錆びつきジャックは死ぬほど死にたい 公演情報 錆びつきジャックは死ぬほど死にたい」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-17件 / 17件中
  • 満足度★★★★★

    カッコよくてせつない機械人間ジャック
    劇団史上最も潤沢な予算で制作したと思しき豪華なステージを堪能。衣装もいつもり凝ってたんじゃないでしょうか。でも、一番凝ってたのが筋。2000年以上の思いが一気に結びついたラストシーンは涙。

    核のメンバー+ゲスト2〜3人で作り上げる毒とおふざけだらけの迷作も見たいよ。

  • 満足度★★★★★

    紀元前から続く、愛の物語
    X-QUESTの塩崎こうせいさんご出演とのことで観に行きました。格好良かったです!衣装?露出?が凄い!!!登場人物が多いし、幾つかの時代・場所を行ったり来たりして、混乱しそうになりましたが、最後はキレイにまとまったなー。各時代で色々な形の愛の物語が展開していて、それぞれ単純なハッピーエンドでは無い。そして、全てを見守るジャック。切ないですね。。コメディ要素もたくさんあり、戦闘シーンも普通じゃないΣ(゜Д゜)140分って長そうだなーと心配でしたが、見応え十分でテンポ良く進み、大満足!楽しかったです!!!

  • 満足度★★★★

    チャーミングな物語
    死ねない機械人間ジャックをはじめ、突拍子もないキャラクターたちが繰り広げる馬鹿馬鹿しくも壮大で、そしてチャーミングな愛の物語。

    恒例の開演前パフォーマンスや入場時に配られたアメの劇中への取り込み方、ハロウィーン時期ということもあって客席にも仮装をうながす仕掛けをするなど、さまざまな形で物語と観客の一体感をつくりあげていた。

    遊び心とサービス精神の旺盛な彼らの生み出す、馬鹿馬鹿しくもチャーミングな物語が、街のにぎわいを温かいものに感じさせてくれた。

  • 満足度★★★★

    劇場に着いた瞬間からポップンの世界へ
    公演告知の時点から仮装についての話があり、
    ハロウィン色を全面に出していたのでドキドキしていました。
    話を見終えて、現実とリンクするような
    作りになっているのが楽しかったです。
    (仮装してる人もしてない人も楽しめる)

    劇場に入ったときに配られたキャンディもただのサービスではなく、
    客席に魔法をかける意味合いがあって
    作中で明かされたとき「うまいなぁ」と思いました。
    ポップンの、こういう
    客いじりではない観客巻き込み方式、
    こちらが気づかないウチにされているところが、楽しいです。

    ネタバレに極力配慮した当日配布のキャスト表や、
    販売パンフレットの人物紹介も小さめの文字で
    「写真だけ見ようとしたとき、うっかり目に入ってしまう」
    を防止しているようで、
    とても親切な作りだと思いました。

    ネタバレBOX

    今回はいつもよりも
    わざと先の読みやすいストーリーにしているのかな、
    という印象でした。

    開演前パフォーマンスも、いつもと雰囲気がちょっと違う感じで
    本編のテーマをちょっと予感させるような話だと思いました。
    (ゴウダ役のNPOさんの熱演に
     開演前から涙ぐんでしまった…)

    中央のぐるぐる回る盆舞台(?)で流れていく彼女の人生を見せた方法が特に素敵だな、と思いました。

    前の方で観ていたので
    主演の方が暗転中も徹底してジャックであり続けたところがわかって、
    そこもすごいと思いました。
    そして前過ぎて(←笑)字幕になったときに一番下の行が見えなかったのがちょいと心残りでした。
  • 満足度★★★★

    豪華客演陣にもめぐまれて...
    下に、既に書いておられる方もありますが、毎度の「ロックな感じ」が少々少なめだったかも?しいて言えば、ここを御工夫下さい!舞台からあんなに離れてPMC野郎を観たのも初めてって思いました。サンモールでやってた頃と、客層もずいぶん変わった感じ。今後の展開も楽しみです。

