ONNA 公演情報 ONNA」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    女性をテーマに、男性作家2人と女性作家2人、で2回の公演に分けて上演。男性2作が完全に別作品だったのに対し、女性2作が見事な連作、オムニバスになっていたのが印象的。

    以降、ネタバレBOXに作品毎の感想を書きます。

    ネタバレBOX

    ①10/23「どこいく。」(久川德明)感想】「かぐや姫を口説いてください」を観ていた私。パンフの女1「空白」を見た瞬間…「ヤツが来る!」とワクワクしておりました。絶対病みつきになってるよね(笑)
    シュールな展開とコミカルな会話の中、徐々に姿を現す2人の正体… 分かってから思い返すと、トランスジェンダーを感じさせる序盤のやり取りとの整合に謎を感じるけど、複合的に登場人物(?)に投影されてるのかなぁ…
    そして、歳とるとリアルに周りで発生する出来事に収斂していく。体験を伴うとやはり重い。

    ②10/23「ハハチチ」(渡山博崇)感想】インパクトある猟奇な出だし。狂気と無知と幼児性が選択権を握る中での タイトロープ的な交渉。それに笑いが散りばめられて…奇妙な味わいの展開でした。それだけでも十分な楽しみがあるところ、そこから更に「多様な根深い背景」を感じさせる深みがあって、重みが増したなぁ。おっぱいに対する多面なコンプレックス、幼児虐待、愛情の思い込み、境遇の脳内合理化… 各々で1作が作れそうなピースが沢山詰め込まれていて、想いを巡らすのが楽しかった。特に、複雑な背景を一つの演技で見せてくれた まといさんの芝居、良かったなぁ。
    そして最後に、本人すら癒した母性の代表で閉めたのにはぐうの音も出ません。まあ、今回は負けといたるわぁ…< 男の負け惜しみ

    ③10/30「スガタミ」(みなみ津姉)感想】女性の話と銘打っているので、トランスジェンダーの話であろうことは薄々分かるわけですが、それでいて尚、一般的な男の子の暴走を心配する母を演ずる荘加真美さんの演技はキレッキレで、可笑しいことこの上なかったです。
    そして、最後の姿見の演出が素晴らしい。理屈ではなく、見せることで分からせるインパクトの強烈さは見事でした。「スガタミ」は、まさしく、このシーンのためにある作品でしたね。

    ④10/30「心(ハート)より前にあるモノ」(鏡味富美子)感想】そしてスガタミから見事に連携して本作。割とテンプレになりがちな本人と周囲の葛藤を、あっさり省いてココに持ってくるのはテンポ良い。今時、理屈としては理解できる人は多いでしょうから、それを前提にした作りは納得。それに積み重ねて、母に起きた事件を描くことで、2作相互により深みが増してました。
    事を前に「女としての記憶を…」という母の行為なんかも、コミカルに描かれながらも、人間的で良い味だったなぁ。あと、母と子に起こる「逆の境遇」を象徴的に表現する印象的なセリフが多くて泣かせますね。
    そして、良いタイトルだなぁと最後まで見て、改めて思いました。

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