人が流されていく川 公演情報 人が流されていく川」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-13件 / 13件中
  • 満足度★★★★★

    「安楽死施設」が実現するかもね。
    近未来の設定である「安楽死施設」での物語。現在の道徳観では殆ど認められないであろう自殺志願者を安楽死させてくれる施設だが、
    自殺に伴う苦痛、恐怖からの開放。
    電車に飛び込んだり、ビルから飛び降りたりした時の周囲への迷惑。
    それに、誰が考えても理解できる、その人の将来への絶望的な展望。
    更に、死を選ぶことの個人の自由、尊厳。
    などを考慮するとひょっとすると、将来、2050年とか2100年ぐらいでは存在するのかもしれないなぁと観覧しながら考えた。
    この場面設定の凄さにまず引き込まれた。初見の劇団の公演だったが、鮒田氏の作品はこのようなテーマが多いのだろうか?
    (あとはネタバレに記載)

    ネタバレBOX

    しかし、劇中での救いは、自ら命を断つことへの否定が織り込まれていたこと。
    「死にたい」という言葉は「助けて」ということなんだという台詞や、藤岡豊さんが演じるサラリーマンが自殺したことに対する主人公、堤あおいに対する皆の非難、自殺したと思っていた神田さくらの妹が川に流されながら「助けて」と叫んでいたことを愛ちゃんが吐露する場面。
    それらに「自殺病棟」に対する否定を感じられ、救いを感じた。

    坂本祐祈さん演じる自殺志願の患者、早瀬のバックグランドが説明不足で分かりにくかった。舞台の最初と最後に登場して、この舞台の重要な役割を果たしているのだから、彼女が死のう考えた背景をあとワンシーン作ってでも説明されていると更に良かったのかも知れない。(美人ですしね)
    橋本亜紀さん演じる愛ちゃん。演技力は素晴らしく観客の注目を一点に集めていたが、何故にあの派手で奇っ怪な衣装(白長靴は缶詰工場で理解できるが)と大きな叫び、派手なリアクションが必要なのか、理解に苦しんだ。最後の吐露を引き立たせる為には別のキャラクターの方が良かったのではと感じる。
    主人公、堤あおいを演じた宍泥美さんの迫真の演技。この舞台を引っ張っていく主人公の悲しい強さを十分に表現されていて、とても良かった。
    最後で宍泥美さんと坂本祐祈さんが取っ組み合ったまま、舞台がフェードアウトして芝居が終わるシーン。エンディングとしてとても良かった。「いらん子は川に流す」台詞が心に残った。

    いろんな想いを考えさせてくらた鮒田氏の次回作への期待が膨らんだ今回の公演であった。
  • 満足度★★★★

    出来るかもしれない施設
    近未来の話という設定であるが、本当に出来るかもしれない施設という印象を受けました。脚本、設定が面白く印象に残る観劇でした。
    以下、公演中なのでネタバレで。

    ネタバレBOX

    近未来において、死にたい人を安楽死させる施設が出来ているという設定の舞台。そこに来る人(連れてこられる人)、そこで働く人達の考え方や感情の動きを舞台化している。大局では、自殺する人は勝手にすれば良いという考え方と思いとどませるべきというの考え方がある。一般的には、後者の考え方が多いとは思われるが、前者の考え方も決して少なくないのではとも考えさせられる。夢や希望という言葉が絵空事のように聞こえ、現実には、国内で年間3万人(一説には年間11万人)という自殺者が出ているのだから。
    本舞台では、それぞれの考え方の揺らぎや一種のあきらめが感じられ、見応えのある舞台であった。
    「死にたい」というのは、「助けて」と言っているのと同じというような台詞が特に印象的でした。

    だが、お笑いの要素等はこの舞台にはいらなかったのではとも思う。
    会話での笑いではなく、特にリアクション等での。
    それも、その役の方の強がりを表現したのかもしれませんが。

