あの時お母さんが「コウちゃんの事、好きでいていい?」と呟いて、僕をギュウ―って抱きしめたんだ。 公演情報 あの時お母さんが「コウちゃんの事、好きでいていい?」と呟いて、僕をギュウ―って抱きしめたんだ。」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    素材もコックも素敵に豪華なB級風芝居
    コントでも観にいくような気分で気軽に足を運んだら、
    実際コントライブをやるような雰囲気での舞台が、
    あれよという間にとんでもないクオリティでのお芝居に至り
    驚かされました。



    ネタバレBOX

    3人の役者がたくさんのロールを演じていくのですが、
    その一つずつが、コントなどであるような表層の「態」ではなく
    がっつりと丁寧に作りこまれキャラクターの実存感を醸し出していて。
    衣装の早変わりなどで作られた雰囲気もあるのですが、
    そのなかに、ロールごとのまったくことなる性格や、想いの色が
    観る側を捉えるに十分すぎる解像度と彩をもって描かれておりました。


    物語の組み方も本当にしたたかで、
    コント的なラフさやいい加減さもありつつ、
    学祭でのライブ演奏に向かっての物語の流れを作ることで、
    エピソードの差し入れも、キャラクターの必然性もしっかりと担保され
    脂の乗った役者たちのそれぞれの引き出しの豊かさや魅力が
    物語を軸として、したたかにてんこ盛りで導き出されていて。
    ウィットも冴えつつ、
    バンドの顛末や、周りの人々のありようも絶妙のバランスで置かれ、
    ラス前のライブシーンが物語をしっかりと突き抜けさせる。

    ライブ後のワンシーンから導き出される
    ロールの距離感や素顔も実によい。
    終わってみれば、コント的な舞台の風情が
    さして形を変えることもなく
    秀逸なプチ群像劇に至っていて。
    B級風の舞台が、
    役者たちの演じる手練と作演の物語を組み上げるセンスの洗練が互いの力を照らし出す、極上のお芝居に変身しておりました。

    なんというか・・・、作品を堪能しつつ、
    場末の居酒屋で三ツ星シェフが素材を吟味してつくったお通しを出されたような驚きが残って。
    ホント、観ることができてよかったです。









  • 映画監督・寺内康太郎氏が脚本と演出×多才な俳優(松下・辻沢・岡山)3人組の大傑作
    MUでもお世話になっていて、公私混同仲良く多才な俳優3人組、辻沢綾香(双数姉妹)/岡山誠(ブルドッキングヘッドロック)/松下幸史(動物電気/乱雑天国)がユニットを結成、ニセ警官顛末記の映画で俺を爆笑させてくれた監督・寺内康太郎氏が脚本と演出の大傑作 。

    学園バンドものなのにオリジナルメンバーがところてんのように消え、全員新メンバーでバンドを引き継ぐナンセンスを軸に、各人物のどうでもいいバックボーンへ脱線につぐ脱線&脱線。物語を消し炭にするユルさとパンク、演劇の「日常系」。

    全員が4.5役やってて怪演なんですが、特に辻沢綾香ちゃんは、ジャニスに憧れ呪われたように気だるいJK、サッカー部の監督を任される天才肌のメガネJK、弁当屋でキラキラ働くJKと幅広く、この俳優3人を一度でも見たことある方は尚必見。

    寺内監督は映画監督なのにナンセンスな骨格が90年代の演劇ぽいね。

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