新しい等高線 公演情報 新しい等高線」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-10件 / 10件中
  • 満足度★★★★

    目を見開いておこう
     取材に基づく重厚(役者の演技も見事)な内容で、最後まで見応えがあった。1941年から1945年8月18日までの約5年の民間地図会社(色彩堂)における人間模様。戦時下における地図作成の重要性について、考えもしなかった。今では考えられない切り口で、とても新鮮味が持ったと同時に深い感銘を受けた。
     国家による地図の塗り変え、民間地図会社の統合などの問題は、現代でも情報隠蔽・規制に繋がる重要な提起だと感じた。そんなことを考えさせる好作品だ。
     なお、特高警察が来訪してあのようなことを語るかどうか…。(ネタばれか?)

  • 満足度★★

    平凡すぎたかなぁ
    今回で3作品目になりますが、以前と比べてしまうとなんか 平凡に終わってしまったように思えます。
    戦時中の再現 ということでは よいのかもですが なんとなく 平凡になりすぎたように思えます。
    想像の世界なんですから、もう少し なにかが ほしかったなぁと

  • 満足度★★★★

    書き足されていく、喜びと悲しみ。
    地図なんて今では100円ショップでも買えるしアプリで見放題だけど、どこかに行くのもいつも必需品です。月日によって変わっていく風景も今その瞬間だけが書き記されている。考えてみれば、ものすごくドラマなんだと再認識しました。以下

    ネタバレBOX

    昨今では衛星写真で詳細に地形を見ることが出来ますが、土地ほど曖昧なものはないと思います。県境の森とかいちいち把握してる人は稀だと思います。
    思ったよりも時間は長く感じませんでした。実際の地図作成や会社がどういう風になっているのか、そのあたりの描写があればもっと素敵だったのにと思います。また人物のキャラクターが濃すぎるのは、重くなり過ぎない為には良いのかも。佐藤拓之さんの落ち着いた雰囲気が身心地よかった、終盤の感情の爆発は動機付けが少し弱いような気もしました。
    月日が劇中で過ぎていくので、関わった人々、登場人物たちが、いつの間にかいなくなっていく描写は寂しいけど好きです。地図も震災や津波で更地になっても、また町が作られていく。そこには絆や挫折、様々な想いが、生き死にといった出来事が確かにあるのに、地図にはただ無機質に記しているだけ。残酷なまでに客観的な正確さは、恐ろしさと同時に心動かされる美を感じました。ありがとうございました。
  • 満足度★★★★★

    覚えておきたいこと
    戦時中の地図会社社員を要所要所で区切ったドキュメンタリー風な作品。俳優さんのすばらしい演技にまずは拍手です!そして一輪挿しが飾られなくなる瞬間や衣装の展開などの演出もとてもよかったです。ストーリーにぐいぐい引き込まれました。日本がたどった戦争の歴史と国民の感情をぎゅっと濃縮させた、とても丁寧に創られた作品だと思います。
    偶然が幾重にも重なって今ここにいる。必然なのか偶然なのかわからないが、過去に起きた事実は忘れてはならない。そんなメッセージが込められているように感じました。

  • 無題1039(14-078)
    19:30の回(晴)。18:50受付(整理番号付)。19:10開場(整理番号10ずつ)。「色彩堂」社長の自宅兼事務所のリビングであり応接室でもある部屋、中央に大きな机、下手にコート掛け、正面は庭、カーテン。上手に柱があり、各話ごとに花が差し替えられる。

    座席が変わって初めての公演。昭和15年秋〜20年夏までの5場。車の音、110分、19:32前説(アナウンス)、開演〜21:19終演。

    カラーの当パンを開くと「SENTIO」閉鎖に触れている箇所がありました。稽古の様子を写した写真…SENTIOですね。そのSENTIOの「白痴」からの5作目。

    ネタバレBOX

    「てがみ座」の「地を渡る舟(2013/11@シアターW)」と構成がよく似ていると感じました…戦争、社長/館長、女中、公権力、復興…が、あまり「戦争」そのものに関する表現がなかったのはどうしてでしょう。