    近未来にはあるかもしれない施設ですが、それでも無い未来を祈ります。
  • 満足度★★★★

    演出、演技論に徹底的に拘ってみれば大化けの可能性あり
    舞台は終始川の土手で展開する。

    ネタバレBOX

    舞台奥が高く手前が低いちょっと変わったレイアウトで川の土手を表し、上手には、途中で寸断された木製の構造物が設えられている。これは、対岸へ向かって延びていた橋の残滓である。対岸は、無論、客席側になるので舞台上で描かれているのは此岸のみだが、対岸には缶詰工場がある。
     物語は、此岸にある施設に係る人々の話である。施設とは、生きていたく無い人を安楽死させる為の施設で福祉課の管轄であり、調剤指示を与える為の医師もいれば、ケアスタッフも居る。要するに体の良い姥捨て山の未来版であり、別にお年寄りのみならず、自殺志願者は総て対象になる。但し、一旦、安楽死を望んで施設に入った後、逃げ出して普通の生活に戻ろうとする者に対する世間の風は、犯罪者に対するより厳しく、住む所も仕事も見付からないというのが実情である。また、施設で働くスタッフ達も出来れば殺人に携わりたくない、と考えているというのが実情だ。
     然し、そんなことにはお構いなく、死を選択する者は後を絶たず、逃げ出す者も後を絶たない。今作が極めて特異な点は、ヒトは他人を見捨てて良いのか? という極めて素朴な問題を根底から観客に突きつけてくる点である。このラディカリズムが、通常の芝居によって演じられている所に、ありきたりな表現を見て仕舞うことも事実である。タデウシュ・カントルのように演じない「芝居」を演出した方が、より世界的な評価は受け易かろう。但し、日本の演劇界では毀誉褒貶甚だしかろうが、それだけの演出をしても耐えるだけの優れた問い掛けを内包したシナリオである。
  • 満足度★★★★

    考えさせる...
    未来にあってもならいことを前提...芝居として観せるまたは考えさせるという発想力に驚かされた。この勾配のある舞台セットのように足元が不安定で、揺らぐような不安感が、公演全体をミステリー・サスペンスの雰囲気を醸し出していたようだ。

    しかし、ストーリー展開する上で気になるところも...。

    ネタバレBOX

    舞台セットは、奥から客席に向かって全体的に斜めに下がっている。それは河川の土手をイメージしている。上手には、途中で寸断したと思われる橋の残滓がある。対岸は客席側になり、舞台上で描かれているのはこの岸のみだが、対岸(客席)には缶詰工場がある。

    物語は、この川岸にある施設で働く人々の話。施設は死を願う、無意味に生きていたくない人を安楽死させるためで、町の福祉課が管轄している。調剤指示する医師もいれば、ケアスタッフもいる。近未来の姥捨山。そこは年寄りだけではなく、自殺志願者は総て対象になる。
    一旦、安楽死を望んだ後、逃げ出して普通の生活に戻ろうとしても世間の目は、犯罪者よりも厳しいという。それでも死を選択する者は後を絶たず、また逃げ出す者も多くいる。
    施設で働くスタッフ達も出来れば殺人に携わりたくない、と考えているというのが実情だ。

    人は何のために産まれて、生きていくのか。そして”死”も自身で選択できる。しかしそれに他人、ましてや行政機関が関係しているという。「生・死」の扱いを客観的に見つめ、シュールな感じもする。その着眼点は面白く興味深いが、その状況に至る過程が説明不十分のようだ。物語として敢えての状況設定にしても、人間の内面だけを描いているわけでもない。過去、脛に傷を持つ人達にしても”死”の捉え方が淡白でその重要性が感じられない...逆に言えば”たかが命”と言わんばかりの軽さ。その心境に至る過程の説明が必要ではないか。女二人の邂逅は、静かな狂気が感じられる。その憎しみ合う雰囲気も良かった。

    脚本テーマ、その観せる演出と舞台セットは面白い。役者の演技もバランス良くテンポも心地よい。それだけにもう少し臭くならない程度の説明があれば...。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★★

    橋本亜紀さんが凄いね。
    この時期にピッタリのシンプルで独特の世界観が癖になる味わい。
    粗さも含めて(少数派かもしれないが)このへんてこりんな人々に嵌る人はいると思う。
    これは、怖い!!

  • 満足度★★★★

    モヤモヤが残りました。
    興味深い設定で、どんな展開になるんだろうと気になっていましたが、かなりモヤモヤが残ってしまいましたね。無難な落としどころということでしょうか。人間一度決断しても、ちょっとのことでグラグラになっちゃうものですから。決して悪い芝居ではないのですが。

  • 満足度★★★

    役者さんとテーマは良かったけど
    他の方と似た意見になりますが・・・。

    ネタバレBOX

    チケットプレゼントありがとうございます☆
    それぞれ話の細かい設定や 人物の過去エピソード(特に入所してる女性は重要だったのでは)が無かった事、


    それと 叫ぶようなシーンや転がるシーンが不必要に多かったり。
    面白い要素を入れたかったのでしょうが 面白くなくて終始シーンとしていたり。
    愛ちゃんがプリンを全部食べるシーン。
    観客は飲食ダメというのに わざわざあそこで食べる必要性って?


