アトムが来た日 公演情報 アトムが来た日」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-19件 / 19件中
  • 満足度★★★★★

    ステージ美術がとても素敵!重い話題ながら、さらりと説明があり無理なく進みます。福島の、もう何キロも続くシンプルで美しい松林も今は立ち入り禁止区域だったり...何だったのか、あの事件は...振り返る契機となりました。結局、風琴って続いてるので ここはちょっと安心!

  • 満足度★★★★

    年末の風琴工房には(私の風琴最高傑作が2016年末の「4センチメートル」)そもそも期待度が倍増し。とは言え今回はserial numberの第一弾、役者陣の変らなさに逆に本質的な転換の緩和ではないかとの想定もしつつ、評判の良い今作を観劇。
    原発というテーマを扱う。集客は良いのだろうと思うが、口コミでどの程度増えただろうか。私の目には、原発再稼働に手をこまねいて何もできない後ろめたさを、現状容認説によって荷を軽くし、口が滑らかになったとて、せいぜい現状容認しつつ未来を語ろう・・程度の論しか出てこなかろう。なぜなら、再稼働路線を進む日本の現状と、乖離の小さい論を持つ事で現状容認して「しまっていた」自分を慰撫するだけに終わるから、である。それがこの劇の「効果」である・・と言えば極論に過ぎるだろうか。
    議論を喚起するため・・大変よろしい。口が滑らかになる方向性が既に決まっている。現状と「あるべきあり方」との差の中で葛藤し、葛藤を乗り越える事でしか現状は変えられず、そのための議論を手助けする演劇が求められている・・・その意味では、今回の芝居のネタとなっている二つの物語は、己の「良心」に付着した反原発論を揺さぶり、それを捨てる事で個人の心の荷が軽くなる手助けはするが、「現状を変える」ための厳密な知識は残念ながら見いだせない・・というのが残念ながら私の結論だった。並行して叙述され、交互に描かれる二つの物語は、(1)1950年代の日本の原子力産業の誕生に貢献した男達の物語(「プロジェクトX ~不可能とされた原発誘致を成し遂げた男達~」とでも名づけられよう)、(2)2040年の日本・地下700メートルの核廃棄物貯蔵施設、兼日本唯一の原子力研究所。スズナリのステージに作られた杉山至の美術はその内壁で、未来っぽい間接照明で映える。この時代は、南海トラフ地震による浜岡原発のチェルノブイリ級事故(炉心溶融+核爆発)をきっかけに世界規模で原発廃止の動きがあった、その十数年後、原発再開への研究を打診しにやってきた政府役人と繰り広げられる議論劇。
    プロジェクトXでは細かでマニアックな事実が殆ど上演時間稼ぎのためかと思ったほどに詰め込まれ、はっきり言って「原発事故」を引き起こした大元の基礎作りに貢献した人々を顕彰する内容が、戯画的でもなく批判的でもなく哀切にでもなく「ヒャッホー!」「やったぜ」のノリで描かれても、コメントのしようがない。「事故」の評価はその被害によるしかないが、この芝居では何と、放射能被害についての知見が、全く語られない。。それによって議論は分かれるし、そもそも未来の「浜岡事故」が福島を超える未曾有の事故であったのに、議論の中にその被害の現状が全く入って来ないのは、脚本上の限界というよりは、出発が間違っていたのではないか・・と思わざるを得ない。
    もちろん詩森氏は単純な戯曲を書かない。近未来では一人のやや年輩の男が3・11の頃の自分の事を語る。原発に対する思いを語った言葉は、現在の私たちも記憶に残り、共感できる内容であり、唯一2018年現在の我々の代弁者と言える。そしてラストは「原発と付き合っていくしかない。その怖さを直視しながら・・・」という言葉とともに劇は閉じられる。この「怖さ」という言葉の中には諸々が含まれようが、しかし被害の具体的イメージを助ける情報がほぼ無く、一方原発容認への舵切りを促す言辞が殆どである事のアンバランスは最後だけでは覆いようがない、と見えた。
    SF場面での議論が恣意的に選択された事実と推論=世界的規模の人口増加が見込まれる事、エネルギー枯渇問題、必要エネルギー量の試算(2058年には賄えなくなる)、等により、もはや原発再開を選ぶしかない・・と、こうなるのだが、現在世界の富の偏在と飢餓の常態化があり、既に人口増加は既成事実であり、エネルギーは平等に配分されていない現状はそこに重ねる事がなく、一方チャイナが(世界中が原発をやめたのに)一国だけ原発開発をし続けている、といった現在の国家エゴのイメージは重ねるというご都合主義で「論」は構築されていく。またインドネシアが石油を売らなくなる、という予測もまことしやかに語るが、この危機感の煽り方は戦前から変らぬ一国主義のそれであるし、そもそも石油依存問題はインドネシア国が何を選択するかの問題を超えている。日本がエネルギー源を持たないという意味でのリスクは、ウランも同様であるし、それを解決するための高速増殖炉がナトリウムという扱い難い物質を必要とするため、だけではないがとても実現しそうにない代物で(プルトニウム生成のメカニズムがなければ電力会社の核廃棄物が資産として計上されないため稼働を前提として存在させ続けた事は周知)、しかし芝居ではこの存在をまともに取り上げ、ナトリウムの問題を克服すれば道が開ける、としているだけでなく、この「もんじゅ」の成功如何にエネルギー自給率は掛かっている事になる訳なのだ。国際的な不和を想定したエネルギー自給率確保の問題設定は資源のない日本には無理筋であって、他国との安全保障の関係構築が(現在もだが米国一辺倒がリスクを高めていると指摘されている)必須なのだが、その視点は「インドネシアがどうの」という如何にも偏狭外交のネタで曇り、科学者たる者が政治家の口車にまんまと乗せられて行く。
    ・・・何度も反芻したが、この「反語的」内容のドラマは、「こうなってはいけない」例として鑑賞するものだと、そう処理するのが正しい着地点だが、どうもそうではないようなのである。
    観客の知的度数を甘くみた、「どういうドラマかは判るようになってございます」という約束に違わぬ内容だ。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/12/26 (水) 14:00