    先日、アサヒ・アートスクエアへダンス公演を観に行ったのですが、時間に余裕があったので「被災69周年東京大空襲資料展(@浅草公会堂)」を観てきました。

    その時目にしたものと本作とは大きく印象が異なります。

    関東大震災(1923)、1941の真珠湾攻撃〜1945の原爆投下、玉音放送…。

    多くのものが喪われたはずなのに、意外とさらっと触れているだけ。なので「地図」へのこだわりや想いがあまり伝わってきませんでした。

    一人一人の生を賭したもの…そういったものがあったはずだ、と終演後思いました。

    「偶然」生き残ってしまった者として何をしなければならないのか、「廣島」へ行くということはどういうことなのか。

    とはいえ、お芝居はとても面白く観ました。
  • 満足度★★★★

    面白い題材
    良かったのですが、全てが八掛けのような気がしました。

    ネタバレBOX

    印刷業の木村さん、田舎から預かった親戚筋の娘さん純子を、もし女中として預かってくれなかったら女郎にするしかないなどと脅して強引に色彩堂に押し付けた割には、伊豆に疎開するときに純子を伴おうとするなど、アレっと思うくらい結構いい人でした。資産を処分すればとは言え、伊豆で悠々と暮らせるだけの人が女郎にするしかないなどと言って押し付けるものかと少々疑問でした。

    足の悪い永井さん、唐突にいなくなりました。出番も無くなりました。手紙に検閲があることが常識であったなら、本編中にあったようになぜ天皇陛下の馬鹿と書いたのか疑問です。戦闘で生き残ったことへの悔恨の情から出た言葉だったとしたら、特高に捕まったままというのも不思議です。思想的に本当にそう思っていたのか、どういう流れの中での言葉だったのか、真意を知りたいと思いました。そして、実際に特高が色彩堂に乗り込んで来るくらいの緊張感もほしかったです。

    終戦後、永井が戻って来て純子とのロマンスが実ってもバチは当たりません。それくらいやってあげましょうよ。

    義父が版権を狙っていたために東京大地図が刊行されなかったのかと思っていましたがそうではありませんでした。義父もいい人でした。社長がこれから米国によって壊される東京を偲び難く思って美しい東京の地図の刊行を差し控えたとのことでした。そうなんでしょうが、地図を刊行することで、国民や権力者に東京を破壊から守ろうとする意識、空襲を回避させる方策、即ち戦争終結ということを考えさせる一助になったかもしれないと思うとやはり疑問でした。

    演劇をするために満州に行った二人も心配です。甘粕さんの名前を聞いて満映の様子を描いた『さらば八月の大地』を思い出しました。どちらも昭和20年8月までしか描いていないので、無事日本に帰れたのか肝心なところは不明です。

    役者さんたちはどこか素人っぽさが残っていました。

    舞台装置は綺麗でしたが、しょっちゅうしているはずの将棋盤や駒は新品のようでした。夏暑いと言っていましたが、カーテン閉めて窓を閉め切っていればそりゃそうでしょうと言いたくなりました。

