夜を急ぐ者よ 公演情報 夜を急ぐ者よ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    勝野親子の熱演に心酔

    14日の午後、東京六本木の俳優座劇場で上演された、佐々木譲原作、演劇集団PLAN P による舞台『夜を急ぐ者よ』を観に行った。これは、知人の若林美保が出演していた関係からである。
    この舞台のウリというのは、4月に同じ俳優座劇場での他作品公演でも好評を博していた勝野洋と娘である勝野雅奈恵の共演、それに昨年宝塚星組を退団した蓮実ゆうやの登場であろう。
    物語は、アメリカ留学後地元沖縄でホテルを経営する上原順子(勝野雅奈恵)と、留学前に一目惚れした学生運動活動家でありその後やくざとなった原田泰三(寿大聡)との関係を核に、学生運動の同士で後には原田の所属するやくざと敵対する団体のメンバーとなった田中久敬(西村真)、上原や田中を検挙を仕事とする刑事の木崎鷹矢(勝野洋)、原田の弁護を担当し、後に上原の経営するホテル買収を目論む企業の顧問弁護士になる(刑事の木崎に好意を持っていた)永野須美子(蓮実ゆうや)たちが、恋愛、ヤクザの抗争、沖縄、逃亡生活などを背景とした複雑な人間関係によって苦悩する姿を描いている。
    内容がかなり濃いものだけに、原作の佐々木がネットで「第1幕は歌あり踊りありでニュージカルのよう」と評していたが、適度な歌とダンスが観客の緊張した心のガス抜きの役割を果たしていたように思った。普段、どちらかと言うと劇中にダンスを入れることをあまり好まない自分ではあったが、元宝塚の蓮実を活かす舞台演出という面からも、この第1幕の作り方は、進行の間延び一歩手前で上手く作用してように感じた。
    舞台全体の中心的存在は、やはりヒロインを演じた勝野雅奈恵。彼女の華あり影のある演技が、舞台全体を引き締めていたが、同時に舞台経験豊富な芸達者な共演たち(勝野の父親も含め)の濃い演技も楽しめたし、それが勝野親子の存在感をさらに高めていたように思われた。
    原田役の寿大はフッと緊張感の緩む瞬間はあったがなかなかの熱演。
    「未来と約束するな。約束したら未来を失う」というこの舞台全体を支配する言葉を吐いたおばぁ(笠松真智子)のセリフ・歌・踊りは、なかなか味のある存在感を醸し出していた。こういう役者は貴重だなぁ。
    わが若林美保は、上原順子の友人吉岡礼子役で第1幕で活躍。


    そういえば、観終わった後、先に書いた恋愛・ヤクザの抗争・沖縄・逃亡という要素を併せ持った小説と映画に出会った事があったような気がした。あれは・・・佐木隆三の『海燕ジョーの奇跡』。時代背景が、今回の舞台とダブっているように記憶している。

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