いたこといたろう 公演情報 いたこといたろう」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/05/03 (木) 19:30

    座席1階1列

    価格3,000円

    渡辺源四郎商店『いたこといたろう』『愛とか死とか見つめて』を連続で観劇しました。
    表現したいことがストレートに伝わってきます。内容の「ギリギリ感」が肝でありますが、『いたこといたろう』は圧倒的な演技にも目を奪われます。あのキツネでしょうか、憑依した演技はゾッとしました。この作品は唯一無二。
    中学生の団体客が多かったのですが、きっと演劇をやっているのでしょう。これはいい刺激になったと思います。感激して泣いていたいた子もいました。

    来週観劇する「俺の屍を越えていけ」は畑澤さんの脚本。楽しみです。

  • 満足度★★★★

    二人芝居、85分。
    師弟対決とでも言いましょうか。
    この中で、もう少しイタコ文化に関して触れてて良いんじゃないかな。
    フォーカスを対決に絞りたかったのだろうと思いますが、
    バックボーンにある歴史、背景にもっと触れてたら。。
    そういう視点で、表面的過ぎる気がしました。これなら別にイタコじゃなくても。

  • 満足度★★★★

    二人芝居。イタ子とイタ郎の話、ではなかった。年増の女と若いめの女が初対面し、二人を取り巻く関係の過去と現在が会話から立ち上がって来るうまい脚本だが、お祓いやホトケオロシの場面が頻出するイタコ三昧な芝居でもあった。これが一人芝居だろうが息を上げる事なくやり切るだろう三上晴佳と、対するは林本恵美子なる初目見えの女優(年増役)。繊細さと大胆さとで緩急を作りながら、「事実」に関する言及は言葉でなく微妙な演技で伝えるところはさすが。であるが、畑澤の演出は禁欲的で、分かりやすい音響効果等は使わず、せいぜい照明の変化で、あとは役者が生身の演技で伝える。役者への信頼だろうか。

    イタコについて印象的な芝居に『イタコ探偵工藤よし子の事件簿』がある。この芝居では、登場人物が視ているテレビのサスペンスドラマの人物が「現実」にも浸入してくるのだが、悩みを胸に仕舞い込んでいた女性の前にふいに現われたイタコ(工藤よし子)は、イタコの業に関するネタバレを口にする。「イタコは三つの事しか言わない」として、シンプルな言葉を挙げると、女性の胸の中に築かれていた堰が壊れ、号泣してしまう、という展開なのだが、「心配しないで」「ありがとう」・・正確には忘れたが、要はクライアントの心のつかえをとり、生きる背中を押してあげるのがイタコなのだ・・という説明がなされていた。
    これを念頭に、という訳でもないが、演じられているイタコの憑依を見ながら、「実にうまく演じられている」のか、実は「本当は憑依されている」のか、今どちらなのかを注視する。イタコは「癒やし」の仕事だ、との観点を貫徹して見るもよし、そこを保留して(憑依があり得ると考えて)見るもよしだが、この違いは大きいと思われた。

  • 約1時間25分。作・演出は畑澤聖悟さん。青森のイタコと、ホトケオロシを頼みにきたワケあり女性の二人芝居。ホラーやお笑いのネタを散りばめた濃厚な愛憎ドラマ。降霊術だけでなく、二人が語る言葉も不確かさを増していき…。軽やかかつ繊細で、振れ幅大きく変化する三上晴佳さんがまたもや素晴らしい。高校生はワンコイン500円。一般3000円。「愛とか死とか見つめて」と二本で一般5000円。

    ネタバレBOX

    イタコを訪ねた女性の、育ての母はイタコだった。互いに憑依を繰り返すなかで、本音と事実が語られていく。もはやどちらがイタコで、何が本当かは重要ではない。現実を凌駕する虚構が、心の中の真実を明るみに出していく。
  • 満足度★★★★★

    「なべげんイタコ演劇祭」と名付けた今回の公演、
    GW唯一の休みに、2本立てのうち1本を観ることが出来て観劇感激!
    青森に伝わる特異な文化“イタコ”という「生者と死者”をつなぐ者」が
    なんと強烈かつ優しい存在であることか。
    経文と憑依のシーンがキモだが、人の本音が迫力満点で迫り素晴らしい。
    「イタコ体験ツアー」とかあったら絶対行きたい!

    ネタバレBOX

    舞台中央から奥は大きな祭壇、階段状にぎっしりと並んだ神仏の類い。
    両脇にはたくさんの白い着物や制服など、亡くなった人のものだろうか。
    祭壇中央には深紅の細い珊瑚みたいなものが炎のように立っている。

    イタコ(林本恵美子)の元をひとりの女性が訪れる。
    このサトウハナ(三上晴佳)はホトケオロシを依頼するが、実は深い事情があった・・・。

    冒頭からイタコの唱える経文に惹き込まれた。
    インチキか、超現象か、という議論を超えた土着のリアリティが素晴らしい。
    もうひとつの見どころは憑依する場面、イタコの師匠でありハナの育ての親の登場だ。
    子を“捨てた”者、“捨てさせた”者、そして“捨てられたが大切にされた”者が交差する。

    イタコを通して、つまり人知を超えた存在から告げられる真実は
    恨みつらみを生むのではなく、聞き手に自然な受容の姿勢をとらせる。
    生きている者から言われると受け容れ難いことも、死者の声として告げられると
    どこかからりとした雰囲気ですんなり入って来る。

    アフタートークで畑澤氏が「3.11で被災しなかった東北人としての表現を探った結果」
    のひとつが「イタコ」であったという話が心に残る。
    「イタコ」も「カミサマ」も風土と結びついた文化である。
    “生きている者同士では上手くいかない世の中”にあって、人はこんなかたちで
    救い、救われるすべを生み出した。
    そこに演劇表現の原点を見い出した畑澤氏に感服。
    これからもイタコ劇作家として様々な作品を見せて下さい。

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