タッキーの観てきた!クチコミ一覧

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みんな出ておいで~

みんな出ておいで~

株式会社AGE POP

DDD AOYAMA CROSS THEATER(東京都)

2024/03/05 (火) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

安土桃山時代か、長島一向一揆を 宗教という信心を利用した人心掌握術ー現代的に言えばマインドコントロールを描いた物語。宗教の捉え方、人の思惑といった多面性を多方面(360度)から観せる。そう言えば、この劇場の近くに青山円形劇場があったことを思い出した。

公演の見所は、人の(信)心、宗教による救い=浄土への導きを利用した深謀遠慮、信仰心があつければ それだけ思考 視野が狭くなるという怖さ。それを戦(いくさ)に絡めて浮き彫りにする。もう一つが四方の客席から観せるというもの。役者は四方八方の視線を意識した演技、それが舞台上は勿論その周りを回る、その動作こそが一つの見方に捉われないことを示唆しているよう。
(上演時間1時間45分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

中央に高くした素舞台、客席は四方に配置。役者は一部の客席通路を通り出入りする。上演前は波(水)音が聞こえ、心安らぐ雰囲気が漂う。念仏を唱えながら人物が動き回り、その地方・地域に宗教の教えが広まっていることを表すようだ。

念仏が上手く唱えられれば 信心深いと見做される。或る日、念仏が下手な浪人がこの長島の地へ、間もなくして織田信長の侵攻が始まる。その攻防によって多くの住民 信徒が犠牲になるが、その死は「おめでたい」ことだと言う。死=浄土へ行くことが出来る、その教えを信じて疑わない。

<宗教>という絶対性、一方、好きになった女性信徒(大事な人)を救いたい。戦(いくさ)の中で、当たり前のように 親は子を守る、その<生命>への執着を熱く語る。本来、この宗教と生命という二項対立しないようなこと、それが "どうして” と考えさせる奥深さ。

ラスト、なっちゃん、おみな 二人を照らすスポットライトが物悲しくも美しい。戦国の世という、謂わば不条理な世界が浮き彫りになる力作。
次回公演も楽しみにしております。
通る道

通る道

劇団芝居屋

中野スタジオあくとれ(東京都)

2024/03/01 (金) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

自分好みの舞台。
旗揚げ公演をした<中野スタジオあくとれ>…比較的小さい空間だが、三十三回忌法要に集まった人々の心情を描き出すにはピッタリ。登場人物は5人、そこに三十三回忌法要らしさが出ており、人の死と過疎化という世の移り変わり、その寂しさ侘しさが感じられる。

説明では北国とあったが、舞台は冬の北海道、寒風が吹いており 極寒の様子がしっかり伝わる。それを体現する演技が実にリアル。
死という必然と少子高齢化という抗えない現代日本の課題・問題もちらつかせ、それを抒情豊かに描く。

法要という典型的な儀式、事件も大きな出来事も起きないが、そこに集まった人々の近況も含め人生が語られる。そこに この劇団の「覗かれる人生芝居」の面白さを観ることができる。
(上演時間1時間35分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は菩提寺泉水寺の一室。上手 下手に障子の衝立、中央奥に石油ストーブ、そして座卓が2台。シンプルな作りであるが、法要が始まる迄の時間を過ごす 控えの間のよう。寒風が吹いている音響、障子を開けて入ってくる住職の未亡人、そして法要に集まってくる人々が一様に石油ストーブに手をかざし尻を向け 暖をとる。その姿 様子が滑稽であるが実にリアルだ。そこに表現力の確かさを観ることができる。

役者は5人…実の父親 角田正造の三十三回忌法要を行う正一(増田再起サン)、弟の嫁<義妹> 角田妙子(細川量代サン)、そして甥の角田誠司(木の下敬志サン)、姪の赤坂奈美恵(増田恵美サン)、それに住職の未亡人 武田文子(永井利枝サン)と少ない。しかし、何の変哲もない日常会話(夫婦間や子供のこと、仕事や健康等)、その淡々とした語りの中に しみじみとした 人生が感じられるほどの演技力。自分もその場にいて 法要に出席する、そんな錯覚に陥りそう。

この寺まで、以前はバスの運行本数もそれなりにあったが、今では1時間に2本と激減。少子化の影響で小学校が廃校になり、コロナ感染も相まって過疎化が進んだと。後々分かるが、飲み屋もシャッターを閉め(シャッター商店街)、人との交流も無くなってきている。何となく地方都市の厳しい状況が分かるような。

