人数の足りない三角関係の結末 公演情報 人数の足りない三角関係の結末」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★★

    作劇の企てに見事にはまる
    3人芝居の態で紡がれる3編の物語のそれぞれの表情の変化に見事に翻弄されつつ、さらに全体を貫いて浮かび上がってくる世界に驚嘆。

    なんと企みに満ちしなやかな作劇なのだろうと舌を巻きました。

    ネタバレBOX

    中央に高い舞台が設えられて、その周りに高さの異なる台が置かれて。
    そこに役者たちが物語を紡いでいきます。

    最初の物語は
    かつて一世を風靡した料理対決番組のオープニングではじまる。そして、時間を巻き戻してそこに至るまでの楽屋の風景がつづられていきます。
    番組の表層が観る側の記憶から引きだされ、次第にその内幕が解けていくのですが、そこにコミカルさとちょっと恣意的な薄っぺらさがあって。
    やがて、料理人が看板にしていたの親からの血筋の嘘や、キャバクラ好きの素顔、さらに裏側の番組の制作者側のご都合主義が切り出され、そこに観る側から取り込まれ、番組の新たな料理人に仕立てられた、市井の食堂の母であり一人の女性のとまどいがしなやかに重ねられる。
    また、舞台がそこからさらに踵を返し、そのいい加減さの可笑しさを踏み台にして、テレビに出演するプロの料理人としての矜持をしなやかに切り出すことに瞠目。
    冒頭のシーンのリフレインにはもはや全く異なる見え方での世界の広がりと冒頭との感覚の落差によるウィットが作りだされていて、うまいなぁとおもう。

    二つ目の物語は、ぼろぼろの服を着た女ふたりと男一人。
    唐突にも思えるシチュエーションが少しずつ解けていく感じを、
    気がつけば前のめりになって追わされていてる。
    解けてくる中に、女性達の先輩後輩の戦いからひとりの男の存在が浮かび、さらに、それぞれの想いの顛末がひとつに束ねられていく感覚が、じわじわと面白い。
    冒頭の会話がゲームの一部に色を変えたり、
    互いに五十歩百歩だったりの女性たちの想いの行く末が、上質なコメディの下世話さと変化shにt理も。
    しかも、そこに見えないさらなる男の姿が垣間見えて、物語のフレームがさらに覆ったりも。
    物語の全貌が明らかになっての観る側の解かれ感の先には、さらに指輪の顛末を二人の女性に告げる男の嘘があって観る側の耳をさらに物語へと傍立たせさせる。ちょっとほろ苦くて、でも強かで粋な物語の終わりかただなぁとも思ったり・・。

    そして、一見前最後の二話とは脈絡なくはじあ物語は、結婚式の花嫁の控え室の風景。
    父親は、そこでもなかなかに虐げられていて、
    タイトな花嫁衣裳をちょっと緩める傍にいただけで変態呼ばわり。
    ちょっと苛立つ花嫁と、妙に醒めて冷静な母親。
    なにかなにげに辛口な家庭劇をみているよう・・・。
    でも、その展開からいろんな違和感が生まれ、
    観る側をその歪みに引き入れてしまうのです。
    一番はじめに感じた違和感は、花嫁の年齢と両親の夫婦生活の期間の不整合だったのですが、さらに、両親が20年前から離婚を決めていたことなども、どうにも勘定が合わず・・・。
    で、そこに、従前の二つの物語の影がかさなって、両親が其々の物語に姿を現さなかった二人であること、さらにはこの作品全体の、時間や場所が、2年前のあの出来事ににフォーカスを結び浮かび上がってくるのです。

    結婚式のあいさつの態で、花嫁によって語られる、3人が共に暮らすために作られた家庭の10のルール、立ち切れた時間と失ったものたちの中で、立ち切ることのできなかった柵のとともに、仮初の家族がそのルールを元に歩み、生きてきたことが、今、東北の被災地にある現実を切り出し、描きだし、否定することも美化することもなく、ウィットと、そこに隠された息を呑むほどの作意のキレとともに描き出されていく。

