たからの観てきた!クチコミ一覧

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『金色の龍』

『金色の龍』

イナセナ企画

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★

FTっぼい作品でした。
抜けた歯が料理に入って、客のCAが持ち帰って何回か口に入れる場面があったんです。客席とか私はヒイッてなったんですが、隣のお婆様がツボだったらしく、クスクス笑うんです。私だけ凄いホラー体験しちゃいました

ネタバレBOX

難解な作品でした。
そもそも難しい内容で、分かりにくい脚本だと思いました。感性に頼った部分が多く、刺激的なシーンも多いのですが、正直、何を言いたいのか、よく分かりませんでした。虫歯と虫歯の穴の中の家族の場面が一番笑えました。

一人難役もこなし、役者が舞台上に出ずっぱりで最小限の衣装替えで演じていたのは面白かったです。大半は男女を逆にしていたようですが安直な感じもあります。CAの金持ちの彼氏が面白かったです。

演技は未熟な点が目立ちました。特に飲み屋のパントマイムは残念でした。グラスやビンを持っていたら、多分こぼれまくったと思います。台詞はトチりが多く、脚本のスピード感を活かしきれていない印象です。言い間違いはともかく、孫娘の彼氏役はアクセントが違っていて、若者言葉を真似る高齢者にしか見えませんでした。

客席の笑いは演技で起きたものではなく 、失笑・嘲笑の類に感じました。キリギリスと虫歯は検討したと思います。ただ、キリギリスはバイオリンを引く場面で、首を持つ左腕の動きが気になりました。弓を引く腕と同じように動かすより、バイオリニスト風に体を揺らした方が様になると思います。

内容はよく分かりませんでしたが、劇場が狭い分間近で見られ、楽しく拝見しました。

DUST SHOOTERS~ダストシューターズ~【金曜マチネ完売しました】

DUST SHOOTERS~ダストシューターズ~【金曜マチネ完売しました】

カプセル兵団

笹塚ファクトリー(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★

もうひとつ
見ている方より演じている方が楽しそうな舞台でした。

ネタバレBOX

舞台装置無しにスペースオペラ物に挑戦したのは面白かったです。再演とのことですが、話の流れは良かったと思います。裏切りに次ぐ裏切りで、恋愛要素もあって楽しめました。スターウォーズやキン肉マンが好きなのは分かりますが、客層が若いので、そろそろ限界な気がします。新しい映画やアニメ、漫画のネタも入れた方がいいと思いました。宇宙人や宇宙船を役者さんの動きだけで表現するのであれば、あまり種類を多くしない方が良いように思います。武器は上手く違いが出ていました。

演出は、宇宙船の外観からロボットの戦闘まで、全て人が演じていたのが面白かったです。ただ、宇宙船や機械の操作がキーボード入力なのが、古臭く感じました。スターウォーズというよりスタートレックの印象です。銃を持つ場面では、指をのばす人とのばさない人が混在していました。個人的には、指をのばしてくれた方が銃身の向きが分かるので好きです。

一人何役も担当し、出ハケが多いのにスピード感があって良かったです。役が変わった時に衣装や小道具で初心者にも分かりやすくしてくれたら助かりました。ロボットや宇宙船の描写を含め、少し映像の力を借りても良かったと思います。

役者さんは台詞が早くて聞き逃した人が多かったです。また、大勢で同時に話す部分は、僅かなズレで聞き取り辛くなるので要注意でした。大半の台詞は正確に聞き取れなくても何とかなりましたが、残念でした。役の心理描写のダンスは良かったのですが、イメージに合っていないような感じもしました。ダンスは全般的に、みんなで踊るものより、1人か2人の方が良かったです。アクションシーンは、格闘技系でテンポが悪いところが多い気がします。
少し学生風な感じもありましたが、楽しい舞台でした。
栗原課長の秘密基地

栗原課長の秘密基地

ULPS

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2013/02/26 (火) ~ 2013/03/04 (月)公演終了

満足度★★★★

終盤でほろり・・。
「きつつき児童文学賞」の授賞式を担当することになった栗原課長。しかし・・

ネタバレBOX

穏やかに粛々と行われるはずだった授賞式に問題が次々と表れる。それは大賞受賞作品の盗作疑惑。そしてAV女優の佳作など、児童文学賞に相応しくない事柄が次々と発覚してしまう。

これらを軸に栗原課長の怒涛の「きつつき児童文学賞」のリハーサルが始まる。終盤でこれらのどたばたを丸くまとめた特別功労賞受賞者の言葉に感動しました。直球な心温まるドラマ。
ブルーアップル【終演しました!】

ブルーアップル【終演しました!】

X-QUEST

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

物凄い身体能力!
ダンスが特に素晴らしい。機械仕立ての人形のようでした。

ネタバレBOX

全体的に観客を楽しませよう、楽しませようとするサービス精神に溢れた舞台でした。これこそがハイパーエンターテイメント!