    座席G列11番

    価格4,300円

    今から20年ほど未来の核燃料処理施設をめぐる話と東海村に日本初の原子力発電所ができることになる話を同時平行で進めて最後にメッセージを盛り込むというのはいかにも詩森作品。

    過去パートで原子力発電所建設予定地周辺住民が期待する姿などにDULL-COLORED POPの福島三部作 第一部「1961年:夜に昇る太陽」を思い出す。そして、その期待を裏切るような未来が待ち受けている(しかもそれを観客が知っている)ことにJACROW「夕闇、山を越える」や劇団チョコレートケーキ「熱狂」(2012,13,17年)も連想。

    原子力発電に寄せられた過去の期待と将来起こり得るであろう事態を丁寧に描いて見せた後、その両方の流れを束ねながら(2つの時代の登場人物が縁もゆかりもない別人なのに名前は同じという仕掛けも相俟って)メッセージを伝えるという終盤が特に見事。

  • 満足度★★★

    鑑賞日2018/12/21 (金) 19:30

    まずは、スズナリとは思えない綺麗なセットでした。
    内容は日頃から憂いている問題を、可視化してもらった感じでした。
    ファクトベースなものは好きなので私は面白かったですが、
    そこは意見が分かれるところでしょう。

  • 満足度★★★★

    serialnumber 「アトムが来た日」@下北沢ザ・スズナリ - すきなものあれこれ・・・
    https://blogs.yahoo.co.jp/suwansong2014/37242526.html

  • 満足度★★★★

    丁寧

  • 満足度★★★★

    歴史小説を読んで着るような感覚。とにかく素晴らしい情報収集力。そして未来への想像力と、社会への継承。自分の生き方について省みる。

  • 満足度★★★★

    原子力をここまで噛み砕いて演劇に落とし込めるとは…。難しいけどすごく響く。
    形態は違うけど分かりやすさはルナパレスの科学講座的。理数系じゃない私でもついていける。

    スズナリの舞台セットがすげぇ(語彙力)
    夏に同じスズナリで見た「死旗」も、このサイズの劇場に建て込むセットじゃないよ!って驚いたけど、「アトムが来た日」も相当だ。
    私が語彙力を失ったセットはこれです!
    https://twitter.com/shinkorochan/status/1076397486183346176

