ミュージカル「ブッダ」 公演情報 ミュージカル「ブッダ」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    『ブッダ』
    冒頭から、異国情緒あふれる音や光、そして人々の動きに引き込まれる。

    言葉での状況説明はほとんどなく、人々の営みが、大河のように目の前を流れていく。

    洪水、戦争、病気、老い、死。それを見つめるシッダールタの目線を共有するかのように、観客もとまどいながらそれを見つめていく。

    舞台上での物語の進行はわかりやすいとは言えない。けれど、その混沌がある意味この世界そのものなのかもしれない、などと思ったりもする。

    ネタバレBOX

    さまざまなものを見つめ、受け入れていくシッダールタと対比させるような、獣の血を引くタッタ(原作とは設定が異なる)の荒々しい生き方が印象に残る。

    タッタだけではなく、シッダールタの周りでさまざまな人々の想いがつづられる。

    シャカ族とコーサラ国のいきさつや、コーサラ国の王子の葛藤。
    女盗賊の聖者への恋慕。
    シッダールタの妻の誠実。
    乱暴な巨人のうちに秘めた優しさ。
    そして何より、シッダールタの周囲でうごめく市井の人々。

    悩み、迷うことが生きることなのか。さまざまな問いかけ、そして助けを求めて差し伸べられる人々の手。

    それらすべてを包み込む、シッダールタのまなざし。ラストの彼の歌声が、さまざまな混沌や苦しみを浄化するように聴こえた。

    主役のシッダールタを演じる戎本さんの澄んだまなざしと、タッタ役の三重野さんの野獣の眼と荒々しい動きが印象に残った。

    また、美術、衣装やメイク、舞台上での楽器演奏なども見応えがあった。
  • 満足度★★★★

    ミュージカル「ブッダ」
    人間の善と悪が舞台で描かれると、悪の方が光って見える。人間の弱さ、醜悪さが剥き出しになっているほど、私は惹かれてしまう。
    わらび座ミュージカル「ブッダ」は人間ではない(とされる)者たちとブッダを鮮烈に対比する群像劇。野生を際立たせる群舞が良かった。身体表現はわらび座っぽくないと感じるほどワイルド。魑魅魍魎が跋扈し、ブッダの周囲に悪が渦巻く場面が白眉。タッタ役の三重野葵さん素晴らしい。化けたと思う。ルリ王子役の石井一彰さんも良かった。
    ただ、最後にひとつの「宗教」に集約されて、世界が小さくなったように感じたのが残念。

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