物語りの筋は 地球の創世期も描かれ、海の中で息づく生命を基に記憶を題材にした命の物語。

キャストでは相変わらずこうせいさんの動きが人間離れした神業でした。
見た後に幸せになれる部隊でした。演出、キャスト、照明、音響・・・、どれも素晴らしいと感じました。
ギブ・ミー・ライン(脚本:米内山陽子 × 演出:ハセガワアユム × プロデュース:森久憲生)

ギブ・ミー・ライン(脚本:米内山陽子 × 演出:ハセガワアユム × プロデュース:森久憲生)

TANGRAM

シアターKASSAI(東京都)

2013/03/01 (金) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

笑いました
ぶっ飛んだ感じの新入編集社員、後からやってくる新人作家の行動が特に面白かったです。

ネタバレBOX

編集部での部屋が舞台。漫画家や編集員、編集長、印刷所らが絡みあい、実際の編集室を想定させる舞台でした。雑多な部屋を思わせる小物たち。透かしボードなどが効果的で愉快に拝見しました。
今宵見上げし梅鴬の雪積もり願ふる喜多方の春

今宵見上げし梅鴬の雪積もり願ふる喜多方の春

劇団SHOW&GO FESTIVAL

ブディストホール(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

ちょっとオマケで5点[花丸]満点
とても面白い舞台でした。笑いがありながら、ホロリとさせる良質な作品だと思います。

ネタバレBOX

脚本は、いささか優等生的な部分があり自治体後援ぽかったです。難点は、謎の乗客とニンジン坊やの話を核に喜多方の地域振興を考えていくものでしたが、それぞれの繋がりに少しチグハグな印象がありました。特に、序盤の喜多方駅が出来るまでの場面は授業みたいでした。分かりやすかったのですが、いきなり学級会の発表みたいになって先行き不安になりました。後の流れが良かったので安心しましたが、違う見せ方の方が良かった気がします。

ニンジン坊やの謎は中途半端に終わった感じがします。終盤にやっつけで解決したような印象でした。全体的には、喜多方のアピール感が出ていて良かったです。行ってみたい気持ちになりました。また、謎の乗客の話は素晴らしかったです。この話だけでも作品になる気がします。

演出では、冒頭の最終電車到着の場面で、駅員室の壁に車窓の明かりが反射するのが秀逸でした。一気に深夜の喜多方駅の空気が伝わって来ました。その後も音響、照明の効果がタイミングも良く、高い技術力を感じました。細かい部分ですが、下手の通路壁に暗幕の影があり、効果としては良いのですが、役者さんの出入りで動いてしまうのが気になりました。イメージでは壁の影でしたが、カーテンがある設定だったらすみません。

舞台装置、小道具など、真実味があって素晴らしかったです。役者さんの動きも無駄がなく、とても見やすい舞台でした。阿部役は同じジャケットを使い分けていたように思いましたが、細やかな演出で好感が持てました。
役者さんは演技力があり、スゴかったです。阿部役は、泣きの演技が素晴らしく、もらい泣きしました。従業員からの電話は、内容が込み入っているので、もう少し長くても良いと思います。

源来役は調子悪そうでした。甘噛みが目立ちましたが、声が良いので勿体無かったです。生江、丸美ペアは凄く面白かったです。二人が揃うとワクワクしました。角、生江ペアも笑えました。ゆき江、ウメ子ペアも良かったです。訛りが流暢で楽しかったです。他の皆さんもそれぞれの役に合った演技が素晴らしかったです。学生さんのレディガガ太極拳は、よく分からなくて残念でした。派手な格好の人という印象しかないので、動きが特徴的な人の方が良かった気がします。

駅員さんの早着替えは驚きました。面白い役は目を引きますが、他の皆さんのしっかりした演技が支えていると感じました。ただ、最後の挨拶で皆さんの表情が揃って固かったのが残念です。ハッピーエンドだし、役者さんのくつろいだ表情を見るのも楽しいので、にこやかにして貰えたら嬉しかったです。

スタッフワークも良く、気持ち良く観劇出来ました。パンフレットが可愛らしくお洒落で良かったです。2列目中央付近に高めのハットを被ったままの男性がいて、後ろの方が気の毒でしたが、開場間際に来ましたし仕方ないと思います。可能であれば注意してもらえると助かります。終演後の動線確保など心遣いが細やかで、とても楽しめました。

