みさの観てきた!クチコミ一覧

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美しの水

美しの水

AND ENDLESS

THEATRE1010(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

かっちょいいアンドレ
今回の舞台は今までの劇団AND ENDLESSの公演の中でトップだと思う。とにかく観て良かった公演だった。相変わらずの効果音を使いまくり、スピード感溢れるアクション、殺陣、ロマン、扇の舞は圧巻で、毎回感じることなのだが特に殺陣が素晴らしい。観ていてすっきり爽やかな感覚が芽生え、この爽快さはたぶん、効果音によるところも大きいのだ。また扇の舞の鬼の面を被ったトリックも素晴らしい。演出がお見事!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

源義経を中心に絡み合う時代と人々の運命を描いた3部作&番外編&エピローグを一挙上演する舞台のうち今回は「White」バージョン。
物語は源義朝と平清盛率いる二極が国盗り合戦となる平治の乱になった経緯、二人が同時に好きになってしまう常盤御前との絡みを描写しながら、源義朝の義に対する忠誠心を強く打ち出した舞台だった。

義朝役の西田大輔が殆どオイシイとこ取りなのだが、手を抜かない殺陣はやはりカッコイイ。更に今回は笑いのネタも満載で、これがまたおもちろ可笑しい。初日からアドリブあり~の、客席に入り込み~ので、やりたい放題なのだが、これも受けていた。

相変わらず佐久間祐人を見るとゴクウを思い出してしまうワタクシ。そんな空想の中、本当に禿げ坊主が登場しちゃうのだから、あとは猪八戒だな・・なんて考えてた。笑

中盤以降は、常盤御前を我が手に欲しい平清盛が、源義朝からかっさらってしまった為に乱にまで及ぶのだが、源義朝に忠義を尽くす平賀静の行動にも涙がこぼれる。ってか殆ど号泣!
愛と友情、忠義心・・これらの感動シーンもたっぷりでお馬鹿な笑いどころもたっぷり。

また音響、舞台セット、衣装、照明も凝ったステージでサイコーに楽しかった。源義朝が階段を登る最上階でコケテ、はいはいしたまま幕にはけたが、これも大輔ならではの愛嬌だ。笑
また、シアター1010のステージの特徴なのか、キャストの吐くセリフが響きすぎてはっきり聞こえなかったり、またキャストの顔の向きによってセリフが聞き辛かったりしたのが、とっても残念だった。まあ、それでも楽しめたのだが・・。

やがて、常盤御前は義経を出産するのだが、義経の父である源義朝と平清盛が平治の乱で争う最中、何故義経という人間が時代の争乱に身を落としたのかを明らかにする今回の「White」。次回、まだ出自を知らぬ若き遮那王が生まれてきた意味を告げられ、その言霊もと成長し、平家を討つまでを描く「Blue」。いあいあ、これも見逃せないでしょ。
Nazca -ナスカ-

Nazca -ナスカ-

劇団銀石

吉祥寺シアター(東京都)

2011/08/18 (木) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★

概念がないゾっと!
どうやら銀石の舞台は常識と言う概念がないらしい。相変わらずの物凄い知識量なのだけれど、その描写と登場人物がイッチャッテル為、物語は常識を超えた難解さに。笑
この舞台を観ていて思い出したのが、かつての映画「フィフス・エレメント」 でのワンシーン。コーベンがリールー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)に世界で起こった出来事をビデオで見せてる場面だ。リールーは過去から現在までの世界の状況をフルスロットで記憶し落涙するのだ。愚かな人類の歴史をみて。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

今回の舞台はまるでワタクシ自身があの時のリールーのように過去から現在までの出来事を舞台で観ているようだった。それは地球で起きてる事柄を宇宙空間で眺めてるような感覚だ。すると、ナスカの地上絵も、地球儀も、天動説や地動説も、全ては個人から、家族、家族から、地域、地域から日本、日本から世界、宇宙へと、転換されていく。これらは全て過去から現在まで地球で起こった事柄だ。革命や戦争や発明や宗教。

ここに登場する役名は何故か羽のあるものが多い。これらの全てが蝉なのか、はたまた違うのかワタクシには解らないが、蝉が羽ばたいて生きる一瞬はなんとなく、宇宙規模で見る人間と同等なのだとも思う。

パンフレットを確認すると、「地球が生まれてよりのこのかた、長い生命の興亡という壮大なドラマの隙間に、一つの命の物語を照らし出す舞台」とある。だとしたら、やはり、地球創世からこれまでの人間が営んできたドラマを描写しつつ、病弱なモズの命を取り上げた舞台なのだろうと解釈する。「ナスカは魂が宇宙へ帰る場所」というテーマからもナスカの地上絵は魂たちの滑走路となるべく描かれたという銀石風仮説だ。笑

「復讐回帰」では神々が地球を作っていたが、今回はそれよりもテーマは壮大になったのだ。その分、おちゃらけた描写は舞台に合わないとも思う。壮大さに似合った解りやすい物語だったなら難解さも半減したように感じる。