三十三回忌法要の後は、この泉水寺(北海道)の墓じまいをし、東京へ(墓を)移すという。現実的な対応を見せると同時に、故郷との縁がだんだんと薄れていく寂しさ、そこはかとない悲しさが込み上げてくる。
先週、親戚に不幸があり久しぶりに故郷へ帰った。幼き頃に見た風景が遠ざかるようで…そんな哀愁に浸ってしまった。
次回公演も楽しみにしております。
猛獣のくちづけ

猛獣のくちづけ

くちびるの会

OFF OFFシアター(東京都)

2024/02/22 (木) ~ 2024/02/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、自分好み。
舞台は渡良瀬川近郊の街、派遣労働者として働く男の 不思議な出来事を通して、世の不条理を浮き彫りにするような物語。
男の周りの人がワニになっていく中、孤独にならないよう友達作りを始めたが…。ワニがどんな比喩をしているのかハッキリしないが、世の中の不安・不穏といった雰囲気が漂う。それがコロナ禍の閉塞感・不寛容といった状況に重なるような気がする。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、冒頭 色違いの収穫コンテナが半円を描くよう、不規則に積み上げられている。真ん中にも1つ置かれ、主人公 大貫の部屋のテーブルを表している。その上には 漫画本・TVリモコン、そしてカップ焼きそばを頬張る姿が、一人暮らしの中年男の侘しさを醸し出す。

仕事は荷運びの単純労働、ロボットでも出来るようなもの、と自虐的な台詞。承認欲求と連帯意識といった自己と他者ー人間の根底にある<思い>を描く。演出は、コンテナの配置や積み上げ方を変え、場所や状況を巧みに現す。またワニは、ミニ縫いぐるみや全身 グリーンの衣裳を着ることによって、周り(世の中)の危機的な状況を暗示する。ただ、その滑稽な姿や仕草によって深刻さを緩和するよう。

親や近しい人も含め、多くの人がワニに変身していく。その様子がコロナ感染拡大、その危機的な状況を想起させる。頑張らねば、そんな励ます 又は 煽るような音楽が聞こえる、その幻聴・妄想が人を追い詰める。同時に 周りの状況の緊張・緊迫が社会(世間)の不寛容を増長させているかのよう。八方塞がりの中で人と人が繋がることによって、微かな希望が…。
人間が抱える感情や 社会の課題・問題を、サイエンス・フィクション風(間接説的)にして描き出す。その現実感と演劇の虚構性がうまく融合した好公演。
次回公演も楽しみにしております。
東京在住資格

東京在住資格

劇団BBF

RAFT(東京都)

2024/02/16 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

東京という<街>に住み続けることに拘る一人の女性 幸子の心象劇。10代の頃から東京に憧れを抱いているが、その理由が漠然としている。東京とそれ以外の街の違いはなにか といった明確な答えはない。それを10代から30歳頃までの特徴的な出来事を3人の女優(一役3人)で紡ぐ。登場人物は幸子と幸子の周りの人々(7人)といった曖昧な括りで描いており、衣裳もそれを意識した分かり易さ。役者陣は 出捌けせず、ほとんど舞台上におり幸子を見ている。いや 見るというよりは観察・洞察するような役割を担っているようだ。

経験しなければ解らない…東京で暮らしてみなければ、その<街>の居心地の良さや悪さは理解できないかも知れない。一方、幸子が東京に求めるモノ<希望や夢>が曖昧であるがゆえに追い詰められていく様子、それが青春の残酷さとして浮き彫りになる。小さい劇場、シンプルな舞台セットだけに、演技によって幸子の心象をしっかり伝える必要がある。その人物像は等身大の女性として巧く演じていた。
(上演時間1時間45分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

平板で組み立てたベンチ状のものが 配置を変えて上手/下手にあるだけ。上演前にはどこかの駅のホームアナウンスが聞こえる。雑踏が東京らしさを表している。幸子は東京に住みたいため東京にある大学(関東商科大学?)へ入学する。4年間をコンビニバイトで生計を立てるという、典型的な女子大生の描き方をしている。そして、東京に居続けるための就職活動やその後の暮らし、その厳しい現実が彼女の漠然とした考え方(東京暮らし)に立ちはだかる。就活の不調、その後 何となく演劇をやりたいとオーディションを受けるといったシーンを入れ幸子の無計画や無目的といった生き方が…。この幸子とそれ以外の周りの人々の遣り取りが、公演の肝だろう。

大学時代に付き合いだした男から求婚されるが、彼が大阪転勤になると 東京を離れたくないことを理由に結婚話を渋る。彼に仕事を辞めてほしいなどエゴを押し付ける。翻って東京の街の魅力は何か。田舎の夜は寂しく怖い、と言い 東京は外に出れば誰かがいる。しかし、比喩としての東京砂漠ー見知らぬ人同士にとっては昼間でも寂しく怖く、そして残酷だ。東京という<街>は、地方出身者の受け皿で在住資格など要らない。公演は、幸子の心象と <東京の街>という表現し難い不思議な魅力を描き出そうとしているような。そこにもう一人の 存在しない主人公が横たわる。

