車窓から、世界の 公演情報 車窓から、世界の」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    舞台は地味なプラットホーム。日常の様でいて何か違和感含みのイントロ。恋人同士の関西特有の他愛の無いやりとりから、見え隠れし始める異常事態。固唾を呑むとはこのこと。原因定かでない悲惨な事件を核として、次々と剥がれて見えてくるショッキングな事実。サスペンス感だけで相当な重みだが、その実…やはりiakuの十八番、議論芝居の真骨頂。

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    ネタバレBOX

    「己れの影響で、大切な人達が取り返しのつかない…想像を絶する行為に及んだとしたら…」
    各々の立場で心揺さぶられ、持論を、疑問を、心の葛藤をぶつけ合う人達。世の中に情報として溢れる「生き死に」と言うものに対する自分の距離感をも自問させる。周囲の出来事を自分の主義主張に無理に紐づけて、都合の良い持論を展開するいけ好かないPTA副会長が出てくるのだが、悲しいかな、この人の見方が世間一般であったり、立場が違えば自分自身に投影されるものなのだと窺わせる…シビアな客観視。
    何かを介した、リモートや間接的な関係構築に慣れきった現代人に「傍から見ているだけでは人の心は何も解らぬ」とも囁く。

    そして安易な結論など提示しない。救いも与えない。ただ翻弄され、抗い、足掻き、言葉を闘わせ、甘さを叱責され、打ちひしがれ、重きを背負い、歩いて行く… そんな姿を見せつけて話は終わる。

    臓腑を抉られる感覚。せつない、いたたまれない、それでも彼らは…、私たちは生きていかねばならぬ。横山節をズッシリ堪能しました。エダニクよりも更に肌に合いました。

    観る人によって、登場人物の誰の立場に自分を投影するのかで、感じ取ることが相当違いそうな気がします。

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