生ピアノが美しい。更に今回の映像が素晴らしかった。音楽と映像のタッグは宇宙の壮大さを物語っていた。映像・荒船泰廣。
リコリス ~夏水仙~

リコリス ~夏水仙~

東京ストーリーテラー

シアターKASSAI(東京都)

2011/08/17 (水) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★


舞台はコーヒーショップ。店を経営するマスターを慕って集っていた近隣の人たちがひき逃げ事件の被害者を助ける場面から。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

しかし被害者は助からず事故現場には、目撃者を探す看板が立てられた。そして、その日から、看板のそばに一人の男・神尾昇が「目撃者を探しています」のプレートを首から提げてその場所から離れようとしなかった。男は、来る日も来る日も看板の傍らに座り続けた。まるでその場所にしがみついて自分を傷つけるように・・。

神尾はひき逃げされた女・まさこの元夫だった。かつて神尾は妻を裏切り借金を作って家族を捨てたのだ。その罪を償うかのように、座り続ける神尾。亡くなった人の為に何かしたいという一心だったが、これを快く思わない近隣住民と実の息子の稔。

しかしマスターだけは亡くなった自分の妻への想いも重なって昇をサポートするのであった。雨が落ちてきた場面で、マスターが昇に傘をさしてあげる行為が美しい。ワタクシの目に涙が盛り上がって、頬を伝い落ちた。傘はこういうシーンではなくてはならない小道具だ。

やがて、昇のあまりの熱心さと過去の償いに対する思いに心打たれた近隣住民は、マスターのサポートする姿勢に加わって輪が広がっていく。そして・・、毎日毎日座り続ける昇を横目に、通行していた犯人は己の罪の意識に耐えられなくなって自首したのだった。

母の遺書を父親に告げる稔の妹・愛海が強い意志を持って静かに語る場面は一番の盛り上がるシーンだ。そして対する父親・昇の表情が素敵だ。小川康弘は実年齢よりかなり加齢した役を見事にこなし、また情けない、うらぶれた父親役の後悔の念を秀逸に演じていたと思う。

この物語は妻が生きてるうちにもっと優しく接してやれば良かった、というような後悔にも似た想いへの賛美歌なのだ。その賛美歌はリコリスにも届いたはずだ。

素敵な物語だった。終盤では号泣するほど泣かされた。そして主婦2人の他愛ない会話も楽しい。大切な人が生きてるうちに優しくしたい。決して後悔はしたくない。心からそう思う。
ハッピー・ジャーニー

ハッピー・ジャーニー

劇団フライングステージ

OFF OFFシアター(東京都)

2011/08/17 (水) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

すんごく面白い
好みのど真ん中。今回はコミカルなセリフで笑わせるコメディで、ちょっぴり切ない芝居でもあった。人生それぞれだが、母親とゲイの息子とその今彼と息子の元彼の4人の情景が可笑しくも哀愁を帯びたストーリーだ。こんな家族像もいいなって思う、お勧めの舞台だ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

彼ら4人が母親の生まれ故郷である北海道へ旅をする初めての家族(?)旅行を描写した劇。
母親・真佐子とゲイの息子・堅とその今彼・裕市の3人での旅行のはずだったのだが、たまたま電車内で息子の元彼・守(岸本啓孝)と偶然、乗り合わせたことから、守の半ば強引さに折れるように4人の家族旅行と化してしまう。苦笑!
しかし、この守の一見強引ともとれる行動がまったく嫌味はなく、ついつい失笑させられてしまう。またコミカルさを前面に押し出したゲイ言葉も見事で、その可笑しさに爆笑してしまうのであった。笑

彼らが行く先々でちょっとしたハプニングが多々ある。そのつど多数決やら意見をぶつけ合いながら目的地まで行く珍道中の設定がお見事なのだ。また9人のキャストらで様々な人物を演じるのだが、これまたストーリーテラーのようなナビが入るので解りやすく、転回も絶妙だった。

更にキャストら全員の演技が自然で、まあ、ゲイの珍道中という設定なのだから、彼らにとっては自然に演じられる物語ではあるのだけれど、しいたけを、ますだいっこう、遠藤祐生、木村佐都美、関根信一の5人は何人もの役柄を見事に演じていて、いっさいのブレが見当たらなかったのは流石だった。

物語はコメディだけでは終わらない。ゲイの息子を持った母親の感情までも描写し、今後の生き方までも緩やかに示唆し、それを年老いて一人で暮らしている真佐子の母・スミにセリフとして吐かせる。女という生きものは夫が亡くなった後に、活き活きとする。という本音も吐かせながら長い年月を生きたスミの人生を郷愁と共に思うのだ。