幸子(3人)は白ポロシャツにデニムスカート、幸子以外の周りの人々は黒のポロシャツで統一し、敢えて性格や特徴を表現しない。没個性にすることで逆に幸子の心象を鮮明にする。幸子の辛苦や葛藤、その叫びに呼応するように学校の卒業式で見られる 呼びかけ、いや問い掛けをする幸子の周りの人々。幸子が立ち、周りの人々が舞台と客席の間に体育座りをして群唱する。買い物にしても情報収集にしてもインターネットを利用すれば都邑の差はそれほどないと。

ラストは、東京在住資格に拘らない、住居同様 更新せず新しい場所へ。どんな時でも「立ち止まらない」といった前向きな姿勢を見せる。公演は橙色照明の濃淡、その諧調によって情景や情況を印象的に観(魅)せる。また音楽にしてもカラオケシーンやギターの生演奏など、曲が青春っぽくて清々しい。
次回公演も楽しみにしております。
かわりのない

かわりのない

TAAC

新宿シアタートップス(東京都)

2024/02/07 (水) ~ 2024/02/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
夫婦3組による存在(登場)しない子を巡る、いや正確には、夫婦2組と妻に出奔された夫と息子(不在)の愛憎劇といったところ。「変わりのない」か「代わりのない」で意味が大きく違う。説明ー難病の息子の移植手術するために募金活動を行ったがあと少しで目標額に届きそうな時に亡くなったーは、時間の経過とともに少しずつ日常が戻ったということか、それとも亡くなった息子の代わりはいない といったことか。公演では視点を変えて両方の事柄を描いているようだ。それは並んで立っているが、同一空間ではなく、台詞だけがシンクロしている妙。この届かない 聞こえないであろう慟哭こそが不在の(我が)子を強く印象付ける。

少しネタバレするが、チラシの座っている男女が説明にある募金活動を行った夫婦、後ろに立っているのが刑事。必要なくなった募金活動を続けたことによる詐欺か、実はもっと別の観点で展開していくが、何となくミステリーサスペンス風の様相を帯び 一気に関心が高まる。
(上演時間1時間40分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、土手のように傾斜した所(八百屋舞台)に、テーブルと椅子、所々に倒れた椅子が重なっている。テーブルの下には穴があり、天井には傘電球が一つ。全体的に抽象的な作り込み。上演前には工事中であろうか破砕音や電車が通る音が騒がしく聞こえる。

田代健太・由希子夫妻は、説明にある息子 大樹(不在人物)の移植手術のため募金活動をしていたが、あと少しで目標額というところで息子(5歳)が亡くなった。息子が亡くなった喪失感を埋めるかのように、犯罪であることを知りつつ、また募金活動を始めた。そんな或る日、根本大河(不在人物)という子が逃げ込んできた。妻に出奔された男 根本岳の息子である。この子の顔にだんだんと妻の面影が、そして疎んじるようになる。この不在の息子を巡って或る出来事が起きる。近所の医院 橋爪史朗医師を巻き込んで刑事 春日井陽平の聞き取りが始まる。夫々の心情と思惑が絡み、夫々にとっての真実が事実をなかなか明らかに出来ない。そして驚愕の事実と悲しみが観客の心魂を揺さぶる。

暖(白銀)色系の照明による諧調、ピアノの重低音やバイオリンの音響。そして穴に椅子が転げ落ちることによって不安もしくは不穏な効果を出す。チャイム音と同時に天井から札片(募金)が舞い落ちる。抽象的な舞台美術とは反対に分かり易い情景描写が印象的だ。
刑事は田代夫婦を別々に取り調べているようだが、その過程の会話はシンクロさせるといった巧さ。それによって夫婦の相互の思い、歪な いたわり が浮き彫りになる。

因みに刑事の春日井陽平・里美夫妻に子はいない。少し ちぐはぐで 歯切れの悪い会話から、不妊(治療)ということを連想する。陽平の生い立ちも影を落とす。物語は、不在(登場しない)の息子2人が中心におり、父に疎んじられた子を亡くなった子の代わりに面倒見ているうちに、といった錯誤の世界観が描かれている。金では買えない、いや代替できない愛情が痛ましい。
次回公演を楽しみにしております。
Musical  Collection 1 陽だまりに青