からまる法則

からまる法則

劇団銅鑼

俳優座劇場(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

おまけで4点
脚本が、王道といえば聞こえがいいのですが、古臭くて考察が浅い印象です。現実社会でも問題とされているホームレス、浮浪者を扱うのであれば、もう少し見識を深めるか、多面的な考察が欲しいところでした。

ネタバレBOX

経済成長期なら評価が得られたかも知れませんが、20年以上の不況を経て、社会的弱者を支える側の納税者が疲弊しきった現在、見ていて不快になる内容でした。

勝手な言い訳で自らの主張、権利ばかりを振りかざし、義務も責任も負わない者達や、人助けを錦の御旗に周囲への迷惑を顧みない団体の内情は分かりましたが、現実社会で迷惑を被る立場の客は商店街側の視点に立ってしまいます。まずは、彼らが、何故、都市部にいなければならないのか、と言う疑問を解いて欲しいと思いました。

都市部は勤労者が集中し、職場に近い場所に住みたくても、住居費が高く、やむなく一時間以上かけて通勤している社会人が沢山います。これらの社会人の税金、年金で養われている者が、仕事も家もないのに、都市部にい続ける意味が分かりません。人が多い場所でトラブルを起こしたり、安全・衛生上の不安をまき散らすより、過疎地でのんびりすれば良いのに、と思います。

特に半身不自由なオヤジの勝手な言いぐさや態度は不愉快でした。相手が女性なら弁護士でも食ってかかり、男性なら不良少年でも懐柔しようとしたり、トイレが遠い、近所がウルサいだけで人の親切を無にし、周囲に甘えるだけで努力も我慢もしなければ、仕事や家が無くなっても当然です。多感な若者が将来不安を感じ、襲撃しても仕方がない側面があると思いました。

企業をリストラされた父親も無責任すぎます。妻子を持てば養う責任が生じます。主夫になる環境がなければ、自らが稼ぎ続けることが責任です。企業人は自らの健康管理が基本で、心身に無理がある場面では周囲に助けを求める責任があります。何より職業選択は自由ですから、心身が耐えられないなら会社や働き方を変えて、妻子を守るよう動くべきです。

父親が相談すれば息子も家計の為に働けたでしょうし、母親も死ななかったかも知れません。ギリギリまでプライドにしがみつき、挙げ句に自分の殻に閉じこもり、反省もなく周囲に甘える姿勢に人として疑問が残りました。現実社会では、多くの社会人が不満を持っても、耐えて、妥協して、頑張っています。

本作で描かれた者達をそのまま正当化することは、頑張っている人達に失礼だと感じました。昭和の無責任社員全盛期なら、弱者も受け入れる経済的、精神的余裕があったでしょうが、現在は支える側が限界にあります。それでも、享楽的に生き、将来に備えなかった人達を、生活保護等の多額の社会保障で支えています。

炊き出しより、地方で自給する態勢を整えるなど合理的方法の提示があれば、良かったと思いました。なお、障害者については、責任が親にありますから一緒に論じることは出来ませんが、何故都市部に居続けたいのかは疑問です。本作は、脚本に見識、考察の浅さが感じられ、残念です。

演出は、さすが俳優座というレベルでした。舞台全体をバランス良く使い、見せ方が上手でした。特に、最後の桜が良かったです。演技も良かったです。滑舌が素晴らしく、とても聞き取りやすかったです。障害者を始め、演技力も良かったです。雨の場面では、細かな演技から雨の冷たさが伝わってきました。商店街のおば様も良かったです。感情的にならず、段取りを踏むしっかりした様子に好感が持てました。

内容から、大半は腹立たしい思いで見ていましたが、役者さんの真実味ある演技があってこそだと思います。素晴らしいと思いました。
内容はさておき、役者さんの演技力や美術、舞台装置は素晴らしかったです。客席の椅子が古くて音が出るものもありましたので、修理してもらえると助かります。座っている人も居心地悪そうでした。スタッフワークは手慣れていて、気持ち良く鑑賞出来ました。


後ろの正面だあれ!

後ろの正面だあれ!

