しんじゃうおへや 公演情報 しんじゃうおへや」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-14件 / 14件中
  • 満足度★★★

    重いテーマをエンタメで
    死刑制度を取り上げ、「人が人を裁くことができるのか?」という問いを、演劇で扱うという意欲にまず驚きました。「目の前で人が死ぬかもしれない」という状況を観客が疑似体験する冒頭の死刑執行室の場面は、演劇でこそ感じられる生感覚を利用した巧い趣向。戯曲も、加害者のシビアな人生を描いたり、違う事件の被害者家族の声を入れたりと、様々な議論や思考を重ねながら、“悪”を一色で断じない工夫が凝らされていました。ただ、死刑囚を演じた小林エレキ氏の怪演は印象に残ったものの、俳優陣の演技の意図が分かりにくかった気がします。戯曲/各場面に周到に織り込まれた議論を、演技でもっと明確に立ち上げてほしかった……と思いました。初演に感動したという大阪の劇場のプロデューサーの方の情熱で、大阪公演が実ったとか。伺った日も満員御礼、地域同士の交流の中心に、熱望された作品があるというのは、素晴らしいことで、大阪まで観に行った甲斐を感じました。

  • 満足度★★★

    冷静かつ情熱的な小林エレキ
    死刑執行の現場に落ちていたシャツのボタンから、謎が紐解かれる様子が興味深かった。死刑囚役だった小林エレキの、常軌を逸した状態の名演はすばらしかった。抑えと爆発のバランスがとてもよかった。

    刑務官たちは、演技がやや過剰で、熱さがくどい部分があった。刑務官にも葛藤があるのは伝わるのだが、それを強い語調の演技で表現するのは、しつこくて、観客のスムースな理解を阻害してしまうように思える。

    ネタバレBOX

    電気屋が幽霊に怯えるシーンはちょっと長かった。ブスいじりのネタも、ちょっと私は受け入れにくかった……。
    特に筋書きとして気になったのは、部屋に侵入された女が玄関の外へ逃げ出さなかったこと。玄関を開けたら見知らぬ男が部屋の中にいて、なぜ逃げずにそのまま部屋の中に入るのだろうか? みすみす殺されにいくようなもので、いかにも不自然な行動ではないだろうか? これは彼女を殺人の被害者にするという設定ありきの描写に思え、興を削がれてしまった。

    アフターイベントのホンコンやきそばの争奪戦ジャンケンは、賞品紹介も含めて本当におもしろくて、北海道に行ったらぜひ(勇気がいるけど……?!)買ってみたいと思った。
  • 満足度★★★

    社会派エンターテイメントを応援したい
    「死刑制度」をテーマに作る事自体にリスペスト。小林エレキさんの演技が素晴らしかった。

  • 満足度★★★★

    「しんじゃうおへや」
    エレキさん熱演でした。大阪まで行った甲斐ありました。初めてのインディペンデントシアター、迷って迷って失礼いたしました。

  • 満足度★★★

    当事者と現場を題材に描く日本の死刑
     南参さんの前説が非常に微笑ましくてつかみはバッチリ!客席もちょうどいい感じの満席でした。開演前にin→dependent theatre 1stの広いロビーでもいい時間も過ごせていましたので、私にとってとても幸せな小劇場観劇になりました。

     ある死刑囚の男性を中心に、刑務官や謎の女性を登場させ、死刑にまつわる人々の思いをドラマティックに描きます。シンプルな舞台美術が、拘置所内の死刑執行室、死刑囚の独房、誰かの部屋へと、境目なくスムーズに変化していきました。夢と現実、過去と現在の境目を曖昧にさせるのも巧みです。死刑がテーマですから、どうしても空気が重たく、暗くなりがちなところ、ちょっとトリッキーな劇中劇や、電気屋の3人組を登場させて笑いを取るシーンが挟まれていました。残念ながら私には笑えなかったんですが…。

     死刑囚を描いたお芝居だと風琴工房『ゼロの柩』が強く印象に残っています。死刑囚は刑務所ではなく拘置所の独房に収監され、弁護士や親戚などのごく身近な人としか面会できないし、基本的にずっと一人きりなので会話もできません。それが何年も続く、そしていつ終わるか(死刑の日が来るか)は、全く知らされない…。セリフでは死刑囚の三塚(小林エレキ)と刑務官の小栗係長(能登英輔)がそれぞれに1度話す(解説する)程度だったので、お芝居の前半でもっと詳しい説明があっても良かったのではないかと思いました。