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/12/29 (土) 13:00

    座席1階1列

    価格4,300円

    開演前と史実を膨らませたテイストから『ちゅらと修羅』を思い出しました。
    舞台セットは噂通りの凄かったです。

    そこに安定した役者さん。小玉さん岡野さんのファンですが演技は期待以上の大満足。今回もステキでした。

    ただ風琴工房をリセットしたその意味は見つからずそれが残念でした。それとこれだけの本でしたらここまでの役者を揃える必要があったでしょうか。

  • 満足度★★★★★

    小玉さんの前説が面白いとどこかに書いてあったのでしっかり間に合うように入場。面白いだけでなく、観劇に必要な情報を聞き逃さずにすみました。
    1950年代の研究者も事業者も、悪気があったわけではなく(儲けようという気はあったかもしれないが)原子力の力を無邪気に信じていた感じがなんだか切なかったです。彼らは今頃どう思っているのでしょうか。そして私たちはこの後どういう選択をしていけばいいのか。いろんなことを突き付けらレました。
    キラキラの舞台が美しかったです。

  • 満足度★★★★★

    原子力という難しげなテーマなのに、重くなく、でも考えさせられる、とてもいい作品でした。どう考えるかを見る側に任せてくれる、詩森ろばさん作品はやはり好きです。
    役者さんたちの台詞も決して説明優先じゃなく冷静だったり情熱的だったり、とても身近に感じました。
    そして、あの美術!凄いです!!

  • 満足度★★★

    前説で予備知識を入れた上で頑張ってみましたが、
    いろいろと付いていくのが難しかった。

    ネタバレBOX

    素敵なステージだったのですが、今回アレンジされた客席が狭くてちょっときつかったです。
    多くの予約が入っているので見せたいのは分かりますが、スズナリであれほどの客席は危険を感じました。
  • 満足度★★

    鑑賞日2018/12/26 (水)

    私にはさっぱり。字幕の無い洋画を見ているようで。せりふや物語が全く入ってこなかった。前説での案内で理解はできていたものの「聞こう」という意識が悪かったのかな?舞台美術と音響がかっこよくってしびれた。

  • 満足度★★★★★

    2つの時代を交互に見せるやり方は多く見かけるが、この作品ほど2つの時代を明確に対比させているのは珍しく、強い印象を受ける。内容的にも、綺麗事や安っぽい情緒に流れず、この手のテーマを扱った他の作品とは、明らかに一線を画している。

  • 満足度★★★★

    観てきました。 まず、舞台美術が素晴らしい! 原子力関連の研究施設って感じがよくでてたと思います。床がガラス張りになってて、その下に水が流れてる! 原子力の話ですが、この先の未来 電力をどうするのか?という まさに今現在おきている問題で、非常に考えさせられる舞台でした。 少し過去と現在の転換が多すぎて ゴチャゴチャしてたのは残念でした。

  • 満足度★★★★★

    2つの時代を交互に演じていたが、服装や眼鏡をつけることで時代の違いを出してくれたのでとても分かりやすかったです。
    文系の私には少し難しいかなぁと思ったがあっという間に2時間10分が過ぎたほど夢中で見てました。

  • 満足度★★★★★

    Serialnumberの「アトムが来た日」を観劇。 日本のエネルギー問題を正面から演劇の世界で取り組む壮大な試み。 「原発」という禁忌とも言えるテーマにも敢然と立ち向かい、きちんと意見提言をしていくのは容易ではない。しかし僕の見た所この挑戦に「勝った」のではないだろうか。膨大な取材に基づくプロット作成、これをきちんとアウトプットした役者さんの対応能力にはただただ恐れ入る。 すでにチケットは当日券を除き完売しているようだが、多くの人に観てもらいわかりにくいと言われている「エネルギー問題」への関心が高まるといいなあと感じた次第。
    自分は科学者ではないが、エネルギー関連で飯を食べている一人として「よくぞこんな素晴らしい作品を作ってくれた」という最大級の賛辞を送りたい。