椿組

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

文句なし
雰囲気を上手に作っていて、明るくて、メッセージが根底にあって、文句なしです。昭和初期のこどもの健全さ、全力遊び合う感じ、尽きることなくワイワイ騒ぎはしゃぎ捲っているシーンが一番好きです。口ずさむ囃子歌や流行りのセリフ、遊び方、よく細かく覚えているなぁと引き込まれました。

ネタバレBOX

舞台が物凄く近いです。最前列は役者とぶつかりそうなほどです。目の前に、畳のステージがあります。
雨音が左右から囲うように聞こえる臨場感ある音響の中、体の大きい女の子がじっと座っている。雨の中集まる若者たちの会話から、彼らが5人兄弟で、ここがかつて彼らが住んでいた家の廃屋だということが分かります。彼らが畳の部屋へ足を踏み入れると、漸く女の子が顔をあげ、嬉々として会話に口を挟みますがしかし、基本的に、兄弟たちには女の子が見えていないようです。チラシにあるように座敷童子なのでしょうか。

小気味良く写真を垂れ幕で表敬して撮ったのを契機に、そこから昔のできごとへと移ります。

小学生がおおはしゃぎでふざけあい、遊び、昭和のギャグも飛ばす。小学校の同じクラスで誰が可愛いか、という話題では、容赦無いアダ名で答える。全力でバカをやっていて、こちらまで楽しくなってしまいました。お弁当で一喜一憂している姿も、懐かしく微笑ましいです。

女の子は、不思議なことに、見えないようだったり、普通に会話をしたり、お弁当を貰ったりしているので掴めません。また、時おり、お母さん4人組の会話シーンが入ります。一体誰のお母さんなのか、5人兄弟だからお母さんは一人じゃないの??と、私はあまり状況が飲み込めていなかったのですが、終盤で、近所の奥様方だったことに、後れ馳せながら気づきました。

普通、「昭和初期の家」を扱うなら、父母と子供たちの掛け合いを描くと思うのですが、しかし今回、基本的に親と子供が接するシーンが無かった。あえて子供たち目線で、家庭を表現しきっているところが凄いと思いました。

さりげなくキーワードを散りばめながら、20歳くらいの大人へと時間が戻り、末っ子の、苛められたりひねくれたりする様子や、自分より兄弟を優先してしまう長女の苦労の様子が描かれます。母が病死し、昔、皆で暮らしていたこの家も道路拡張のために取り壊しが決まっていて。懐かしい我が家にサヨナラを告げるために、母と家に感謝を告げるために、彼らは集まったのでした。

桜と女の子との別れを目の前にして、兄弟のノスタルジックな気持ちにシンクロして、懐かしい無邪気な時代への憧憬で、涙が出そうになりました。昭和の懐かしさも相まって戻りたくなります。

女の子(アメノウズメと名乗る)の正体は、最後にちゃんと明かされるので、ストーリーに一本線が通ります。ただし、途中、ウズメと母の会話で、日本書紀の神様だからとか記憶をとどめられない云々の下りが、何の関係があるのか私には意味分からなかったので、何か見落としているのかもしれません。

野外劇する劇団だけあって、声量が大きく、滑舌良く、絡みが上手な、パワフルな役者陣で、大満足でした。
OMOTENASHI’13

OMOTENASHI’13

FRANK AGE company

Geki地下Liberty(東京都)

2013/02/19 (火) ~ 2013/02/26 (火)公演終了

満足度★★★★★

お見事!5点[花丸]満点
初見の劇団でまったく期待していなかったけれど、素晴らしい脚本でした。

ネタバレBOX

20年を経て笑いを産める作品は稀だと思います。夏祭のゲストのおもてなしをテーマに、頼りない役場職員、幼なじみのチンピラ、料理が出来ない料理人、元下宿人の外国人、老舗旅館の孫のドタバタがテンポ良く描かれ、最後の大オチまで良く練れていると思いました。

キャストの設定も魅力があり、背景もしっかりしているので、展開に説得力があり、時間を忘れて見入りました。ただ、荒瀬が野口にキレるシーンは唐突な印象がありました。野口の印象が、物腰柔らかな今時の気の弱い草食系男子で、自らの境遇に不満があるように見えなかったのが一因だと思います。
序盤から不満がある面を出すか、荒瀬の怒りが八つ当たりであるような流れがあれば分かりやすかったと思います。

演出は、最後の中西金の登場から、おもてなしがフラッシュで見えるのが秀逸でした。ゲストの登場として上手いと思いましたし、バックアタッカーズも面白かったです。舞台上の動きもスムーズで、大柄な役者さんが多いのに、舞台の狭さを感じさせないのが見事でした。民宿の古びた感じやチープな飾り付けも良かったです。

役者さんは演技派揃いで、個人技も良かったですが、チームとしても見事に調和がとれていました。志賀役は、安定した演技でヒゲメイクも面白かったです。元伝説の料理人で元アル中で前科者でホモのフリーターという複雑な役回りをさらりと演じていたのが見事でした。