     演技については残念ながら拙さが気になりました。私の勝手な考えですが、俳優の演技とは人と人との間に生まれるもので、セリフをしゃべっていても、いなくても、常に他者から何かを受け取っている状態で、起こるものだと思っています。このお芝居では、自分の中で想像して作り出した演技を、ただ披露しているだけの人が散見されました。

    ネタバレBOX

     刑務官たちが死刑執行の予行演習をする場面から始まりました。実際の執行方法がわかりますし、「執行のボタンを押す刑務官もまた人殺しなのではないか」というテーマに、早くから目を向けさせる効果もあったと思います。また、妹をストーカーに殺された刑務官がいることで、被害者家族の視点も描いていました。

     死刑囚の三塚は大人しいので最初は“悪人”には見えないのですが、彼がある部屋で謎の女性(被害者の幽霊または幻)と出会う場面が少しずつ挿入され、3人の女性を無差別に殺傷した“非人道性”が明らかになっていきます。終盤の教誨師との会話では、三塚の不幸な生い立ちがわかってきて、死刑囚の“人間らしさ”もまた際立ってきます。三塚と長らく接してきた刑務官は、罪人とはいえ彼は人間だと思うしかなく、そうなると自分たちが殺人者であると認めることになります。死刑という制度の矛盾と問題点が、当事者の心情を描くことでわかりやすく示されていたと思います。

     三塚が女性殺しを具体的にやって見せて、自白しながら心情を吐露している時に、唐突に電気屋3人が登場する…というのが最後の場面でした。あの世とこの世が重なる趣向が面白かったです。

     電気屋3人がいたのは死刑執行室の直下にある地下室。床と天井に四角い白い枠を設置して、上の階と下の階の両方を想像させる工夫がいいですね。
     電気屋のシーンで特に感じたのですが、女性(女優)の扱いが少々乱暴すぎる気がしました。物語の中の職場では男性から女性へのパワハラ、セクハラが横行しているようです。

     小林エレキさんが演じた三塚は“無差別殺人犯の死刑囚”という、演じるハードルが非常に高い役柄。自分の殻に閉じこもって自問自答するタイプで、他者と関わるのがとても下手な人物です。過去と対峙する恐怖や、それゆえ曖昧になる記憶、突然あらわれる幻想、常に襲ってくる孤独…。一人の人間に背負わせるには重すぎるものを表しながらの熱演でした。
     小栗を演じた能登英輔さんは、相手とその場でコミュニケーションをしているように見え、刑務官の葛藤にリアリティを感じられました。
  • 満足度★★★★★

    簡単に言葉に出来ません。
    実際に死刑制度というものは存在しているけれど、私はどこか非現実的に感じてしまいます。罪を犯し執行され、そして立場は逆でも同じ人間が執行している、その今では『当たり前』のことに改めて恐怖を感じました。
    大切な人を失う悲しみはこれから経験することが多くなるけれど、人を殺してしまった苦悩を抱える人間はそういない。もちろん自業自得だと思いますが、死刑囚がただひたすらに執行されるのを待つあの期間は一体何なのか、いくら反省しても死者が戻ってくることは決してないのにとすら思ってしまうほどでした。
    上手く言葉に出来ませんでしたが、数年後にはまた感想も変化していると思うので、再々再演期待しています!
    大阪で観れて幸せでした。



  • 満足度★★★★★

    人間の作った最悪な場所で時間も場所も崩壊して
    死 人殺し 死刑 刑務官 その機械を修理に来た電気工事士 装置の修理 最後の執行 人の想いだけが残り 服のボタンだけで繋がって、時間も場所も崩壊して出来事が繋がって 残るのは、床に落ちたボタン 犯行の時に取れたボタン 若い執行官に殴られた時に取れたボタン そのボタンは取れてた 取れかけていた ただ一回だけ執行官が人として扱った証  被害者 遺族 さまざまな多くの想いが沁み込んだ部屋、人間の作った最悪な場所を舞台に、ホラーではなく、人の心の変化 想いの強さ、恐怖、人としての心、多くのものが詰め込まれたお芝居を迫真の演技で作った作品。 すばらしい作品

    ネタバレBOX

    死 人殺し 死刑 刑務官 その機械を修理に来た電気工事士 装置の修理 最後の執行 人の想いだけが残り 服のボタンだけで繋がって、時間も場所も崩壊して出来事が繋がって 残るのは、床に落ちたボタン 犯行の時に取れたボタン 若い執行官に殴られた時に取れたボタン そのボタンは取れてた 取れかけていた ただ一回だけ執行官が人として扱った証  被害者 遺族 さまざまな多くの想いが沁み込んだ部屋、人間の作った最悪な場所を舞台に、ホラーではなく、人の心の変化 想いの強さ、恐怖、人としての心、多くのものが詰め込まれたお芝居を迫真の演技で作った作品。 すばらしい作品