Musical Collection 1 陽だまりに青

Muse:Am

シアターシャイン(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Muse :Am旗揚げ公演とは思えない珠玉作。この団体は「生の音にこだわった作品創りを心掛け、劇中の音楽は全て生のピアノ一本で紡がれる」としている。歌とピアノで抒情的な雰囲気を漂わせているが、フィンセント・ファン・ゴッホという特異な存在が現実の世界へ。ゴッホ兄弟の生涯を義妹の視点で描いているが、肉親とは異なり 少し距離を置いた客観的な感情といった印象だ。

舞台美術は、オフホワイトを基調にしたシンプルなものであるが、場面に応じてプロジェクターでゴッホの絵画を投影する。団体名「Muse :Am」は、MusicalとMuseumの融合で、演劇を「体験」する「目撃」する「鑑賞」するを意としている。その意味では、この演出は団体の真骨頂と言えるだろう。
(上演時間1時間35分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、天井に白い紗幕や額縁、板上は二段になっており脚立のような半階段、イーゼル、ハンガーなどが置かれ、後ろはシーツで映写幕を兼ねている。全体的にオフホワイトで浮遊感があり、また これからの人生を何色に染めるのかといった隠喩が込められているよう。因みに冒頭は「ファン・ゴッホの寝室」の絵画が映し出されていた。

物語は、アムステルダムで英語教師をしていたヨハンナ(渡辺七海サン)とテオドルス・ファン・ゴッホ(宮脇僚汰サン)が偶然出会い、テオドルスからのプロポーズを受け結婚するまでを甘酸っぱく紡ぐ。そして彼の口から兄フィンセント・ファン・ゴッホ(粂川雄大サン)との思い出 話を聞く。回想の中における時間の変化を流光のような照明で表現するなど丁寧な観せ方だ。また大きな箱鞄を運び入れ、衣裳や小物の出し入れをする。これもフィンセント・ゴッホの頻繁な旅や転居を表しているようだ。

物語は、世界的に有名になったフィンセント・ゴッホの 良き理解者で支援者であった弟との関係を中心に描く。そして弟のテオドルスの妻として、またフィンセントの義妹として彼ら兄弟の関係を、或る時までは微笑ましく見つめていたが…。それはフィンセントが片耳を切り落としサナトリウムに入院している間も変わりなく支援していた。彼女にとって 夫そして生まれてきた息子、その暮らしを思うことが第一。その心情は当たり前…夫の画商として独立したい夢と余命、フィンセントに振り回されたという思い、諸々の感情と激高がクライマックス。勿論フィンセント・ゴッホの最期まで描く。惜しいのが、画家ゴッホの芸術家らしい思索と苦悩といった内面が十分描き切れていないところ。事実の断片が描き紡がれるが、その懊悩が何かといった面を もう少し掘り下げられれば…。

ピアノの生演奏(久野飛鳥サン)、またキャスト3人の生歌も心地良かった。勿論、場面に応じた衣裳替えと情況に応じた歌が心情表現として利いていた。またピアノは音楽だけではなく、例えば、赤ん坊の泣き声など、音響効果としての役割も担っていた。
次回公演も楽しみにしております。
CROWDED CHAOS FANTASY TURBO

CROWDED CHAOS FANTASY TURBO

SPIRAL CHARIOTS

「劇」小劇場(東京都)

2024/02/01 (木) ~ 2024/02/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

【ABチーム】観劇。楽しませるに徹した公演。
2チーム同時に同じアクション&台詞、息が合うか否かが見所か。内容は王国(聖者)と悪魔の戦いーー有名なロールプレイングゲームを擬えた展開のようで、勿論、音響音楽も聴いたことがあるような。
ネタバレ厳禁とのこと。
(上演時間1時間15分 +アフタートーク約30分)

ネタバレBOX

舞台美術は、薄汚れた壁(衝立状)ーその上部に蔦のような葉が生い茂り、下部は石垣が描かれただけのシンプルなもの。勿論 アクションシーンを行うためのスペースを確保するためである。2チームのメンバーが次々と現れ対決し、次シーンへ引き継ぐ。そのスピードあるテンポ感が心地好い。

さて、途中 客席から説明にある「40代のコンビニ店員おっさんが呼ばれて」…その召喚オヤジ(クリーチャーじゃないところが笑える)がハリセン持って乱入し、若いキャストにダメ出しをする。舞台稽古で演技にダメ出しをする演出家(もしくは舞台監督か)のような。その言葉が台本通りの台詞なのかアドリブなのか判然としないくらい面白い。公演は単独チーム、2チーム、3チームそしてその組み合わせが毎回異なることから、その都度 笑いのツボが違うかも…。