マリネンコ役は舞台のスパイス役で、変な言い回しやとぼけた動きが楽しかったです。荒瀬役は、人情味のあるチンピラ役がぴったりでした。ただ、序盤で、野口と話す時と、志賀と話す時の差が大きすぎて違和感がありました。急にサラリーマンぽかったので、もう少しチンピラ風味を残して欲しかったです。その後は舞台のキーマンとして見事でした。特に山之内の曲がフォークだと突っ込んだ時は、すっきりしました。素晴らしいツッコミでした。

野口は誠実な感じが役場職員ぽかったです。噛みが目立ちましたが、先輩役者に囲まれて一生懸命な感じが良かったです。山之内は少ない台詞で上手くキャラを出していたと思います。歌も上手すぎないところが売れないバンドマンらしく、趣味に生きるお坊ちゃんらしくて良かったです。

前説と付き人役のバックアタッカーズも面白かったです。オイシい出方でし
たが、フラッシュの場面では主演陣を越える面白さでした。見事でした。ゲストの大林さんも、華やかで、高身長の役者さんと並んでも見栄えが良かったです。楽しんでいる様子が客席にも伝わりました。

とても楽しい舞台でしたが、上演中、寒風が背後から吹いてくるのが気になりました。上手く空気が循環すれば良かったのですが、極端な頭寒足熱だったのが残念です。とは言うものの、とても楽しめました。

壺を割った男

壺を割った男

舞台芸術集団 地下空港

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2013/02/20 (水) ~ 2013/02/26 (火)公演終了

満足度★★★★

とても良く練れた脚本
チラシ、パンフレットがないので、役名不明ですみません。主人公が面接の場面から突き続けるウソが最後に本当になっていくのが見事でした。ただ、少し過剰な部分もあるように感じました。

ネタバレBOX

カオリの今カレの壷への思いや主人公とカオリの愛は本物であって欲しいと思いますが、深読みしてしまいます。また、ウソを全面に出し過ぎると、所詮はお芝居であることを意識せざるを得ず、舞台の世界から距離を感じてしまう側面もあると思います。さじ加減が難しいとは思いますし、何とかバランスを取ったように思いますが、もう少しウソと本当のメリハリがあっても良いような気がしました。

あと、役者さんが自然な発声で話すタイプが多いと思いましたので、大事な台詞と聞き取れなくても良い台詞の区別があると助かります。魔法の呪文が名言?だった所は面白かったです。政治家や有名人の言葉もウソばかりという意味もあるように思いますが、過去の時代のものは観客の目線で評価が別れると思います。ウソを前面に出すならば、近年の政治、社会で話題となった言葉の方が、諷刺にもなって良かったと思います。とは言うものの、言葉
選びが難しいと思います。

開場中のウソの演出は面白い反面、必要性に疑問がありました。嘘が小ネタすぎて反応に困った所もあります。客席案内も、後から嘘だと気付きましたが、最初は単純に間違えだと思い、スタッフさんがしっかりしていない印象を持ってしまいました。

前説は面白かったです。劇中は、主人公の背汗が凄くて気になりました。役として汗をかく場面でなくても目立ったので、ジャケットの色を変えるか、何か工夫をしてほしかったです。魔法の場面の照明効果は良かったのですが、奥行きがあるとズレてしまうので焦点をぼかした方が良いように思いました。研究室のドア、ロッカー、窓、棚など、それぞれが良く活かされていたと思います。魔物?の表現も良かったです。

役者さんは実力派揃いだと思います。ただ、台詞が自然な発声で、芝居に現実味がある反面、聞き取れないことが度々ありました。研究室助教授、今カレが特に目立ちました。演技力はあるので、残念でした。魔女は、魔法の呪文があまり聞き取れませんでした。芝居がかっても変ではないので、ゆっくりめに言ってほしかったです。

公演回数の割に台詞トチりがあったように思いますし、テンポが悪い場面が少しあると思いました。演技は上手なので、台詞回しが良くなると良いと思います。生演奏はとても良かったです。動きとタイミングが良く合いましたし、豪勢な感じがしました。携帯の着信が面白かったです。

楽しい舞台でした。特に脚本が優れていたと思います。主人公の素性や荒唐無稽なウソが真実になる場面が素晴らしかったです。カオリが主人公に感じる魅力は分かりませんが、バランスの取れたカップルだと思います。

スペース合コン&スペース合コンBEYOND

スペース合コン&スペース合コンBEYOND

The Dusty Walls

王子小劇場(東京都)

