての彼女を気に掛けるのではなく、今目の前にいる美倉理香としての彼女を好きになっていて欲しかった。
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早稲田大学演劇研究会

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2011/02/04 (金) ~ 2011/02/06 (日)公演終了

犬を追いかける。
犬と串も始まりは作・演出家を含めた4人芝居だった。今回の4人もそれぞれに全く違う武器を持っていて、ちゃんとそれを使いこなしていた。正に少数先鋭。
テンポと勢い。とにかく笑わせる気満々。空振りしてなくて一発一発が効いた。ジャブ程度でいいネタもボディブローかアッパーのつもりで打ち込んで来ていた。事前にこういう作風だろうというイメージは少しあったけれど、それだけでなく物語性も放棄していなかった。ネタがやりたいだけじゃなくてちゃんと本が書けていた。そして最後の最後で後味の悪い余韻を残してくれた。これがただ笑いだけなら、軽やかにすぐ忘れてしまったはず。締めは大事。上手かった。彼がまた何かやる時には事前にもっと周りに言い触らしておきたい。

ネタバレBOX

寸前まで大音響を流しておいて次の場面の人物登場時にカットアウトさせて緩急を付けるのとか、基本的なテクニカルだけどそれだけにちゃんと使えば効果覿面。いやー、大人数でやるのも観たいな。でも作・演出家自身が役者としてかなり出来る人だから、出演者に求めるハードルも高かろう。
学生演劇のカンパ公演では普段あげないまま場を後にする事が多いんですけど(面白くなかった場合ね)、内容も満足だし舞台美術もしっかりしてたから絶対お金かかったんだろうしで気持ちよくカンパ出来た。ワンコインでごめんね。
蛇姫様

蛇姫様

害獣芝居

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/02/03 (木) ~ 2011/02/06 (日)公演終了

アングラだねー。
今の名前になる前に観て、その時は舞台美術が真っ白だった。今回は美術は立て込んでないけど照明の扱いもあって暗さが前面に来てて黒を感じました。そんなビジュアル面であの時と対比してみたり。
頭で理解するよりも心の深い所に侵食してきて荒らされる感じ。理屈じゃないんだなと思いながらも理解しようと脳みそ使うから非常に疲れました。多分、軽めの苦行よりは辛かった。でも達成感の得られる疲れ。

ネタバレBOX

左の席の客はずっと泣いてて、右の席の客はずっと笑ってた。なんでだ。心の侵食される場所が違ったという事か。そこに挟まれて自分のスタンスを見失いかけた。自分の集中力のなさが残念。それにしても右の客は笑いどころじゃない台詞でも暗転でさえ笑ってたな。
女性キャスト全員の顔と名前を一致させたかったけど出来なかった。雰囲気のあるパンフだったけど、そこは分からせて欲しかったですね。
ロクな死にかた

ロクな死にかた

アマヤドリ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2011/02/03 (木) ~ 2011/02/13 (日)公演終了

気付いたら終わってた。
前回を見逃したので事前の期待度が高かったのもありますが、見入っている内に終わりました。自分の場合はどんなに面白い作品を観ていても「今は全体の何割くらいまで来たのかなー」とかふと考えてしまったりするものの、今回はそれをさせる隙がなかった。
凄く良く喋って、凄く良く動く。と思ったら急にじっとしたりする。あぁ、ひょっとこだなと。透明な空間にちょっとずつちょっとずつ絵の具が滴り落ちていく様な。見入っている内に取り返しのつかない色彩になっていく様な感覚。そして終演時にはまた透明に戻っている。でも、一度染まってから取り戻した透明。そこに色んな心持ちが重なる。心地良い時。
伊藤今人さんのあれは何だ。完全に臭い物だ。蓋をしたい。でも気になっちゃって嗅いでしまう臭い物だった。超楽しかったけど夢には絶対見たくない。

ネタバレBOX

居酒屋トークで生についての話が出るタイミングが個人的にはちょっと遅い気がしたり。いや、でもどうか。必要以上に生死を対比させて考えようとするからそう感じたのかも。今回は死のほうに比重が偏っていいはず。タイトルからしても。
競泳で観て印象に残っていた倉田大輔さんが出ている!と思ったら、「銀髪」やルスバンズにも出ていたのですね。後から気が付きました。
田中美浦さん。冒頭の乱舞で上手前列にいる時に足捌きが綺麗だなと思って目を引いて、喋りだしたら関西弁が耳を引きました。つい、ブログを読んだりしました。
雨と猫といくつかの嘘.

