範宙遊泳展 公演情報 範宙遊泳展」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.4
1-9件 / 9件中
  • 満足度★★★★★

    範宙遊泳展
    観ていて今がいつなのかわからなくなりました。範宙遊泳の小さな空間、少ない役者の芝居から広がる風景が好きです。今回も震えました。

    ネタバレBOX

    スクリーンに映し出された映像の前で芝居。映像の匿名性と過去、芝居の固有性と衝動のコントラスト。過去から私たちはのがれられないのでしょうか。恐怖で震えました。
  • 満足度★★★★

    次元を超えるしたたかなメソッド
    小さなスペースをさらに細かく区切って、
    そのなかで虚に訪れるリアルな感覚に
    どっぷりと浸って・・・。

    常ならぬ世界の実存感に
    なんだろ、うまくいえないのですが、
    こう・・・、遠近感が変わって・・・。

    面白かったです。

    ネタバレBOX

    小スペースといわれている会場が、
    さらに小さく区切られて・・・・。

    入ると場内にはインスタレーションっぽいものがあって、
    自由に椅子を出すなり、立ち見でもよいので
    ご覧くださいという案内という案内にしたがって
    適当な場所に座って
    その場所を眺めてたり、
    あとで強かに世界に取り込まれる事前のアンケートを書いたり・・・。

    開演が近づくと、プロットというかその場で行われることが
    A4、1枚にまとめられた資料が配られて・・・。
    そして、あらかじめ文字で綴られた流れの如くに
    役者が時間を紡いでいきます。

    プロットに描かれたものが
    舞台あることを追認する感覚と
    プロットに描かれたことから踏み出した
    表現の広がりを追いかける感覚が交錯する。

    朝ごはんを食べるとか、
    運動をするとか、
    仕事をするとか
    電話をするとか・・・。
    あらかじめ文字で受け取ったものと、
    舞台上から受け取るものの
    重複と乖離に次第に取り込まれていく。

    前もって資料を読むことなく、
    ただ舞台だけを見ても、その世界観に惹かれるとはおもうのですが、
    その流れが裏打ちされることで、
    舞台に流れる時間の感覚や
    日々のルーティンをこなすこと、
    さらにその時代を纏って生きることの肌触りが
    くっきりとエッジをもって切り出されてくる。
    未来を観ている感覚が、インプットされたプロットに組み入れられ
    ふっと観る側の今を生きる感覚とマージして。

    気が付けば
    前もってざっくりと読んだものから
    立ち上がる空気がしっかりと置かれている・。

    その後休憩があって、
    観客は奥の小さな劇場スペースに導かれて。
    今度は二人芝居を・・・。
    こちらでは、映像が使われて、
    舞台上に語られる物語の枠組みや要所が
    すっと映像の文字や画像情報とマージしていく。

    これは、最初の一人芝居のベクトルと真逆に
    演じられる世界を観る側に落とし込まれ、
    ロールたちの心情の先が、
    映像が作る世界の質感に取り込まれ、
    その中に際立つ・・・。
    演じられる日常が、
    その平面との重なりのなかに座標を持ち、
    新たなナチュラルさでロールの想いが伝わってくる・・。

    描かれることは、ありふれた日常の感触、
    でも、舞台に異なる次元での印象が差し込まれると
    そこに通常の舞台では感じ得ない
    心風景や想いのテイストが訪れてくる。

    手作り感もいっぱいで、
    作り手が完成されたものを供するというよりは
    その進化を楽しんでいるような部分も感じられて。
    新しい感覚が切り開かれていくグルーブ感もあり、
    時間を忘れて見入ってしまいました。

  • 満足度★★★★

    楽しい体験
    二部構成で舞台も面白く、楽しい体験でした。
    前半、楽しい時間はひとり芝居でしたが、レジュメもあり、よく伝わりました。狭い空間で役者さんの熱が伝わる距離で演じられるので、透明人間気分が味わえました。

    ネタバレBOX

    雨の設定が良かったと思います。原発事故を暗示しているようで、着眼点が良いと思いました。ただ、ランニングマシンの下りは独り言が多い印象でした。ランニングマシンが分かりにくかった印象もあります。止まる時に両側にピョンと着地したり、始める時、止まる時にゆっくりになる様子が分かると良かった気がします。