    よしんばその糸が演劇の嘘によって紡がれていたとしても、舞台上にある花嫁の言葉から導かれる風景には、ミッシングしたものを繕いつつ、歩み続けることの舞台だからこそ表現しうるリアリティがあって。
    幾重にも、取り込まれ、覆され、その仕掛けに感嘆するその先に、作品に込められたであろうものにしっかりと捉えられて。

    作り手の企みに満ちた「演劇」の力を改めて実感したことでした。

  • 満足度★★★★

    3話構成
    おもしろかったです

    ネタバレBOX

    特に3話目。娘によって家族のいきさつが語られる所はうまいなと思いました。1話、2話と3話がそれとなく関わりあっていることを示唆するような構成も考えられているなと思いました。
    三角関係って、色々な捉え方のある言葉だと思いました。
  • 満足度★★★★

    みんな誰かの幸せを願う
    tea for two初観劇。こんな会話劇が見たかった。よかった。
    結局、細部まで語られることがなかったもろもろについて、想像力が膨らんで観劇後まで楽しめる。

    どこかでみたことのあるような人間で、どこかに居そうな人間で、なんとなく知っているような人間がでてきているから、
    親近感をもって違和感なく観ることができたが、ひとりひとりの人間の深みはもの足りなかった。
    一筋縄ではいかない人生が、セリフで語られるにとどまっているように感じた。

    終演後、tea for twoの活動休止を知った。これからも観ていきたいと思っていたのに残念。

  • 満足度★★★★

    無題863(13-302)
    13:00の回(強い雨)。12:15受付、12:30開場。受付開始時間前から5人ほど外で、つまり雨の中足下を濡らしながら、待っていたのですが、後からきた方がドアを開け、そのタイミングで受付が始まりました。スタッフの方は外で待っていることを知っていながらそのまま受付。それ以前に、中で待ってもらう(ロビーの)余裕があるのだから、お客さんへの配慮があってもよかったのでは?某ダンススタジオでは、いつも天候によって臨機応変に対応している。

    BGMが静かに流れる会場、最前列はベンチシート(座布団付)、2列目から椅子。客席方向にせり出すように三角形の舞台(高さ40センチくらい)、その上にグレーのキューブ、左右には赤いもの。12:55前説(120分)、13:08開演〜15:09終演。3つの「三角形」。

    3つ、独立したお話かと思ってみていましたが、大きな「結末」がありました。

    こちらは3作目(2作は@キッド・アイラック)、会場が広くなったので少し印象が違いました(個人的には小さな会場が好み)、1〜2話がもう一つかなと感じたのは3話目につなげるためだったのか…何か完結したような感じが薄かったので。

  • 満足度★★★★

    とてもとても丁寧な芝居
    脚本が極めて精緻に組まれている。まるで建築物のように。
    演出も丁寧。作品テーマとも重ねられている。
    それを演じる役者さんも素晴らしい演技。

    とっても良い作品を観たという印象。

    <内容面について、後日追記するかも>

    ネタバレBOX

    大根健一氏はそうとう頭の良い人なのだと思う。
    脚本の構成、演出の構成など、建築物を設計しているかのような精緻さで作品が組み上げられている。

    内容面でも、物語にさりげない形で社会批評が忍ばせてあったり、人間関係のあり方が問いかけられていたりと、とても丁寧な仕事。

    これだけの知性がありながら、それをひけらかすような部分は少しもない。

    本当に丁寧に作られている作品だと思った。
  • 満足度★★★

    複雑な設定から三角形成立!
    3幕構成で一応個々で完結。
    第3幕の父と母と娘の三角関係が印象的。
    30歳の娘の結婚当日、42歳のお父さん、年齢不詳のお母さん、
    しかし、戸籍は同じ。
    娘には他にママ、パパがいた。
    つまり、娘とお父さんとお母さんは血は繋がっていない。
    結婚式での娘の家族を紹介する変わった10か条面白い!
    娘の結婚と同時にお父さんとお母さん離婚予定!
    まさに同一線上にない3人、でも何か3人を結ぶ無形のもの有。
    三角形成立!

  • 満足度★★

    面白いが。。。
    ウェルメイドの作品は結局ホンだけで80点が取れるお芝居の事だが、それでも公演の成功は役者の熱意と稽古量に掛かっていると思う。稽古不足それ以外のなにものでもない。

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