  • 満足度★★★★

    おもしろかった☆
    こちらの劇団さんは 前作の「 ~ブルースレッドフィールド」 に続いて二度目。   相変わらずの 楽しいお芝居でした。
    ここの劇場は 初だったのですが、 駅から近いし 椅子はふかふかだし トイレはきれいだし とても良い劇場でした☆

    ネタバレBOX

    まず、ジャック役の久保田さんに拍手です☆   ”機械人間” らしい動きが とっても良かったです。  やってる方は 相当疲れるでしょうね。 お疲れ様です。

    それから ルートヴィヒ役の CR岡本物語さんも すごくハマってて良かったと思います。

    お話自体は  過去、現在の行き来が多すぎて  なんか疲れちゃいました。
    あとは、  ちょっと おふざけが多かったかな~ 

    でもやっぱり うまいですよね~   また次回を楽しみにしています☆
  • 満足度★★★★

    PMC野郎+ぴあ=優しい(分かりやすい)作品?
    PMC野郎+ぴあの結婚作品という事で、
    「ポップンマッシュルームチキン野郎」という
    いつものパンクぶりはちょっと少なめに感じました。

    序盤から展開する各世界でのジャックの行動について、
    すぐに「ああ、○○ってるんだな」という所までは分かりました。

    その他色々分かりやすすぎる配役など
    小劇場演劇というものの難易度を下げられるだけ下げた上で、
    ちゃんと最後に感動を持ってきた、
    という意味で面白い作品でした。

    多分、子供とかが観ても喜べる作品なんじゃないかしら?

    ネタバレBOX

    【思った事】
    ・ 最初、バンバン変わる年表/年号に
      別々の時間が同時並行して流れるような
      理解するのが結構大変な感じの作品かな?
      と懸念しました。
      (ちょっと最近そういう疲れるタイプの演劇は嫌だったので)


    ・ 出し入れしながらグルグル回す盆については、
      もっとうまい仕組みを作れなかったのかな?
      と思いました(シブゲキの制約?)。


    ・ 最初2015年、2012年、紀元前(?)の2つの年だったかを
      飛び飛び、その中で機械のジャックは人を見守っている、

      「ああ、これは時を超えて”恋人”とかを見守る」とか
      そういうテーマの作品だな、
      という事はすぐに解りました。

      しかし見守ってる対象が「女性」に限らないので
      「アレ?子孫全員を見守っている?」
      などちょっとした謎かけも。

      本当の目的に関係ないはずの
      ベートーヴェンまでが見守る対象に入った時には、
      物語の広がり方に驚きました。


    ・ キメラその他色々な連中の登場や
      ベートーヴェンを「佐村河内事件」ネタなど
      段々といつものシュールさを表に出してくる本作。


    ・ いつものような「つい吹き出してしまう大爆笑!」というような
      場面はなかったのですが、
      小劇場演劇の普通、
      以上には「笑いネタ」も面白かったです。


    ・ そして、2015年の博士の実験で吹っ飛んでしまった
      ジャックの記憶が戻り、
      ここまでの流れでジャックが本当に見守っていたものが、
      ・ かつて好きだった人の子孫
      ・ その娘が愛した男の子孫

      この2つの赤い糸が結ばれる事だと分かった時
      (+ それに関わった者達も見守ってきた)、

      そして博士の家を見守った理由がその答えだと分かった時、

      あののび太っぽい青年と博士の娘が出会ったあの時、

      ラジオからかつてジャックがベートーヴェンに
      着想を与えたあの曲が流れた時、

      かなり涙腺に来てしまいました。

      今回は弾ける形ではなく、こういう形でしっとりと落としに
      来たのだな、と。


    ・ ローマ帝国の時代?の
      ウラギリンティヌスやオンナスパイその他
      重要役以外にはあまりに分かりやすい名前をつける、
      あれもある意味
      「このお芝居を分かりやすくする」工夫だったと思います。