ときにワタクシは、しいたけをという役者が大好きである。出来たら友達になりたいくらいだ。そのうち時間をかけて口説いて友人になろうと企んでいる。

きっとハッピージャーニー、好い芝居だった。
幸せな孤独な薔薇

幸せな孤独な薔薇

旋風計画

テアトルBONBON(東京都)

2011/08/16 (火) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★

意外にこじんまり
キャラメルボックスを前面に押し出していたせいもあって、ワタクシ、かんなり期待してしまった。サンシャイン劇場で公演するストーリーとは違うことも重々承知なのだが、キャラメルボックスとはまったく毛色の違う小劇場向きの、あまりうねりのない舞台だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

建築家になるために留学を望む女の子ルカ。彼女は留学費用を援助してもらう為に遠い親戚の裕福な老人を思いつく。貧しい自分が留学できるチャンスだと思い、老人の屋敷に行く決意をするも、自分の容姿や性格に大きなコンプレックスを抱いていたルカは、老人に気にいられるために、明るく美しい友人のミサを自分の身代わりにすることに思いつく。

ミサの付き添いとして老人を尋ねたルカの目の前に現れたのは、目の見えない老人と献身的に寄り添う婦人・エリカの姿だった。老人が目の見えないことを知ったルカはついた嘘を改めようとするも一度ついてしまった嘘を中々告白出来ないのであった。

「本当の自分」とは何なのか?自分のウソに苦しみ、徐々に自分自身に向き合いはじめるルカは、バラ園にまつわるエリカの過去とその思いを知って驚く。
「この人はわたしと同じ!」
エリカの心の中に蹲る羨望、嫉みなどの捻れた思い込みが何かに支配されて屈折していたのだった。

エリカと同じように観念に頭を押さえつけられていたルカは「本当の自分」と向き合うことで、心が解放されたのだ。

老婦人となったルカが、自分の若い頃の日記を孫に読んでもらうという形で進行するストーリー。現在と過去が交錯する舞台だったが、こういった物語はわりにありきたりで物語の結末まで容易に見えてしまう本はサスペンス的な要素は全くなく、ファミリー向けで大衆向だ。物語はこれといってインパクトがなかった分、ワタクシには物足りない舞台だった。主役の佐藤がきっちり。

何も考えず安心して観られる舞台ではある。想像力は必要としないベタで万人向け舞台。
【八神蓮、安里勇哉、玉城裕規出演!】in the blue

【八神蓮、安里勇哉、玉城裕規出演!】in the blue

CLIE

SPACE107(東京都)

2011/08/16 (火) ~ 2011/08/22 (月)公演終了

満足度★★★

作りこみがちょっと雑だなぁ・・。
物語はまあ、よくある話だ。カメラマンだった父が残した1枚の写真と、25年前に亡くなった母からの手紙に導かれ、25年前のあの夏にたどりついた森生。
ファンタジー溢れるストーリーで物語そのものは素敵なのだが、演出がイマイチ。演出家の奥村直義が手抜きしたような舞台だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

両親が若かりし頃の時代に飛んだ森生は両親の出会いから、二人が辿った道程、その村で起こった情景を見ることになる。その時代に生きた彼らの故郷がダムの底に沈むにあたって、それぞれの胸の奥に潜む記憶や思い出や想いが交錯し蘇る。という筋。

劇中、アドリブなのか、何人かのキャストがギャグをカマスもスベル。
また、小枝子役の森林永里奈の滑舌が悪すぎ。基礎をもっと勉強してから舞台に上がりなさい。その点、玉城裕規と中代雄樹は流石だった。特に中代の役場職員役は実に見事で、本当に公務員に見えちゃうのだから、やはり演技力なのだ。また殴られるシーンでも、その後、スックと立ち上がらず、その場の空気に余韻を残すところも力量だろう。

また玉城裕規を始めて観たのは、2008/04月だ。BB団「TAKE-MITSU」千本桜ホールで犬役をやっていたが、あの頃から演技力は光っていた。今回は人間役なので随分成長したものだ。笑)今でもBB団に所属しているのだろうか?

これらの秀逸なキャストらも居る中で、舞台での全体的な構図が、というかキャストらの立ち居地や間延びした空気、テンポの悪さが目立つ。そして極めつけはセリフを吐くタイミングの悪さだ。こういった間合いの雑な構成はたぶん、綿密な計算をしていなかったからだと思う。舞台上のどの部分にキャストを立たせたら美しいか、という計算が出来ないのだ。

こういった点が惜しかった舞台。後半にかけて舞台も良くなるとは思うが、プロなら初日から完璧でなくちゃね。



ダブルスピーク

ダブルスピーク

SORAism company

萬劇場(東京都)

2011/08/12 (金) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★

ダブルパンチ弱し・・
序盤から中盤にかけてやや助長的で退屈さえしてしまう描写。たぶんコメディなのだろうけれど、あまり笑える箇所はない。途中で退出しようかな・・と考えたほど。しかし終盤になってようやく、物語にうねりが出始め、結果、帰らなくて良かったと思えた舞台だった。そんなわけで、前半はダルダルな舞台。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