2013/02/16 (土) ~ 2013/02/25 (月)公演終了

満足度★★★

スペース合コン
日程の都合で再演の「スペース合コン」鑑賞。
舞台の前半がは言葉で笑わせる反面、後半は身体を駆使した体育会系のノリだったように思います。

ネタバレBOX

女の居ない星と男の居ない星の思惑が重なり、いざ、合コンを開催しますが、合コンにたどり着くまでのセリフのセンスが光った舞台でした。

合コンに突入すると何故か急にセリフがベタになり前半で見せた勢いが少し衰えたような気がしました。

私の観た回は空席が目立ちましたが「スペース合コンBEYOND」は満席だったようです。
幻戯【改訂版】

幻戯【改訂版】

鵺的(ぬえてき)

「劇」小劇場(東京都)

2013/02/20 (水) ~ 2013/02/26 (火)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい舞台でした。
2人の女優が重なり合う部分の構造が面白い演出だと思いました。

ネタバレBOX

主人公の男が本当に好きになった女郎には手を出そうとせずに精神と肉体を分けて考える屈折度が面白味を増した舞台でした。

役者では杉本隆幸さんの演技力が光った舞台でした。大満足です。
浅草紅團 ASAKUSA RED GANG

浅草紅團 ASAKUSA RED GANG

劇団ドガドガプラス

シアターX(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/02/25 (月)公演終了

満足度★★★

演出に
詰め込みすぎて、浅く雑多雑多で終わってしまいました。全部ぶつ切りで、演出に問題があったと思います。

ネタバレBOX


昭和の関東大震災後の、人種のるつぼで活気のある浅草公園と、2011の震災後の渋谷が似ている、という着眼点は良いと思います。似ている、の先も見てみたかったです。
大正ロマンから昭和初期、浅草が舞台の、川端康成の青春小説「浅草紅団」をカスタマイズしているのですが、面白いところは完全に、元の小説の設定の面白さと、ダンスの2つでした。

本当に困ったのが、歌、ダンス、そして作中の登場人物たちのシーンが、全て繋がってなかったことです。
ぶつ切りで進みます。
そして、左右の桟敷席への配慮でステージ上を左右にぐるぐる回りながら演技されるのてすが、ただウロウロしていて、店内のはずが店外の人がきたり、船へ跳び移ったのに船から降りる時はそのままだし、いつの間にか船底の部屋、更に陸ということになっていたし、家の中なのか外なのか、今喋ってる人がどんな役なのか、状況の指導が入っていなかったことです。
はっきり言って、勿体無く、絡ませたり流れを繋げられないなら、最初からどれか一組のストーリーに絞って2時間やれば良いと思います。
それぞれの設定、最初からほぼ説明してませんし。小説既読の人用のものだと割り切るにしても、大勢の若い、やる気のある役者達の意気込みを省みると、生かしきれていないのが勿体なく感じました。

パンフレット、舞台美術、衣装が良かったです。特に、最初の渋谷を連想させる、両側に衣装を吊るした舞台美術がワクワクさせました。

ダンスは、ヒップホップ中心でした。役11名の若い女性たち(しかも皆さんスタイル抜群)の、切れのあるヒップホップは、一見の価値あります。ジゼルとかも頑張っていました。
ダンス目的の方にオススメします。
衣装チェンジも楽しかったです。

演技では、松山クミ子さんが3倍速ボイスで喋るのが見事で笑えました。他のキャストの応酬も見たかったのですが、ほぼ一手に引き受けてました。
ショーの口上の人や、池ノ上蓮風先生に、シーン間を繋いでほしかったかも。
受付スタッフさんも親切で感じが良かったです。
踊る若者をこんなに集められるのはすごい劇団だと思います。
せいれん

せいれん

EgofiLter

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/02/23 (土) ~ 2013/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

3.5
宣伝のストーリー説明の言葉が、謎を掻き立ててて、一番面白かった。内容は淡白で、怖さは全く無いです。

ネタバレBOX

劇中に何が起こってるのか、そして観客にどの反応を求めているのか、ずっと掴みあぐねていて、残り15分くらいで漸く、「単純にホラーゲームの雰囲気を目指していたのだ、でファイナルアンサー!」と自分の中で結論がでました。

BGMは、全てどこかで聞いたような、サウンドホラーゲームのBGMです。私はやったこと無いですが、ゲームの「サイレン」と、どこか似せてたりするのでしょうか。
開演前の諸注意も、パソコンのソフトで入力内容を喋らせていて、2次元っぽい雰囲気がでていました。
ちょっと恥ずかしいなと思ったのは、その諸注意で「携帯電話など音や光のでる機器の電源はお切りください」を流した直後、流した本人に見える部屋後方のPC開いてるお兄さん(スタッフ)の携帯のバイブ音が鳴り、電話にでたことです。一瞬ネタかと思いました。