    ・ 機械人間ジャックの人のマイムとそこに入る効果音が
      見事に「機械人間」を表現していたな、と思いました。

      暗転してハケる中でもマイムを続けた
      その役者魂に凄さを感じました。
      (観客はどこで役者を観ているか分からない、
      どんな時も観客の気持ちを冷めさせないその工夫。)


    PS.シブゲキという渋谷の一等地だった事もあり、
      チケット代は高かったですが、
      お芝居自体にその価値は十分あったかと思います。

      自分はすっかり忘れていましたが、
      ハロウィンパーティー参加の準備を
      してきた人があんなに多くて
      それもまた楽しめました。

      ※ ハロウィンにかけた物語の締め方、
        そこからのハロウィンパーティーだった所も
        「上手いな!」と思わせられました。
  • 満足度★★★★

    面白かった
    今回の公演は制約が多そうで、いつものポップンらしさがかなり抑えられているのではと思っていました。なので、個人的には危惧していたよりはポップンのテイストが活きてたと感じました。
    初日と千秋楽に観劇したのですが、初日はジャックが記憶を失った事をしっかり理解せず、ちょっとあやふやな感じで最後まで観てしまった。2回目を観るまで時間があったので、パンフレットを読んだり展開を反芻しているうちに繋がったところが多くて、何度か思い出し泣きをしてしまった。結構余韻の残る素敵な物語でした。
    千秋楽は隣の席の方がずっと声をだしながら相槌をうち続けていて(謎)、観劇に集中できなかったのが残念。

    個人的に楽しみにしていた土屋さんがポップンらしい素顔のわからない役。やはりポップンに出演するならこれくらいやってくれた方が良い!あと、塩崎さんが筋肉バカと言われ続けていたのがツボで、露出の多さもファンとしては嬉しかった。

  • 満足度★★★★

    別の方も書いてた感じですが...
    前説の辺りの感じは、毎度のPMC野郎なのですが、今回、パンク抑え目って感じ。会場が大きいので、キャストをあんなに遠くから眺めたのも始めてかしら。劇団が出世していくのは嬉しいのですが、ちょっと寂しい気もしました。そして、もっとロックしてくれ!次作にも期待です!!!

  • 満足度★★★★

    優しいお芝居
    久しぶりの観劇にふさわしい盛りだくさんの舞台でした。
    美津乃あわさんが出演されているので観出した劇団ですが作品の世界観が好きで毎回拝見するようになりました。
    今回も息が止まりそうな程畳みかけるような展開が素晴らしかったです。

    ネタバレBOX

    今回は出演者も多く途中少し話が散漫になっていましたが、終わり方は納得のできるものでした。
    展開も早く、140分があっという間に過ぎていきました。
    可憐な華の存在の愛花さんとあわさんの圧倒的な重鎮の華が対照的で良かったと思います。主演の方の動きが素晴らしく、一瞬ダンサーの方かと錯覚する程でした。個人的には吹原さんの演技が秀逸で流石だなと感激しました。
    そして何度か拝見していて思ったのが、今回はおとなしめだった劇団の方々の中で、野口オリジナルさんとCR岡本さんがとても成長されたように感じます。特に岡本さんは「あわさんの相手役をすると魅力が増す」の神話をしっかりと受け取られていたように感じました。これからが楽しみです。
    ★を一つ減らしたのは、舞台装置がいまいちで最初劇場に入ったとき「え?これが5800円の舞台??」と一瞬思ってしまいました。
    おそらくフリークス歌劇団のイメージ先行で作られたのかと思いますが、にしてももう少ししようがあったのではと思ってしまいました。
    映像のアニメーションはポップンマッシュルームチキン野郎さんの世界観をものすごく引き立てているようで好きです。
    本当は主演クラスの力量の役者さんなので、ポップンマッシュルームチキン野郎さんの作品であわさんがもっと活躍するお話を観てみたいです。
  • 満足度★★★★