緩い毎日を繰り返すフリーターの康介に、社長の息子の替え玉にさせられるという事件が巻き起こる。この設定からして康介の意思は無視され、既に康介自身の戸籍も抹消され死んだということに。

康介は完璧な替え玉になるべく3日後に迫ったレセプションまでに猛特訓されるのだが、この猛特訓の描写も甘いので観ていてけだるく感じる。ここで特訓する教師役が全員アニメ的で「うる星やつら」に登場しそうなキャラクター。笑
だから、たぶんコメディなのだろうけれど、キャラクターに頼りすぎてコメディとしての話術がイマイチ。

そうこうするうちにレセプションの本番当日がやってくる。そして本番に康介らが巧妙な罠に嵌められたというどんでん返しが起こる。その陰謀を企んだ主謀は都築という、いかにもとっぷりと肥えたおっさんキャラ満点の社長の側近だったのだが、これらの裏にも陰謀を暴くという企みもあったりして、悪だくみをしていた都築を最初から罠に嵌める策略があり、都築おっさんは逮捕されてしまう。

この時点で、ワタクシ、何故か都築おっさんに同情すら湧いてしまって、「そんなご無体な!」と呟くおっさん相手に、なにもそんな風に逮捕しなくても・・、とっちゃんおっさんを海にでも流してやればいいものを。河馬みたいに・・。なんつって感慨ひとしお。

要するに全体的に生ぬる~い、どこか憎めない舞台なのでした。もうちょっとメリハリなパンチが欲しかったかな・・。

それでも世間にとって必要ない人間と思い込んでた康介には充実した毎日だったのだ。
さよなら また逢う日まで

さよなら また逢う日まで

ブラジル

紀伊國屋ホール(東京都)

2011/08/14 (日) ~ 2011/08/16 (火)公演終了

満足度★★★★★

なれの果て
当日券が売れまくり、結局薬局、紀伊国屋ホールを満席とさせてしまうブラジルはあっぱれ!
指をパチンッ!と鳴らしての始まりがカッコイイ。全員が黒いスーツを身に纏い、これから始る物語がヨーロッパのどこかで紳士が犯罪を犯すさまを想像させる。また導入音楽もいい。さらに彼らのアジトが廃校跡のような風景も、一枚の絵画を観ているような雰囲気で美しい。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は、強盗に失敗し、ひとりで罪を被った男が、4年の服役を終え、出所してきた。男は服役中もかつての仲間を庇い決して仲間の名前を吐かなかったのだった。男は、昔の仲間と新しいメンバーを集め、新たに現金強奪計画を実行しようとする。メンバーは全部で9人。現金は7億だ。

劇中、一人分の分け前は7000万という行があったが、ワタクシはどう考えても7億を9人で割ると7000万なはずがなく、何となく解せなかったが、数字に関する何か重要なセリフを聞き逃したのだろうか?

この9人のメンバーの中に、女2人が加わっていた。4年前に銃で撃たれて大怪我をした宮下と、オトコマエのカッコイイ女・矢野だった。完全犯罪を行う場合、女は不必要なのだが、ここでも宮下に特別な感情を抱く男たちが宮下の犠牲になってしまうのだから、なんともやりきれないのだ。

前半はナンセンスコメディをちらほら魅せながらも登場人物の絶妙な会話で観客を引っ張る。後半にかけて、7億の大枚を無事、アジトに運んだ場面で、長谷川が何者かに銃で頭を撃たれ殺されてから、アジトでの人間関係が崩れ、全員が誰かの裏切り行為に過剰に敏感になり始め、疑心暗鬼に陥ってしまう。千葉の「仲間を信じろ」という説得も耳に入らず、やがて仲間を信じることが出来ずに、争いの中、一人ずつ殺されてしまうのだ。

しかし、終盤で宮下が男たちの裏で糸を操り、7億の現金を我が物にしようと企んでいたことがバレてしまうのだった。何の躊躇いもなく伊藤と佐々木を殺す宮下。最後の生き残りの千葉は「仲間なのになぜ殺した!」と叫び宮下を殺そうとするも、「仲間なんていない。金としがらみと憎しみで繋がっていただけ」と吐く。これを聞いた千葉は自分の頭に一発の弾丸を見舞う。

「これが永遠の別れだとしても、さよならは言わない。また逢う日まで」は8人の死んだ輩への賛美歌だろう。男たちは金じゃないという理想を掲げ、一人生き残った宮下は現実的に7億の現金をせしめる。

劇中、ブリックパックのキャッチボールがあったがこの演出が実にセンスいい。一人で罪を被った男とそれによって負い目を背負った仲間と、一人で怪我を負った女の生きざまを描写したような舞台だった。