    彼はコラムニストかと思いましたが、最初の模造紙の内容はピンと来ませんでした。アンケートが辞書になっていたのは意外で、ちょっと恥ずかしかったけど面白かったです。通信のシーンが一番楽しめました。彼女がバービーだったのも驚きましたが、おばあちゃんが怪獣だったのが面白かったです。叔父さんは戦争話を自慢する所がウルトラマンぽくて良かったです。ヒモが見えてなかったので、意外性がありましたし、話す様子も楽しかったです。小さな可愛い怪獣が気になりました。

    後半の幼女Xは、展開が意外で、演技力が凄いと思いました。リョータ君の寝癖製造機や家族を赤血球や血小板に例える発想が面白く、表現も良かったです。姉が傷口というのも上手いと思いました。細菌君も、社会から徐々に乖離していく様子が見事でした。

    社会的に下流でもがく若者の心情が、成功者である姉家族との触れ合いで徐々に明らかになる様が素晴らしく、時間を忘れて見入りました。ただ、リョータ君が細菌君を見送るシーンで二回顔を上げましたが、同じ方向を見たので、細菌君がその場に留まっているような印象がありました。視線を動かして欲しかったです。あとは、素晴らしかったです。

    外科医は一番好きなキャラです。「座ろう、座ろう、スワローテール」は、いつか使ってみたいです。ラストも、細菌君の純粋な思いが子供時代に戻っていくようで、印象的でした。珍しい見方で、楽しかったです。

    スタッフさんの案内も必要最小限で良かったと思います。ただ、席を移った際に荷物から離れたのが途中で気になりました。貴重品は持つようにアナウンスして貰えたら良かったと思います。机をくぐれなかったのは残念ですが、とても楽しめました。

  • 満足度★★★★

    刺激的か?退屈か?
    この劇団が一体何をやりたいか?何を表現したいか?
    それを観客が、世間が、評論家が理解するかしないかは別として、独自の道を歩んでいるのが手に取るように分かる芝居だった。
    今の演劇界の潮流は口語演劇と言っても過言ではないが、それにそろそろ退屈している観客がいるのは間違いない。その後に続く演劇界の新たなる道しるべが見えてきた様な気がした。
    そう、だから今作は刺激的な一本である事は間違いない。

  • 満足度★★★

    思っていたよりは
    こじんまり、面白かったのかは不明・・・

  • 満足度★★★

    無題
    5分休憩あり。小さい会場を、もっと狭い使い方をする。観察者の気分となった。

  • 満足度★★★

    役者レベルの表現は2 実験性は大
     頗る実験的な作品だ。どう評価するか、或いは、この作品が演劇と呼べるのか、という意見も出てきそうだ。というのも、言葉、身体、空間、時間其々が、互いにある焦点を目指して統合されてゆくのではなく、その反対に競合してゆくからだ。