映画のコマーシャルのように、チラシやパンフレットに書いてある宣伝文が、都市伝説の謎解きを連想させワクワクします。「せいれん」「八尺様」「二度見たら死ぬよ」などの命名も良いですね。
で、その疑問を解き明かすのかと思いきや、淡々とそれぞれの会話などが進んでいきました。

もえの遺体を見たとき、さわがあまり動じなかったのでこちらも辛くならなかったです。もえの能力のくだりは掘り下げると少し耽美性が出るのではなでしょうか。
もえが、せいれんにお仕置きと称され下着でベランダに24時間出されるという衝撃のスタートは、おそらく最近ニュースを騒がせた凶悪殺人を連想させます。私はカルト宗教を連想していました。殺されても尚せいれんを案じ、何の抵抗もしないもえは、マインドコントロール済みのようでした。

オチがうまく伝わらないのも、怖さを感じさせたいのがよく分からないのも、最大の原因として、「八尺様が、今、他のキャラクターに、見えているのか見えていないのか分からない」からだと思います。せいれんやら編集やらに既に何度も見えてたように見えたのに、2度見たら死ぬ設定が生きていたとは。
あと、八尺様が、せいれんの頭を実際に触って抱いて暗転、のシーンが多かったので、最後のシーンや怖いシーンでは違う触りかたで殺ってほしかったです。ゴスロリの八尺様、どうしても話より小さく美人でかわいらしく見えます。

ギャラリーLE DECO5は、声が反響するところ、コンクリート打ちっぱなしのところが、話の雰囲気に合っていました。
しかし、下の階の「スズキ祭」の声が聞こえてくること、右側の柱で舞台の右側4分の1が見えなくなること、席の高さが同じなので2列目以降だと視界の下3分の1も見えなくなること、などがデメリットでした。
柱をうまく使って、八尺様を神出鬼没に見せかける舞台のかたちにしたら良いのになぁと思いました。

枠だけのドアや壁、好きです。
あと、せいれん役の大畑さんの声が透っていて、雰囲気が出ていました。
ザ・フォーリナー~THE FOREIGNER~

ザ・フォーリナー~THE FOREIGNER~

ファルスシアター

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2013/02/21 (木) ~ 2013/02/25 (月)公演終了

満足度★★★★

ハート観劇
楽しかったです。

ネタバレBOX

チャーリーが語る森の話のシーンが一番楽しかったです。笑いのネタは全体的に散見され、襲撃事件も加わってワクワクドキドキしました。演出が素晴らしかったです。

あと、舞台セット、衣装も良かった。
チャーリーが呪いをかけるシーンも大爆笑しました。
獣のための倫理学

獣のための倫理学

十七戦地

LIFT(東京都)

2013/02/19 (火) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

大絶賛!
ワークショップとして、物語を立ち上げていました。

ネタバレBOX

35年前に起こった惨殺事件を題材に掘り起こして、真相を究明する演劇でした。脚本があまりにも素晴らしかったです。スリルと、サスペンスの連続でした。

終盤にかけて、当時の村人の子孫が明かされる場面は、まるで小説を読んでいるような感覚になりました。役者さんたちのキャラクターに対する表現力も秀逸でした。おすすめです。
小型

小型

3.14ch

d-倉庫(東京都)

2013/02/20 (水) ~ 2013/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい!
ケンイチロウの妄想を描いた作品だったように思います。

ネタバレBOX

こんな舞台を観たのは初めてでした。斬新で楽しかったです。ケンイチロウが小型化してしまった事で、妻から受ける痛手を、逃避するように現実離れした世界を作り上げてしまいます。

そして小型族が登場する場面はファンタジー溢れる世界でした。小人たちのダンス、可愛らしい言語、音楽と天使の歌声。

かなり高度な演出だったと思います。
あまりにも素敵な不思議な世界。これは大絶賛でしょう!
トリオ

トリオ

LEMON LIVE

OFF OFFシアター(東京都)

2013/02/14 (木) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

お見事!
スピード感のある展開とどんでん返しが続き、目が離せませんでした。

ネタバレBOX

昭和の風情が漂う内容で、黒電話が鍵となっているのが良かったです。待ち合わせで会えなくても連絡がつきにくく、すれ違いが起きる様子が当時の事情を伺わせました。また、当時は漫才ブームで、今回のようなトリオ漫才もあった気がします。ただ、

序盤、終盤の漫才のシーンは、話題が古く、よく分からなかったのが残念です。鳥居を巡る恋の鞘当ては過激でしたが、当時の荒々しい気風や強い情念が感じられました。刃傷沙汰後のオチは素晴らしかったです。すっかり騙されてしまいました。その後が少し冗長に感じられた程で、本当に驚き、また、スカッとしました。