    少し
    以前の作品と比べると優しい感じの作品だなあと。

    登場人物の多さと派手さ、パワー系の作品であるところは
    いつもとそう変わらない気はしたものの。

    2時間を超える作品であるが、そんなに長いと思わせない
    展開の巧さも変わらず。

    ネタバレBOX

    ジャックがその役目を終えて、「死」を迎えるところまで
    行くのかと思いきや、ある意味ハッピーエンドで終わり。
    せつなさが足りないかなという気はした。

    泣ける度合いとしては「犬コロ」や「独りぼっちのBRF」が上か。

    あと、R-18でもないのにほたてひもさんが裸w
  • 満足度★★★

    愛加あゆさん
    愛加あゆさんが、小劇場に出るということで、それもPMCに出るということで、北市MAXで見に行きましたが、まぁ期待以上ではなかったかな。

    作品も前作の方が好みかな。

    それにしても、あまりお客さんがいなかったのがちょっとびっくりでした。

  • 満足度★★★

    期待が大きすぎて
    おもしろかったんですけどね、期待が大きい分それを上回っては来なかったかな。
    ポップンならもっと笑える、もっと心にググッとくるものを作れるハズだと思ってしまいました。
    お話を分かった上でもう1回観たらもっと楽しめたかと思うけどチケット代お高めなので断念してしまいました。
    ジャックの機械人間の表現は素晴らしかったです!

    ネタバレBOX

    ゲストの皆さんは上手くて文句は無いのですが、劇団員の皆様の影が薄めかなと。
    演技力があり個性も豊かな俳優さんを揃えているのに勿体無いなぁと思ってしまいました。
    ラジオ体操のくだりは私はハマらず。
    普通に戦ってカッコいい所を見せてくれても良いのにな。
  • 満足度★★★

    さすがの完成度
    練られたストーリー、迫力の殺陣、クオリティの高い舞台美術の数々
    さすがPMC野郎さん、と思わせる内容でした。

    複数の時代を往き来しますが、分かりやすい構成になっていましたので、
    戸惑うことは無かったです。
    今回はいつものエグいネタ、下ネタは抑え気味な感じ。
    そういうのを期待している人には物足りなく感じるかもしれません。

    演技ではジャックの動きがすごい良かったです。

    ネタバレBOX

    ウラギリウス、オンナスパイ、ハヤジニウスなどなど(笑)、
    名前で分かるシリーズがすごいツボ。好きです。

    殺陣のラジオ体操は前作で似たようなのをやってましたよね?
  • 満足度★★★

    笑いが抑えめなのは意図的なもの?/約140分
    構成が少しゴテゴテしすぎ。
    もっとスッキリ見せてくれれば、より食いつけたかも。
    あと、この劇団としてはオフザケがかなり少なめでした。

    ネタバレBOX

    加えて、死ねないジャックの悲哀にあまり迫れていなかった。
  • 満足度★★★

    潜在能力はあったと思うのだが…生かし切れなかったか
     はじめてのポップンでした。豪華な舞台装置に能力の高い俳優達、となると面白いはずなのですが…見終わって思ったのがまだまだ上を目指せたのに、という物足りないさでした。

     おそらく機械人間ジャックの行動理由が中途半端なところで明かされた事が一番大きかったような気がするのです。一番最初に明かしていれば主人公を追うことで物語を終えるでしょうし、ラスト近くで明かしておけば物語の解決として気持ちよさも生まれていたと思うのです。久保田さんの熱演の割には前半部分のネタ先行路線で主人公の存在感が薄れたのも勿体なかった。時代をあちこち行く展開だから余計に始まってすぐに「こいつが主人公!」という明確な提示をやっておいた方がよかったんじゃないかなぁ。