    ネタバレBOX

     先ず、唯でさえ狭い新宿眼科画廊の狭い空間が、設けられた壁によって分断されている。パート1で描かれるのは、2038年3月1日午前5時6分を回ったところ。雨が降っており、外出警戒令が出されている。主人公はそのせいで飼い殺し状態だ。当然のことながら、ここには、3.12以降大量に漏れたセシウムなど放射性核種の影響を見てとることが出来よう。というのも、この日、主人公は結婚式を挙げるはずだったのであり、それが雨でおじゃんになったからである。
     劇場内で渡された説明書にはこうある。外出警戒令が出された時、どうしても外出しなければならない時には、専用スーツを着る。然し、リスキーである、と。それでも若者の中には閉塞感に耐えきれず、普段着のまま外出する者があり雨歩(あまふ)と呼ばれている。今、雨歩が主人公の窓の外を通り過ぎた。
     このような飼い殺し状態の中でもしなければならないことはたくさんあり、各人は、各々の部屋に閉じこもったまま、それらを為すのであるが、その閉塞感の中で、楽しいことを見付けだすのは至難の業になっている。
     パート1は、主人公が楽しい時間を観客から公演開始前に募ったアンケートを引用しながら模造紙に書き出し、楽しみを模索する途中でトイレに立つことにより終了する。
     パート2は、5分間の休憩の後、主人公がトイレへ抜けて行った膝まで位の穴を通って、観客が壁の向こうへ移動することから始まる。
     こちらは、奥の壁にプロジェクターで映像を投影する中に役者が時折入り込んでパフォーマンスを行うという形なのだが、役者の身体の3次元性が、プロジェクターの投影する2次元世界には入り込めないという事実を用いて空間の使用法を変更している。分かりやすい例が壁に投影されたテーブルで食事をするシーンで、役者は壁に直行する床に体の側面をつけ、横向きに身体を横たえるのである。つまり、役者は頭を観客の側に、観客の座った足に直角に横たわっているのである。パート2を演ずる役者は2名。然し、プロジェクターで投影されるのは、何も風景やシチュエイションばかりではない。言葉も投影されるのだが、未だ若い役者陣のパフォーマンスや存在感の薄弱が、映像や言葉の力に勝てない、ということもあって、表現としては、言葉や映像に軍配が上がる。と同時に、生の存在の危機が、観客に戦慄を齎す。このことが、若い表現を彼らのイメージへのめり込ませる。浅田 彰の言うスキゾに近いか。即ち、他世代と共通の分母を失う実験に走らせるのである。ラストの部分で、役者の一人は、TVの中継している場面へ入って行き奇妙な自殺を遂げるが、その血は、溢れて、比喩では無い血の海を作りだすのである。これが、スキゾでなくて何だろうか?
  • 満足度

    一つにした方が良かったのでは…。
    山本卓卓の一人芝居「楽しい時間」、残りのメンバー二人での
    「幼女X」の二本立てで行われた本作。

    少しだけSF設定入っているような「楽しい時間」も、男の鬼気迫る
    独白がなかなか面白く、幻想的なラストの「幼女X」も、主に時間の
    問題で、まさに「帯に短し、たすきに長し」の状態で、なんか
    食い足りない、物足りない印象でした。

    ネタバレBOX

    「楽しい時間」の方は、明らかに「3.11」以降の状況を意識した、と
    みられる、放射能の雨が降り続き、外出警戒令が発動されるような
    近未来を舞台にした話。

    舞台が始まる直前に、観客から、「雨の日は何をして過ごすのが
    一番楽しいですか」のような内容のアンケートが配られてそれに
    回答するのだけど、そこで書かれた内容が舞台での一小道具に
    過ぎなかった、というのはちょっと肩すかしだった。

    せっかく、雨の日でも、外にわざと出ていく人たち(一種の愚連隊?)
    「雨歩(あまふ)」の存在もあったのに、活かされていないのが残念。
    絡めれば、もっと面白かった気がする。

    「幼女X」は、テーマは「コンプレックス」なのかな?
    大橋一輝のテンション高めの若干一人コント入ったような演技は、
    静かな空間に笑いの効果を生んでいて。

    そして、背景の映像や文字とリンクさせた演出もスタイリッシュで
    驚きだったけど。

    実験性に重きを置きすぎて、お話の方は…だった。
    ラスト、幼女暴行犯を襲撃した男が自殺し、その血が海になっていく、
    という幻想的なくだりは小説っぽくて綺麗だな、と少し思ったけど。
    次回作に今回の作品の試みはぜひ活かして欲しい。特に映像回りは。
  • すごいぐっときた
    幼女Xむちゃくちゃ良かったー!良いっていうかうわっていうか冷えっていうか、苦しさが滲むように囲んできた泣いた
    閉じ込められた世界の閉じ込められた関係を殺すはなし
    宝石のようになにも言わずにただただそっと存在してほしい作品
    あんまりなんにもいいたくない

    ネタバレBOX

    さいごのおわりかたに脱帽
    閉じ込められた扉を開けることはできず、閉じ込められたまま、新しい街が世界がうまれていく、掴みきれないあらゆる感情が一斉にじわっと湧いた

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