ちなみにABという2チームが演じていたから衣裳は上下で分かち合うような。例えば上着はそれらしい格好であるが、下はジャージだったりして不釣り合いだが、それも一興か。武器も然り。メイクだけは各人オリジナルで雰囲気を出す。
また王国軍(聖者)が聖剣を手にするが、それを簡単に抜くことが出来ないという件、かの有名な「アーサー王の剣」(バリエーションあるようだが)を連想する。色々なオマージュが隠されているような面白さ可笑しさ。

さて 公演の特徴の一つ、下ネタが頻繁に入る。性は食事と同様で欠かすことは出来ない。食生活はとても大切、演劇にとって触性活=下ネタは便秘にならないよう しっかり稽古に励む意で とても大切のよう。それにしてもカオスの世界観だ~。
次回公演も楽しみにしております。
谷崎潤一郎『白昼鬼語』

谷崎潤一郎『白昼鬼語』

楽園王

サブテレニアン(東京都)

2024/02/01 (木) ~ 2024/02/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「人殺しを見に行こう」という衝撃の誘いから始まる『白昼鬼語(はくちゅうきご)』…谷崎潤一郎の推理小説だが、論理的というよりは 心象的であり幻想的な描き方。1918年発表の短編探偵小説、この小説は未読であったが、読んでみたいと思わせるような舞台化だ。全体的な印象は虚実綯交ぜのような独特の世界観、それを音響・音楽、照明の効果的な演出によって耽美的な雰囲気を醸し出す。

物語(あらすじ)の表層的な事象は分かるが、その奥に隠された人間心理は複雑で怪奇といった印象を受ける。小説は 想像でその世界を思い浮かべることが出来るが、舞台化すると視覚・聴覚を通して生身の人物が迫ってくる。冒頭の「見に行こう」は覗き見るといった好奇心の表れ、それを役者が客観的に演じていた。その意味では、感情移入するというよりは 観察もしくは推察といった冷徹な感じだ。その描き方と観劇後の印象が心象的という一見矛盾したような感覚に陥る、見事!
(上演時間1時間20分) 追記予定

「八月のシャハラザード2024」

「八月のシャハラザード2024」

ネバーランドプロモーション

萬劇場(東京都)

2024/01/24 (水) ~ 2024/01/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
事故と事件という2つの出来事を交錯させ、限りある命をいかに未練を残すことなく全う出来るか…硬軟ある描き方だが 基本はコミカル ヒューマンストーリー。観応え十分。
ストレートプレイに歌(カラオケ)、ダンス(群舞)といった魅せるシーンを挿入することで、エンターテインメントとしても楽しめる。
舞台技術の音響 音楽、そして情景描写を効果的に表す照明が印象的だ。勿論、役者陣の熱演が物語にグイグイと引き込んで飽きさせない。虚構性の中に楽しませるという娯楽性、その意味では 演劇という総合芸術がしっかり堪能できる好公演。
(上演時間2時間 途中休憩なし)【Aチーム】追記予定

カンテン「The Foundations」

カンテン「The Foundations」

カンテン事務局(Antikame?)

座・高円寺1(東京都)

2024/01/24 (水) ~ 2024/01/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

舞台芸術の幅広さ奥深さを感じられる公演であり、好企画。
観劇したのは、Select C「接 ここはクチ以上にモノを伝える」で、架空畳の『柔らかい非流線形のフーガ メメント/アライメント』とSky Theater PROJECT『黒沢家の家じまい』の二作品。タイトルからも何となく想像できるが、前者は抽象的でパフォーマンスという動的な描きであるが、後者は具体的で身近にある出来事を静的に紡いでいる。その意味では素舞台という共通した条件下で、まったく違うテイストの公演を観ることが出来る。それぞれの団体の個性を十分に活かした内容、それを端的に表すに相応しい空間(更地)での企画は面白い。

『柔らかい非流線形のフーガ メメント/アライメント』は、或る役割を担った者たちの独白(言葉)を繋ぐことで、或るコトを準えた又は喩えたような作品。舞台技術の照明等に特徴があり心象的な印象を受ける。一方『黒沢家の家じまい』は、典型的なストレートプレイで、日常にあるリアルな会話劇。
(上演時間2時間10分 途中休憩なし) 追記予定

舞台「GAKUYA」

舞台「GAKUYA」

文化芸術教育支援センター

中目黒トライ(東京都)

2024/01/17 (水) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第9回新人シナリオ発掘プロジェクト…楽屋をテーマにワンシチュエーションの会話劇をオムニバス形式で上演。「楽屋」という限られた空間で紡がれる人の悲喜交々、とても味わい深い公演であり好企画だ。「シナリオを学ぶ多くの人に自分の作品が形になる場を作ろう!」という意気込みがしっかりと伝わる厳選された作品群。面白い!
少しネタバレするが、上演作品と設定楽屋を紹介する(上演順)。
1.「たかがキス」…舞台楽屋
2.「大橋さんのいる楽屋」…TV局控室
3.「それいけ、グリーン!」…街のヒーローショー
4.「ボックス・オブ・チョコレイト」…ストリップ小屋
自分は、「たかがキス」「ボックス・オブ・チョコレイト」が印象に残った。