    舞台は奥に釦が1.5m離れて3個 扉 中央前上下に60cm四角い白い枠 同じ位置に上から30cmの輪にくくられたロープが下がる下手にレバー。 //
    前説 1時間50分のお芝居 後から合流の劇団員 金忘れた 手持ち300円 空港でうどん食った “何している” もう1人 寝過ごして 金忘れてバス乗った 降りれないかも知れない“劇団員に金持って行かした” ホンコン焼きそば まずい なぜか道民はまずいながら食べる次明るく成れば始まります。 徐暗 // ではカーテンを開けて 進めこのままでは言いたい 3分 言い残しがないようにいいだろう 10年前アイスを買おうとコンビニへ 26円しかなく アイスを握りしめ投げつけた 逃げた 何故あんな目で俺をみる 素っ裸だった もう一つ ワンモア もういい もういい 芝居だ 速やかに遂行 猶予無視と言う事で もう一度 長瀬と役もチェンジ では カーテンを開けて・・・ 進め コウムラ くすぐるなよ何の予行演習 ヤタベ休憩僕はいいです いつもこうですかミツヅカの刑が執行 渡部は初めてか未経験者には解らん事がある教会 上役 茶番渡部 ちゃんとやれ課長は人質 要求を聞いて下さいこんな予行演習にまともな執行が出来ればいい僕はまとも不当な処遇死刑囚に甘い 手数料もらっている本当ですか いま こうなっているのは痛み分けどうしたい ミツヅカの役は課長 私が執行官やらせてやれ皆さん宜しいですか 最初の位置に着いてください 柏木さん早く ヤタベ みんな知っているんだ お前 ストーカーに妹 殺された 志願したのも 犯罪者を殺したいのもわかる僕の気持ちは分からない その男は自殺した 勝手に殺して勝手に死にやがった 憎しみが一杯になった、人殺しの気持ちが分かるか仕事でしょう変わらない 殺すんだ 殺すんだよ 俺は殺したくない僕は喜んで 思えます手錠を掛けろ 位置に付け 始めよう 白い布で目を覆い頭で縛る カーテンを開けて ロープを掛けろ 位置に付け 釦の前に立て 杉浦 合図をだせ 回路を切っている。 ちょと待って下さい 本当に回路を切っている。押す。 じゃ終わろう 深夜まで御苦労様でした。ヤタベ 明日しっかりやれよ もちろんです。指震えてただろ 釦を押してみる ガチャン 回路を切ってあるって・・・。(字幕) 死刑は執行 死刑囚ミツヅカは、取り乱す事無く、しかし 装置は作動せずレバーで落下 18分後 死亡 以上 // ガチャン 失礼します 何か聞こえた こんな所にボタンが、開かない 押すんですよ (開く)帰る時に署長室へよって行ってほしいそうです。この排水口何の為に。聞かない方がいい。・・・ そのまま流す為に、上の方から偉いさんが見ている。聞きたくなかった。ドアが開かない。呪いだよ。あんな話するから。携帯 電波なし、他に扉なし 誰か来る待つ 隅っこに集まる。幽霊信じる人、 何が怖い。宇宙のでかさ 自分の美しさ、ひぐま あと 何 カカ ヒヒヒ ハハハハハ 電器ドリル 穴開けるんです。(ドアが空く)。何をするんですか。 ハ ハハ ハハ。どうぞ 確認で釦 押してもらっていいですか はい (服のボタンを思いっきり叩く) // ハーハ(息が荒い男) 椅子 ドアを開ける (女が入って来る) 誰ですか。 御逢いした事あります。分かりません 知りません。あれ 忘れちゃった?。やめてください。ここは何処なんですか。私の部屋です 近づかないで。何しゃべってた。忘れました。雨だな いつからだ。1時間前から。雨は嫌だな。// ヤタベをどう思う。何もありません。こないだ 頼まれた本 無い どうしても続きが気になるんです。何が面白い?。主人公が似ている。あ(女が消える)、ちょと聞きたい事が・・・。 分かった。仕事 色々 毎日違う 明細 ねえよ 趣味 そんなもん ねえよ 強盗 殺人 事件見た事ありません あ(女)。近づかないで。ミツヅカ ここ 何処なんですか?。私の部屋 御願い 御願い 許して。// なんですか。面会だ ずっと 再審請求 新証言が出てない。自分がやった事ですから 恩赦 いいんです。面会修了です。いままで お世話に成りました。お元気で。// 許されない。分かっています。分かっていない。私には、それしかできません。もっと苦しめ 苦しめ 苦しみぬいて死ね お前に人権は無い 害虫だ 更正の余地なしって判決文だ 苦しめ害虫。 じゃお前は、人殺しの気持ちが分かるのか。(殴る) 。// 何を言われた なんでもありません。オジリさん いつですか 来週 来月。俺には分からない。いつ来るんだろ。あっ。ひどい 思い出せませんか ひどい 私を覚えてませんか ひどい。知り合いですか。いいえ。御逢いした事ありますか。俺は殺人者でここに連れてこられた時点で抹殺されてんだ。ザ---- // 祈り教会の時間。出ていってくれ。なんでも良いですからミツヅカさん自身の話をして下さい 小学校を転校 いじめ 不登校 // みんな同じ 天に神の御前に帰って行く。うっせー あーー(暴れる、神父の首を絞める) 。 おいミツヅカ今回だけ見逃してやる。いつだ いつだ。 分からない。ここは何処だ ここは何処だ どうしたら執行してくれる 早く殺せ。お前に出来るのは、ただ待つだけだ。早く死なせてくれ 生きる価値がない早く殺してくれ。7年から15年 35年 1年で 3ヶ月まで我々には分からない 自身のやった事を見つめ直して人間らしく死んでほしい。いっそ たんぱく質の塊と思えたら、心を通わしたら 生きるしか無いだろ お前は人間だ 人だ。ふふふ ふふふ 何が可笑しい 何だ お前。久々に笑った気がする 人って。 ボタンが取れている 後で縫い付けてやる。初めから無くなって おぐりさん ここ何処ですか。闇を懺悔なさい 何を反省したか。当日の事話して下さい ミツヅカお前がやったんだろ ミツヅカ でるな。 開いた。誰ですか。電気 点検 一緒に ブレーカ。 やめてください いかないのですか。騒いだら殺す 金だせ 5万 よこせ 誰にも言うなよ それから。どうしました これが凶器だ 真上に掲げ降り下ろした・・・ 。 おねがい ゆるして。 その時の気持ちを覚えていますか? 二人目 三人目 その時の気持ちは?。覚えてません。金額は?。覚えておりません モヤモヤは消えませんでした そして 自分が金の無い自分は最低だと思いました。ゆるして ゆるして。 誰だ お前ら誰だ // ここは何処ですか 上を指差す女 刑務官の右手が上がる。
  • 満足度★★★★★