    軍事的に重要な施設を公園と表記するなど戦時下の状況については勉強になりました。
  • 満足度★★★★★

    そういえば、そうでした。
    地図をよく見ます。

    といってもそれはスマホの地図アプリのことであって、
    見たいのは道順を確認するための道路地図であって。

    その向こうに地図を作る人たちの思いがあることをすっかり忘れていました。
    以前の地図には、そういう思いが溢れていたのでしょうね。


    静かな演技でも、静かな演技だからこそ、しっかり届くいい作品でした。

  • 満足度★★★★★

    これからのこの国の姿
     ほぼ、大東亜戦争の時代を描いたハズの今作が、自分には、これからのこの国の歩みのように見えて仕方が無かった。

    ネタバレBOX

     戦前の治安維持法より悪質な秘密保護法と言う名の情報隠蔽法が強行採決されたばかりで、今年は、共謀罪も狙っている自民党だから、当然、こういう懸念も出てくるわけだ。実際、この「国」の為政者ときたら、何らパースペクティブもないまま、阿保としか言いようのない選択を平気でしておきながら、一切、知らぬふりでしゃあしゃあとしているわけだから、また国民をミスリードすることは大いにあり得ることだ。その好例が原発再稼働へ舵を切っていることである。公約など最初から守る気もないことは、今迄の安倍や石破、菅らの発言を観ていれば明らかである。
     日独伊三国同盟を締結後の1940年11月から敗戦を迎えた1945年8月迄の足掛け6年間を地図出版社・色彩堂の動向を中心に捉えた作品。長引く対中国戦線で、日本は、かなり疲弊していたが、1941年8月のアメリカの対日石油輸出禁止などの動きは、硬直化した政治、軍に対英米の戦争を選ばせた。敵性言語の禁止とかで、ゴールデンバットの名も金鵄に変わり、野球などでも英語が排除されてゆく。これも阿保な話だ。孫子を持ちだす迄もなく、本当に勝つつもりなら、どんどん、英語を学んでその思考法のプラス・マイナス、特徴などを分析することが先決だろうに。対米英開戦反対派を押し切り、宣戦布告もせぬまま12月8日には、真珠湾攻撃が為され終に大東亜戦争が始まる。然し日本軍は緒戦を制したのみで翌1942年6月初旬ミッドウェー海戦で大敗を喫して以降、急速に制海権、制空権を失い、物資の調達や輸送さえまんろくに行えなくなった。戦死兵の数も日本軍は、戦闘による死者より病気や飢えで亡くなった兵の方が多いと言われる程だった。状況は悪化の一途を辿ったのである。1943年2月初めにはガダルカナルからも撤退。内務省は3月、本土決戦を見越してか単なる物資不足からか地図会社統合を要請、国家統制をどんどん強めていった。4月には山本 五十六も戦死。以後、連戦連敗。犬死にする為だけに万歳突撃などを繰り返し(1945年2月硫黄島での戦闘を除く)、1944年7月サイパンが陥落してからは、B29 の航続範囲に東京も入り、連日のように空爆に遭うようになる。
     社員の永井は、広島で一人暮らす母から弟を奪った赤紙の理不尽に天皇のばか、と手紙に記し、書き送った件で不敬罪を適用され特高に引っ張られた。それも、父亡き後、本人は、出征して障害者となり、最後に残っていた弟迄、赤紙一枚、一銭五厘で招集されたのが原因であった。郷里広島の実家は、母一人で守らねばならなかったのである。優しい彼は、それを怒ったのだ。その結果の不敬罪であったが、特高に連れていかれた当初、誰が、彼を連れ去ったのか、何があったのかも分からず、住み込み社員やお手伝いの純子らが、探し回って見付けられなかったのみならず、特高に引っ張られたと判じた後も、罪状すら分からなかったのである。
     秘密保護法という名で情報隠蔽法が強行採決された後、これからの日本は、総動員法が施工されていた頃の日本にそっくりという不気味な予測をしながらの観劇であった。
  • 地図に賭ける想い
    休憩なし1時間50分。
    膨大だろう量の調査と、そこから紡ぎ出された緻密な舞台だった。

    色彩堂社長・小林清治の『地図』に対する想い、情熱、誇りがよく伝わってくる作品。
    いや、想いとか情熱とか誇りとか、そんな簡単な言葉では表しきることはできない。
    当時の時代背景、そこに生きていた人々の思い・考えを明確に提示し、その中に在ってなお揺るがない信念。それは地図職人としての誇り故、そして“地図が読める”故。
    当日パンフレットの年表と連動しており、親切な冊子でした。

    舞台上の柱に備えつけられた一輪挿しが、この家の空気というか、雰囲気というか、そういうものを全部表しているのも良い演出でした。

    役者さん達がとても美味そうに酒を酌み交わすので、私もお酒を買って帰ったほどでした。

    ネタバレBOX

    一番印象に残るシーンはやはり、清治と政府官僚の三浦が会話する第四場でしょう。
    それそれが、それまで周囲に明かしてこなかった本音を吐露し合う。それまで静かで穏やかだった清治が声を荒げるシーンもここ。
    本当、良かったです、清治役・佐藤さん。

    色彩堂社員森田役・植村さん。見慣れれば問題ないのだけれど、最初はキャラが浮きすぎでした。これは周囲にも問題があるのかなぁ?