前説や最初の作品を上演する前、CAST紹介を兼ねて 各作品の特徴的なシーンを披露したり 劇中へ繋がりを持たせるような演出。例えば、街のヒーローショーの会場間違えや ストリップをイメージさせるような妖艶なダンスなどを観(魅)せる。
少し気になるのは、演技力に差があり 作品の面白さを十分に表現出来ていないような。当日パンフに「キャストの約半分はオーディションで選ばれた新人たち」とあるから無理からぬことかもしれないが…。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし) 追記予定

ストレンジャーズ イン ザ ナイト

ストレンジャーズ イン ザ ナイト

スラステslatstick

駅前劇場(東京都)

2024/01/16 (火) ~ 2024/01/21 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

元女子プロレスラー3人がそれぞれ第二の人生を歩んでいたが、そんな彼女たちにトークイベントのオファーが舞い込んで、といったコメディタッチの物語と思っていたが…。少しネタバレするが、ほぼ素舞台、暗幕で囲い あるのは横長の箱が2つ。情景に応じてパイプ椅子が持ち込まれるだけ。出演者は5人(女優3人、男優2人)、演技力が求められるところだが、何となく ゆる~く演じているよう。しかし、それが敢えての演技で、一人ひとりの個性であり生き様が感じられるといった不思議な魅力がある。上演時間は約2時間だが、飽きさせることなく展開していく。

素舞台だが、上手に或るモノが現れた時からSFの不思議な世界へ誘われる。チラシにある「地球の存亡をかけた戦いが始まった!」のだ。人は外見によって惑わされることなく、その人間(本)性を見極めることが重要。地球存亡の戦いは、惑わされ疑心暗鬼になる<心>との戦いでもある。
歌ありアクションありの魅せるシーンもあり、笑わせ楽しませる、そして少し考えさせる公演だ。カーテンコールでネタバレしないようにとあり、「元・悪役女子プロレスラーVS宇宙生物‼」は、ぜひ劇場で。  追記予定

ほどける双子

ほどける双子

クレネリ ZERO FACTORY

小劇場 楽園(東京都)

2024/01/10 (水) ~ 2024/01/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一人の女性を妻、母そしてベビーシッター(職業)といった多面性をもって表出する珠玉作。一人芝居にも関わらず、内省しつつ濃密な関係性を表すといった表現力の豊かさ、そして衝撃的な結末へ導く。
(上演時間50分) 追記予定

境界

境界

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2024/01/06 (土) ~ 2024/01/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

タイトルにある「境界」だけではなく、「きょうかい(漢字変換した)」に係る11演目をテンポ良く描く。中にはアントン・パーヴロヴィチ・チェーホフの短編や山本周五郎の時代小説 さらには古典落語という幅広いジャンルから題材を得ている。正月の御節料理のように それぞれ違う味わいがあり楽しめる。また場転換に時間をかけず、かと言って衣裳は話に応じて着替えるなど飽きさせない工夫にも好感がもてる。

さて、当日パンフには「これらを境界と取るか否かは貴方次第」とあるが、中には境界ではなく区別もしくは選別といった印象のものもあり、考えさせる。構成は、教会 教戒 教誨といった括り、チェーホフ短編、そして日本での話といった纏まりが妙。5人の役者が 瞬時に色々なキャラクターの人物を演じているが、それでも違和感なく話の中へ入っていける。
(上演時間1時間36分) 追記予定

NOa「の」八コぶ.ね.

NOa「の」八コぶ.ね.

中央大学第二演劇研究会

荻窪小劇場(東京都)

2024/01/07 (日) ~ 2024/01/08 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

世界に溢れる災い(人災・自然災害 問わず)を旧約聖書の『創世記』にあるノアの方舟に準えて<生きる>ことを模索するような物語。

前半はダジャレのような言葉遊びが多く、話が漂流するようで どのような物語を描きたいのか 解らない。後半から終盤にかけて ようやく言葉や記憶を失った人々を通して、争いごとや災いの惨さ、それでも人生という荒波を乗り越えようとする。人生という航海は後悔の連続かもしれない、そんな味わいの感じられる内容へ。少し回りくどいのが難点か。
(上演時間1時間10分) 追記予定

ネズミ狩り 2024

ネズミ狩り 2024

劇団チャリT企画

ザ・スズナリ(東京都)