    とはいえ愛ちゃん:橋本亜紀さんスゴかった。
    キャラも なんだかなのウザい役ですが 彼女の演技は実力派。
    今後の活躍が気になります。
    主役:宍泥美さんの 気の強いキャラも良かった。
    ほか役者さんは 実は1人1人良かったのだけど それがあまり生かされてないイメージでした。


    でもテーマと最後の投げかけ自体は 良かったと思うのです。 
  • 満足度★★★

    テーマは重く共感できるのですが・・・・
    その表現が追いついていってないなぁ~と思えた90分の作品でした

    ネタバレBOX

    状況・作品の背景説明が舞台上で明確にされてなく、心情吐露の会話劇がいまひとつピンと響いてこなかった・・・。

    ごみ集めの姉さんが主役でもあり生存背景とか周囲との関わり等設定は作り込まれている様であったが、いかんせん 表現が心に届かなかったなぁと思えたんですの・・・。

    自分的には「銃夢」の最初の話で主人公が、そ~ゆ~施設を叩き壊す方に賛成ですが・・・・。(とりあえず生きてみろやって思うのです=どうせ100年とか生き抜くのも大変なんだから・・・・)
  • 満足度★★★

    絡みや背景
    各人物の人生にある背景、設定が見えないので、死へと結びつく意味がわかりにくかったことと、各セリフとセリフの間隔、間合いが長いので、話に入り込めなかったです。重たいテーマであることは伝わってきました。

  • 満足度★★★

    必要になってくるかもね
    他人の心の叫びなんか見極めることなんか絶対にできないとは思うものの・・・重いテーマである。この劇団の芝居,前も結末が腑に落ちるまで数日要したけど,今回もそうみたい。これが作風なのかなぁ。え!これで終わりなの?って思ってしまったもの。でも,ピンピンコロリが理想とされる高齢化社会,こういう施設も必要になってくるのかなぁと(自分にももしかしたら必要になるのでは?と)思うと,ゾッとしてくる。

  • 満足度★★★

    安楽死の施設とは?
    安楽死の施設は死のうかどうか迷っている人を受け入れる場所ではないです。
    既に死を決断した人をほう助する施設で、積極的尊厳死の場合は施設到着後はそれほど時間をかけません。(スイスではコップに注がれた飲み薬を順番で3種類飲むようです。)
    それから考えると生死に迷いがある何人かの登場人物は設定には合いませんし、溺死のほう助なんてありえません。
    さらに勝手に死ねとはおかしな話です。
    そして、コミカルなシーンをまぜていましたが、このような芝居には違和感が残り、必要ないと思います。

    ネタバレBOX

    簡単にいえば、久しぶりに再会した二人の共有する昔の事件がトラウマになってしまい苦悩している話。
  • 満足度★★★

    この舞台の意義
    回復の望みが全く無い場合の苦痛を除くための医療行為(精神疾患も含む)のみが安楽死の唯一の対象のはずなので、ここに登場するような施設はあり得ない。「死にたい」と口に出すことの本心は「助けて」という悲痛な叫びであり、その尊い命をそばに居ながら救えなかった人もそれを思うと同じくらい辛い、ということをこの架空の設定によって改めて伝えているのがこの舞台の意義なのでしょう。

  • 満足度★★★

    発展途上として・・・
    奥深く、私にとっても興味あるテーマであったのですが、それを効果的に伝えきれなかったのではなかったか、に尽きます。
    アイデアについては、近未来に予想される安楽死施行所での患者(来客ではおかしいし、囚人でもない)の過去、さらには職員の感じ方などを織り混ぜながら、面白い、考えさせる展開を予想していました。
    私が消化不良となったのは、次の理由からです。
    ひとつめは脚本の人物の描き方。登場人物の「今」を知るための「過去」をもっとていねいに劇中に出していただきたかった。入所していた女性について、最後まで「安楽死」する手がかりが情報ゼロに近く、よかれあしかれ、彼女の過去の重さをもってしても、安楽死は是か、それとも否定されるべきなのか、考える糸口を与えてはもらえませんでした。働く職員にしても然り。一般的な人物が、抽象的な人間が、「生か死か」を悩んでもなにも感動がないのです。
    ふたつめは、間の取り方です。なめらかに展開されていかない。そんなもどかしさがありました。
    みっつめは、叫ぶ場面の多さです。いくつかを「絶叫なし」で演じたらいいのにと残念に思いつつ見ていました。
    よっつめは、笑ってもいいのかどうか迷った場面がたくさんありました。暴力的な場面、転げ回る場面。周りの方もそのように感じたようで、笑っていいのか(つまり笑わせようとしているのか)、そうでないか迷いました。気を使って劇を観るのは久しぶりです。

    テーマ自体が深いものですから、さらに脚本を、演技を改善していけば、すばらしいものになると思いました。

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