心から素晴らしい舞台だったと賞賛したい。


青山君よ、家が明けたら夜に帰ろう

青山君よ、家が明けたら夜に帰ろう

コーヒーカップオーケストラ

シアター711(東京都)

2011/08/10 (水) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★

なんと4年ぶりに観たコーヒーカップオーケストラ
まず、主宰の宮本が「うちの芝居は観た後、何も残らないです。」という自虐ネタ的な前説から始る。あれ?あんな顔してたんだっけ?と4年前の記憶を探るが覚えていない。つまり、宮本の顔も記憶に何も残らない顔なのだった。劇場は超満員御礼。両サイドにパイプ椅子を設置するほどの満席ぶりで、これは素直に素晴らしいと思う。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語の殆どはカオルコの夢(妄想)の世界を描写したものだったが、この世界感がアニメのような小ネタのコメディもの。正直言ってぶっ飛んだ世界感だ。少年ジャンプそのもの。笑

個人的に4年という歳月の長さを感じた舞台だった。確か4年前の舞台はコミカルな部分はあったものの、ここまでぶっ飛んだ展開はなく、また、掃除機などの小道具もなかった。笑

一番受けたネタはイッペイが就活で面接する場面。これには爆笑!
また、どらえもん猫にもウケタ。

コネタが多く、アドリブも多かったようで、全体的にとっ散らかった印象はあるものの、終盤でちゃっかりカオルコは美味しいとこ取りをしてセレブかましちゃってる展開はお見事!

相変わらず、鳥島明(はえぎわ)の気持ち悪い演技力は絶妙!
いつか / タルチュフ

いつか / タルチュフ

こゆび侍

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/08/09 (火) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★★

福島の一人芝居「いつか」を観た
メルヘンです、メルヘン!この物語をこゆび侍の成島が書いたのだから、いつか観た「ふんころがし」の世界感とはエラク違う展開!そう少女マンガ「マーガレット」や「りぼん」の世界感なのだったら、なのなのだ。
演出も素敵だ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

序盤、天使のイデタチで登場した福島。彼ほどトボケタキャラを前面に押し出し、「実は僕って癒し系なんです」みたいなはまり役もいなかろうて。(時代劇風)
そんなまったき違和感のない駄天使のような福島こそがアニメによく登場するキャラクターなのだ。

「ぼく」には好きな女子がいた。その大好きな彼女から一羽のインコの「いつか」を預かってくれと頼まれた「ぼく」は一生懸命に世話をする。しかし、鳥かごに収まることもなく自由に飛び回っていた「いつか」は寿命なのか死んでしまう。しかし「いつか」は「ぼく」の巣のようなもじゃ頭に3つの卵を残していたのだった。

「ぼく」は、この3つの卵を頭で育て、孵化させ、やがて雛となり、ペットショップに勤める小島さんとも仲良くなった。「ぼく」が大好きだった彼女との別れ、雛との生活、小島さんとの交流を軸にメルヘン的に描写したあにめちっくな恋物語だ。

ワタクシはこういったメルヘンが大好きなので勿論、大好物だ。物語と福島のキャラがぴったりと合っていて違和感が全くない。ちょっと優しくなれる大人の童話だ。


雨に紅花 (無事終演いたしました!)

雨に紅花 (無事終演いたしました!)

くロひげ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/08/09 (火) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★

まだ青い
男女の三角関係と姉妹愛を綴った物語だったが、全体的に繊細な心の描写を表現したかったのだとは思うが、結果的にインパクトがなく、観客に訴えるものがなかったよ7うに感じた。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

とかく若い恋物語というのは自己愛よろしく、自己満足な表現が多い。また、若い劇団にはありがちな表現方法だが、自分達の表現したいものに重点を置きすぎて、観客を満足させる、という視点を見逃すことが多い。

今回の舞台もそのように感じた。
舞台上に張った水がなぜ必要なのか?また、キャストの発声が未熟な為に音楽にかき消されて聞こえないセリフ。更に詩的なセリフが多い中、そのセリフを吐く役者に魂が篭ってない表面的で静かなセリフの連打。ついでに言うなら、かちゅぜつが悪く、役者として勉強していないさま。

これらの基本中の基本がなってないのに、この舞台に金を払って観に行くユーザーがいるのだろうか?厳しいことを言うが、演劇の世界はそんなに甘くない。2人芝居で実力を発揮するには、本もキャストも精進しなくてはならない。

今回、良い得点をつけたユーザーは勿論次回も「観たい」し金払ってでも観に行くだろうが、その結果は次回公演で試される。シビアなコメントだが、劇団の事を思えばこその老婆心ととっていただきたい。



トロンプ・ルイユ

トロンプ・ルイユ

パラドックス定数

劇場HOPE(東京都)