    小林エレキさんの演技!
    3話構成のオムニバス形式

    第1話と第2話と続き

    第3話の小林エレキさんが出ているシーンだけ

    かなりリアリティを感じる

    何と表現していいのか分かりませんが

    エレキさんの場面はかなり重たく刺激的なので

    観ている方の疲労感が凄い

    これだけ引き込む演技を観たのは久しぶり!

    色々な感情が入り乱れる作品

  • 満足度★★★★★

    何度でも観たくなる。
    脚本、演出、役者の熱量が凄まじく、圧倒された。作品として完成されているが、次に観たときはどこが変わっているのか、前に観たときと自分の感じ方がどうなるのかを期待させる。

    人は、人が定めた罪を裁くことは出来るが、人を裁くことは出来ない。現代社会において罪とされることを論じ、決め、実行するだけである。どんな罪を犯したとしても、死ぬその日まで人は人以外にはなれない。そんな当たり前だがとても大切なことをこの作品は改めて教えてくれた。また観てみたい。

    ネタバレBOX

    矢田部の家族を殺して自殺した犯人が三塚なのかと思った。三塚がストーカー殺人だったのかと。死刑と自殺では死因も違うが、パラレルワールド的な要素もあるのかと思わせる展開が面白かった。

    矢田部の正論は現代社会の良識そのもの。間違ってはいないが、正論だけで話が片付くほど単純ではない。矢田部のやりたいようにさせる小栗課長も、最初は矢田部みたいな若者だったのかもしれない。様々な経験をした小栗課長のような寛容さで正論は包み込まれ、現代社会は成り立っている。

    三塚は物語の最後に自分が死んだことに気付く。罪の意識に苛まれ苦しみ続ける日々が終わった。彼は救われたのだ。だが彼のような狂気は誰の心にでも眠っている。誰もが加害者になり得る。この作品はその警鐘を鳴らしているのかもしれない。
  • 満足度★★★★★

