贋作☆スイミー【満員御礼!ご来場ありがとうございました!】 公演情報 贋作☆スイミー【満員御礼!ご来場ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★

    抜群の演出センス
    この作品の演出センスは凄い。
    (第一演出:栗☆兎 :第二演出:伊藤拓)

    学生劇団とあなどるなかれ、そのセンスはプロ顔負けである。

    作品の完成度も高い。

    ネタバレBOX

    ただし、台詞の発語の仕方やドキュメント風のモノローグを交える手法など、
    どこかで見たような作風(マームとジプシーとか、チェルフィッチュとか、ブルーノ・プロデュースとか、、、)のため、流行を取り入れている借り物の方法だなという感じはした。せめて、発語の仕方だけでも、ものまねっぽさが無かったら、もっともっと舞台に入りこめたのに、、、と個人的には思う。

    それでも、このセンスはスゴイ。学生だということを考えると驚きしかない。

    レオ・レオニ作の絵本『スイミー』の話を、魚座という劇団の話と重ねて描いている。そこでは、『スイミー』のテーマでもある、個と集団の問題が提起されている。

    魚座はこの物語内の劇団だが、それはこの作品を作っている劇団SHOWそのものの姿とも重ねられている。そのようなドキュメント風の作品の為、所謂役者の演技というものとは違ったものが舞台に現れる。舞台に立つ者一人一人の個性・魅力そのものが。
    そのような演出方法だからか、実際に強烈な個性と魅力を持った人たちがこの劇団に多く所属しているのか(おそらく両方だろう)、役者たちがとても魅力的に見えるのだ。
    とかく学生劇団では、どうしても演技力の未熟さを感じてしまうことが多いが、この芝居では一切そういう部分は気にならなかった。

    ドキュメント的な演出が、この作品の質を高めている最大の要因だとは思うが、それ以外の演出部分(空間演出その他)も、脚本の構成力も含めて、凄いセンスだと思った。

    脚本に関しては、その台詞の細部はとても素晴らしい。
    「作・栗☆兎となかまたち」となっているので、役者などの実感や意見がこの脚本に採用されて作られているのではないか。
    就職活動をどうするのか、このままでいいのか、なども語られている。
    役者たち自身の葛藤とも重なっているのだと思う。

    ただ、俯瞰した場合に、構成はとても計算されているものの、
    内容面では弱いと感じた。
    とても緩い会話がずっと続くからだ。

    と言っても、私にそう感じられただけで、
    今の若い世代には、この緩さこそが重要なのかもしれない。

    特に、この作品のテーマが集団と個の問題であることを考えると、その点はかなり注意が必要だ。
    話を聞く限り、今の若い世代では、「空気を読む」というようなことに関して、
    30歳以上の世代では理解できないような集団性の問題が生じているようだ。
    (顕著な例としては、大学で独りで食事ができないなど、、、)
    そのような状況を考えると、私が緩いと感じているやり取りの中にこそ、微細な集団と個の問題が描き込まれているのかもしれない。
    30歳を過ぎた私にはわからない何かが、、、。
    (勿論、単に脚本が弱いだけという可能性もあるが、、、。)

    批判的なことも書いたが、この演出センスはとんでもないと思う。
    今後の作品にも大いに期待できる。

    美術なども素晴らしかった。
  • 満足度★★★★

    拍手までの0.7秒
    たぶん面白いとか面白くないとか、楽しいとか楽しくないとか、ではなく、「好きか/嫌いか」「愛せるか/愛せないか」がこの芝居のすべてだと思った。
    で、ぼくは、好きでした。
    良かったです。

このページのQRコードです。

拡大