  • 満足度★★★★

    新鮮で面白い芝居の誕生である。素材の中身的には社会劇だが、形は討論劇とか、SFと言ってもいいかもしれない。しかし、この舞台が新鮮なのは、今までの社会劇や討論劇にありがちの政治性や、結論目配せ型から抜けて、その素材を巡る関係者の生活実感の断片の集積を芝居にしていることである。
    素材は原子力エネルギーと人間との関係である。1950年代、被爆国日本が原子力利用にかじを切った時代に原子力を推進した人々と、近未来の2040年、北海道の過疎地に使用済み燃料の保管庫が出来、そこの職員とが交錯する。二つの時代を交差しながら原子力エネルギーに向かう人間たちの生き方(考え方)が問われるが、議論が一方的になることはない。13名のキャストが何十もの役をこなしながら、二時間余り休憩なしで、台詞のシーンが続くが、原子力エネルギーについての概論から、現状や未来まで、多くの幅のあるデータが無理なく提供されていく。飽きることはない。結論も示唆しない。今までも多くの社会劇が、「幸せな」問題解決をアピールしてきたが、それで幾何の解決がなされたか。実は結論を決められないところに現代の問題があると作者は言っている。そこが画期的に新しいと言えるだろう。だが現実に問題は起きているのだ。
    作者がかなり我慢強くなければこういうドラマは書ききれないだろう。ことしは海外から「チルドレン」国産では「テンコマンドメント」のような原子力をめぐる新しい舞台が上演され、ともにいいドラマであったが、既成の劇の延長線上だった。これはちょっと違う。
    この芝居を「クリティカル」な場にある人々に見せてみたらどうだろう。例えば、国会の科学の専門委員会、とか、現に原発がある地域の公民館とか。委員会や住民集会とは違った人間的な新しい反応が出るのではないか。そういう反応を生み出すのは、やはり、そこが演劇の力なのだと思う。詩森ろぼ、急成長である。現代のブレヒトだ。




    ネタバレBOX

    作劇上二つ課題があると思う。劇の前提として、2024年に浜岡で南海地震による第二のメルトダウンがあったことで45年の場が成立していること。もう一つはエネルギー枯渇が世紀末には必ずやってくる設定になっていることである。この前提がエクスキューズになって、舞台がSF的な甘さになっている。それで観客もその場を楽しめると言う事はあるのだが、70年代のローマクラブ予想がSFにすぎなかったことが現実にあるわけだから、そこはもう一つ配慮がいると思った。
  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/12/21 (金) 19:30

     詩森ろばはいつも、期待に違わない作品を作る。…と言うか、しばしば期待を超えてスゴイ作品を作る。今回もその思いを強くした。2つの時代、原子力が未来のエネルギーとして期待されていた1950年代と、2040年代(浜岡原発が事故を起こし全世界が原子力発電から撤退した世界)という2つの時代の時間軸を巧みに移動しつつ、原子力への期待と不安を、ニュートラルに描く。原子力発電、というと、反対の立場から描く作家が多い中、この「ニュートラル」という立場は見事なものだと思う。役者陣も詩森の作品に慣れた者が多く、2つの時代で数々の役割を担いつつ、詩森の脚本を具現化してる。
     一つ注文を言うなら、科学と工学の立場の違いを意識してほしかった。原子物理学者と原子力工学者では、スタンスの違いがあるはずだと思う。

この公演に関するtwitter

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  1. 次回出演予定の舞台、 serial number『アトムが来た日』 のメインビジュアル&劇団優先チケット予約日時が発表されました! 笹野が数年前まで所属しておりました劇団、風琴工房が新しく生まれ変わったserial numberの… https://t.co/5499Muxvkq

    5年以上前

  2. serialnumber 「アトムが来た日」 仮チラシもかっこよかったけど、 本チラシもとんでもなくカッコいい! 早く欲しいなぁ。

    5年以上前

  3. そして、わたしたちの公演、「アトムが来た日」も始動しております。 https://t.co/SjXBaDwCsk どうぞ「観たい!」にご登録お願いいたします。チケット劇団優先予約は10/13(土)10時~14日(日)22時までです!!

    5年以上前

  4. 「ながれぼしのきもち」を観に行った時、 serial number 「アトムが来た日」のチラシが入っていたのだけれど、 隣の席のお二人が 「このチラシかっこいいね。serialnumberだって。」 てめっちゃチラシ眺めてた。 絶… https://t.co/hdAWnDVcHJ

    5年以上前

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