雨と猫といくつかの嘘.

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2011/01/30 (日) ~ 2011/02/08 (火)公演終了

再演も輪廻。
感覚と記憶に訴えられながらの70分。の割には体感時間が長かった。間延びしてる訳ではなく、人生を巡る長い時間を見せてくれたので壮大さに中てられたのかも。ぎっしり。
人の生死は家族という枠組みの中で見れば始まりでも終わりでもなく長い長い繋がりの一部。血の繋がり。でも家族の始まりは血の繋がらない二人が一緒になる事。子孫繁栄の為であり、それだけではない集合体。
「演劇=嘘」という意味ではかなり大胆な嘘も手法も使いつつ。物語的に、物凄い真面目に本気でままごとをやったらこうなる気も。そう思うと大胆な様で実は原点。料理で言えばおにぎりか素うどん。有り触れたメニューと侮るなかれ、旨いやつは旨い。

ネタバレBOX

風太郎の背中を叩く遠藤の力が強かったのはそういう伏線もあったのか。
改めてラストシーンを思い返したら、違う捉え方が見付かりました。最初は単に穏やかな印象を得たので、風太郎が過去を回想した事によって家族との繋がりを思ってこの先ほんの少しだけ前向きになって過ごして行くのかと思った。でも誕生日からずっと彼にとって意味のある日に降っていた雨が止んだという事はいよいよもっての終わりかもしれなくて、そうなると実は死期の訪れだったのか?とも。そうなると孤独死の話。猫は死に際を見せないっていう本線もあった訳で、そうなるとあれは風太郎の…。一気に寂しくなる。
カップラーメンを食べる姿、切なかったなぁ。
くちびるぱんつ

くちびるぱんつ

ぬいぐるみハンター

王子小劇場(東京都)

2011/01/27 (木) ~ 2011/01/31 (月)公演終了

すげーイージー。
難しい事は考えなくていいし集中力も使わずぼーっと観るのに最適。スポーツで例えるなら卓球だったかな。温泉に行った時にうっかりやっちゃう卓球。そういうテンション。娯楽。飲食店で例えると言うと、新メニューが出たばかりのファミレス。

ネタバレBOX

どうでもいいけど、猪股さんは台詞の半分がゴンタコスだったんじゃ…?
先に観た知人から物語がないって聞いてた。確かにそうなんです。観てて楽しいけど序盤からしばらくは「これがこうならないとこうだ」という最重要な本筋はないまま、色んな人達がきゃっきゃしてる状態。アトラクション好きに受けの良い演目な印象があった。でも2時間の演目だったらまず沈没してる。そういう意味で今回はベストな上演時間だったのでは。個人的には気楽に観られたし若くてポップで好き。だからこそ年長者の感想が知りたい。いっつも劇場で見かける観劇おじさんじゃなくて、彼らの親世代とかもっと上の方はどういう印象を得るんだろう。
それとはまた別の目線なんだけど、これだけ若さ溢れる座組みのこの演目をシニアの座組みでやったらどうなるのかも観てみたい。おじいちゃんおばあちゃんが「パンツパンツパンツ!」とかやってたらオレ絶対爆笑するわ。
王子小劇場新年会のダイジェストは実はきっちり首尾の抜粋だったのね。
『Prism』

『Prism』

*rism

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/01/25 (火) ~ 2011/01/30 (日)公演終了

なるほど。自分はこういうのがかなり好きらしい。
まずはそれに気付かせてくれてありがとうです。
記念にやってみた、のレベルではない完成度。写真家として養われた「何処をどう見せれば可愛く見せられるのか」の目利きが演出家としても発動。可愛さの中の狂気も鈍く光っていたし、狂気の中の一途な可愛さも。
一つくらい面白くない脚本があるかもと思っていたのにみんな面白い。誰にも明かさずひっそり順位を付けようと思ったけど結局は同1位になった。それぞれの演目の繋ぎも上手く出来ていて、作品ごとは絶対的に各作家(しかもみんな銃刀法違反になりそうな武器を持ち込んでくるタイプ)の色が出ているのに観ていて流れが途中で途切れたりしなかった。
アンケートに次回公演ではどんな事をやって欲しいかという項目があって、個人的には方向性を変えずこのままやって欲しいですね。何回かやったらその中の何作かで再演ベスト版を劇場公演するとか。