  • 満足度★★★

    ポップンマッシュルームチキン野郎はこんなレベルではないと思う
    大作にしてしまったためか、登場人物も多い。
    しかし、毒も笑いもいつもより少なく感じた。
    いつもの彼らの面白レベルには達せず。
    もちろん、ほかと比べれば、面白いことは面白いんだけどね。

    好きな劇団なので、少々辛口になった。

    ネタバレBOX

    このストーリー、チラシを見たときから「こんな話かな?」と思っていた線を大きく外れてなかった。
    すなわち、小劇場系のファンタジー系作品でよくあるパターン、「大昔から現代まで長い時間を生きてきた者が主人公」というものだ。

    最近では、再演された関西の劇団ショウダウン『パイドパイパー』がそれだった。
    驚くほど熱い舞台で、いろいろ突っ込みどころはあるものの、勢いで押し切った感があった。

    しかし、『錆びつきジャックは死ぬほど死にたい』は、ストーリーに特に捻りもなくストレート。
    しかも、その熱さは足りない。
    「熱さ」はもともとポップンマッシュルームチキン野郎には溢れるほどあったはずなのに!


    本作は、「ポップンマッシュルームチキン野郎」と「ぴあ」の共同制作プロジェクトだという。
    その制約があったのか(自主的なブレーキを含め)、いつものポップンマッシュルームチキン野郎で見ることができる、アブナイ・ネタが影をひそめていた。
    アブナイ・ネタがどうしても見たいということではなく、それらの舞台上でのコントロールの仕方が彼らの持ち味であるからで、それがないとどうも寂しい。
    ポップンマッシュルームチキン野郎は、悪ふざけをしているようで、その実、とてもよくコントロールされていて、物語の構成もしっかりしていて、「芯」がくっきりしている。
    その「芯」が情感に訴えるところに見事に持っていく上手さがある。
    そこが面白いのだ。
    悪ふざけ(風)で、単に笑わせました、とならないところだ。

    しかし、今回は、どうもそういった彼らの上手さ、面白さには繋がっていかなかった。

    「CBGKシブゲキ!!」という劇場のインパクト、その劇場にふさわしい高めの料金設定、さらに「ぴあ」というエンタメ系の大企業とのコラボということからか、気負いが強すぎたのではないだうろか。

    その劇場にふさわしい内容、その料金にふさわしい内容、さらに「ぴあ様」(笑)に不快感を与えない内容ということで、座組を含めてスケールアップしてしまった。
    作品自体も2時間超の大作に。

    そういう「枠」を気負いから先に組んでしまったのではないか、と感じた。
    (たぶん)普段ならば、切り詰めてシンプルにしたであろう、エピソードもたっぷりと見せた。
    紀元前のエピソードもベートーベンのエピソードも、意外と“長い”。
    丁寧に描くことで、ラストの感情に高まりを持っていくという構想だったと思うのだが、長すぎて逆にポイントが呆けてしまったように感じた。

    なので、本公演で言えば前作『独りぼっちのブルース・レッドフィールド』にはあった、彼ららしさが消えてしまっていた。
    前作では、渡辺徹さんという上手い役者が入ることで、それまでにはなかった主人公が物語の中心に太くいる作品になっていた。しかし、本質はポップンマッシュルームチキン野郎そのものであり、彼ららしさがそこにはあった。劇団や客演の人たちがきちんと自分の果たすべき役割を果たし、物語を面白くしていたのだ。無駄がなかった。毒もあった。笑いも多かった。

    今回も、劇団員と主立った客演の人たちのキャラはなかなかだったが、今ひとつ、粒が立っていかない。それぞれのシーンではそこそこ面白いのだが、彼らにキラッと光を見せてくれない。
    前作までは、どんな脇のキャラだとしてもキラッとした、その役者さんらしいところをきちんと見せ、笑いにつなげていたのだが。

    もちろん、ベートーベンを演じたCR岡本物語さんはかなり良かった。今までのザコ・キャラ(今回の山賊とか・笑)とは違い、彼の良さを引き出していたと思う。しかし、そういう扱いは彼だけだった。