演出では、シチュエーションが限られる中で大きな動きを無理なく見せており、見事でした。鳥居がコタツから出てきたのはインパクトがあって良かったです。挿入歌もテーマにぴったりでした。オルゴールの音に趣があり、最後にノリノリで歌う姿に、強く生き抜いていく三人の未来が見えた気がしました。

演技はとても素晴らしかったです。脚本の魅力を存分に生かして活き活きと演じているのが見事でした。3人それぞれに個性的で、バランスが良かったです。大喧嘩をしても、また元に戻る様子が姉妹のようで、長年トリオを組んでいた年季を感じました。毎日違うゲストを迎えるそうですが、安定した演技力を持つ三人だからこそ出来ることだと思います。激しい乱闘シーンも多いのに、着物が着崩れない点にも芸を感じます。帯の上からストールを羽織るのが手慣れた感じで、信憑性がありました。

とても楽しい舞台でした。前説では後ろ2列が暑くなるとのことでしたが、最後列は壁が冷たくて冷えるくらいでした。外気温の影響かもしれませんし、途中で脱ぐのは隣の客の迷惑になるのでアナウンスがあっても良いとは思いますが、途中で少し寒かったので報告します。でも、寒さを忘れるほど笑いました。



範宙遊泳展

範宙遊泳展

範宙遊泳

新宿眼科画廊(東京都)

2013/02/16 (土) ~ 2013/02/27 (水)公演終了

満足度★★★★

楽しい体験
二部構成で舞台も面白く、楽しい体験でした。
前半、楽しい時間はひとり芝居でしたが、レジュメもあり、よく伝わりました。狭い空間で役者さんの熱が伝わる距離で演じられるので、透明人間気分が味わえました。

ネタバレBOX

雨の設定が良かったと思います。原発事故を暗示しているようで、着眼点が良いと思いました。ただ、ランニングマシンの下りは独り言が多い印象でした。ランニングマシンが分かりにくかった印象もあります。止まる時に両側にピョンと着地したり、始める時、止まる時にゆっくりになる様子が分かると良かった気がします。

彼はコラムニストかと思いましたが、最初の模造紙の内容はピンと来ませんでした。アンケートが辞書になっていたのは意外で、ちょっと恥ずかしかったけど面白かったです。通信のシーンが一番楽しめました。彼女がバービーだったのも驚きましたが、おばあちゃんが怪獣だったのが面白かったです。叔父さんは戦争話を自慢する所がウルトラマンぽくて良かったです。ヒモが見えてなかったので、意外性がありましたし、話す様子も楽しかったです。小さな可愛い怪獣が気になりました。

後半の幼女Xは、展開が意外で、演技力が凄いと思いました。リョータ君の寝癖製造機や家族を赤血球や血小板に例える発想が面白く、表現も良かったです。姉が傷口というのも上手いと思いました。細菌君も、社会から徐々に乖離していく様子が見事でした。

社会的に下流でもがく若者の心情が、成功者である姉家族との触れ合いで徐々に明らかになる様が素晴らしく、時間を忘れて見入りました。ただ、リョータ君が細菌君を見送るシーンで二回顔を上げましたが、同じ方向を見たので、細菌君がその場に留まっているような印象がありました。視線を動かして欲しかったです。あとは、素晴らしかったです。

外科医は一番好きなキャラです。「座ろう、座ろう、スワローテール」は、いつか使ってみたいです。ラストも、細菌君の純粋な思いが子供時代に戻っていくようで、印象的でした。珍しい見方で、楽しかったです。

スタッフさんの案内も必要最小限で良かったと思います。ただ、席を移った際に荷物から離れたのが途中で気になりました。貴重品は持つようにアナウンスして貰えたら良かったと思います。机をくぐれなかったのは残念ですが、とても楽しめました。

BONE SONGS【本日23日(土)13時&18時開演、当日券あります!】

BONE SONGS【本日23日(土)13時&18時開演、当日券あります!】

劇団鹿殺し

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/02/15 (金) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

すごく好き
サービス精神旺盛な関西特有の公演でした。とにかく楽しい。

ネタバレBOX

色んな窮地に追い込まれながらも死ねない辛島タエ。毎度のごとく不死鳥のように蘇るタエの周りではタエに関わった男たちが死んでいきます。それでも常に主役を取りたいと前に出るど根性な物語でした。

辛島タエの生き方も音楽もロックで楽しい。
演出も音楽もみんな素敵でした。

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