ネタバレBOX

「可愛くてごめんなさい」はズルイ。こっちこそごめんなさいだ。
エモーショナルレイバー【ご来場ありがとうございました!】

エモーショナルレイバー【ご来場ありがとうございました!】

ミナモザ

シアタートラム(東京都)

2011/01/20 (木) ~ 2011/01/23 (日)公演終了

事件に纏わるレポートの様でもあり。
初見。再演である事を抜いても脚本がしっかりしているなという印象。きっと本だけ読んでも作者の伝えたい事の大半が伝わってくるのでは。観た上では台詞書きというよりは場面書きな作家だなという印象もありつつ。
全然共感出来なくて着いて行けなくなる瞬間が多々あったんだけど、今回に関してはそれで良かったんだと思います。特に店長の台詞でそれを感じた。「実際の現場でもその発言ありそう」と思いながら、その発言には全く共感出来ないという。観てる自分は冷静だったから起きたギャップ。あいつがエモーショナルレイバーさんか、と。あ、勝手な見解です。別に『誰がエモーショナルレイバーなのか?』を巡る話ではないので、未見の方は誤解なき様。

ネタバレBOX

各人物の背景が書かれていないのも適切。あの職場環境ではそれぞれ訳ありで絶対にドラマチックな何かをみんな持ってはいるはずなんだけど、それを掘り起こしたらあの職場での人間関係に焦点を絞った話ではなくなる。
色んな方の感想で女性目線についての言葉が散見されて、個人的には別にそんなに顕著ではない気が。エンジェルの懐妊は組織の終わりと家族の始まりの対比くらいにしか思わなかったし、男性陣がケイに見守られてたとも思わなかった。
投げられやすい石

投げられやすい石

ハイバイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/01/19 (水) ~ 2011/01/30 (日)公演終了

ちょっとした恐怖。
久々に観られて良かった。やっぱり面白かった。
で、ちょっと迷っています。ハイバイが何で面白いのか観てない人になんて言えば伝わるのか上手い言葉が見付かりません。変なモンスターと出会ってしまった様な感覚。ただ強いだけなら「強いんだよ」と言えば済むものの、何がどう強いのかパラメーターが良く分かんない。理解を超えてちょっと怖くさえあります。
他者とのどうしようもない意識・感覚のズレ。謂れのない当て付けや気に掛けているはずなのに共通意識でなかった時の絶望。胸の内に苦いものを得ました。劇場を出て現実に戻った時の開放感たるや。

ネタバレBOX

安心したのはニットが落ち着かないあの場面が今でもやっぱり面白かった事。
あと、終演後に石が足元にあったので持って帰ろうかと思ったけど使い道がなかったので持って帰りませんでした。
【公演終了】B203【ご来場有難う御座いました】

【公演終了】B203【ご来場有難う御座いました】

早稲田大学演劇倶楽部

早稲田大学学生会館(東京都)

2011/01/14 (金) ~ 2011/01/17 (月)公演終了

死ぬなよ!殺すなよ!
出演者にも客席にも死人が出てもおかしくなかった。マジで。やってる内容はエッジが効き過ぎてます。でも、勧めたい。ただのバカだと思う人もいるかもしれない。いや、だとしてもこれだけ本気のバカを観た事があるか?
脚本クレジットが数人いるからオムニバスかと思ってたら…。しかもパンフレットではチラシから更に記載名が増えてた。みんなで話し合って作ったのか、リレー方式で書いたのか。後者かな? 後者な気がする。でもそういうは別にどうでもいい。もうなんか、構成とか流れとかじゃなかった。全箇所本気!の二時間強。濃すぎた。最近の暴れ団体っていうとバナナ学園にお株が根付きつつあるけれど、いやいやエンクラだって相当暴れてるぞと。やってやがるんですよB203で。

ネタバレBOX

マンドラゴラ、眼鏡、ババア。印象が強すぎて、ただの羅列でもこんなに面白おかしく思い返せる。いつも変化球なのか剛速球どストライクなのかよく分かんないんだけどとにかく印象に残る須賀さん。萩野さんの眼鏡が役に合わせてごついのになってたのがツボ。河合さんの役名、ババアって…。ずっと俯いてて顔が見えないけど損してない。初見なのか見逃してたのか、気になる役者もたくさん発見。また観に行かなきゃ。あと結局キューちゃんは誰!?
きっと大学だけで演劇を辞める人もいるでしょう。続ける人とはいつかまた何処かで会いたいと思うし、辞める人とは会える機会がほぼなくなる。それでも貴方が舞台上にいた姿はいつまでも覚えていたいです。
ドードーの旗のもとに