2011/08/09 (火) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★★

地方競馬の情景
正直申し上げて競馬というものをあまり知らない。だから女性の野木さんがこれを書いたのにまず、驚く。更に彼女には大好きな競走馬がいて、今は現役を引退して北海道で種牡馬として暮らしている「タイムパラドックス」のMEMORYが当日パンフに記されているのだから、もしかしたら、「パラドックス定数」はこの馬からとったんかいな、なんて勘繰ってしまうのだった。笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台は地方競馬の馬舎を軸に6人のキャストが馬になったり人間になったりするのだから、シリアスな物語と言うよりも、ユーモア溢れた物語だった。特に小野ゆたか扮するロンミアダイムは小野自体が馬なんだか人間なんだか、識別が難しいくらいなのだ。笑

元々、小野は人間からすこ~しばかり、かけ離れた才の持ち主というか、動物顔なので、こういった馬役にはぴったりのはまり役なのだとも思う。こう書くと小野は「俺は馬じゃねえ」なんて抗議したい気持ちにもなるだろうが、「いあいあ、実は君は馬だったんだ。人間だとばかり思ってただろ?」なんて、まるで母親のように顎の急所をなでなでしながら愛しみたい。

そんな訳でこの物語は地方競馬の競走馬として飼われている馬6頭と馬主、調教師ら、競馬場での予想屋と実況中継など、まんま競馬場での情景を綴った舞台だ。その中でも、競走馬に視点を当てて、馬同士の会話や気持ちを描写していたのが実に面白かった。

物語に重ねるように投入された音楽や、リズムの良いテンポは映画「シービスケット」のような活気と上品さに満ち溢れていた。楽しかった。
いよいよ決戦です、その際の心構え。

いよいよ決戦です、その際の心構え。

タイガー

OFF OFFシアター(東京都)

2011/08/10 (水) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★

脱力系コメディ
序盤から終盤まで緩くグダグダな展開。どこまでがアドリブで、どこまでが台本なのかも収支がつかないグダグダな舞台。まあ、コメディだから、テキトーに楽しんで!のノリ。苦笑!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

伝説の勇者率いる光の戦士達3人組ってはずなのだが、こいつらが見たからにめっさ弱そう。失笑!
でもって、大魔王に戦いを挑む前に眼の前の大きな敵に底知れぬ恐怖を感じて尻込みする。戦闘気力を失った彼らに対して業を煮やすキャッシーこと天童よしみ似の女将さんの腕っ節の強い事。笑

光の戦士に任せるよりは炎の術を使うというお七やキャッシーに任せちゃった方が大魔王も簡単に倒せるんじゃね?みたいに思うのだが、終盤はアニメ的なグダグダな展開で大魔王を倒す戦士達。

しかし、よくよく考えてみれば、もっさりが拾ったという「光の石」は邪悪な心を倒す不思議な力が宿っているという。だったらさ、大魔王も「光の石」で簡単に倒せるんじゃね?と思う。

要するに本の練りも雑なら、コメディとしても雑なタイガーでした。
これならタイガーバームのほうが使い道はあるみたいな・・。(とことん脱力!)


チャイムが鳴り終わるとき

チャイムが鳴り終わるとき

オーストラ・マコンドー

吉祥寺シアター(東京都)

2011/08/10 (水) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

過去の記憶
とにかく素晴らしい物語だった。脚本家の新井真紀の頭脳というか、才能に惚れ惚れしたほど。その描写は児童の無邪気な罪を抉ったもので、観ていて決して楽しくはないが衝撃的な内容は斬新であり、かつリアルだ。
終演後、「東京の空の下で」の演奏があったがこれは初演の時にも流した曲で懐かしかった。
また、吉祥寺シアターを満席にする力量は流石だとも思う。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

まず、劇場に入ると天井から吊り下げられた椅子の数々がこれから起こる舞台を物語っている。全体的に照明の扱い方が絶妙でストレートに美しい。教壇と椅子が方向転換する演出は、パラドックス定数の「元気で行こう絶望するな、では失敬。」での演出と似通っていて、こちらを参考にしたのかな?とも思える演出だ。

それにしても今回の舞台は個人的にはオーストラ・マコンドーの舞台の中で一番素晴らしい作品だったと今更ながらに思う。物語は児童がとった無邪気な集団行動が、本人達との意思とは反対に教師も傷つけ、いじめも増長し、結果的に二つの大きな罪を科したことになってしまう。終盤では破壊的に終わるこの物語は観る者によっては鬱を呼び起こし、観る者によっては過去の罪を意識してしまうのだから、あまり清清しい気持ちにはなれないが、こういった集団での行動が時として誰かを貶め、誰かを苦しめ、知らない間に傷つけてしまうというのは大人の世界にだってあることなのだ。

今回の物語に登場するロリコン精神科医をワタクシはぶち殺してやりたい衝動に駆られたが、世の中というものは、性的虐待も、いじめの対象も常に弱い者へ移る。日記を記していた幸田先生も実は弱い人間の一人だ。中盤で実果が先生の弱みを握って反撃し、主導権を握ってしまう場面では教師の心理状態を実に巧妙に演技していたと思う。

