桜の森の満開のあとで 公演情報 桜の森の満開のあとで」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    鑑賞日2016/09/28 (水)

    28日の夜、新宿・歌舞伎町にあるシアターミラクルで、feblabo(ふぇぶらぼ)さんプロデュースの『桜の森の満開のあとで』(1時間40分)観てきました。

    ネタバレBOX

    とある大学の政治学科のゼミ研究室。ここでゼミ生の卒業をかけた模擬会議が行われていた。舞台は、日本海を望む古い街道都市・安宅市。テーマは、安宅市が独自に提出した、通称「姥捨山」条例。老人から選挙権を返上させるという条例である。この条例の是非を問う会議に、「地域社会各層の代表」の役柄を与えられた学生たちが喧々諤々の議論を重ねていくが、理屈、理想、感情、私情が結論を揺さぶっていく。卒業か、それとも矜持か…。

    まず、最初に断っておくと、坂口安吾の『桜の森の満開の下』との関連性は、特にありません。大学の政治学ゼミを舞台にした、男女学生と指導教授の『12人の怒れる男』といったテイストの作品です。
    でっ、模擬会議の題材は「シルバーデモクラシー」。超高齢者社会における有権者の過半がシルバー層であるため、どうしても高齢者の利益にそった政治になりがちで、若者の意見がなかなか通らない、といった、今日的な民主主義の課題を指します。さらに架空の街・安宅市に代表される、地方都市の行政・政治・人口減の問題まで絡んできます。
    本作品では、こうした議論を「地域社会各層の利益代表」=「オトナ」でなく、「〃」のロール(役割)を与えられたゼミ生に、学生間のディベート、という形でやらせます。そうすることで、現実の生臭さを排し・意識としてフリーハンドで、観客である私達まで巻き込んだ「思索」する場を創造したのかな…とかなんとか考えながら拝見させてもらいました。


    それから役者陣。

    どうしても秋元康にしか見えない(苦笑)…は冗談として、最後の最後にメンター(助言者)の殻を自ら破らざるを得なかった、池田智哉さん扮するゼミの指導教授

    「悪役」として模擬会議を終始リードした、学生役の加藤海帆さん、浅井慎ノ介さん

    そして『12人の怒れる男』における「陪審員8番」…ただし理知的なだけでなく、年相応の豊かな感受性も併せ持つヒロインの学生役・土佐まりなさん

    この4人を初めとして、それぞれに個性的な「等身大の学生」を演じられた若い役者さん達の熱演、大変見応えがありました。

    【追記】
    土佐さん、浅井さんの他は、初めて出逢った若い役者さんのおかげで、これ以降、彼ら・彼女らが出演する!ということで、従来なら手を伸ばさなかった部類の作品にも視野を広げられるようになりました。若き才能たちに感謝!です。
  • 満足度★★★★

    観てきた
    昨年に続いて観劇。目立つ人物がだいぶ変わったな、という印象。時事ネタもさらにアップデートしていて楽しめた。とても若い舞台だけれど、地に足が付ききれてない感じがいい。

  • 満足度★★★★

    模擬でも議論自体に意味がある
    会議者の舞台というと、三谷幸喜の「12人の優しい日本人」やアガリスクエンターテイメントの「ナイゲン」を思い浮かべるが、この劇はコメディではない会議劇。しかし、シチュエーションなどによる笑いはなくても、会議や議論する様というのは会話劇の恰好の材料であることに変わりはなく、それぞれの立場でぶつかり合う登場人物たちの思惑や感情、移り変わる会議の趨勢がテンポよく繰り広げられ、非常に面白い劇だった。
    現実の当事者たちの会議ではなく、大学のゼミのモックカンファレンスと言う設定により、劇が2段構造になっており、それぞれの立場の登場人物の意見や発言が、本当の感情・本音とイコールに必ずしもならないという「議論」の本質を強調することになっている。
    「超高齢化社会」という今まさにそこにある大きな問題を議論の題材にしており、劇として脚本として「これがこの劇での正解だ」とう姿勢で観客にぶつけるのではなく、誰も間違っていないそれぞれの立場の登場人物たちの意見を観客にぶつけることで、「知る事」「考える事」「他の人の考えを聞くこと」という議論や会議の、話し合うということの意義を観客に持たせることができていると思う。特に席も近いし、客席も多くないのでそのぶん自分も本当にオブザーバーとして参加しているように思えてきて、自分の意見を発表したくなってしまうくらい、考えて議論に感情ともども入り込むことができた
    劇自体の完成度という点では、ちょっと気になる所もあったけど、面白い劇だったので、観客が少なかったのが非常に残念だった。世の中に会議とか議論好きってやっぱりそんなに多くないのかなぁ。。。

    ネタバレBOX

    気になった点としては、音響系の効果音やBGMが劇の場面や雰囲気にあっていなかった。また、教授役の方だけ、他の人の演技との差が目立ってしまってどうにも気になった。ラストのワカナとミユキの2人のシーンも、説明不足というかそこまでの雰囲気とぜんぜん違う感じだったので違和感だけが残ってしまった
    しかし、それらの違和感やノイズがあっても、それぞれの登場人物たちが少しの台詞で大体どういうキャラかわかる展開なのは上手いと思うし、モックや会議の説明を新規に参加した登場人物に教えるということで観客にもわかりやすく説明される展開など、会議や登場人物の立場がよくわかった上で議論が始まるので、引き込まれてしまった。
  • 満足度★★★★

    観てきた!
    面白かったです。とても見応えのある会話会議劇でした。
    議題もリアルで良いですね。
    ちなみに坂口安吾は全く関係無いっぽいです(笑)

    緩急の付け方が素晴らしく、あっという間の1時間40分でした。
    特に反対派による反撃のターンが爽快で良かったです。

    最後の一幕は、、、序盤のシーンとギャップを感じてしまったので、
    ちょっと違和感というか蛇足感を覚えてしまいました。

    学生たちがロールプレイしながらの模擬議論という設定が上手いですね。
    多少セリフを噛んだり詰まったりしてもそれが味になってます。
    部外者?を入れることによる自然なルール説明も良かったです。

    当パンと一緒に配布される資料を観ながら観劇するとさらに楽しめるというアナウンスがありましたけど、
    あんまり見る機会は無かったかな(^_^;)


    長テーブル4つを口の字型に配置したセット。
    登場人物が座る位置は・・・

    ネタバレBOX

    会場入って右手の客席の真ん前が反対派、その対面が賛成派
    それ以外は中立の座席になっています。
    目の前の席は後ろ姿しか見えないので、座る位置で見え方が全然違うはずです。

    禁煙のくだりのとどめの追い込みがとても良かったです。
    あと、終盤の市長の鶴の一声には「おいおい」と思いましたけど
    そこからさらにひっくり返したのはお見事でした。

    ロールプレイの設定は自己申告制みたいでしたけど、
    ちょっと作り込みすぎていて逆に不自然な感じもしました。

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