2024/01/06 (土) ~ 2024/01/08 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
凶悪少年犯罪をモデルにしたブラック・コメディという謳い文句であるが、その実事件と架空(創作)事件を巧く絡めた力作。少しネタバレするが、舞台となる老舗そば屋・南海亭の姉妹の激論が見所の一つ。この店の店主で父親が少年事件に巻き込まれて殺害された。しかし 跡を継いだ長女は加害者の極刑を望んでいない。一方、次女は自身が痴漢被害に遭ったこともあり犯罪を憎んでいる。そして加害者の極刑を望んでいる。それが<更生>か<死刑>という立場の違いを端的に表している。

物語は、この殺害された店主の意思ー元犯罪少年の更生支援という崇高さ、しかし 理屈で感情を抑えることが出来ない難しさ。その悶々とした感情を巧く表現しており観客の思考を刺激する。またSNS・スマホ時代2024年版としているが、姿なき市民による誹謗中傷 さらには嫌がらせといった風評に現代的な怖さを潜ませる。その見えない不気味さ、それを音だけで屋根裏にいるであろうネズミに重ねる。本当は 誰を何のために狩りたいのか。

また常連客の富永(おとみさん)が、蕎麦でいう隠し味のようで 重苦しく緊張を強いるような物語に程よいクッション的な役割を果たしている。当事者のことを知らない世間、その登場しない無責任な悪意に対し、常連客で家族のことを知っているご近所さんという存在で対抗させる。このさり気無い構図が絶妙だ。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし) 追記予定

時をこえて

時をこえて

アンティークス

シアター711(東京都)

2023/12/22 (金) ~ 2023/12/27 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第1話「ありがとう」と第2話「時をこえて」…両作品に共通しているのは、時間軸の長さと人の絆・縁といった目に見えないコトを味わい深く描いているところ。そして何となく両作品が繋がっているような気がする。また描く視点が独特で感心する。

「ありがとう」は、2008年12月「2つのお話~シリーズ3部作のファイナル『時のコンチェルト』」の一編として上演されている。当日パンフ(脚本/演出 岡﨑貴宏 氏)によれば、今回は<音楽>をモチーフに改訂したバージョン。ちなみに「時をこえて」は新作で<押し花>に願いを込めたと。そして共通するのは「笑顔」をベースに紡いでいる とある。

少しネタバレするが、「ありがとう」は初演当時と1995年を往還するような描き方で、それを眺めている人物は特異な立ち位置にいる。ラストまでその特異な世界観を明らかにすることなく物語を展開させる。一方 「時をこえて」は不思議な存在の少女を介して 人の心が柔らかく解れていく、そんな現代のおとぎ話のよう。どちらもユーモアとペーソスに溢れた人間模様、それを押しつけがましくせず、きわめて自然体に描いた抒情劇といった印象だ。こういった作品、好きだなぁ。
(上演時間2時間 途中休憩なし) 追記予定

薄膜インタフィアレンス

薄膜インタフィアレンス

BEHATI OWL PRODUCE

エビスSTARバー(東京都)

2023/12/21 (木) ~ 2023/12/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

舞台は地方都市にあるBar、時は2023年大晦日の夜に集まった幼馴染による心情劇。魅力的な言葉(台詞)に溢れた会話、そこには人の本音と建前という典型的な人間模様が描かれている。言葉は魔法であり呪い…その使い方次第で人を癒したり傷つけたりする。幼馴染ゆえに知り尽くした相手の思いや事情、そのことを遠慮なく言葉に(干渉)する.。相手がそれを どう受け取る または受け止めるのか、その感情の行き違いを巧く表す。トライアル公演とは思えない表現力だ。

地元に残った人、東京で暮らしている人、今では生活環境も違うが、久しぶりに会っても気心が知れた仲、そこに遠慮会釈はない。表面的には厳しいこともズケズケ言うが、心の内では相手のことを心配している。こんな会話を地方都市ならぬ東京のエビスSTARバー(会場の妙)で覗き見る臨場感、一方 舞台となる北陸地方の深夜にしては寒冷さが感じられない不自然さ。出来れば、地元に残った人達は 方言で喋ってくれたら 雰囲気が出たかも(電話通話の時、少し聞けたような)。

シャボン玉を人の多様・多面性の比喩として使っており面白い。劇としては、ノスタルジックな風景の中に悲痛な現実、そこに もう少しユーモアやペーソスを交えて滋味深く描ければ、もっと印象的になった のではないか。次回公演が楽しみな団体(BEHATI OWL PRODUCE)。
(上演時間1時間20分 途中休憩なし) 追記予定

『メトロノームが叫んでる』

『メトロノームが叫んでる』

ウテン結構

六本木ストライプスペース(東京都)

2023/12/16 (土) ~ 2023/12/21 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