そして今度は実果の優位な立場を押さえこれを反撃するために、眼鏡をかけて立ち向かう幸田先生の、眼鏡をかけるという行動そのものが、眼の前の世界を直視したくない臆病者の行為そのものに見えてしまうのだから教師の心理状態も抉り出す秀逸な場面だ。

これらは実果が幸田先生の関心を引きたいという一心から巻き起こす場面だが、少女の無邪気な心から大人になる段階の無邪気とはいえない罪だ。誰かの痛みに群がり追いつめる行為は無邪気な罪とも言えなくもないが、やはり大罪なのだ。

全てのキャストらの演技が素晴らしい。観ていてリアルに小学生に見えてしまうのだ。また神戸アキコなどはガキ大将そのもので、ああいった小学生っているいる!みたいな関心度!笑
そして幸田役の郭智博、陣野実果役の水崎綾女、倉間凪役の藤本七海がアタリ役だった。

子供の世界の残酷さをリアルに表現していたと思う。しかし、大人になるとそういった過去の罪を忘れてしまうことも多いのだ。


青空の休暇

青空の休暇

ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2011/08/10 (水) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★

人生の最後
流石に勝部裕子の歌唱力に惚れ惚れ。居場所を失った3人の男たちのロマンを描いた物語。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ハワイへ旅立った3人には、 それぞれが胸に深い傷を抱えていた。
早瀬は妻に先立たれ息子の家に転がり込むも、息子の家族との折り合いが悪い。白川は妻に自殺されて、今は孤独な身の上だ。栗城は妻と離婚してやはり孤独だった。それぞれが居場所がなく心が安定しない中、こうして早瀬の発案で碧い空のハワイにやってきたのだった。

そこで奇遇にも真珠湾攻撃の戦闘で使われ不時着した九七式三号艦上攻撃機と出逢った3人は、少年の頃に戻ったように、この飛行機を修理し大空を舞うことに夢を託す。しかし、早瀬は癌に倒れ亡き人となってしまう。

家族のあり方をみつめながらも、心から愛していた妻に優しい言葉の一つもかけてやれなかった事を悔やむ白川。物語の舞台はハワイだが、アメリカ人が妻に対する処遇と、日本人の妻に対する処遇の差が明らかになり、個人的には、なぜ生きてるうちに大切にしてやれなかったのか!と毒づきたい気持ちにもなった。

そうして白川は妄想の中で亡き妻に侘びを請うのだ。そして、「愛だって命だって永遠に続かない。だから美しい。だから今を一生懸命生きるんだ。」と賛歌し、飛行機を大空に飛び立てる。

物語は万人受けし、ベタで解りやすい。加齢するという事は若いときと違って、さまざまな諸問題も降りかかる。そんな時、孤独で居場所がないというのは人生の最後の土壇場でしくじるようなものだ。だから生きてるうちに、大切な人には惜しみない愛を捧げるべきだとも思う。「青空の休暇」はそういった人生の最後に歌うボレロのようだった。
べじたぶるーす

べじたぶるーす

劇団光希

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/08/03 (水) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★

シンプル
農村での若者たちの群像劇。物語は実にベタでシンプル。内容としては良くある話だが、劇団光希特有の終盤にかけての涙を誘ううねりが絶好調だった。勿論、落涙しながら観た舞台だった。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

農業に対する熱い思いを独自の持論をぶちかまし、全く遠慮なく議論しながらお互いを成長させていく物語でもあるが、底に蔓延る人間愛が基盤にあるために登場人物の全てに、お互いを信じるという信頼性を濃くしたような劇だった。

農村という、どちらかというと外界から隔離されたような場所で自然を相手に生きるには、近隣を大切にし、水や機械の問題もあることから、一つの大きな家族のように助け合って生きなくては農業自体が出来にくい状況なのだ。だから農村の人々が最も恐れるのは「村八分」にならない事であり、それには全員が少しずつ妥協しながら、あるいは目を瞑りながら他人と同じような考えと連帯感をもって努力して生きる他ないのだが、こういった農村特有の息苦しさや欝の部分は削除し、温かな情景のみを描いた作品だった。

だから登場人物に悪人はいない。全員が良い人で始まり、良い人で終わる。人間の争いごとに必ず登場する姑も、ここでは登場しないし、一家の長(年配者)も登場しない。水路の水の取り合いも無ければ、大型耕運機やら農薬散布の順番の問題も出さない。ましてや農村特有の閉鎖的な問題も取り上げていない。若者だけが主軸の若者だけで終わる芝居だ。

「べじたぶるーす」を作る前に劇団員の中に一人でも農業出身者が居たなら、上澄みだけの芝居にはならなかったような気がする。たぶん、現在農業をやってる方がこの芝居を観たなら、感想を書く視点も違っていたはずだとも思う。

それでも・・、善い人だらけで良いとこ取りのこの芝居を勿論、感動しながら落涙して観たのだ。不器用で真子の母的な面倒見の良さに寄りかかる省吾を「素直になれない奴でメンドクサイなー」と思い、賢吾の日焼けした肉体と心の素直さに惹かれ、「ああいった青年って農村に居るよなぁ。」とも思い、梶山のクールで飄々とした青年像に「いいじゃん!」なんつって観ていた。笑

今回、宇部里香の鼻に付く生意気さと演技力が気になったが、その分、梶山とりょうすけの抜群の演技力に魅せられた。特にりょうすけのノリに乗った演技は秀逸にして怪物!