    第五場で純子が机で寝てしまう、というのは、それだけ清治との距離が近づいたというのを表したいためだと思うのだが、私には受け入れられず。
    ここまで台詞が無いのに、よく表現してくれました。

    もう一つ、社員山下は大日本帝国軍の兵士になれなかったのをもっと前面に出して欲しかった。今の状態だと、本当に「普通の人」。若い男達は皆戦地に行っている訳で、兵役に就いていない男なんて有り得ない。見るからにガリガリだとか瓶底眼鏡でも舐めるように見る、とかあっても良かったのでは。
  • 満足度★★★★

    地図屋の抵抗
    東京にある地図会社の、昭和15年から終戦の20年夏までの5年間を描いた作品。
    戦争中、国力を示す地図は国策の名の下、いとも簡単に書き変えを命じられた。
    ユニークポイントらしい史実に基づいたストーリーに市井の人々のエピソードが絡む。
    そのエピソードのバランスが、観ている私の興味と微妙にずれているように感じた。
    私の知りたい事はひと言の説明で終わってしまい、
    逆に会話のテンポが滞るように感じる場面があった。
    時代とリンクした説得力あるテーマの選択はまさにユニークで新鮮。

    ネタバレBOX

    「色彩堂」は先代から続いた地図会社である。
    社長(佐藤拓之)始め先代の頃から仕える森田(植村朝弘)ら社員の目下の悩みは
    国の指導で軍需工場を“公園”とするなど地図を書き換えなければならないことだ。
    さらに全国の地図会社は廃業届を提出して、政府のコントロールの下
    一つの組織に統合されることになる。
    戦局の変化に伴って市民の暮らしも否応なく変わって行く。
    軍需景気、満州、特高、疎開、そしてヒロシマに原爆が落ちて終戦へと向かう中
    地図屋の秘めた抵抗が初めてことばにされる…。

    社員3人が皆住み込みで働く会社の雰囲気が温かい。
    そこへ加わったお手伝いの純子(水田由佳)が
    素直でよく働くが、ことばを発しないという設定が象徴的だ。
    どうやら東北なまりを咎められたかして口を閉ざすようになったらしい純子は
    ここへ来てから文字を覚え、さらに地図を描く技術も身につける。
    「美しい等高線を描くので、戦争中僕が徹底的に教えたんだ」と
    社長はひと言で説明するが、私はその事情が知りたいと思った。
    自分に自信がなく無知で素朴な存在であった純子が
    “美しい等高線を描く”と判ったいきさつや、特殊な技術を習得していく成長の過程こそ
    その後の日本と重なるような気がする。

    冒頭純子が連れて来られた時の会話が少しもどかしく、なかなか始まらない感を覚える。
    特高に引っ張られた社員の事情も不明で(確かに特高は理由が無くてもやるのだろうが)
    彼が本当に不敬罪に当たるような行為をしたのかどうか
    私の見落としかもしれないが、それまでの彼の態度からして唐突な印象が残った。

    軍の命令により終戦直後の地図を作るため、社長と共にヒロシマへ行くことになった時
    思わずことばが口をついて出た純子に、社長が語りかける。
    「これからは自分の言葉で話せばいい」
    もはやどこからも規制されず、自立して自ら語り始める日本を象徴することばだ。
    終戦の半年前、社長と内務省官僚(平家和典)が本音で話す場面も印象的だ。
    地図屋の仕事に対する誇りと、関東大震災の時の哀しみをくり返すまいと言う
    悲痛な思いが吐露されて、地図の持つ別の意味を考えさせる。

    濃く熱く人情120%の森田を演じた植村朝弘さん、
    巧いしそのキャラもテンションも私は好きだが、見慣れるまで少々浮いていたかも。
    受ける社長が淡々として落ち着いた物腰だから余計そう見えてしまうのかもしれない。
    誰からも信頼され相談される、とても魅力的なキャラだけにもったいない気がする。

    ほとんど台詞の無い純子を演じた水田由佳さん、
    丁寧な表情と視線が良かったと思う。
    ひとつこれは脚本のことだけれど、終戦後の場面で違和感を覚えた。
    お手伝いさんが雇い主の前でテーブルに突っ伏して寝たりするだろうか。

    フライヤーも当日パンフも、等高線を思わせるストライプの色が美しい。
    年表と1場~5場を解り易く示したページも親切で嬉しい。

    「コントロール出来ないものをコントロールしたがる」政府の愚行が
    再びくり返されようとしている今、
    「物語は作るのではなく、発掘するもの」という作・演出の山田裕幸さんの姿勢が
    端的に表れた作品であり、その危機感を私も共有したいと思う。
    ヒロシマへ行った後、地図屋の戦後はどんなものになったのか、
    そして地図は、どのように時代を写して行ったのだろう。





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