ドードーの旗のもとに

劇団ガソリーナ

萬劇場(東京都)

2011/01/13 (木) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

特別公演との事。
パンフレットの『やってみたかったことをみんな詰め込んだ』という挨拶が、どの立場からの言葉なのか気に掛かった。代表もしくは脚本家としてであれば分かる。しかし演出家としてであれば、むしろ何もしていなかったと感じました。
演出がされていないと感じたのは主に演技面において。本職声優やそれに順ずる役者が多かった印象ですが、演技の質も声優寄りだった。それぞれが自身のキャラクターを明確に主張するので人物同士の遣り取りが生まれない。台詞上では会話をしているけれど、胸中の変化を与えるという意味での遣り取りがなかった。アニメや洋画の吹き替えであれば映像があるから視覚での説得力がある。しかし朗読劇ではそれがない。観客の想像力に任せる意図があったとしても、舞台上で成立させるべき事項はまだまだあった様に思います。
壮大な物語であり、確かに演劇化するには困難な部分が数多い。だからこそ演劇化してこそ意義があったのではないか。「通常の演劇≧朗読劇」では決してない。しかし今回はそれを思わせてしまう内容だった。朗読劇ならではの表現もなかった。技量のある役者がやれば必ずしも作品の質が上がる訳ではない。勿体無さ過ぎる。
これがプロデュース公演だったら色んな事情を鑑みて目を瞑る気も起きたかもしれない。しかし特別公演とは言っても劇団名を提示した上で行なった公演なのだから、もっと結束したものを見せて欲しかった。
伊藤英次さんの声は男でも惚れる。

ネタバレBOX

だからこそ、何故彼にしっかり演技をさせなかったのか。監督の台詞が明らかな台本読み状態。ブースで台本をめくる姿も見えた。とちりもあった。「いや、まさかこれだけの人にそんな迂闊な事はさせまい。もしやこのプレレコの場面自体が劇中劇だったとか、どんでん返しがあるに違いない」と期待しただけに、非常に残念な気持ちに。
集められた役者達が割と簡単に『やりましょう!』と言ってしまうのが違和感。作者が早く劇中劇に進ませたいから手早く済ませたのだとしか思えず。客席にいる側としては冒頭でまずしっかり見せてくれないと先を見る意欲が沸かない。やるからにはやるんだという覚悟を決めるまでの経緯をもっと見せてくれないと。それがないなら最初から劇中劇だけやってくれたほうが観やすかった。どう考えてもメインは劇中劇のほうにあったし、プレレコであるという設定は後から付け足されたのか? 第三章まで観ると劇中劇とプレレコ部分がリンクしたりするのだろうか? 少なくとも第一章だけ観た時点ではプレレコ部分が軽過ぎる。まず100年後に完成する映画がアニメなのか実写なのか、劇中では説明がない。冒頭に監督があれだけの長台詞を言ってるのに概念の話ばかりで状況を指す言葉が出て来ない。作家のHPではボリュームのあるあらすじでその事が書かれていたと、観終えて数日してから知りました。少なくとも当日パンフレットには載っていなかったし、前知識がなかった自分には意味が分かりませんでした。
そして録音監督がト書きを力強く読み上げる意味が分からない。ト書きは状況を指す為の説明文。本来これは読み上げない部分だし、劇中がどんな状況にあるかは役者の演技から読み取らせるべき。盛り上がりを迎えるからとそのまま力強く読み上げてしまうのは、強制的に『ここは物語が盛り上がってますよ!』と言っている様なもの。物語が盛り上がっているのかどうかは観客に勝手に受け取らせて欲しい。見入っていればちゃんと分かるものだし、見入っていない時に押し付けられるのは不快。
久木田佳那子さんが元AKB小野恵令奈さんに見えた。遠目だったから。でも声も似てる気がして、「ドードー」言ってるのが可愛いなぁと。逆にドードーが喋ってしまうとなんだか残念な気分に。デジモンのアニメでタケルが成長しちゃった時の心境に似ていました。分かる人だけ分かってくれればいいです。
メゾン・ド・ウィリアム

メゾン・ド・ウィリアム

劇団バッコスの祭

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/01/09 (日) ~ 2011/01/17 (月)公演終了