    また是非大阪へ
    この平仮名の「しんじゃうおへや」という題に興味を持った時点で、脚本家の手のひらに乗ってしまっていた気がする。見終わってからも、答の出ない問いを考え続けてしまう素晴らしい脚本と演出だった。個々の登場人物が厚く表現され、演者もとても良かった。劇場の舞台が小さすぎると感じたのは、迫力がありすぎたからだろうか。とても良い作品を道外で観られて感謝しています。

  • 満足度★★★★

    よかったね
    一定の流れがあるオムニバス形式。テーマは死刑囚。うん、暗いテーマだけど、どれだけ内面を出してくるのかなあ、と楽しみにしながら観させてもらいました。
    結論から言ってしまうと、よかったね。自分自身の思っていたものと違う部分もありましたが、劇らしさが楽しかったです。

    思いのほかいいものに出会えたので、次回作も観てみたいです。札幌にはいけないけれども。。。。

  • 満足度★★★★★

    最低2回は観て欲しい作品
    とても重くて暗いテーマで3話構成のオムニバス形式のお芝居でした。
    本来、シリアスで生死がテーマのストーリーはとても苦手で、正直言うと好きな劇団じゃなかったら観なかったかも知れません。(ただの暗い重いだけでもない素敵な作品でした)

    以前母親から「死刑の執行は刑務官のストレスを軽くする為に、いくつものボタンがあって、そのボタンを数人が同時に押す」と聞いたことがありましたが、縄と共に実際にボタンの付いた壁を見てまさに「自分の目の前に存在するもの」への恐怖を感じました。
    1話では刑務官といえども人間であり、人間でいようとするジレンマのようなものが凄く伝わってきました。
    2話ではコメディ調で電気工が点検に来たという設定で執行部屋とその真下の部屋の構造など、刑務官が説明するには不自然になる死刑執行にかんする情報を分かりやすく伝えてくれたと思います。
    3話では話しが少し遡って死刑囚の生前の出来事がメインでした。
    犯した罪としては決して許される内容ではないけれども、三塚という人は間違いなく人間でした。
    とても辛い環境におかれると人は自分を守る為に「自分じゃない自分」を作り出すことがあると言います。
    記憶を消したり、他人事として区別するんです。
    そうすることでしか自分を受け入れられなくなります。
    それをとてもリアルに小林エレキという役者は演じてたと感じました。
    自分からはあまり話しかけないけれど、話しかけられれば反応は出来る。
    多少不器用だけど普通の人にも見えるのに、時々凄く狂気染みた目をする。
    全てを受け入れたはずなのに生きる楽しみを持ってしまっている葛藤、自分ではどうにもならなくて小栗課長にすがる姿は涙が止まりませんでした。
    また、小栗課長の貫禄は在るけども柔らかい言葉遣い、懐の深い感じや人間みんなに対する平等な優しさ信用する姿勢に本当の強さを感じました。
    そして一番怖いと思ったのは新人?のヤタベさんでした。
    単純な善悪だけで言えば正義の立場にいるはずなのに、人を憎み信用できず自分の中の正義が強すぎる。人間の本質を考えさせられる役でした。
    後半は全てがレイヤーのように重なっていって怒涛のエンディングを迎えます。
    観劇直後の衝撃はもちろん、その後の余韻がずっと重い石が乗ったようにずっしりと続きます。
    椅子や天井の閉まる音、ノイズもとても効果的でずっとドキドキして観てました。
    2回観ましたが、まだ足りないと思える作品です。

  • 満足度★★★★

    キツいんだけど前のめりになる
    死刑執行を取り仕切る刑務官、その反対側になる死刑囚。
    第1話の刑務官の物語からビシビシと突き刺さる台詞と演技、ちょっと緊張の緩和になる電気工事士の第2話、そして男が追い詰められながらそれ以上に観ている側を圧倒する第3話。

    いやぁ、すごいお芝居を観たなぁという感じ。
    すぐに再演を観たいかというと、「いや、かんべん」なんですが。
    それでも、このお芝居を大阪で観られたことがものすごく嬉しいです。

    また、大阪に来て欲しいなぁ。

  • 満足度★★★★★

    迫真の演技!笑いあり、重たい話あり
    『しんじゃうおへや』…、出だしは結構軽いノリで、お笑いありのコメディ調かと思わせつつ、虐待に関するドキュメントか、はたまた幽霊が出るホラーでは…。

    そして死刑囚ララの迫真の演技で、どんどん重たい話に突入、ぐんぐん引き込まれていく感じ。
    気がつけば2時間弱、じっと固まって真面目に見過ぎたためか、ドッと疲れました。
    観劇後、うーんと唸ってしまう、見応え十分な公演でした。

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