現在と未来を往還し、自分の生き様を確認するような展開だが、その世界観が独特で面白い。人間の絆、時間の流れといった曖昧さの中で 自分の存在を確かめる といった感じだ。少しネタバレするが、ウテン結構第2シーズン「雨の世界」から続く後日談のような繋がり。この連関し、深まっていく感覚 好きだなぁ。

会場の構造ー中央に折り返し階段があり、途中の踊り場から<案内人>が見下ろすような描き。同時にタイトルにあるメトロノームの音が時を刻むようで時空の違いを表わす。時空の変化に応じ 小道具を動かしたり配置を変え、情景を巧みに現わす。人物の衣裳は、白または黒という補色を着ており、時間と場所、その立ち位置によって変化する。そこに現在と未来という世界観、そして人間の二面(または多面)性を見るようだ。見方を変える…未来から見れば現在は過去になるという俯瞰構図の妙。

物語の肝は、未来から過去を見る…過ごしてきた喜怒哀楽といった感情を置くことで見えてくる 今の思い。冷徹に見詰めることによって、今後の生き方への大きなヒントが見えてくるような。非現実的な世界観ではあるが、描かれているのはリアルな自己との対話のよう。が、公演の始まりと終わりから 別の捻りを利かせた構成のようにも…。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

冒頭 ラジオ体操、台詞の読み合わせから始まり、ラジオ体操で終わる。公演全体が劇中劇仕立てで、本筋で描かれているのは或る公演の内容といった構成に思える。なかなか凝った仕掛けで、第2シーズンの公演を散りばめつつ、新たな物語(世界)を築く。

舞台美術は、中央の階段下に額縁状の枠板が立ち、近くに椅子や小机が置かれている。 上手下手の壁には柱時計が並んでいる。ここは未来占い師がいる不純喫茶店、枠板を客席側(床)に倒すことで未来空間へ。本筋は記憶喪失の女1・2の謎めいた話、それが「雨の世界」に登場する女 しおり から続くよう。父の暴力から逃れるために雨の日に出奔する。自分の存在が知られないよう記憶喪失のふりをし、名前も変える。

全体的に軽やかな立居振舞、それは フワッとした衣裳のせいであろうか。先の女1・2&先生、祖母 桜&孫 蒲公英、弓々子とマスターの三組が占い師 避雷針玲子によって未来の自分を見ることになる。未来には案内人(階段踊り場)がおり、現在の人に関係ある未来の人物を引き合わせ 見守る。よく耳にする<過去は変えられないが未来は変えられる>を連想させるような描き方。

照明・音響といった舞台効果と言うよりは、一人ひとりの役者が醸し出す不思議な雰囲気(演技)が、独特の世界観を立ち上げている。敢て効果といえば、やはりメトロノームの振り子の音(未来が叫んでる)であろうか。
次回公演も楽しみにしております。
他人

他人

公益社団法人日本劇団協議会

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2023/12/15 (金) ~ 2023/12/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
現代的なテーマのリアルを コメディータッチで描いた珠玉作。
本作は2022年「日本の劇」戯曲賞最優秀賞(竹田モモコ女史)を受賞している。その上演台本(冊子)を無償で配付しており、上演前に1~2頁読んでみた。会話の中に方言があり、急いで当日パンフを見ると彼女の出身地 高知県土佐清水市の「幡多弁」を使用…とある。この方言が、作品の中で独特の味わいと保守的になりそうなテーマへの緩衝的な役割を果たしているようだ。

登場人物は3人の女性。彼女たちと関わりのある 言わば中心人物は登場しないため、「他人」同士が気まずい雰囲気の中で探り合うような会話をしていく。物語は中心人物が不在の一週間、この限られた時間の中で本音と建前 そして<秘密>を紡ぐが、面白さの中に切なさが滲み出るような味わいがある。

3人の女性は年齢や職業、 住んでいる所も地方と都会で地域での付き合い方も違う。勿論 立場や性格も違うが、女性という共通項で親近感、世代や考え方で違和感を浮き彫りにする。一週間という短い そして奇妙な共同生活の中で それぞれを認め合い将来を話し合うが…。

観客は劇中の設定を知っているが、登場人物はその事実をどのようにして知るのか、そしてどんな態度をとるのかといった関心を惹きつける。慌てふためき、戸惑い 困惑といった可笑しみと人に話せない苦悩、そのコミカルとリアルな姿にテーマの難しさを落とし込む。この3人の女性を原日出子さん、畑中咲菜さん、平松美紅さんが見事なコメディエンヌぶりを発揮して溌溂と演じている。観応え十分、ぜひ劇場で…。
(上演時間1時間35分 途中休憩なし) 追記予定

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