変えて来た印象。
賞を取っての再々演など先が決まっていたからか、これまでとちょっと違った事をして来た感じ。まず現代劇が久々だったか。
普段に比べると脚本的にはちょっと無茶もしてる気がしました。一貫させたものを内包してしっかり一歩ずつ進んでいくのがいつもだとしたら、今回はピース同士を繋ぎ合わせているというか。それだけに語られている内容だけ見ると前後の繋がりが弱い部分もありながら、挿入された殺陣が見所になっていてきっちり埋まっていた。これ、強みだと思います。あと、丹羽さんの演技。感情丸出しの彼の演技は迫ってくるものがあり過ぎてどんな気持ちで観ていようと説得させられてしまう。
新劇団員も魅力的。丹羽さん・辻さんが中心になる事が多かったけれど、今後は配置を換えて別の試みも観てみたい。その二人があえて脇で違う事をやる姿も観てみたいですし。

ネタバレBOX

ちょっと強引な物語展開と過去の傷と占い師の登場辺りにシェイクスピアっぽさを感じ、「自首」という言葉に違和感を。事件が明るみになっていると出頭になるはずで、はてこれはマジミスなのかそれとも実はちょいちょい変な文脈が混じったりするシェイクスピアオマージュなのかいやいや森山さんは迂闊な事をしなさそうだしマジミスじゃねーだろとか思ってたら終演後に配布された解説で正に触れられてました。観てる時にうっかり騙されて気付かなかったら巧みだったけど、気付いて引っ掛かりになっちゃったのが惜しく感じたり。
ありがちだけど、公岡自らがかつていじめっ子だったというほうが傷にも話にも深みが増した様な気も。
愉快犯

愉快犯

柿喰う客

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2011/01/07 (金) ~ 2011/01/16 (日)公演終了

新春公演、だ。
いくつかあったコメントの通り、お正月バラエティ的な位置取りの今回。人に勧めるにはこれまでになく適した作品だと思います。
劇団員公演でありながら、柿がこれまで持っていた狂気的な面が薄く感じられて個人的には「本公演ではない」という点に納得。この公演がどう評価されるのかもふくめた上での愉快犯。柿自体が。

ネタバレBOX

冒頭の玉置さん&深谷さんのシーンはなんとなく「傷は浅いぞ」を想起させられたり。
個人的にはハラハラドキドキ感がこれまでよりも少なくて、何故かと考えたらやはりそれは劇団員公演だったからかと。出来てしまっていた。役者陣が見事なまでに中屋敷演出を体現可能なので、危なげを感じなかったのです。凄過ぎてそれが当たり前に見えてしまった。難なくやっている様に見えたって、玉置さんの運動量や深谷さんの発声や七味さんの心の強さは物凄い。それだけにこの人達なら大丈夫だろうと安心してしまった。
個人的に今回よく思えたセクションは音楽。オリジナル楽曲になってから柿との不合致を感じていましたが、今回は見事に合っていたかと。そうなるまでもうしばらくかかるかと思っていました。さすが専門職の仕事だなと感心。
最後の三本締めをさせず拍手にしてしまうのなんかホント愉快犯の仕業。
ルフラン、ラン、ララン

ルフラン、ラン、ララン

劇団てあとろ50’

早稲田大学学生会館(東京都)

2011/01/08 (土) ~ 2011/01/10 (月)公演終了

牧場だけに牧歌的ながら。
上演前から既に漂うパラレル感。明らかに変化球で、次に何が起こるか分からない物語進行。登場人物に「人物」でないのも混じってるから余計に。ファンタジーと言えばファンタジーだが、なんだこれは。馬ンタジーか。

ネタバレBOX

正直、面白かったかと言うとよく分からない。が、きっと惜しかったのだと思います。決して下手だった訳ではないのだけど、役者の演技がもっと常軌を逸してるくらいの勢いであってくれたなら観るほうも流されて不思議な世界の住人に慣れた気がする。慎重さを持った演技によって真面目に観てしまったから着いていけなかった部分もあった気が。もっともっと濃い馬ンタジーで良かった。
それだけに、主人公の薄さが気掛かり。登場していない間はそのまま存在を忘れてしまうくらいの存在だったから、物語の主軸に誰の行動を追って行くべきか迷ってしまった。
水をボールで表現した手法は好き。ああいうのがもっとあっても良かった気がする。

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