    展開として、「なぜジャックは女性を見続けているのか」を、謎的な感じにして引っ張っていくのだが、最初から見ていたらそういうことだろ、と大方の観客は早めに察していただろう。
    その理由が結構後半に明らかにされるのだが、察していた範囲から1歩も出ることはない。
    意外性がなさすぎるので、「えっ」と思った。
    だったら早めにそこを知らせて、「で、ジャックはどうするのか?」に観客の興味をスイッチングすべきではなかったのか。

    ただし、紀元前に結ばれることのなかった男女が結ばれるのか、というところが唯一のフックであり、そこは“わかっていた”が、落ち着くところに落ち着いて観客を安心させた。
    「諦める恋」「結ばれない恋」(ベートーベンとか)が描かれた上でのラストはいい結びだと思う。

    しかし、ラストシーンとしてはイマイチ。
    2人出会って何かありそう、というシーンが妙に長い。丁寧なのはわかるのだが。ここは一気に攻めてほしかった。
    そして、ここでラストでも良かったはずだ。
    ところが、まだ先があった。

    ジャックと仲間たちが出てくるシーンがあるのだ。
    たぶん、“仲間たち”を出してのエンディングにしたかったのではないだろうか。

    実は、そこに“ガッカリ・ポイント”がある。
    この作品には大切な、その“仲間たち”の活躍がないからだ。だからラストに蛇足感がある。
    つまり、ストーリー上の活躍がなくても、役者的、キャラとしての活躍は今までのポップンマッシュルームチキン野郎(長いので以下「ポ」とする)にはあった。先に書いた通りに、アンダー・コントロールで。
    しかし、本作にはそれがないので、ストーリーの中で活躍させてもよかったように思えるのだ。

    彼らの“活躍”は実を結ぶことがなかったとしても、「ジャックを助けていた」というような展開のエピソードぐらいあってもよかったのではないのか。

    “笑い”ということで言えば、確かに面白かったのだが、ニヤニヤしたり、思わず吹き出したりと言った、今まで彼らの作品にあった笑いのバリエーションに乏しかった。
    「ここからは○○にする(関西弁とか)」が2回あって(前作にもあったかな?)、このパターンを彼らの“鉄板ネタ”にしたいのかもしれないが、2回めの「ラジオ体操」ではあまり笑えなかった。
    紀元前の設定に現代の名称やモノが出てくるのも、いちいち突っ込まなくてもいいのに、と思った。
    わかりやすくしたのだろうが、1回言ったらあとは黙って見ている、ぐらいでいいんじゃないのかな。

    そう言えば前半に「透明人間が見える飴云々」の台詞があった。観客が劇場に入る前に飴を手渡されたのだが、その“飴”にこの台詞がかかっていて、観客はそれ以降、裸の透明人間が見えている、という設定は、観客のどれくらいに伝わったのだろうか。
    それこそ「わかりやすく」するためには、開演前の前説等で「飴食べて」と強調するぐらいのほうがよかったのではないだろうか。

    渋谷はハロウィンに浮かれていて、舞台の上よりも驚くほどのコスプレの人々がいた。
    なので、彼らの舞台でいつも面白がっていた面白メイク&衣装にはまったくインパクトを感じなかったのは残念。むしろ何もしないほうが驚いたと思うのだか。透明人間の裸はインパクトがあったが。そしてももちろんキメラは渋谷街にはいなかったけど(笑)。

    ジャックを演じた久保田秀敏さん動きは良かった。
    先にも書いたが、ベートーベンを演じたCR岡本物語さんもとてもいい感じだった。山賊でノビノビしているのも良かった。

    この先、この劇団はどう展開していくのか興味がわいてくる。
    毒は中和してわかりやすいコメディ劇団になっていくのか、あるいは彼ららしさを失うことなく、それであっても広い層にアピールできる劇団へと突っ走っていくのか。

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