INDEPENDENT:2ndSeasonSelection / JAPAN TOUR

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インディペンデントシアタープロデュース

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/08/04 (木) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★

a101人ねえちゃん
大塚宣幸×早川康介

遂にであった運命の女。その最高の女と付き合うために今、付き合ってる100人の彼女全員をふるという恋多き男。あらゆる別れのエピソードがスピーディに展開する。コメディ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台には101の数字が日めくりカレンダーのように設置してある。女と別れるたびにこれを切りはずしていく削除法だ。笑
流石に101人と別れるというのは、並大抵の事ではなく、教師としてクラスの女子学生全員と付き合ってる設定や、AKB48とも付き合ってる設定はある意味、数字稼ぎだ。

真剣に観る舞台ではなく、酒でも飲みながら緩く観るのがお似合いの公演だ。それでも彼は彼なりに彼女たちと別れたが、本命だった彼女自身も男以上に周りを男ではべらしていた、というお話。

つまり似た者どおし。笑




INDEPENDENT:2ndSeasonSelection / JAPAN TOUR

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インディペンデントシアタープロデュース

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/08/04 (木) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★

c0141=3088
榮田佳子×イトウワカナ

快活で健康そのものの魅力的なその女は、次々と男たちの元を転々としながら食べ続ける。満たされない何かを埋めるようなその行動の意味するところは・・。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

榮田の食べっぷりがあまりにも素晴らしい。30分の演劇の殆どを「食べる」という行為で満たした舞台だ。そして何故か好感度が高い女優でもある。たまに、なにをするでもないが、万人に好かれる女優ってのが居る。この榮田もそういう意味では、好感度が抜群の女優だ。

身軽に男とセックスしながら食べまくる。男に恋人がいようが知ったことはない。彼女が求めるものは本当の愛だ。しかし、彼女と関る男は彼女に本当の愛をくれない。だから食べる。そして愛を求める。食べる。その繰り返しだ。

観ていて笑いながらも、ちょっぴり切なくなる舞台だ。その切なさを榮田のキャラクターが絶妙に演じる。なんだか、とっても感動した。食べっぷりにではない。笑った顔の下に隠された女の寂しさを感じ取れたからだ。

ブラジャー姿になって男に体を捧げるも本当の愛にめぐり合えない女の物語。
INDEPENDENT:2ndSeasonSelection / JAPAN TOUR

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インディペンデントシアタープロデュース

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/08/04 (木) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★

g頼むから静かに聴いて。
夫を刺してしまった女の裁判で証言台に立つ女の兄と幼馴染のオカマ。それぞれが女と関り、最近の様子など証言を進めていくうちに徐々に明らかになっていく事件のあらましと三人の関係性。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

序盤、厳粛な証言台に居るにも関らず、しゃべりまくるオカマ。裁判官や弁護士を相手に、まるで近所の主婦らと井戸端会議をしているかのようなタメぐちで、証言からはるかに脱線してしまう。笑

このまま、怒涛の勢いで突っ走るのか?!と思いきや、終盤、シリアスな展開になってしまう。

個人的な感想だが、序盤のまま疾走続け、裁判官だろうと弁護士だろうと検事だろうとおかまいなしでランボーネタに突っ走って欲しかった。
それでも充分楽しめた。
INDEPENDENT:2ndSeasonSelection / JAPAN TOUR

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インディペンデントシアタープロデュース

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/08/04 (木) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★

j暗くなるまで待てない!
横田江美×土橋淳志

占いの館で働く盲目の少女。重い過去を背負って今を生きる彼女の部屋に転がり込んできた男・ナミオ。不思議な共同生活は平穏に続いていくかに見えたが・・。見えるものと見えないもの。彼女の身に危険が迫ったとき、見えざる軌跡が起こる切ないサスペンス。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ある日、盲目の少女の部屋にいつもと違う匂いと空気感が漂う。彼女は不審者が入り込んだと察知し、そして足元には大家の死体があった。逃げ惑う彼女を救ったのは直前に死んだナミオだった。

警察の事情聴取で、少女を助けたその時間には、ナミオは既に死んでいたという。

二匹の蛇が絡まりあう神話のような物語を盛り込みながら、どこか神秘的な内容でもあり、刹那的なサスペンスでもあった。本がとっても素晴らしい。妖しい演出の工夫がもっとあったら良かったのに。

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